シャニP、女になるってよ   作:朱羽瑠

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第二話

「……これはいらない。これは……まぁいいか、これも必要ないな。」

 

いかにも一人暮らしの独身男性が住んでいますと言った雰囲気の部屋で

そこに住むには全く似つかわしくないが雰囲気の女の子が掃除を行っている。

しかし実際の所、それは掃除というよりはむしろ断捨離に近かった。

目に付いたもので必要ないと判断したものを片っ端から袋に詰めて、いつでも

捨てられるようにする。それはまるで、"そこにかつて住んでいた誰か"の痕跡

を消し去ろうとしているかのようにも見える。

 

「よし、ひとまずこんなものでいいか」

 

(自分の口から自分ではない声がするこの感覚、未だに慣れないな……)

 

ひとまずの腹ごしらえを終えてまず初めに彼女が取り掛かったのは

『過去の自分との決別』だった。未だに信じられないが実際に性転換してしまった

以上、以前の自分とは異なった生活をしなければならない。これはその下準備である。

思ったより作業に熱中していた為か、時刻は既に昼の3時を回っていた。

 

いつもなら事務所でのデスクワークを一旦切り上げて休憩がてらにレッスン室の

様子を見に行く時間だ。些細な事だが、こういう細かいコミュニケーションの

積み重ねでアイドル達との絆を深めていったので、一日でもそれが達成できない

事に対し僅かに焦燥を覚える。

 

(イルミネの事だからレッスン自体はつつがなく進行するとは思うが……

 やっぱり寂しいな……。)

 

元々人と話すのが好きな性格故に一人で過ごすのはあまり好きではなかったが

この姿になってからどうも酷く寂しがり屋になってしまったようだ。

なんと女々しいことか、そういや女だったな、などと心の中で自問自答をしながら

ベッドの上で自分の枕を抱きしめて横になり、寂しさを紛らわす。そうしている内に

だんだんと安心感を覚え始めた彼女は、やがてすやすやと可愛らしい寝息をたて始めた___

 

 

 

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

 

 

 

 

「「「ワン!ツー!スリー!フォー!」」」

 

静謐なレッスン室に声質は不揃いだがタイミングはピッタリ揃った三種の声が木霊する。

激しい振付で三人お揃いのジャージを汗みどろにしながらも、例え鏡の前であろうと笑顔を

絶やさずにダンスをこなしていくその姿は、まさに理想のアイドル像そのものだ。

 

283プロダクションには個性豊かなアイドルとそのユニットが多数在籍しているが、その中でも

櫻木真乃、風野灯織、八宮めぐるの三人で構成される『イルミネーション・スターズ』

は最も笑顔が似合うユニットだと称されており、実際に今この場で三人のレッスン風景を

目の当たりにすればそれを疑う者はいないだろう。

 

 

やがて、備え付けのスピーカーで流している彼女達の持ち歌も終盤を迎え、最後の振付を終えた所

で曲も自動的にストップする。三人共息は多少上がっているが、まさにやりきった、と言わん

ばかりのその表情は、さながらライブステージの上に立っているかのように見える。

 

 

だがそうしていたのも束の間、"アイドル"から"普通の女子高生"に戻った三人は

誰かが合図した訳でもなく、同時にへなへなと脱力。床に腰を落として息を整え始めた。

 

 

 

「ふぅ……真乃、めぐる、お疲れ様。二人も私もかなり汗も掻いてるし、そろそろ休憩にしよう」

 

 

三人の中で一足先に息を整えた黒髪の少女、風野灯織が声を上げた。

イルミネで一番小柄で年少者の彼女であるが、こうしたレッスンや仕事の時は

率先してスケジュールの管理を担当する事が多い。その姿がまるでお母さんみたいだね、と

担当のプロデューサーや283プロに所属するアイドル達に言われているが

本人の前で言うと顔を赤らめて怒ってしまうので心の中に留めておくべきだろう。

 

 

「はぁ、はぁ……、うん、そうだねっ、私も疲れちゃったし……灯織ちゃんに賛成」

 

「わたしも!すっごく喉乾いちゃったから灯織にさんせーい!」

 

 

そんな彼女の言葉を受けるのは、イルミネのほんわか担当櫻木真乃と元気担当八宮めぐるだ。

汗でじっとりと濡れた額を一方は首に掛けたタオルで、もう一方はジャージの袖で拭いながら返答

をする。互いに向かいあって座りながら水分を補給する三人の少女達だったが、やがて先程まで

取り組んでいたステップ練習の感想を思い思いに語り始めた。

 

 

「んく、んく……ぷは~っ!この曲、最後のステップが難しすぎるよ~!」

 

スポーツドリンクを勢いよく飲み干しながらひとりごちるようにめぐるが叫ぶ。

三人の中で運動神経が一番良い彼女でさえついぼやいてしまう程には

アイドルとしてのイルミネが世間に要求されるレベルは高まりつつある。

 

「ふふっ、めぐるちゃんがそんな風に言うなんて、なんだか新鮮な感じだねっ」

 

「確かにそうかも、『今の所楽しかったからもう一回踊りたいな!』なんて言ってくるかと思ったのに」

 

「ちょっと二人とも~?私だって疲れるときくらいあるよっ!」

 

「でも、そう言う割にはまだまだ元気そうに見えるけど?」

 

「えへへっ、灯織にはお見通しか~」

 

ユニット結成当初は会話一つでギクシャクとしていた彼女達だが今となってはこんな風に

軽口を叩き合える程には仲良しになっていた。尤も、夜空に輝く星座(イルミネーションスターズ)を形作る星々(アイドル)

いつもに一緒にいる事が当たり前なのだが。

 

「ほわぁ~、やっぱりめぐるちゃんは凄いね……。私も負けてられないや」

 

「私も……それなりにスタミナは付いてきたと思っていたけど、今回の曲を完璧に踊り切る

 にはもっと体力トレーニングを頑張らなきゃ」

 

「あっ!でもでもっ、さっきの通しは今までで一番タイミング合ってたと思うよ!」

 

「うん、私もそう思う。特に真乃、先週に比べて見違える程動きが良くなってた」

 

「わぁ……ふふっ、ありがとう灯織ちゃん。灯織ちゃんも、中盤で崩れかけた時にしっかり

 リードしてくれて、すっごく頼もしかったよっ」

 

複数人での自主レッスンは互いが互いの悪い所を指摘しあって個々の動きを改善させていく

という流れが一般的だが、この三人に関してはむしろお互いの良かった所を褒めあってモチベーションを高めあう事の方が多かった。

自分のダンスの悪い所くらいはちゃんと自分で気付けるくらいには、彼女達も伊達に場数を踏んではいないので所謂『褒めちぎる戦法』の方が効率的に上達出来るという訳だ。

 

「上手くいった所、プロデューサーにも見て貰いたかったんだけどな~……」

 

「め、めぐるちゃん……」

 

めぐるの何気ない一言で、先程までの和やかな空気に暗雲が立ち込める。イルミネは当初より

三人ユニットとして活動を行ってきたが、その精神的支柱として、レッスンの時や仕事の時も、

常に傍でサポートを行ってきたプロデューサーを含めると実質的には四人のユニットと言える。

勿論、今日の自主レッスンにも途中から様子を見に来てもらう予定だった。そんな彼が不在

とあっては、さしもの彼女らにも、決して小さくない影響があった。

 

「プロデューサー、ここ最近忙しそうだったし、体調を崩してしまったのも仕方がないと思う……

 それにめぐる、元々今日は私達だけで自主レッスンする予定だったでしょ」

 

「確かにそうだけど~……、でもプロデューサーがいないと寂しいよ~!灯織もそう思わない?」

 

「もう、私だって寂しくないとは一言も言ってないでしょ……。」

 

「……。」

 

二人の会話を聞いて、先程までほわスマイルを浮かべていた真乃も暗い顔で押し黙ってしまった。

しかしその表情は、二人とは少し違う事を考えているようにも見える。

 

「……?真乃、どうかした?」

 

「ほわっ、えっと、その……私もプロデューサーさんがいなくて寂しいのは同じなんだけど

 どっちかって言うと、寂しいよりも心配だなって思う気持ちの方が強くって……」

 

「……!わかるなぁ~その気持ち、わたしも踊ってる最中に

『プロデューサー大丈夫かな~……』ってついつい考えちゃったもん」

 

「ふふっ、チェインではめぐるが一番プロデューサーの事心配してたもんね」

 

「そ、それは言わないでよ~……!」

 

今朝のチェイングループでのめぐるの連投を思い出し、皆で笑い合う。

あんなに早いフリック入力見たことない、あの時は一発で目が覚めたよ、なんて他愛もない話で

再び会話が盛り上がり始めた所で、灯織はある事に気が付いた。

 

 

「……っていうか、今思ったんだけど、プロデューサーが体調不良で

 お仕事を休むなんて、もしかして今日が初めてなんじゃ……」

 

「確かに、言われてみれば初めてかも!」

 

「真乃はどう思う?」

 

「え、えっと、レッスンの日に私達は何回か休んだ事があるけど、プロデューサーさん

 がお仕事以外で休んだ事は一回もなかったかな?」

 

「やっぱりそうなんだ……」

 

それもその筈、彼女らの担当プロデューサーは仕事の為に生きていると言っても過言ではない

根っからのワーカーホリック人間であり、冠婚葬祭等やむを得ない事情以外で仕事を休んだ試し

がない。283プロ所属アイドルからもその振る舞いを揶揄して『ミスター・オールドタイプ』

などと称されたこともあるが、とにかくそんな彼が休暇を取らざるを得ない程体調が悪化して

いるのだ、自分達の想像以上に今の彼は衰弱しているのかもしれない、という考えに至った。

 

「私、一応プロデューサーに電話を掛けてみようと思う。二人はもう少し休んでて」

 

「うん……私もそうした方がいいかなって。灯織ちゃん、お願いするね」

 

レッスン室の隅に置いてあるカバンの中からスマートフォンを取り出し、着信履歴の中から

家族や友人と同じ回数ほどには通話履歴の残るその番号を探し出し、一瞬迷う。

急に電話を掛けて迷惑にならないだろうか……物事を悪い風に考えてしまうのが彼女の癖だった。

しかし、そうも言ってはいられない。灯織は意を決してプロデューサーへコールをする。

 

「あっ灯織!そういうことならスピーカーにして!わたしもプロデューサーの声聞きたい!」

 

「はいはい、繋がったらね……」

 

気のない返事をしながら、スマートフォンを耳に当てて耳を澄ました。

トゥルルル、トゥルルル、と機械的なダイヤル音が繰り返される。実の所、灯織は電話という

コミュニケーションツールがあまり好きではなかった。いつ相手が出るかわからない緊張感や

お互いの顔が見えない故に表情から感情の機微を汲み取る事ができない所が、小心者の

彼女にとっては耐え難いものに感じるのだ。勿論、ユニットのメンバーやプロデューサー相手

ならば例外だが。

 

トゥルルル、トゥルルル、トゥルルル、トゥル、ガチャ

永遠のように続くかと思われたコールがようやく終わりを告げる、しかし__

 

「……あっ、もしもしプロ_____」

『お掛けになった電話番号は、現在電話に出ることができません。ピーッという音の後に___』

 

「えっ……なんで……?」

 

返ってきたのは、無情にも鳴り響く機械音声だった。

 

 

 

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

 

 

 

 

「……んぅ……むにゃ……」

 

 

本日三度目になる起床を果たす。どうやら部屋の整頓を終わらせた疲れか、いつの間にか

寝てしまっていたようだ。少しぼんやりとするが、布団を引っぺがして腰を上げ、

軽く伸びでもした所、次第に頭が冴えてきた。この感じなら、どうやらそこまで長時間

昼寝をしてしまった訳でもなさそうだ。時刻を確認しようと、いつの間にかズボンの

ポケットに入っていたスマホを取り出して電源を入れる。すると目に映ったのは

17:03という大きな時刻表示とその下にある『不在着信:3件』というメッセージだった。

 

(……!?しまった、電話を取り逃してしまったのか!しかも3件も……!やばい……!)

 

急いで電話アプリを立ち上げて履歴を確認する、そこには上から順に、

『櫻木真乃16:02、八宮めぐる15:27、風野灯織15:04』と表示されていた。

 

今日がレッスン日のイルミネのメンバーから立て続けに着信があったという事実に、背筋が

ぞくりと震え、嫌な予感を覚える、もしかして何か大変な事があったのか……!?

そう考えた所で、一旦ホーム画面に戻るとチェインのアプリアイコンの右上に赤い数字

が重なっている事に気付く。電話が繋がらないと判断したのか、こちらでメッセージを

送ってくれたのかもしれない。恐る恐るアプリを開いて、通知内容を確認する。

 

 

~風野灯織とのトーク画面~

 

 

16:05『プロデューサー、起きてらっしゃいますか』

 

16:05『電話が繋がらなかったので、こっちでメッセージを送ります』

 

16:05『今までプロデューサーが体調不良で休む事なんてなかったので

    真乃もめぐるも、私も心配しています。プロデューサー、本当に

     お体の調子は大丈夫なんですか?』

 

16:06『本当に大丈夫なら良いんです。ですが、ちょっとでも一人でいるのが

    辛いって思ったら、迷わず私達を頼りにしてください』

 

16:06『私達、今まで何度もプロデューサーに助けて貰いました

     もしプロデューサーが困っているのなら力になりたいんです』

 

16:07 『お返事、待ってます』

 

 

 

不器用な彼女なりに言葉を選んだのだろう、こちらを気づかいながらも心配して

くれているのが良く伝わってくる、灯織にしては珍しい長文のメッセージが届いていた。

 

「……え、これ……もしかして、俺を心配してくれたのか……?」

 

確かに、一人暮らしの人間が急に体調を崩すと色々不都合は生じるし、心配になるのもわかる。

だが、自分は少なくとも社会人としてそれなりの年月を過ごしてきた大人なのだから

体調管理は自己責任、それに失敗したなら責められることはあれど心配されるような

資格はどこにもないと考えていた。

 

見た所、めぐるや真乃からはメッセージは送られてきていない。

同時にたくさん送られてくると混乱させてしまうと判断したのか、灯織が代表してくれたようだ。

とどのつまり、自分は皆に心配させまいと気丈に振る舞ったのだが、それが逆効果だったらしい。

 

(……俺は馬鹿だ、本当に……)

 

(人が困っていたら迷わず手を差し伸べるのに、自分が困っている時に差し伸べされる手は振り払ってきたなんて__)

 

今まで自分がしてきた愚かな行動にようやく気が付いた、自分はなんて身勝手な行いをしていたの

だろう、と自己嫌悪に陥いりそうなる。

もしかしたら、この姿になったのも愚かな自分に神様が与えた天罰なのかもしれない……

 

いや、そんな事を考えている場合じゃない、ひとまず灯織に返事をしなくては。

確かに彼女達の力を今借りられたら非常に心強いのは間違いないが、それでも

いきなり事情を打ち明ける勇気はまだ持てそうになかった。

 

 

『灯織、何度も電話やメッセをくれたのに反応できなくて、本当にごめん』

 

『真乃やめぐるにも心配かけちゃって申し訳ないと思ってる、後で自分から伝えておくよ』

 

『でも、体調に関しては本当に大丈夫だから安心してくれ。電話に出れなかったのも

 メッセに返事が出来なかったのも、丁度その時ぐっすり眠ってたからなんだ』

 

『それと、今日のレッスンの事だけど、もしよかったらどこまで進んだか____

 

そこまで文字を入力した所で、スマホの画面が急に切り替わり着信音が鳴り響いた。

着信名は『風野灯織』と表示されている。

 

(灯織……っ!?レスポンス早すぎるだろ…っ!っていうか今電話に出るのは色々とやばい!)

 

いきなりの事に焦りながらも、流石に自分の電話番号から見ず知らずの女の声が聞こえてきたら

灯織も混乱するだろうし、最悪の場合あらぬ誤解を招きかねない。

ここは心を鬼にして、着信拒否の方向へダイヤルをスライドする。

 

 

『灯織、電話拒否してすまない。大丈夫だとは言ったけど、実は喉の調子がまだ治ってないんだ。

 できればこっちで会話してくれると助かる』

 

我ながら、最低な事をしているとは思う。灯織にはまたいつかこのお詫びをたっぷりとしよう。

今はこれで納得してくれ……!

 

 

『やっぱり、そうだったんですね』

 

(……え?)

 

『いつもならこういう大事なことは電話で伝えてくれるじゃないですか

 それなのに今日は全然使わなかったですよね』

 

『妙だな、って思ってたんです。その様子だと予感は的中したみたいですね』

 

……自分が深刻な状況にある事はどうやら、彼女達には全て筒抜けだったようだ

その上で今まで試されていたらしい。掌の上で転がされるとはまさにこの事だ。

それでも、女になってしまったなんては流石に想像していないだろうが……。

 

『ですから』

 

『プロデューサーは玄関の鍵だけ開けておいて、布団でゆっくり休んでいてください』

 

……は?

 

『え、それは一体、どういう』

 

『はづきさんから住所を教えて貰いました、今からそちらへ看病へ向かいます

 真乃とめぐるも一緒に、ですからね』

 

一気に血の気が引いて顔が真っ青になるのを感じる。

今から、この部屋に灯織達が、来る……?それってつまり……

"この姿でここにいるのを見られてしまう!?"

 

『ちょっと待ってくれ灯織!アイドルにそんなことさせられない!俺は大丈夫だから

 二人にも申し訳ないけど今日の所は真っ直ぐ家に帰って貰えないか』

 

『もう、まだそんな事言ってるんですか、本当に気にしなくてもいいんですよ』

 

『それに』

 

外から複数人の足音が近づいてくるのが聞こえる。

 

『ごめんなさい、もう着いちゃいました』

 

(嘘だろ……!?)

 

彼女達なら理屈で説得すれば引いてくれると思って、完全に油断していた。イルミネは三人揃ったら

やると決めた事は絶対やり遂げようとするユニットだという事を完全に忘れていた。

こうなってしまえばもう逃げ場はない、完全に袋のネズミだ……。

 

なんとか思考を整理しようと頭をフル回転させているのを急かすかのように

ピンポーン、という音が部屋中に響き渡った。

 

(インターホンが鳴ったってことはもう玄関の目の前じゃないか!)

 

もうこうなったら最終手段を取るしかない、居留守を決めよう!

夜食の買い出しにコンビニに出掛けてるって事にして、一旦帰ってもらえば__

 

がちゃり、という音がした。

 

 

『か、勝手に入っちゃって大丈夫かな…?』『不法侵入スレスレだけど、こうでもしないとプロデューサー入れてくれないだろうし…』『プロデューサーさん、ごめんなさいっ……』

 

そんな話し声が聞こえてくる。

 

(鍵掛けるの忘れてたぁーーー!!!!!)

 

 

「プロデューサー、勝手に入ってごめんなさい……お身体の方は大丈__」

 

 

「ま、待ってくれ!!」

 

 

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

 

 

 

「「「……え?」」」

 

 

私達三人は体調が思ったより深刻そうだったプロデューサーの看病をする為に

はづきさんに何度も頭を下げて教えてもらった住所の家に入っていた。

真乃にはドラッグストアで購入した医薬品類を、めぐるにはスーパーで購入した

食材の入ったレジ袋を持ってもらい、三人で隙のない万全な看病体制を整えて

プロデューサーに早く元気になってもらう、完璧な作戦を立ててきた、はずだった。

 

しかしどうだろうか、異様なほどに物が片付いたその部屋の中にいたのは

長身で短髪の、私達がすっかり見慣れた男性の姿ではなく。

 

両手でスマホを抱えてぺたん、と床に座り込み、今にも泣きそうな表情をしている__

 

"女の子"の姿だった。

 

 

 

 

 




次回から女の子になってしまったシャニPとアイドル達の交流が本格的に始まります
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