怪獣酒場abyssでは様々な客が酒と料理を楽しもうとやってくる。各テーブルや座敷では宇宙人や怪獣達がどんちゃん騒ぎして楽しんでいる。そんな中で店の奥にある広めの座敷では他の席よりも一際目立っていた。その座敷に座る人物達を見ては、周りからはヒソヒソと話しが飛び交い、中にはその人物達を睨みつける者達もいた。しかし、その座敷に座る者達はそんなことを気にせずに宴会を楽しんでいた
そんな話しが飛び交っている彼等5人はギャラクシーレスキューフォースに所属している精鋭達なのである。ギャラクシーレスキューフォースは「か弱き生命を守り、救助する」という目的の元に結成された宇宙の一大組織であり、光の国は勿論、U40や宇宙正義ともコンタクトがあるなど、宇宙における知名度が高いのである。その隊員達の個性や得意分野を活かす為にも前線に立つ「戦闘部隊」や組織の技術力を担う「科学部隊」、敵の情報を収集する「潜入部隊」などといった多くの分野に分かれている
「か〜〜、仕事後の酒ってのはまた格別ですな」
カランとグラスの酒を飲み干し、上機嫌で周りに同意を求めるのは放浪宇宙人ペガッサ星人のイントル。彼はペガッサ星人お得意のダーク・ゾーンを使い、様々な場所への潜入調査や人質救助を得意としている
「酒は苦手だが……俺にはこの眼兎龍茶が仕事終わりの体に染みるよ」
ジョッキに注がれた自身の好物である眼兎龍茶をグビグビと飲み、上機嫌に話すのは幻覚宇宙人メトロン星人サンセ。彼は現在、宇宙人の間で栽培されている宇宙ケシの実や発売が禁止されているシャイナー05の密売等を阻止するため、多くの部下と活動している
「…………フゥ」
その二人を見て騒がしいと思いながら、お猪口に注がれた酒を一気に煽るのはトールザムシャー。彼の仕事は宇宙で好き放題に暴れまわるならず者の宇宙人や怪獣達を相手にすることである。自慢の武器は自身よりも二周りの大きさを誇るハンマー「星砕」。宇宙金属を製錬した、そのハンマーを振るえば巨大隕石さえも粉々にする威力を秘めている
「イントルさん、サンセさん、もう少し静かにしましょうよ」
「そうよ。あまり騒がしいと店主に怒られるかもよ〜」
イントルとサンセを注意するように声を上げる彼女は異次元人ギランボのグウィッチ。彼女の意見に同意するのはネリル星人キール。彼女達は拐われた宇宙人の子供やヴィランギルドや怪獣ハンターにより、傷ついた怪獣の保護や治療を行っている
「ウッ……」
「それは嫌だな……」
彼女達から注意された二人は少し身体を震わせながら、残っていた飲み物を飲干そうとする……
「それぐらいの事では私は怒らないですよ」
「「ブッ………ゴボゴホゴホ」」
飲干そうとしていた二人の背後から、音や気配なく料理を運びながら近づいてきた店主アビスに二人は驚き、飲み物を吹き出しそうになる
「アビスさん、お久しぶりです」
「オッス、アビスさん久しぶり」
キチンと挨拶をするグウィッチと軽い挨拶をするキールの前に料理を置いた、アビスは二人にお辞儀をする
「はい、お久しぶりです。今日はゆっくりして「店主よ………」いって……」
二人と話しをしていたアビスの言葉をトールザムシャーが遮りながら店主を睨みながら殺気を放つ。トールザムシャーが放つ殺気の影響でピリピリとした空気になる。並の宇宙人ならば、この場を逃げ出してしまうが
「あぁ〜トールザムシャーさんもお久しぶりですね」
アビスはそんな殺気をものともせずにトールザムシャーに声を掛けるがトールザムシャーはそんなアビスを見て、ニヤリと口を歪める
「フッハハ、相変わらずだな店主」
「トールザムシャーさん。いつも私が来るたびに殺気を向けるのは辞めてくださいって言ってるじゃないですか」
「辞めてほしくば、我と一戦交えることだな。……圧倒的な強者との戦いも、また一興」
そう言いながら、好戦的な目でアビスを見ながら壁に立て掛けてあった星砕の取手を握る
「お断りしますよ。それに私は只の酒場の店主ですよ」
「………チィッ」
トールザムシャーの誘いを淡々と断るアビスに対して舌打ちをしてトールザムシャーは再び酒を飲み始める
「ハハハッ…そう言えば、店に来るのは本当に久しぶりですが最近は忙しかったんですか?」
トールザムシャーの態度に笑いながらイントルとサンセに声を掛ける
「えぇ…最近は本当に忙しくてですね」
イントルとサンセの話を聞くと、最近はレイビーク星人やムザン星人、ノワール星人による誘拐や怪獣ハントが増えてきているらしい
「最近では我が同胞が宇宙ケシの実絡みの事件で一斉摘発されましたからね」
サンセは少し悲しい顔をしてジョッキを机に置く。自分の同胞達が宇宙ケシの実による事件に関係していた事にショックを受けていた。そんなサンセにアビスは眼兎龍茶を無料で提供しながら
「あ〜、最近ニュースや新聞で報道されていた……」
ニュースや新聞で見た事を思い出し呟く
「そうなんですよ。結構大きな組織だったんで大変でしたよ」
アビスとギーセの皆々で話しが盛り上がりをみせていたが、そんな平和な時間は………
「そこの、テメェ等」
後ろから怒鳴り声により、終わりを告げる。話しをしていたアビスとギーセの5人は声のした方に振り返る
「テメェ等がギャラクシーレスキューフォースの連中だな!!」
「オメェ等のせいで俺達の商売が滅茶苦茶だぜ!!」
「覚悟しやがれぇ!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」
怒声と鳴き声を上げていたのは誘拐怪人ケムール人、緑色宇宙人 テロリスト星人、宇宙参謀ズール星人、さらにズール星人が操るブーメラン怪獣レッドキラーがギャラクシーレスキューフォースのメンバーを睨みつけている
「何なんですか!?貴方達は」
「そうよ、いきなり因縁吹っ掛けてきて!」
グウィッチとキールはいきなり因縁をつけてくる宇宙人達に声をあげる
「ウルセェ、とりあえずテメェ等には痛い目に遭ってもらうぜ」
ケムール人が声をあげるとテロリスト星人はテロリストソードをズール星人は銃をレッドキラーは両手のブーメランを構えだす
「まったく…折角の楽しい時間を」
「これだからチンピラ宇宙人共は」
「……下らんな」
イントルとサンセ、トールザムシャーはそれぞれ言葉を口にしながら女性二人を庇うように前に出る……しかし
「あの〜すいません、店での争い事は辞め止めて頂けませんか」
彼等とチンピラの間に入り、チンピラ達に声を掛けるアビス。相手を刺激しないように優しく声を掛けるが……
「店主は引っ込んでろや!」バンッバンッ
ズール星人が割って入ってきたアビスに対して威嚇のつもりで銃を足元に発砲する
「……………………」
アビスは銃により穴の開いた床を見つめる。それに対してズール星人はビビっただろうアビスに対して気を良くし
「ハッハハ!ビビって声もデネェ…」
高笑いを上げてアビスを馬鹿にしようとした瞬間
ゴオッ
アビスから底のないような何かが溢れ出す。その底の知れない力にその場にいた皆はアビスを見たまま動けなくなる
「ヒィッ」
アビスの近くにいたズール星人は突然の事に動揺し腰を抜かす。そして今まで黙っていたアビスは……
「俺はな面倒事は嫌いだがな…」
そう言い、ズール星人の銃を奪い取ると握力のみで銃をグシャグシャに握り潰す
「店の約束事を守らん奴はもっと嫌いなんだよ」
けして声を荒らげず、しかしドスの効いた声にチンピラ共はガクガクと震えだす
「約束事を守らん貴様らはな…」
片手をあげるとバチバチと黒い閃光が集まってくる
「仕置きするかな」
その手に集まったエネルギーを振りおろそうとした………その時
ギューッン バフッ 「ダメッ」
「グモッ」
突然、厨房の奥から黄色い羽の生えた生物が駄目と言いながらアビスの顔面に飛びかかる
「マタ、ミセフキトンジャウ」
「わ、分かった。分かったから離れてくれ」
黄色い毛がこそばゆく早く離れる用に言う
「パムー」パタパタ
「あぁ〜ありがとうハネジロー。お蔭で助かったよ」
突然の事に対して頭の冷えたアビスは黄色い小動物もといハネジローの頭を撫でながらお礼を言う
「全くですね……一体何度すれば気がすむのでしょうか?」
ハネジローの後に続くように厨房からアビスを睨みながら呟く
「いや〜すまないね。ウィスド」
アビスは厨房から出てきた甚平を着たメフィラス星人ウィスドに謝罪する
「全く」ハァ…
軽いアビスにため息を吐くウィスド
そんなやり取りを見ていた面々は………
「俺、やっぱり店主を怒らせるような事は止めよ」
「同感ですね」
「私、鳥肌が止まらないよ」
「本当に店主って何者なの?」
イントル、サンセ、グウィッチ、キールは店主アビスの実力を改めて肌で感じているなか……トールザムシャーは
「クックック…やはり只者では無いな」
アビスの力に身震いはしたものの、力の一端をしれた事に笑みを浮かべるのであった
なおチンピラ三人と一匹は気絶し、床に這いつくばっていた。その後床を傷つけたチンピラは連帯責任と言う事にされ、床の修理代を払わされ、泣きながら土下座をしている姿を他のお客から見られていたのであった。以降この事件によって店主の噂が更に広がっていた
またのご来店を心よりお待ちしております
ちょっとした解説
店主アビス…怪獣酒場abyssの店主。謎多き人物であり、当人は普通の店主で徹そうとしている。ウィスドとは腐れ縁であり、良きパートナー。ハネジローはかわいい
副店主ウィスド…怪獣酒場abyssの副店主。メフィラス星人。時々暴走するアビスに困っているが強く信頼している
マスコット・ハネジロー…怪獣酒場abyssのマスコット。多くの宇宙人達から愛されている。宇宙ネットを駆使してabyssの宣伝を行う。アビスの暴走を止められる数少ないもの