私はただガチャの景品です   作:もやしモン

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レイドボス

 あなたは私を育ててくれた。弱い私を根気強く。

 

【おいおい、めっちゃカッケェな!!】

【まさに悪の龍と呼ぶべき存在だ】

【けど、これから育てないと行けないんだろ?】

【そこはまぁ…茶釜さんに任せるって感じで】

【Level.1だもんね、けど、ここから出せる?】

【あくまで設定だし、動かすのに支障はないだろ】

【それもそうか、ちゃんと私が育ててあげるからね】

 

 あなたは優しかった。愛想をつかさずいてくれた。

 

【NPC育てるのとか久々だなぁ…おっと、危ないぞ】

 

 守ってくれた。身体だけ立派な癖に中身はミジンコ並みの私を捨てずにいてくれた。

 

【あー!! こら! ミラボレアス!! 勝手にプレイヤーのとこ……ミラぁぁぁ!??」

 

 プレイヤーにポップするモンスターと間違われ、倒されたこともあった。それで倒された時は怒ってくれたな…。

 

【はぁ…もう、世話のやける子ね。さっきの人間たちはとりあえず●●●●して●●●の●●●●●●にしといたから】

 

 時折怖いことも言っていたけど……愛されているように感じた。言葉を交わしていないし、温もりも感じない。血のつながりなんてあるわけない。けれど……本当の親みたいに。

 

【じゃじゃーん!! どーよ!!】

【へぇ、かなりガチの構成だな】

【というか、初期ステータスの貧弱具合どこ行ったってくらいの化け物ステータスだろこれ!!】

【竜人ではないドラゴンというのも中々いいな】

 

 あなた方はいつも楽しそうにしていた。

 

【うっし、今日こそ目指せソロクリア!!】

【パターンを読んでもなおキツいって鬼だよな】

【そこが面白い!!】

 

 動かない私に対し、嬉しそうに話をしていた。目を輝かせているように見えた。ずっと、一緒にいてくれると思った。

 

 

 

 

 

 どうして……どうしていなくなってしまったのですか?

 

 

 

 

 

 

火炎(ボロ)ブレス Level.8』

 

『レインアロー"天河の一射"影縫の矢』

 

 身体の動きが一瞬鈍くなったが、問題はない。連続のブレスで牽制しながら機会をうかがうとしよう。

 

炎球(ボロス)プレス』

 

 火球よりも更に巨大な炎の球を生み出す。範囲攻撃で動きを止め、踏みつける。3人ががかりで私の体を抑え、潰されないように耐えている。アウラ様とマーレ様は避けれたはずだが…至高なる御方を前に先に避けるなどあり得ないというわけか。

 

「ぐぬぬぬ!」

 

「うぅ…」

 

 マーレ様は流石だ。階層守護者の中でも強さで言えば序列は上から2番目だったか、その見た目から想像できない強さ。だが、その程度で私をどうにか出来るとでも?

 

GYARUAAAA!!!

 

 咆哮。範囲スキル。一時的にスタン状態に陥らせる。

 

黒龍の息吹(ミラノ・ブラスト)

 

 城全域に及ぶ強力なブレス攻撃。今までのブレスの比じゃない威力だ。これで立っていられる奴などそういないのだが……。

 

「ふぅ……やっぱとんでもないわね、ミラボレアス」

 

 燃え盛る炎が消え、地面が赤く熱を帯びる。ジリジリと体力を減らしていっているが未だに倒れないとは、流石至高なる御方。更に守護者二人を守るとは、防御力の高さを裏付ける。

 

「ぶくぶく茶釜様!! 御身のお手を煩わせしまうなんて!」

 

「平気よ、平気。さて、()()、あんた私がガチタンクだからってあなたに勝てないと思ってるでしょ?」

 

 実際その通りではないか。その攻撃力では私にダメージをほとんど与えられず、あと数回のブレス攻撃で倒れるだろう。

 

「ふふ〜ん、そんなお馬鹿なミラちゃんに見せてあげちゃうから、とっておきのものを!!」

 

 声がだいぶ幼くなった。何をする気だ?

 

「行くわよ、それ!」

 

 アウラ様、マーレ様を置いて一人で特攻? いや、タンクが前に出るのは分かるには分かるが、今更何を? ご主人様は移動スピードは早く無い。的だ、最高火力で消し炭だ。

 

火炎(ボロ)ブレス Level.10』

 

 ご主人様の炎で包まれた…いや、まだ向かってくる。スピードが変わっていないだと? 私の攻撃に怯みがないのか? いや、囮か。本命は……そっちだろ。

 

「トリプレットマキシマイズマジッ……」

 

 マーレ様の魔法での攻撃であればダメージを与えられるだろう。だが、基本的にパーティのバランスとしては前衛(アウラ)後衛(マーレ)後衛を守る盾(ぶくぶく茶釜)だが、前衛としての役割不足が見える。本来、アウラ様は使役した魔獣を使う、前衛は不向き。マーレ様の攻撃を受けても私を倒れることはない。ならば、警戒すべきはマーレ様の援護先であろうアウラ様。

 未だに単身でこちらに向かってくるご主人様の意図は分からないが、ここ一体を焼き尽くせばいいだろう。

 

『ウッドランドストライド!!』

 

 なに?

 

「ふふん、捕まえた…」

 

 詠唱破棄? なぜ攻撃ではなく、ご主人様に支援魔法を。近づいたところで何をするというのだ。

 

「ふぅ……」

 

 何だ今の気配は? 煩らわしい…硬直も一瞬だ、こんなものすぐにとける。

 

「GYARU!!」

 

 気が逸れた隙に置かれたと思われる起爆榴弾が爆発し、よろめく。更に、城に備え付けられた砲台の前に立たれたアウラ様がご主人様の合図で5連続で砲撃を繰り出す。

 

「全弾命中!」

 

 爆弾からのたたみかけるように攻撃の連打、だが喜んでいられるのも今のうちだ。近づいたのは早計ではないかご主人様。

 

扇状放射(せんじょうほうしゃ)

 

「やばっ!」

 

 意外と削られていたか。このスキルまで使うことになろうとは。辺り一体焼け野原。二人の階層守護者のダメージを受けてうずくまっている。一撃で死ななかったのは驚いだが、マーレ様がアウラ様を回復させているが、そんな隙は与えない。

 ご主人様は私の腕の中、上空を颯爽と飛びこのまま叩きつけるもよし、炎で削るのもよし。

 

「あなたに初見で勝てる奴なんてこの世にいないわ。けどね、生物って学ぶのよ、失敗はすればするほどいい、その失敗をいかに減らすかってね。そもそもなんでソロとマルチの体力と攻撃力の設定がほぼ同じなのよ、普通ソロはもっと簡単にするでしょうが、クソ運営め。お陰でソロでクリア出来るやつなんて皆無で、奇跡で、英雄扱いよ、ならマルチしかないけど、マルチもマルチで火力化け物だし……」

 

『火炎ブレ───『レインアロー"天河の一射"』─』

 

 とどめの一撃を放とうと口に炎を溜めた瞬間、回復が済んだようで、アウラ様の向かってくる矢を上空で躱し、躱し、躱す。だが、様子がおかしい。

 

 ────これは……マーレ様のバフが乗っかった攻撃? いや、そんな隙を与えたはずはない。まて、そもそも回復が早すぎないか? 一体何が?

 

 追尾機能が向上した矢が頭部に命中体制が崩れてしまう。だが、まだご主人様は手放さない。これは私のものだ。

 

「よっと!」

 

 いきなり目の前に瓶が現れ私の顔で割れた。なんだ、ぶくぶく茶釜様の仕業か? 急に睡魔が……そのまま地面へと落下した。

 

「撃龍槍…うてぇ!!」

 

「GYARUAAAA!!!!」

 

「よし、当たった!!」

 

「やるじゃない、マーレ!」

 

 スリープ状態から撃龍槍によりダメージが上がり、体力ゲージがだいぶ持っていかれた。体制を立てなさなくては、

 

『全方位回転火炎ブレス』

 

 嗚呼、階層守護者2人に至高なる御方、なんだ私は過去にでも来てしまったのか? これではまるで……あの頃のような、昔に戻ったように……これはなんとも甘美なものだ。

 

 嗚呼、血沸き、血沸く、肉躍る。

 

「みんな!!第三形態まで来てる!! もう攻撃は受けないで!!」

 

「ぶくぶく茶釜さま、ここはあたしにお任せを!!」

 

 足りぬ、足りぬ、満たされぬ。我は黒龍 ミラボレアス。禁忌の存在、プレイヤーごときが我を倒せると思っているとは、さぁ絶望を知れ。

 

『ブレス超強化 即死ブレス』

 

 

 

 

 

 

 

 

 広範囲のブレス。全員倒れている。少女の姿になるか……これで良かったんだ、私は設定に従った。そうあれと生み出されたのだから……私怨がなかったといえば嘘になる、だが……。

 

 

 

 

 

「……これでいい。また巣に戻るとし──!?」

 

「やっと捕まえた…」

 

「ご主人様!? な、何故…たしかにあそこに倒れて…」

 

 倒れていたはずのご主人様たちの身体が消え、そこに残っていたのは人形……いや、カカシだ。カカシがご主人様に化けていた? そんな馬鹿な。

 

「私がやられるわけないでしょ?」

 

「ぐっ!! まさか近寄ってきたのも偽物と本体を隠すのと、私に油断させるために!!」

 

「ふふ〜ん、当然でしょ、ちょっと私が耐えられるかが微妙なところだったけどね」

 

 少女の姿である私に対し、我が主人はそのピンク色の触手で私の身体を捕らえ自身の身体へと抱き寄せてきた。

 まさか、龍になる私ではなく、人型である時を狙うとは……油断…いや、流石はナザリック地下大墳墓の一角、勝利に対しての貪欲さは凄まじい。なるほど、これが至高なら御方という存在なのだと再確認してしまう。

 このまま絞め殺す気であろうが、私にはどうすることもできない。人間形態ではせいぜいLevel.60にもみたない戦闘力で、Level.100であるご主人様には絶対に勝てない。死を受け入れる覚悟はある……けれど、死ぬ前にこれだけは言いたい、言わせてほしい。

 

 けれど、このまま私の言葉を伝えればきっと────

 

「何故…何故ですか……何故戻ってきたのですか?」

 

「ミラ?」

 

 ご主人様は何も言ってくれなかった。急に、ほんとうに何の前触れなくいなくなった。飽きたのだとすればそれまでだけれど、一瞬でも、あなたは私に愛情を注いでくれていたと信じていた私に対してそれは裏切りと捉えても良いのではないか? 初めはただのガチャの景品だった、けれど一緒にいた時間は確かじゃないか。それを今更なぜ帰ってくるのだ。どうせ気まぐれに決まっている。

 

「なぜ…なぜ……何故なのですか!! 私はアウラ様とマーレ様のようにあなたに想像された存在ではない。けれど、この愛は本物です!! あなたが愛情を注いでくれていたと思った、一方的な優しさなんていらない!! 一度捨てられた私をあなたの気まぐれで拾って…また捨てられたらと考えたら私は存在できない!! なら、初めから会いたくなんてなかった!! あなたと出会わなければ……こんな思いをせずに………」

 

「そんなの…あんただけが思ってることじゃないのよ!!」

 

「アウラ…」

 

「ぶくぶく茶釜様がいなければ私たちは存在してないの!! だから、このお方に使える喜びをなんであんたは分からないのよ!!」

 

「……私はあなた達とは違う。自分で想像すればそれは愛情があるだろう。だけれど、私はタダのガチャの景品、そこが私とあなた達守護者との違い。不安で不安でたまらない。けれど、私は思ってしまった……今のこの瞬間に感じた喜びを!!

 

「っ!? あんた何を…」

 

「私は戦いの中でしか愉悦を得られない。多対一、有利なはずの相手に皆が私を必死に挑む。だから、殺して殺して殺して殺して、誰であろうとここに入ることは許さない。そう設定されたのだから、そうせざるおえない。それが私が私である由縁。禁忌に敗北などありえない。この身体がイカれようと、復活を遂げてみせる。我は黒龍、絶望そのもの。そのためであれば、私は喜んであなた方の敵になろうではないか!! あなた方は私を育てた、それに相応しい存在になれた!!! では、私は私であるために、全てを消し去ろうではないか!!

 それが禁忌の存在として生まれた、黒龍 ミラボレアスという存在なのだから!!!!

 

 

 甲高く笑い、他者を見下す。私以外の存在が許せない私は他者を嘲笑うのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 ────そういう未来もあるかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 設定に従い、人間であることを忘れた私は暴走して全てを破壊する。それが黒龍 ミラボレアスだ。けれど、この中にはミラボレアスだけでなく、私がいる。人間であった私の良心のカケラ。

 

「どうぞ、私の命を奪ってください…私はそれほどのことをしました…」

 

 今、考えたことは全て本音で、今思ったことは全て私だ。けれど私は……人間であることを忘れたくない。死にたくない、けど…ここで拒んだらもう…私はミラボレアスとして生きてしまう。なら、愛するあなたに私は殺して欲しい。お願いします。

 

「ごめんなさ「嗚呼ぁぁぁぁぁ!!!!! 姉ちゃんが幼女を捕食してるぅぅぅぅぅ!!!!」………黙れ弟」

 

「ちょっと! いつまでぶくぶく茶釜様の抱きついてるのよ!!」

「ば、僕もして欲しい!!」

 

 感動的なところへ、何処から現れたのか、ペロロンチーノ様と階層守護者達の声が聞こえてくる。

 

 なんだろう、これは…この後どうなるのか……分からない。

 

 

 けれど、ようやく私はあなたの温もりを感じられた。

 

 

 今はそれで満足しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







余談

「あなたが人型になるなんて知らなかったわ」

「初めの設定にはございません。そこにいらっしゃる弟君、ペロロンチーノ様が設定を1文追加しまして"人型に変身出来、変身後はのじゃろり美少女が花魁風衣装で登場す「この愚弟がぁぁぁ!!!」…ると」

「だって、敵だと思ってた奴が実は戦いたくなくて、暴れていた龍が実は人型の美少女っていう展開がめっちゃみぎゃあぁぁぁぁぁあ!!!!」

「ぺ、ペロロンチーノさまぁ!? な、ななんて淫らな姿に!!」

 ものすごく早口で弁明をするペロロンチーノ様だが、我が主人がこう、性的に表現しずらい方法で見ると無惨なお姿になり、その姿にシャルティア様が興奮して濡れたりしたそうだ。


ーーーー

設定追加

のじゃろり花魁巨乳美少女へと変身する。

(ペロロンチーノによって後付けされた設定。これによりバグのような状態へと変化するきっかけとなった可能性があり)
 
 外見
 龍の姿はミラボレアスそのもの。人型はペロロンチーノが設定していなかった為、ペロロンチーノのふわふわとした妄想で設定された。
 忠誠心が限界突破しているほかのNPCとは違い、稀薄であった忠誠心がだったが己の過ちを認め、慈悲をかけられたその心に胸を撃たれ忠誠を誓うことになる。忠誠心はぶくぶく茶釜>ぺロロンチーノ>モモンガとなっており、ぶくぶく茶釜第一となる。
 気弱であり、精神的にも成長していないため、なにより死にたくなくリスクは犯さない小心者。
 
 他の階層守護者は上司にあたる

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