春日部探偵社へようこそ   作:断空我

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クレヨンしんちゃんの映画、みてきました。
いやぁ、とてもよかった。
スクリーンに登場したぶりぶりざえもんもそうですけど、ほかのメンバーもよいところが多くて、

今回の話はクレヨンしんちゃんにあったエピソードにてをくわえたものかつ、あるキャラがでてきます。




第十一話:トレジャーハンターみさえ

 松明が唯一の明りといえる洞窟の中を進む者達がいた。

 

 彼らは慎重に洞窟の中を進む。

 

「……」

 

 一人は探検家のような服に帽子、鞭を腰から下げた女性。

 

 もう一人は金髪で荷物を背負った青年。

 

 そんな青年の後ろに赤ん坊を抱いている少年。

 

 彼らはいわゆるトレジャーハンターである。

 

 金銀財宝、失われた文明の謎を解き明かすために活動していた。

 

 トレジャーハンターとして有名になっている野原みさえは歩みを止める。

 

「みさえさん」

 

 立ち止まったみさえの後ろで仁藤攻介が視線を追いかける。

 

 視線の先。

 

 そこには立っている骸骨がいた。

 

 片手にプラカードのようなものがあり「いますぐたちされ」と書かれている。

 

「ホッホー!これまた!」

 

「攻介兄ちゃん?」

 

「譲、定番ぽくなってきたぞ!」

 

 にやりと仁藤が笑みを浮かべると同時にみさえが鞭を振るう。

 

 鞭は天井から伸びている糸から骸骨を切り離す。

 

 骸骨が音を立てて地面に落ちると同時に暗闇の中からたくさんの蝙蝠が飛んでくる。

 

 みさえは咄嗟に譲とひまわりを抱きしめるようにして伏せた。

 

 仁藤はその上から覆いかぶさるようにして三人を守る。

 

 蝙蝠がいなくなって三人は立ち上がった。

 

「行きましょう」

 

「ねぇ、攻介兄ちゃん、僕達が探している財宝って何なの?」

 

「俺達が探しているのは太古の昔に存在していたエンチョー族が持っていたとされる最古のメガネだ。文献として存在はしているが誰も見つけたことがない。それを発見できれば歴史的大発見であるし、とんでもない財宝だ!」

 

「おぉ!」

 

「たやー!」

 

 譲とひまわりが驚きの声を上げる。

 

「幻と言われているエンチョー族の証明にもなるしね」

 

 みさえはぴたりと立ち止まる。

 

 洞窟の奥。

 

 開けた空間にたどり着いた。そこには無数の棺のようなものが並んでいる、中心の場所には人の顔のような像が設置されていた。

 

 開けている口。

 

 その中に置かれている古いメガネのようなものがある。

 

 みさえは口の中に手を入れて慎重にメガネを取り出した。

 

「おぉ!これが噂のメガネかぁ!」

 

 仁藤はメガネを突きながら弟子の譲へみせる。

 

「古いから何も見えないねぇ」

 

 ぽつりと感想を漏らす譲。

 

 その時。

 

――してください。

 

「んあ?」

 

 暗闇に声が響く。

 

 皆が身構える中、設置されている顔の瞳が赤く染まっていく。

 

――私のメガネを返してくださぁい!

 

 声が響くと同時に周囲の棺が音を立てて開かれる。

 

 中から現れるのはメガネを装着したミイラ。

 

 ミイラは「メガネを返してください」と同じ言葉を繰り返しながら手を前に広げて近づいてくる。

 

 みさえは咄嗟に火をミイラの顔へ突きつけた。

 

 しかし、ミイラは平然と近づいてくる。

 

「駄目、火が効かない!」

 

「だったら俺の出番だよなぁ!」

 

【ドライバーオン!】

 

 仁藤が指輪を腹部のベルトへかざすことでビーストドライバーが起動する。

 

「攻介兄ちゃん、僕も!」

 

「いいや、譲はそこで見ていろ!ひまわりちゃんも抱えていないといけないからな!」

 

「変・身!」

 

【LION!ライオーン!】

 

 金色に輝くライオンを模した古の魔法使い。

 

 それこそ仁藤攻介が変身したビーストである。

 

 細身の刀身の武器、ダイスサーベルを取り出す。

 

「さぁ……ランチ、あれ?朝飯食べたっけ?」

 

「どっちでもいいから早くしなさい!」

 

「はいはい!いただきまーす!」

 

 みさえに怒鳴られたビーストはため息を零しながら目の前のミイラへ攻撃を仕掛ける。

 

 殴られたミイラのメガネが外れて地面へ落ちた。

 

「メガネ、メガネ!」

 

 メガネがなくなって慌ててミイラは探し始める。

 

「そうか!」

 

 みさえは愛用している鞭を振るう。

 

 一瞬で複数のミイラからメガネを叩き落す。

 

「おし、まとめていただくぜ!」

 

【セイバーストライク!】

 

 音声と共にダイスサーベルから表示された出目は5。

 

 バッファロー型の魔力弾が一斉にミイラを飲み込んでいく。

 

 ミイラは爆発と同時に無数の魔力を放出した。

 

 魔力は全てビーストドライバーに吸い込まれる。

 

「ごっちそうさん!」

 

 両手を合わせて叫ぶビースト。

 

 直後、地震が起こる。

 

「まずい!崩れるわ!」

 

 みさえの言葉通り音を立てて遺跡が倒壊を始めていた。

 

「攻介兄ちゃん!」

 

「あぁ、くそっ!」

 

 変身を解除した仁藤も慌てて出口へ向かう。

 

 みさえ達は着た道を全力疾走。

 

 遺跡の外に置いてあった飛行機で脱出する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、みさえたちはエンチョー族の遺跡から香港へ来ていた。

 

 彼らの次の獲物は楊貴妃すら探し求めたと言われる幻の不老不死の秘薬。

 

 その情報が黄金大飯店というところにあるという。

 

「しっかし、不老不死ねぇ、本当だとしたらえらい話だな!」

 

「でも、不老不死の伝承って各地にあるよね?」

 

「たああい!」

 

 譲の疑問に同意するようにひまわりが手を伸ばす。

 

「各地にある伝承の中でも一番、手に入れやすい情報を見つけてきたのよ!」

 

「みさえさん、それは少し」

 

「(セコイなぁ)」

 

 心の中で仁藤と譲は同じことを思ったが口にしない。

 

 口に出せば最後、自分達はみさえの得意技ぐりぐり攻撃をその身で受けてしまうからである。

 

 何度か野原家長男がその身に受けているのを目撃してきたことから二人は理解していた。

 

 口は災いの門であると。

 

「じゃあ、まずはその飯屋を探すことからスタートだな!」

 

「出来れば、そこでご飯を食べたいなぁ、お腹ペコペコだよ」

 

「そうねぇ、エンチョー族の遺跡から直行してきたからそこで何か食べるというのもありね!」

 

 彼らは調査を開始する。

 

 様々な中華料理屋を調べて、訪問を繰り返してきたがめぼしい情報はない。

 

「ないなぁ」

 

 十件目。

 

「ないね」

 

 ニ十件目。

 

「たああい」

 

 「ないわねぇ」

 

 三十件目。

 

「おかしいわねぇ……」

 

 そこからさらに数件を巡り。

 

「仕方ない、どこか適当なところで食べるとしましょうか、あそことか」

 

 適当なボロイ店を指さす。

 

 あまりの年季具合に譲は少し臆した。

 

「え、ここ?」

 

「譲ぅ!中華料理は汚くて小さい方がおいしいんだぜ!これ中国の常識!」

 

「そうなのかなぁ」

 

「ほら、行くわよ」

 

 みさえを先頭にして彼らは店内へ入る。

 

 店はかなりボロい。

 

 彼らを出迎えるのはシニョンと呼ばれる髪型でチャイナドレスを纏った巨乳の女性。

 

 ボンキュボンというスタイルで美女なら野原家の大黒柱と長男は興奮していただろう。

 

 しかし、この場にいるのはトレジャーハンターのみさえ、考古学バカの仁藤、中学生で初心の譲は少し顔を赤くした程度である。

 

「イラッシャーイ!」

 

「うまいもんくれ!腹減ってんだ!」

 

「攻介兄ちゃん、そんなのでいいの?」

 

「いいんだって!」

 

「まぁ、こういうところじゃ攻介君の直感は当たるからね」

 

 みさえは異を唱えることなく着席する。

 

 こういう時の仁藤の直感は当たるということを知っているからこそである。

 

 美女と入れ替わるようにして老婆がやってきた。

 

「うまいもん食わせてやるよ!」

 

「楽しみだぜ!早く!」

 

「慌てる乞食は貰いが少ないよ!」

 

「腹減ってんだよう~」

 

「待ってな、死ぬほどうまいものくわせてやる」

 

 老婆はそういうと店の奥に向かう。

 

 まだかまだかと待つこと数分。

 

 少しして肉パオが運ばれてくる。

 

「待ってましたぁ!」

 

 仁藤が懐から取り出したのはマヨネーズ。

 

 譲も少し遅れてマヨネーズを取り出した。

 

 くるくると回転させながら肉パオへマヨネーズをかける。

 

「いつみても思うけれど、マヨラーは怖いもの知らずねぇ」

 

 みさえはそう思いながら目の前の料理へ口をつけた。

 

 直後、譲、ひまわり、みさえの顔が青ざめる。

 

「(何、これ!?)」

 

「(たああい!?)」

 

「(マズっ!)」

 

 青ざめる中、仁藤だけは平然と料理を食べていた。

 

「うっめぇ!マヨネーズかけても最高だぜ!」

 

 元気よく叫ぶ仁藤。

 

 その時、老婆が仁藤の腹部と指を凝視していた。

 

 正確には彼がつけているドライバーと指輪。

 

「アンタら、只者じゃないね?」

 

 老婆はみさえへ囁く。

 

「え?そうかしら?」

 

「アンタらにこのオウゴンリュニクパオの作り方を教えてやる」

 

 ぼそぼそと老婆は何かをみさえへ囁く。

 

「そして、最後にこの龍の心臓を乾燥させたリュウタンフンをかけて完成ね」

 

「龍?どうみても――」

 

 老婆から渡された調味料の容器はどうみても桃色の豚でしかない。

 

 そんなものを渡されて戸惑うみさえ。

 

 直後、机の上に黒タイツの男が落下してきた。

 

「あぶねぇな!料理が潰れちまうだろうが!」

 

「そういう話じゃない!」

 

 仁藤へみさえが叫ぶ。

 

 ドアを開いてドドドドと全身タイツにサングラスをかけた男たちがみさえ達を囲む。

 

「痛い目をみたくなければ、大人しくそれを差し出しな!」

 

 黒タイツをかき分けるようにして三人の男が現れる。

 

 低身長で中肉、小太り、細身の男達。

 

 便宜上、彼らを三兄弟とする。

 

「痛い目をみたくなければ差し出しな!」

 

「そういうことだ」

 

 そういうと三人は服を脱いでいく。

 

 しかし、長男だけ上着を脱いだ後、シャツを取ろうとしてうまくいかなかった。

 

 次男と三男が足と頭を引っ張る。

 

 バランスを崩して長男のズボンはめくれて中からパンツがみえた。

 

「バカァ!ズボン脱がしてどーするんだ!」

 

「何なのよ!アンタ達!」

 

 みさえが叫ぶ中で三人は拳法の構えをいくつか行う。

 

 そうして、身構えて襲い掛かる。

 

 老婆はひらりと回避していく。

 

 次男が拳を繰り出すもあっさりと躱される。

 

 三男は駆け出そうとして躓く。

 

 長男が竹棒を使って攻撃を仕掛けるもあっさりと避けられるばかりか地面のでっぱりに竹棒がひっかかってそのまま店の外へ放り出される。

 

「何か、こんな感じの映画があった気がする」

 

 ぽつりと譲が漏らす中、三兄弟は傷だらけになっていた。

 

「どうだ!これに懲りたら大人しく差し出せ!」

 

 老婆は振り返らずに逃げ出す。

 

 三兄弟が追いかけようとしたが立ちはだかるようにグラマラスな女性が立ちはだかる。

 

「「「うひょお!」」」

 

 グラマラスな女性の姿に三兄弟が驚きの声を上げる。

 

「アンタら痛い目にあいたいかぁ!」

 

「「あいたい!あいたい!」」

 

「バカ!何言ってんだ!」

 

 長男が叫んだ直後、彼女の拳やキックが三兄弟に炸裂する。

 

「早く!リュタンフンを持って逃げて!」

 

「え?」

 

「おらぁ!」

 

 みさえからリュウタンフンを奪おうとする男を蹴り飛ばす。

 

「逃げるわよ!」

 

 みさえの言葉で仁藤達も逃走するが黒タイツの男達が追いかけてくる。

 

 その時、頭上に「黄金大飯店」という看板があったがみさえ達は気づかなかった。

 

「何なんだ!あいつら!人のランチタイムを邪魔しやがって!」

 

「攻介兄ちゃん、そういう事態じゃないと思うよ!?」

 

 追いかけてくる連中の一人を蹴り飛ばしながら仁藤達は走る。

 

 逃走をしていたが壁のある通路にぶつかってしまう。

 

 みさえは鞭を振るう。

 

 鞭に怯える男達。

 

「アンタ達!あそこを登って逃げるわよ!」

 

 仁藤達が屋根に上ったことを確認してみさえも続こうとした時、ジェームスと名乗る男の車が現れて乗り込む。

 

 しかし、ジェームスこそ連中のボスだった。

 

 みさえたちは捕まってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水上ボートの中。

 

「ほら、かかってこいよ!」

 

「俺達は逃げも隠れもしないぜ?」

 

「こんな状態で戦えるわけがないでしょ!」

 

 みさえ達はロープで手足を縛られていた。

 

 彼女達を挑発する三兄弟。

 

「ほら、どうした?かかってこい」

 

「みさえさん、気にすることはねぇって、こいつら弱いし」

 

「なんだと!?」

 

「あーあー。みなまで言うなって!お前らが弱いからこうして動けない俺達を挑発してんだろ?わかっているって」

 

「攻介兄ちゃん、余計に煽っているよ」

 

 譲がため息を零した時。

 

「ぎゃーぎゃーうるせぇ奴らだな!」

 

「「「お疲れ様です!ボス!」」」

 

 三兄弟が頭を下げて、ジェームスがやってくる。

 

「アンタ!」

 

「フン、リュウタンフンを手に入れたはいいが、オウゴンリュウニクパオを作れる婆さんを逃した……アンタは作り方を知っているか?」

 

 ジェームスはウェイトレスをみる。

 

「私!ただのウェイトレスだから知らないね!」

 

「確かに私は作り方を聞いたけど、なんでお婆さんが教えてくれたのかわからないし」

 

「お婆さんいっていた、古の魔法使いを率いる者がいれば、選ばれた者達であるから作り方を教えるって」

 

「古の魔法使いって仁藤君のこと?選ばれし者って?」

 

「つまり、お前は作り方を知っているわけだ。だったら作ってもらおうか?でなければ、そこの金髪や小僧の命はねぇぞ」

 

「わ、わかったわよ!」

 

 脅されて数十分後。

 

 みさえは肉まんを作った。

 

「これがオウゴンリュウニクパオかぁ!」

 

 ジェームスは肉まんを頬ぼる。

 

 直後、顔をかきむしりながら吐き出す。

 

「これはオウゴンリュウニクパオじゃないなぁ!ただの肉まんじゃねぇか!」

 

「アンタ、老人だったのね!?」

 

 白い肌は化粧だったらしく老けた老人の顔が現れる。

 

 みさえが絶句している中、ジェームスは怒っていた。

 

「仕方ないでしょ!ボソボソ話していて聞き取れにくかったし!私なりの感覚で料理したまでよ。足りないっていうんなら、これでもどーぞ!オラオラオラオラオラ!」

 

 リュウタンフンを肉まんへ振りかける。

 

 舞い上がる粉末。

 

 しばらくしてリュウタンフンから粉が出なくなった。

 

「あ、空になっちゃった。はい残念~」

 

「みさえさんも良い勝負しているねぇ」

 

「たああい」

 

 譲の言葉にひまわりも同意する中、ジェームスは怒りで体を震わせた。

 

「皆殺しだ!貴様ら生きて返さんぞ!」

 

「ちょっと!私達は巻き込まれただけよ!?勝手なことを言わないで!」

 

「うるさい!やい!三兄弟!こいつらを始末しろ!」

 

 ジェームスの指示で走り出す三兄弟。

 

 みさえ達の方へ行くと思ったら反転してジェームスを蹴り飛ばす。

 

 ジェームスは数メートルほど吹き飛びながら壁に激突する。

 

「な、何を!」

 

 三男が国際警察のマークが入っている旗を掲げた。

 

「フン!俺達は国際警察のスパイだったんだよ!」

 

「ただの弱い奴と思ったら大間違いだぜ!」

 

「今までは演技だからな」

 

 そういって三兄弟が構えをとる。

 

 今までのものと異なってしっかりしていた。

 

 彼らの動きに配下の者達は戸惑い始める。

 

「フン!国際警察など、私の敵ではない!お前ら!」

 

 ジェームスの指示で部下たちは懐からガイアメモリを取り出す。

 

【マスカレイド】

 

 メモリを差し込んで部下たちはマスカレイドドーパントへ姿を変える。

 

 マスカレイドドーパント達と戦う三兄弟だが、怪人に鍛えた人間では勝ち目がなく瞬く間に壁へ叩きつけられた。

 

 入れ替わるようにしてみさえとウェイトレスが前に出る。

 

 拳や蹴りで次々とマスカレイドドーパント達を圧倒していく。

 

「やるじゃねぇか!」

 

「いけいけ!」

 

「すげーぞ!」

 

「この人達、傍観しているし」

 

「ま、いんじゃねぇの?」

 

 戦う女性たちをしり目に男子達は傍観していた。

 

 二人の女性によってマスカレイドドーパント達は全滅する。

 

「えぇい、こうなれば!」

 

 ジェームスが壁を叩く。

 

 音を立てて背後の隠し扉が開く。

 

 そこから白と紫の怪物たちが現れる。

 

 カーバンクルと呼ばれる怪物だ。

 

「へへへ!こいつは人間では勝てんぞぉ!」

 

 既に勝ったつもりでいるジェームス。

 

 やれやれと仁藤は立ちあがる。

 

「みさえさんとウェイトレスさんは下がっていてくれよ」

 

「攻介兄ちゃん、僕も行くよ」

 

 ひまわりをみさえに預けてカーバンクルの前に立つ仁藤と譲。

 

「さぁて、行くぞ!譲!」

 

「うん!」

 

【ドライバーオン!】

 

【ドライバーオン!】

 

 二人はドライバーを起動する。

 

「変・身!」

 

「変身!」

 

【LION!ライオーン!】

 

【チェンジ!ナウ!】

 

 仁藤はビースト。

 

 譲はメイジへそれぞれ変身する。

 

「さぁ、ランチタイムだ!」

 

「えっと、行くぞ!」

 

 ダイスサーベルを構えて突撃するビースト。

 

 ウィザーソードガンでメイジはビーストをサポートする。

 

「さぁ、まとめて終わりだ!」

 

 ビーストの必殺技によってすべてのカーバンクルが倒される。

 

 カーバンクルから魔力を吸収した。

 

「ふぅー、これだけ食べればキマイラもしばらくは満足するだろう」

 

「後は!」

 

 みさえがジェームスを睨む。

 

 頼みの綱のカーバンクルがあっさりと倒されたことでジェームスは動揺しながらもシートへ腰かける。

 

「へへっ、私がお前達みたいな奴に捕まってたまるか!」

 

 シートのスイッチを押して空へ舞い上がる。

 

 そのまま安全な場所まで逃げようとしたジェームスだが。

 

「なっ!?」

 

 上空にいたヘリにシートは飛び込んでしまう。

 

 そこには国際警察のマークと拳銃を突き付けている制服警官達。

 

「ここまでだ、ジェームス」

 

「なっ、あ」

 

 愕然としているジェームスの前で一人が無線機を起動する。

 

「捕まえました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

 船は港に停船している。

 

 そこからぞろぞろと黒タイツの集団が連行されていく。

 

 港は香港国際警察によって封鎖されている。

 

「ほら!キリキリあるけぇ!」

 

 武装警官によってマスカレイドドーパントになっていた者達は拘束されていた。

 

 ふと、長男はサムズアップする。

 

 その先には彼らへ手を振るみさえ達の姿があった。

 

「しっかし、リュウタンフンは外れだったみたいだな」

 

 空になった容器を弄びながら仁藤はため息を漏らす。

 

「でもさ、不老不死の秘薬なんて発見されない方がいいと思う」

 

「譲君の言うとおりだと思うわ」

 

 みさえも同意する。

 

「もし、本当に不老不死の秘薬があって、それを求めていたらジェームス爺さんみたいにがめつくなっていたかもしれないし」

 

 そういってみさえは地図を取り出す。

 

「次の財宝を見つけたわよ!」

 

「まーった!みさえさん!残念ながら一旦、日本へ戻らないといけないぜ!」

 

「あ、譲君」

 

「はい、そのそろそろ帰らないと」

 

 譲はまだまだ中学生。

 

 成人である仁藤はともかく彼は義務教育等もあるので日本へ戻らないといけない。

 

「そっか、じゃあ、日本へ戻りましょう!」

 

 みさえの操縦する飛行機は日本へ進路をとる。

 

 そんな彼らをウェイトレスは見送った。

 

 彼らの姿が見えなくなってから彼女は人ごみの中を歩いていく、いつの間にかナイスバディの女性から老婆へその姿を変えて。

 

 

 


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