64なニンテンドーから、ゲームなキューブまでの間にあった物語……。
「マリオぉぉおおお!!」
「……」
重なる閃光は赤と緑。
悲しき兄弟たちの激突は余波で地面を砕き、何もかもを吹き飛ばす勢いを持っていた。
砕け散る地の欠片の中で緑の弾丸は――。
「いつもいつも……ボクを留守番要因にしやがってよぉおおお!!」
悲しき脇役の咆哮が天すら砕いた。
◆遡る時間は三日と五時間ほど◆
「え、兄さん……また冒険に出かけたのか……キノコ城に行くって……」
時期は64なニンテンドー、兄と一緒に住んでいる家にて。
朝起きたらテーブルの上に置いてあった手紙。
そこにはキノコ城に向かうとかなんとか書いてあって、ルイージはその肩を落とした。
昔は兄さんことマリオとユニットを組んで、様々な敵や困難に立ち向かってきた。
しかし、ある時からマリオの足を引っ張ることになってしまった。
「ふっふー!!」
「そ、そんな兄さん!?」
流石に足手まといを連れていくわけにはいかず、彼は留守番常連になってしまった。
一応反発もしたが、どれだけ言ってもマリオは聞き入れてくれない。
「まあまあまあ、落ち着けよルイージ」
「くっ、ヨッシー……」
「ほらお茶でも飲んで……正論を受け入れようぜ?」
「!?」
結局、マリオはルイージを置いていった。
その判断は間違ってはいないのだろう。
間違っていないからと言って、感情的に受け入れられるかは別であるが。
「……ッ」
ルイージは衝動的に手紙を握りしめ、それを破り捨てた。
また兄は己を蔑ろにした。
許せないという怒りが湧いてきて、止まらない。
「ちくしょう……ボクだってッ」
怒りのままに机を殴りつける。
その瞬間、家の壁が粉々に吹き飛んだ。
「うわあああ!?」
悲鳴を上げて、衝撃で床を転がるルイージ。
急速に広がる粉塵の中で家に入って来る複数の影を見た。
とても小さい影だ。
「へへへ! ここがマリオの家か!!」
「おら! 出てこいやマリオ!!」
「落とし前つけろやァ!!」
それはクリボーの大群だった。
そうこれはクリボーの復讐劇。
マリオにやられた借りを返そうと、彼等は徒党を組んでルイージ宅を襲撃したのだ!
「うわあ!?」
「おい! なんかマリオっぽいやついるぜ!!」
「違う! そいつは弟の落ちこぼれ、ルイージだ!!」
あっというまにクリボーたちに囲まれたルイージは、タコ殴りにされて、家の中から引きずり出された。
クリボーたちは彼をここで始末するつもりだ。
「うう……あぁ」
薄れゆく意識の中でルイージは考える。
なぜに自分がこんな目にあっているのか?
マリオに置いて行かれた上に、この仕打ち。
あまりにひどい状況に涙を流した。
「緑のやつ~、このまま踏みつけて息の根止めてやる!」
「マリオには散々踏まれたからなぁ!!」
マリオは様々な厄介事に首を突っ込んでいた。
だから当然と言うべきか、様々なクリボーの恨みを買っていたようだ。
その八つ当たりとしてルイージはこんな目に遭ってしまった。
(おかしいだろ……こんな)
悔しさで歯噛みするルイージ。
なぜなぜという疑問が止まらずに、歯が砕ける程に力を込めた。
地に指を立て、思い切り拳を握りしめる。
(マリオ……クリボーの復讐の連鎖……!)
立ち上がることも出来ずに彼は体を震わせた。
その眼光は恐ろしく燃え滾り、しかしクリボーの足が振り下ろされるのを止める事は出来ない。
そして。
「兄に比べて、大したことないぜ!!」
「ははは!!」
「!!」
ぶつんと彼の中で何かが切れた。
ルイージは絶叫し、クリボーたちを一瞬怯ませた。
しかし、クリボーたちは容赦なくその足を振り下ろす。
「うあおあああッッ!!」
◆緑の炎がその場を蹂躙した――◆
「はあはぁ、ゆ、許してくれッ!!」
「……」
命乞いをするクリボー。
彼以外のクリボーは燃え尽き、灰に変わり果てた。
ルイージは無表情で彼に近づいていく。
「ぷぎゃ!?」
「――フン、1コインか。塩よりもしょっぱいぜ」
クリボーを踏みつけたことで発生したコインをキャッチし、それを指で折り曲げた。
彼の目にはすさまじい怒気が宿り、何物をも寄せ付けない威圧感を持っている。
「待っていろ、マリオ」
ルイージは決意した。
ここから死に物狂いでマリオに追いついてみせると。
その内、ゲームなキューブで主人公の座を得る為に――。