春日部探偵社へようこそ   作:断空我

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原作のところは仮面ライダーが濃いので、仮面ライダーです。

息抜きで書きました。

多重クロスみたいな感じになっています。

連載するかは未定。

ある程度、話あるので何話かのせるかも。



一部修正


第一話:ようこそ春日部探偵社へ

白い空間。

 

「では、これでいいんですね?」

 

 そこで白い衣装を纏った絶世の美女と小太りの男がいた。

 

 男の足はうっすらと透けており、生きていないことを明らかにしている。

 

 女性の問いかけに小太りの男はニヒヒと不気味な笑みを浮かべた。

 

「あぁ、これで俺がオリ主になれるんだ!ヒヒヒッ!」

 

「では、飛ばしますよ」

 

 パチンと女性が指を鳴らすと男の姿は元からなかったかのように消え去る。

 

「フフフ」

 

 男がいなくなり、女性は笑みを浮かべる。

 

 普通なら見る者を虜にする力を持っていただろう。だが、実際は違う。

 

 左右の端まで伸びた口は三日月のように歪めていた。

 

「あぁ、これでまた世界が混沌になった。いくら沢山の“ヒーロー”が生まれたとしても、混沌は加速していく。どれだけ抗っても止まることはない、ねぇ」

 

 誰もいない空間、しかし、誰かへ語り掛ける様に言葉を紡ぐ。

 

「私からは絶対に逃げられないわよ。貴方の魂、みつけたら潰して、殺して、必ずここへ連れ戻してあげる。そうしたらぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――永遠に愛してあげるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 春日部シティ。

 

 元は日本の春日部市だったものがいつからか変わってそう呼ばれるようになった。

 

 人外が当たり前のように跋扈する魔境のようなところになっている。

 

 過去の時代に名をはせた英雄や魔女が当たり前のように存在している場所。

 

 そこが春日部シティだ。

 

 春日部に有名なデパート、サトーココノカドウがあれば、警察は春日部国際警察と呼ばれる組織になっていたり、とにかく、この街で普通の常識というのは通用しない。

 

 別の世界線ならば平凡なサラリーマンな男性なのに、今は刑事をやっていたり、三段腹の主婦がトレジャーハンターをしていたり、そして、嵐の幼稚園児と呼ばれる彼がとある探偵社に出入りしていることなどが最早、常識。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それが春日部シティ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、朝から頭が痛い事件だ」

 

 春日部国際美術館。

 

 その入口には数台のパトカーが停車しており、周囲は立ち入り禁止のテープが広がっている。

 

 手袋を装着しながら春日部国際警察課長の呉島貴虎は現場に入っていく。

 

「おはようございます。呉島課長」

 

「野原係長、現場はどうなっている?」

 

「はい、昨夜未明、この美術館で泥棒が入り、奥に展示されていたダイヤが盗まれました」

 

「ダイヤ?」

 

「はい、何でもそのダイヤは海外の小さな国から借り受けていたものらしいんです」

 

「そんな話、我々のところへ報告が来ていないぞ」

 

「はい、どうやら密かにやり取りしていたらしくて」

 

「盗まれて国際問題になり責任を取らされるのも困るからこちらへ連絡してきたという事か」

 

「おそらく……」

 

 野原ひろしの報告を聞きながら呉島貴虎は奥の展示スペースへ足を踏み入れる。

 

「盗んだ犯人については?」

 

「監視カメラに顔が残されていました」

 

 ひろしが写真を貴虎へみせる。

 

 全体的に黒ずくめだが、カラスを模したシルエット。

 

「カラス男、国際的に指名手配されている盗人です」

 

「……これは難航するだろうな」

 

「あぁ、あと、課長へ報告しておかないといけないことがあります」

 

「なんだ?」

 

 嫌な予感めいたものを感じながらも貴虎は尋ねる。

 

 ひろし自身も言う事に抵抗があるのか、おずおずと話を切り出す。

 

「美術館の館長が、今回の事態に焦って、その、探偵社へ依頼をだしています」

 

「…………………最悪だな」

 

 広い空間。

 

 美術展示広場と思われる場所へたどり着いた貴虎がみたもの、それは。

 

「死にたい、の?」

 

「悪かった、悪かったからその拳を下ろせ……美女の裸体へ目移りしたのは男として当然のサガであって……悪かったから拳を下ろせ、な?な?」

 

 ある絵画の前で今にも人を殺しそうな光のない瞳で拳を振り上げている少女と必死に両手を挙げて降参のポーズをとっている白髪交じりの黒髪をした青年。

 

「東郷!!」

 

 貴虎の叫びに両手を上げていた青年が振り返る。

 

「あぁ、どうも、呉島課長」

 

「貴様がどうしてここにいる。いや、言わなくていい……依頼を受けたという事はわかっている。だが、誰の許可を得てここへ立ち入っている?現場検証中だぞ」

 

「鑑識の人が、許可くれたよ」

 

 マフラーで口元を隠している少女がぽつりと答える。

 

「おっほほーい、あれ、父ちゃん?」

 

「しんのすけ!?お前、何でここに?」

 

 両手を振り回しながら現れたのは赤いシャツに黄色いズボンをはいたジャガイモ頭の少年。

 

 野原しんのすけ。

 

 野原ひろしの息子である。

 

「母ちゃんがひまと一緒に海外へ行っちゃったからジンさんのところでお留守番、みてみて、アクション仮面カードNo.36だゾ!」

 

 嬉しそうにお菓子のおまけカードをみせるしんのすけへひろしは頭を痛める。

 

「子供まで連れてきたのか」

 

「御守頼まれたので……あと、ここへ呼び出されたのは依頼の内容を美術館長から聞くためですよ。電話で済ましたかったんですけど、ここまでこいって」

 

 やれやれと肩をすくめる青年こそ、様々な意味で名高い春日部探偵社の探偵、東郷ジン。

 

「全く、国際警察である我々にろくに話もせずに探偵社を雇うとは……」

 

「ところで呉島課長、盗んだ犯人がカラス男っていうのはマジですか?」

 

「監視カメラの映像を照合中だ。確証はない」

 

「そうっすか」

 

「こちらも最低限の情報を提供する。お前達も何か得たらすぐに我々へ知らせろ」

 

「了解です」

 

 短いやり取り。

 

 ジンと貴虎は別の通路へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、館長さんとお話して動くぞ」

 

「ホーイ」

 

「わかった」

 

「あ、響としんのすけは美術館を見学しとけ」

 

「え~!オラも行きたい~」

 

「私も」

 

 不満の表情を浮かべる二人。

 

 ジンはため息を零しながら懐からあるものを取り出す。

 

「ほら、しんのすけにはチョコビ、響には……今度、買い物とか付き合ってやるから」

 

「わかった、行くよ。しんのすけ」

 

「ブッラジャー!」

 

 走っていく二人の姿を見送ってジンは端に立っている館長へ声をかける。

 

「すいません、騒がしくて」

 

「いえいえ、元気なのは良いことです。早速ですが、依頼の話を」

 

「えぇ、盗まれたのはダイヤだとか」

 

「はい……バルベルデという国から借り受けた特別なものでして、必ず、必ず取り返してください。さもなければ国際問題に発展しまして……その」

 

「戦争になるとか?」

 

「いや、その」

 

 ジンの言葉に冷や汗を流す館長。

 

 大きな声で笑いながらジンは肩をすくめる。

 

「依頼は引き受けました。春日部探偵社にお任せを、依頼は必ず完遂します。俺達は悪いことをする奴らを許さないんで」

 

「助かります!」

 

 頭を下げた館長と別れてジンは外に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……遅い」

 

 美術館の外にでると襟足が広がったボブカット、揉み上げのこめかみ辺り左右に髪留めをつけているが、それらは灰色のパーカーのフードで隠れてしまっている少女が文句を言う。

 

「しんのすけは?」

 

「ナンパ」

 

「あ、そう」

 

 ジンは歩き出す。

 

 その少し後ろを響はついていく。

 

「依頼は受けたの?」

 

「あぁ、宝石の回収」

 

「ふぅん」

 

「嫌ならついてこなくていいぞ?」

 

「行く」

 

 即座に答える響にジンはため息を零す。

 

「無茶はするなよ」

 

「ジンも同じ」

 

「まぁ、否定はしないな」

 

 小さく笑いながら歩いていた二人のところへしんのすけがやってくる。

 

「なになにぃ?いけないお話ぃ?」

 

「仕事の話だ。さて、行くか」

 

「いきますかぁ~」

 

「……どこ行くかわかっているの?」

 

「全然!」

 

 胸を張るしんのすけに響はため息を零す。

 

「カラス男の情報を持っていそうな奴のところに行く」

 

 ジンの言葉に響はうぇーという顔をした。

 

「あのバカかぁ」

 

「レッツゴー!きゅうりのぬかづけぇ~!」

 

「おっしゃ~」

 

 しんのすけ達と共にジンは歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 OREジャーナルというモバイルニュース配信会社がある。

 

 フットワークが軽い報道をモットーとしており、真のジャーナリズムを追及している会社であり、地元の小さなニュースもあれば、ツヴァイウィング第二の悲劇という記事からグローバルフリーズの裏etcを世間へ流している。

 

 そんな彼らを情報源としてジンは利用していた。

 

 情報を得る代わりにこちらが持っている情報を提供する。ギブアンドテイクが本来なのだが――。

 

「ジン!お前からもらった情報!どんぴしゃだったぜ!令子さんと一緒に色々なことを調べて、政府の連中も顔真っ青だったんだよなぁ。いやぁ、みせたかったよぉ!」

 

「……コイツ、うるさい」

 

「いやぁ、真司さんは絶好調ですなぁ」

 

 ベンチに座っているのだが食い込むように話しかけてくるのは城戸真司。

 

 ジンと同い年の腐れ縁ともいうべき関係でOREジャーナルに努めている見習いだ。

 

 見習いながらもジンと接して情報を得られるという事で編集長の大久保からゴーが出されている。

 

 のほほんとしているしんのすけに対して響は眉間へ皺を寄せていた。

 

 ジンは懐からあるものを取り出す。

 

「何だ、それ?」

 

「おみやげ」

 

 真司はジンから受け取った包みを開く。

 

 そこにあったのは裸の女性の写真。

 

「うぉっぉおぉ!?」

 

「はっはっはっ」

 

 顔を真っ赤にしている真司をみてジンは大きな声で笑う。

 

「お、おい!?この写真」

 

「雑誌をくりぬいたもんだよ。このドウテイ」

 

「う、うるさいなぁ!」

 

 ひとしきり笑って満足したジンは話題を切り出すことにした。

 

「カラス男の情報が欲しい」

 

「……カラス男って?」

 

 首をかしげる真司に響はため息を零す。

 

「コイツ、本当にマスゴミ?」

 

「響ちゃん、容赦ありませんなぁ」

 

 外野が騒ぐもジンは気にしない。

 

「国際的窃盗犯だ。主にダイヤとかそういうものを盗んでいるらしい。春日部国際美術館に持ち込まれていたダイヤもやられたらしい」

 

「へぇ、ん?それって、特ダネ!?」

 

「報道してもいいけど、ガチ国際間の戦争勃発になるぞ」

 

「うぉう」

 

「ま、それは内緒ってことで、俺が欲しいのはカラス男の情報だったのだが……その様子だとアテにならなさそうだな」

 

「悪い……令子さんも最近、発生しているビル爆破予告で忙しくてさ……OREジャーナルのサイトなら何か見つけられるかも」

 

「まー、わかったら教えてくれ」

 

「悪い、でもなぁ、カラスの情報ならあるんだよな」

 

「カラス?」

 

「最近、春日部周辺でカラスが異常発生しているっていう情報があってさ、ほら、カラスって光るものを集める習性みたいなのあるだろ?あれでキラキラしたものが沢山、カラスに奪われるっていう話があってさ」

 

「それって、どこ周辺で目撃されている?」

 

「え?あぁ、海岸沿いだけど」

 

「真司」

 

 ジンはポンと肩を叩く。

 

「やっぱ、お前は最高だわ」

 

「へ?」

 

 呆然とする真司を置いて、ジンは二人と一緒に海岸へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして、海岸?」

 

 緑のシトロエン・2CVに乗ってジン、響、しんのすけの三人は海岸沿いを目指している。

 

「カラスの大量発生の時期を真司からデータでもらっているんだが、ダイヤが持ち込まれた時と一致する。疑うのは当然だろ?」

 

「ほうほう~」

 

「さて、おあつらえ向きに廃屋敷がみえてきたぞ」

 

 ジンの視線は崖沿いに建てられているオンボロの館が目に付いた。

 

「こういうの定番っていうんだっけ?」

 

「お約束ともいいますなぁ」

 

「まぁ、中に入るか」

 

 館の前にシトロエンを停車させてジンは響に懐中電灯を渡す。

 

「二手に分かれるの?」

 

「いや、念のため一緒に行動する。懐中電灯も人数分ないし」

 

「でもさ」

 

 ジンの言葉に響は懐中電灯を手の中でいじりながら答える。

 

「こういうの大抵、役に立たなくなるよね?」

 

「……だね~、大体、壊れるか途中で消える」

 

 しんのすけにまで同意されたことでジンは肩をすくめながら屋敷のドアへ触れる。

 

 音を立ててドアが地面へ落ちた。

 

「「……」」

 

 咎めるようにこちらをみてくる二人。

 

 ジンは言い訳するように蝶番を指す。

 

「これがモロくなっていた。俺が悪いわけじゃない」

 

 咎めるような視線から逃れるようにしてジンは館内に入る。

 

 続けて二人も後を追いかけた。

 

「ねぇねぇ、ジンさん」

 

「なんだ?」

 

「カラスマンさんが盗んだ宝石ってどんなものなの?」

 

「名前は知らない。ただ、聞いた限りだとこんな掌の握り飯みたいな形をしたダイヤらしい」

 

「おにぎりダイヤですなぁ」

 

「実物がどうかわからないけどね」

 

 呆れながら三人は階段を上がった。

 

 しばらくして誰かが入った痕跡のあるドアがみつかる。

 

 ジンはゆっくりとドアを開けた。

 

 中を見たジンは固まる。

 

「ジン?」

 

 続けて響がみた。

 

 しばらくして、ため息を零す。

 

「何、あれ?」

 

「なになにぃ?オラもみたい!」

 

 中を覗き込んだしんのすけ。

 

 室内はそこそこの広さがあり元々はパーティー会場か何かだったのだろう。

 

 中心にはキラキラと輝くミラーボールのようなものがぶら下がっており、周囲の至る所にカラスがいた。

 

「うわぁ、楽しそう!」

 

「いや、何だよ、これ」

 

「……アホだ」

 

「あ、オニギリダイヤ」

 

 しんのすけが指さすのは室内の天井に設置されているミラーボール。

 

「おいおい、ぜいたくな設置だなぁ」

 

「どうする?寝ちゃっているから取っちゃう?」

 

「そうだな」

 

「おぉー!本当におにぎりだぁ!」

 

「「っておい!?」」

 

 二人が話し込んでいる間にしんのすけが天井からダイヤをとってしまった。

 

 光が降り注がなくなったことでカラスが目を覚ます。

 

 それは天井で吸血鬼みたいに逆さまで寝ていたカラス男も同じ。

 

「侵入者か!」

 

「うわぁ……ダサイ」

 

 現れたカラス男の姿を見て響が本音を漏らす。

 

 カラス男は全身を黒タイツで包んでおり、両手は羽のようなものを装着、口元はカラスの嘴のようなものがついている。尚、頭は坊主で傾けているシルクハットはおしゃれのつもりなのだろうか?

 

「小娘ぇ!誰がミニマムサイズで最低にダサイだぁ!」

 

「誰もそこまでいってねぇ!?」

 

 どうやら被害妄想もある様子。

 

「えぇい、侵入者め!私の宝物を盗もうなど、許さんぞ!いけぇ!」

 

 バサバサッとカラスたちが一斉に飛び上がる。

 

 狙いは三人だろう。

 

「響、ライト消せ」

 

「はい」

 

 カチッとライトを消した直後。

 

 バキバキバキィ!

 

 音を立ててカラスたちが壁に激突する。

 

「なっ!?」

 

「薄暗い空間でカラスは無理あったんじゃない?」

 

 手の中にあるダイヤをくるくると弄びながらジンは笑う。

 

「くそぉぉおお!返せぇ!」

 

 ダイヤを取り戻そうとしてくるカラス男。

 

「うっさい」

 

 接近した響が顔に拳を叩き込む。

 

 抉るように繰り出されたストレートがカラス男の顔に直撃。

 

 くるくると回転しながら地面へ倒れるカラス男。

 

「……さて、警察に連絡いれますかぁ」

 

 ジンはポケットから携帯電話を取り出した。

 

 一時間後、カラス男は春日部国際警察の手によって逮捕される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無事にみつけましたよ」

 

「おぉ!すまない!」

 

 国際美術館の館長室。

 

 そこでジンは館長と向かい合っていた。

 

 ダイヤが入っている袋をみせる。

 

「おぉ!助かったよ!報酬は後程、振り込んでおくとも」

 

「それはどーも、ところで」

 

 ジンは館長の顔を見る。

 

「面白い話がありまして」

 

「何かな?」

 

 ここからは警察も、響やしんのすけも知らない話。

 

 東郷ジンが語る隠された話だ。

 

「十五年ほど前に渋谷に隕石が落下したことは知っていますよね?」

 

「あぁ、周辺が吹き飛んだからね。今はかなり復興が進んでいると聞いているが?」

 

「えぇ、実はその隕石、ある物質が含まれていまして、その物質を持ち続けると人間の体を変異させてしまうとか」

 

「ほぉ、それは知らなかった。まぁ、当時は様々な憶測が飛び交っていましたからね。さ、ダイヤを」

 

「ンで、このダイヤ」

 

 ひらひらとダイヤの入っている袋を見せる。

 

 館長はハンカチを取り出して自らの額を拭う。

 

「中を調べたらなんと、その物質が入っていたんですよねぇ」

 

「返せ!!」

 

 話の途中で袋をジンから奪い取り、中からダイヤを取り出そうとする。

 

 しかし、出てきたのは石ころだ。

 

「なっ、貴様!」

 

 怒りで顔を上げようとした館長の額に拳銃が突きつけられた。

 

「さて、ダイヤは南米のバルベルデ共和国から送られてきたってきいたが、それは本当かどうか、教えてもらえるか?」

 

「貴様、脅迫するつもりか?」

 

「質問してんのは俺だよ」

 

 銃口をぐいぐいと押し付けてジンは尋ねる。

 

「答えないっていうなら、このまま」

 

 ニタァと館長が笑みを浮かべる。

 

 彼の体が光に包まれた。

 

 咄嗟にジンは後ろへ下がる。

 

 館長だった存在は緑色の虫のような怪物へ姿を変えていた。

 

 手には鋭い爪が伸びている。

 

「ワーオ、まだ生き残りがいたのかよ」

 

 奇声をあげながら襲い掛かって来るのはワーム。

 

 渋谷に落下した隕石に紛れ込んでいた生命体。

 

 奇声をあげながら振るわれる爪を躱しながらジンは外へ飛び出す。

 

 どこに隠れていたのか、ぞろぞろと姿を見せるワーム達。

 

 ワームの額に人間の顔が現れる。

 

 館長の顔だ。

 

「大人しく、石を差し出せ、そうすれば、我々の同胞へ擬態させてやろう」

 

「冗談、お断りするよ」

 

「ハッハッハッ、愚かな選択を」

 

 ガサガサと近くの茂みが揺れる。

 

 そこから現れたのはツギハギの服を着た男。

 

 ギロリと鋭い目でワームをみる。

 

「ワォ、狙ったようなタイミングだな」

 

 ジンが呆れている中、男は肩に手を乗せてきて、尋ねる。

 

「おい」

 

「何さ?」

 

「今、笑ったのはお前か?」

 

「まさか、連中だよ。俺達を見下していた」

 

「そうか……なら」

 

 ピョンピョンピョンとどこからか緑色のメカニカルなバッタと黒いカブトムシが飛来してきた。

 

 二人は同時にそれを掴んでベルトへ装着する。

 

 音と衝撃と共に二人は鎧に身を包んだ。

 

「その姿、貴様ら“仮面ライダー”か!?」

 

「いやはや、出会った時に名乗ったでしょ?」

 

 黒いカブトムシをモチーフにした姿の戦士が手を叩く。

 

「雑用から浮気調査、探し物、はたまた怪物退治までなんでもいたします。何より、悪いことをする奴らは許さない春日部探偵社ってさ」

 

 体勢を落としながら彼は言う。

 

「だから、俺達はそんな大層なもんじゃねぇよ」

 

 

 

 

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