「ハガネのヒーローアカデミア ~ FULLMETAL ALCHEMIST HERO~」   作:レッドファイル

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23話 職場体験(2)「大人っていうのは優しいのか厳しいのかわからんな

鋼野side

 

職場体験の一日目が終了する。まあパトロールをしただけだけど。

ハーゼさんの事務所は自宅兼事務所らしく、俺はそこで寝泊まりすることに。一日中歩き回って疲れたのか、速攻で夢の世界に入る。

「ここは…」

 

見渡す限りの白。そして目の前にはいつかの輪郭だけの人間。違うのはそいつの後ろに大きな扉ができていたことだったのか

 

【よぉ…だいぶへこんでるみたいじゃないか】

 

「お前は…まあいいや。お前の後ろの扉は何なんだ?この間来たときはなったよな?」

 

「ああ、見えるようになったのか。いい傾向だ。だがお前にはまだ早い」

 

「…ふーん。あ、そだ。お前さ、俺らしさって何だと思う?」

 

【ハハッよく正体不明のオレに聞けるな】

 

「お前は俺、なんだろ?」

 

自己いつからは敵意は感じない。前に腕消されたのは万死に値するが現実世界には影響ないし、しかも痛みもなしだったから心の広さに定評のある俺は許すことにした。

 

【こっちは何考えてんのかなんとなくわかるんだぞ】

 

「あっそう。で、意見は?」

 

【まず先に言っておくがオレはお前だ。だがそれは定義による。見方を変えればオレはお前じゃないのかもしれない。それを念頭におけ】

 

「お、おう」

 

【それを踏まえて、お前らしさ…】

 

「うんうん」

 

【ケチだな】

 

「は?」

何を言っとるんだこいつは。

 

【そうだろ?年下のガキに菓子ねだられても上げないことのが多かったじゃねぇか】

 

「そ、それはだな?自分の金で買って食べる喜びを教えるためにだな」

 

【あとすぐ楽をしようとする】

 

「と、というと」ヒクヒク

思わず顔が引きつる

 

【この前の…轟だったか?あいつと戦うときとかも最初から大技出しとけばいいのにそれをせずにのらりくらり。結局熱くなって相性のいい相手にギリギリまで持ち込まれがって】

 

こ、こいつ。人が深層心理で反省していることをはっきり言葉にしやがる…!?

 

「あ、あのやっぱりもうこの話は…」

 

【それに】

 

「いやだ!もう聞かねぇぞ!!」

 

耳をふさいで声を出す。これでもうあいつの声は俺にとどか

 

【センスがない】

 

こいつ!?直接俺の脳内に!?

 

【真似だけはすぐできるよなお前は。けど母さんの技は形だけしか覚えてないし、個性の使い方もワンパターン】

 

 

全ての言葉が俺の胸に刺さる。さすがは自称オレ。俺のことをよくわかってやがる。

「…もういいよ!!!俺は、俺はそれでいいんだよ!!それが俺なんだから!!それで結果をだすんだよ!!」

 

【…お前はそうするんだな?】

 

「ああ、よく考えりゃオールマイトも自分らしさが大事ッって言ってたしな。俺らしさなんて俺だけが決めれるもんだ!!そんで俺らしさは…」

 

ガバッ!!!!

 

「真似して楽してたまに熱くなるセンスのない俺なんだ!!!!」

 

「うるさいぞアルケミ!!!!!」

 

…なんてダサくて情けない俺だろう。だが仕方ない。それが俺らしさなのだから。

 

(次の日)

今日はどうやらパトロールではなく、町の人の手伝いがメインだそうだ。ハーゼさんは家でお休み中。ていうかいつ働いてんだあの人。ティアさんは今は向こうでヒーロ―と話している。

 

「おーい、そこのヒーローさーん。ちょっと助けてくれぃ」

 

「うぇーす」タッタッタ

 

「この自走販売機の下に10円落としちゃって。そうにかできるかい?」

 

ごりごりのマッチョおっさんからの申し出は予想外の10円拾い。まあ確かに10円は大事だ。10円あれば…5円チョコが買える。うん。くそっ消費税め!

 

「あんちゃんどした?」

 

「ああいや!今取りますよ」

 

いかんいかん。

俺は地面に触れコンクリを動かし10円を底から出す。

 

「おお、ありがとう!!販売機を上げずにとるなんてすごいな!!」

 

「へへ。じゃ、これで!!」

 

うーん。少ない労力での人助けはとても気持ちがいい。ウィンウィンだな。それある!!

 

「お、いい仕事したねアルケミ君!!ッキャ!!」ドテン!!

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「平気!転ぶの慣れてるから」

 

そう言ってさっとカットバンをとる。そう、この人は天然ドジっ子なのだ。子供のようなウサギヒーローとドジっ子ヒーローしかいない事務所。改めて考えるとすごいな。

 

「なれ、ちゃったんですね…あ、さっき何の話してたんすか?」

 

「…うんとね。隣の町でヒーローと敵両方を狩る敵が現れるらしいの。やられた人たちは四肢のどれかを失ってるみたいで…男の特徴は顔に刻まれた傷」

 

「そんなえぐいのが隣町に?」

 

「そう。今日完全に敵認定されたらしいの。敵名は【傷の男】(スカー)」

 

「早く捕まえねーと…」

 

「幸いって言っていいかわかんないけど一般人への被害は0らしいから。けど注意しててね?いつこの町に来ても仕方ないから」

 

「うっす!!」

 

 

コソコソコソコソ…

眠ってるよな…俺はハーゼさんたちに気づかれないように裏の森に行く。まあ高校生が深夜に外出るのはよくないと相場が決まってるからな。もし俺女の子だったら敵に襲われるかもだしな。俺の知ってる女の人は強い人ばっかだけど…母然り、クラス女子然り。さすがヒーロー科ってか?

そんなことを考えていると、森につく。

 

さて、考えろ。俺のこれからの方針は俺らしくあること。俺らしさはとりあえず…マネする、できるってことでいいや!!そのうえで俺に何が足りないか、か。正直なところはただ一つ。身体能力とセンス。まあセンスはしょうがないとして身体能力。何もないところでも緑谷やハーゼさんに対抗するには必須のもの。となると…

 

 俺は今までの戦いそして個性を使用した時のことを思いだす。八百万戦、爆豪戦、轟戦、緑谷戦…そういえば緑谷戦ではコンクリ圧縮をしたな。あれ始めてやったけどなんか生かせそうなんだよなぁ…何もないところで圧縮を生かす…そうだ!!!

 

「ほっ!」

「てりゃッ!!」

「んぎぎぎぎ!!!」

 

何も、起きない…NANNDEDA

 

「何さっきから変な声出しとるんじゃ?」

 

「うひゃい!!??」

 

「うるっさいのう。いま何時だとおもっとるんじゃ。」

 

「ななななななんでここに?!」

 

「お前わしをなめとんのか?わしのラビットイヤーは10キロ先の科の音でも聞こえるわい!」

 

地獄ですね…

 

「で、なにをしてたんじゃ?」

 

「ええっと、実は…空気の圧縮を…」

 

「ほぉ…ふむ…そっちか…」

 

「?」

 

「いや。それよりできないのか?空気錬成。」

 

「できてないっす。多分。」

 

えらく興味を示してくれるな。

 

「多分?」

 

「いや、見えないからわかんないじゃないっすか…」

 

「お前今までどう錬成してたんじゃ?」

 

「どうって、どうかなぁ…分子の集合体を動かしてた感じっす」

 

「空気の分子は分からんのか」

 

「いや分かるんですけど…空気だとどこまでが集合体かがわからないっていうか…」

 

「イメージを変えろ」

 

「へっ?」

 

「集合体を動かすイメージは合ってないんじゃ。なら変えるしかあるまい。」

 

「っても…そんな簡単には」

 

「感覚に完全に任せるな。お前が、お前自身が操作するイメージをちゃんと入れろ。」

 

「俺が操作…やってみます。」

 

ほんのり空気があることはわかる。けどイメージどおりに分子が動いてくれない。自分で操作、自分で操作…手で、握る感じ…

 

ギュムッ

 

「きたっ!掴めました!ハーゼさん。」

 

「そうなのか??」

 

「はい!このままドンドン圧縮し、て!?」ブワッッッ!!!

 

鋼野の手を中心に空気が破裂する。

「うおっ!?ナンジャ!」

 

「一定まで圧縮したら一気に破裂?したみたいになりました。」

 

「ふむ、限界まで圧縮せればなかなかの威力になるな、」

 

「もいっかいやってみます」

 

「待て、次は範囲を広げろ」

 

「?」

 

「今お前を掌だけの空気を圧縮したじゃろ?そうじゃな…お前の目の前の空気全部圧縮してみぃ」

 

「おっす!」

 

さっきは俺の手の大きさのイメージで圧縮した。つぎはもっと大きな手で包んで、圧縮!!

 

「ぐっ、」

 

ギュムムム

 

「きつそうじゃな」

 

「流石にこの範囲は…」ヒュンッ「ちょっ、そんな気の上に言ってどうしたんですか」

 

「いや…よし、解放しろ」

 

「ぶはっ!!」ドヒュン ドン!!

 

空気は開放した瞬間に破裂。その爆風で俺は後方の竹やぶに吹っ飛ばされる

「うげっ!」ゴシャァ!!

 

「自分の個性で吹っ飛ぶか、面白いな、滑稽で!」

 

「最低ですか…っつつ。結構な勢いでとんだんですけど…」

 

「じゃが、お前押したいことはできたじゃろ」

 

「…ハーゼさんって俺に興味ないのかと思いました。案外優しいっすね」

 

「ふん。お前が本物かどうかなんてもうどうでもいいわい。わしの遊び相手になるか、面白いか、それだけが重要なんじゃ!!これから0時から一時間稽古してやるわ!!」

 

いいひと、だよな?自分の面白さだけ、じゃないよな?

 

 

7日後…

 

「よし、だいぶ慣れてきたかの!」

 

「まあ、こんだけ毎日ぼこられたら嫌でも上手くなりますよ…」

 

「自分で勝手に吹き飛んだりもしたじゃろが!」

 

愚、なんも言えねぇ。あ、今のは自分のことを愚かというのもこめての…

「ふむ、明日で職場体験も終わりか…ティア!今何時じゃ!?」

 

「いまちょうど18時ですね」

 

「そろそろ飯ですか?」

 

「いいや!いまから隣町へ行く!」

 

「今から?!なぜっ!?」

 

「はあっ…やっぱり…」

 

「ティアに調べさせとったが恐らく、明日、動くじゃろう」

 

「もしかして…」

 

「ティアから聞いとるじゃろう。【傷の男】(スカー)じゃ。調べたところによるとやつの思想はなかなか興味深い。それにこれ以上野放しにするわけには行かん。」

 

「ハーゼさん、正義感と好奇心どっちが勝ってるんですか」

 

「アルケミくん、この人はその2つ僅差だから…」

 

「バカタレ!そんなことあるか!」

 

「ですよね、ヒーローだし」

 

「面白そうだからわざわざあんな遠くまで行くんじゃろが!」

 

「「ヒーローとしての誇りとかないんすか!?」」

 

「誇りもくそもあるか。わしはわしのしたいように生きる!!」

 

「あ、そすか…」

 

「…最初はステインの信仰者かと思ったんじゃがな」

 

「誰すか?」

 

「今保栖の方で騒ぎになっとるじゃろが。ヒーロー殺しステイン。昔、ヒーローとは何か、そして今のヒーローの姿は間違っている、ということ訴えていたものじゃ」

 

「【傷の男】(スカー)は仲間じゃないんすかね?」

 

「微妙なとこじゃ。まあ奴と違って【傷の男】(スカー)は殺人まではしておらんようだがな」

 

「殺人…なんか、こう、重いっすね」

 

「これを思いと感じるのは正常なことだ。今のヒーローはちゃんとそういうことに向き合っていない。自分は何と戦っているのかということにな。」

 

「すげぇためになるんすけどハーゼさん自身はどうなんすか…」

 

「この人にも色々あったんだよ」

 

ティアさんは優しく笑う。まるでわが子を慈しむように

 

「まあわしは自分面白ければそれでいいからな!わし中心に世界は回っとる!」

 

「あはは…」

 

「40秒で支度せい!」

 

「怒られますよハーゼさん」

 

ヒーローとは、か。やっと自分らしさを見つけたのにもう次の課題か?

俺はまだ見つけられそうにねぇな

 




英雄色好む。HEROという単語の作り。つまりヒーローとはそういうことなのか?
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