「ハガネのヒーローアカデミア ~ FULLMETAL ALCHEMIST HERO~」   作:レッドファイル

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26話 vs傷の男(2)「”強さ”は何かの上に立つために存るんじゃない」

「見つけたぜ、お前の個性の攻略法」

 

「ほぉ…」

 

不適に笑うアルケミ。その顔はまるで悪巧みをしているかのようだ。それに対し表情を変えないスカー。

 

「あらゆるものを破壊する俺にそんなものがあるとは思えんな」

 

「はっ、どんだけ自分の個性に自信持ってんだよ!」

 

「…これは、俺のものではない」

 

一瞬下を向き小さくつぶやく。その言葉はアルケミには届かない。

 

「なんていったかわかんねーけど、こっからは好きにさせないぜ!」

 

そう言いだし取り出すのはコンクリートでできた刀。お互いの距離はそう遠くない。その距離は拳は届かず剣は届く、最高の間合いだった。

 

「ふん、くだらん」

 

アルケミの刀を意に介さずに手を伸ばす。それもそのはず。彼にとっては刀だろうと何だろうと右手で触れさえすれば無に帰すからだ。そしてあろうことかアルケミはスカーの右側から刀を振っていた。

 

「…」

 

個性発動の光がスカーの右手から放たれる。

 

「寛解流 伍の技 幻舞」

 

スカーが刀に触れた瞬間、その刀身は砕け散る。刀の次はお前だ、と言わんばかりにその右手をヒーローに向けようとする。が、それはかなわなかった。

 

ドゴッ!!

「っぐ!!」

 

確かに破壊したはずの刀。粉々になったはずの刀身。しかしそれは彼の顔横を打っていた。

一瞬ふらつくもすぐに前を向く。

 

「何が起きたかわかんないって顔だな、スカー」

 

「…」

 

「別に説明してやってもいいぜ?俺は手品師じゃねーからな」

 

無言のスカーに対しペラペラと喋るアルケミ。

 

「お前は確かに俺の刀を破壊した。だけどな?俺の個性は錬成。どんなものでも分解、再構築できちまうんだよ」

 

真実と虚偽を混ぜ説明する。

 

「そしてさっきの間合い。わかる?お前が破壊した瞬間それを作り直したんだよ。お前は破壊した後俺に注意を向けるだろ?だから破壊された刀による攻撃を避けきれなかった」

 

「…なぜタネを明かす」

 

「言ったろ?俺は手品師じゃねーって」

(そんな理由じゃないけどな!!シンプルにこの技は難しいんだよ!一回一回ができるかどうかのギャンブル。失敗したら死ぬし!だから2回目を成功させるよりも説明した方が時間稼ぎとしては正解かなて思ったんだよ!牽制にもなるし。てゆーか早くハーゼさんたち来てくれ…!あとては一つしか残ってないんだよ!?俺余裕あるしアピールもしないだし…)

 

「先の虚言といい今の技といい、ヒーローらしからぬものだ」

 

「敵に言われたらおしまいだな。ま、今からヒーローになってくからいいんだけどさ」

 

「…まだ中学生だったな」

 

「高校生だよ!てめー、チビって言いたいのか?ん?」

 

「まだ長い人生だろうが…隻腕隻脚では生きにくいだろう…」

 

「あ?」

 

「だがそれがお前の選んだ罰だ」

 

そう言うと地面に触れるスカー。瞬間、亀裂が入りアルケミのところまで地面が裂ける。

 

「うおっ!?」

 

アパートが壊れるほどではないが予想外の攻撃に対応が遅れる。足をとられスカーを一瞬見失う。

 

「終わりだ」

 

右手をつかみかけるスカー

 

(間に合え!!)

 

ジャキン!!

 

「っち」

 

アルケミの腕を覆っていた鋼が刃物となりスカーを指しにかかる。腕を破壊と刃物。その両方に対応はできない、と判断したスカーは後方に飛ぶ。だが、しっかりと遺恨を残された。

 

「った、いなぁくそ…!!」

(左腕の…肘から先が…やばい…分解まではされてないけど、中から爆発したような、なんだよこれは!!)

 

「分解するには間に合わなかったのでな。人体破壊でとどめておいた」

 

「…色々破壊にも種類があるんだな…勉強になるってか?!」

 

「次は足だ」

 

(やばい、痛みで…遅れた!!)

 

飛びのくのが遅れ、スカーが足を屠ろうかと触れる瞬間、それは着た。

 

「やっと見つけたよ、スカーさん。あなたを敵連合に、って兄さん?なんでここに?」

 

「それはこっちのセリフだ…てか誰が兄さんだ」

 

2人の目の前に現れたのは、以前アルケミと緑谷で倒した敵、【醒】だった。

 

「貴様は誰だ」

 

「おっと、そうそう。僕は敵連合の 歪泉 醒(ゆがみ せい)です。スカーさん。あなたを敵連合に勧誘しにきました」

 

ニコニコと自己紹介をする。その笑顔は依然として張り付けられたものである。急な登場に一瞬は驚いたもののすぐに落ち着きを取り戻すスカー。

 

「…なぜ俺だ」

 

「あなたの力を貸してほしいからです。あなたのその破壊を僕たちにも貸してくれませんか?」

 

「俺はヒーローだけじゃなく敵をも裁きの対象だ」

 

「ええ知ってます。個性が憎いんですよね?あなたの人生を見てるとそうなるのもわかります」

 

「…!貴様、どこで調べた?」

 

「僕たちの先生は物知りなんですよ。続けますね。あなたが目指すのは個性無き社会。いいじゃないですか。僕たちの目的が達成したならそれもかなえることができます。力が全てですから。ですからその至るまでの道中、僕らに手を貸してくれませんか?僕たちもあなたに力を貸します。ギブアンドテイク、等価交換ってやつですよ」

矢継ぎ早に喋る醒。この言葉に一番反応していたのはアルケミである。

 

「おい、馬鹿なこと言ってんじゃねーぞ年下。お前らをそんな目的もないだろーが。ただ人の気持ち踏みにじって楽しむだけの集団だろうが」

 

「兄さん、今は黙っててよ。態度も身長と同じくらい小さくしてよ」

 

「ぶっ殺す!?おい、スカー!!こいつらはお前とは違う!!お前は目的のために犯罪を犯しても、それでも命までは奪わなかった!けどこいつらは違う。平気で、意味もなくうばえるやつらなんだ!戦ったからわかる!」

 

「…」

 

スカーは黙ったままだ。

 

(今言ったのは本心だ。こいつはどんな状況になっても俺の命までは狙ってこなかった。やられてたヒーローも血は止めてあったし…ただ何より…今手を組まれたら俺が死ぬ!前回はあの自称弟だけでも緑谷とでやっとだったのに…さすがにスカーと組まれるときつすぎる…)

 

「兄さん、命っていうけどさ、ヒーローもでしょ?」

 

「は?」

 

「ヒーローのせいで失った命だってたくさんあるさ。それをなかったようにして喋るのがそっちの手口じゃん。ホント、敵よりあくどいよ」

 

その瞬間、スカーの脳内に過去の映像、声が流れる。

 

【個性がなければ…俺もお前もあの子も、こんな思いしなかったのかなぁ?】

【お前…腕が!?】

【お前は…生きろ…】

 

「…」

 

「スカー!!ヒーローは、個性っていうのは、誰かを不幸にするためにあるんじゃない!誰かを守るためにあるんだよ!だから…お前の道は間違ってる!!」

 

「スカーさん、ともに理想の世界を目指しましょう!」

 

手を差し伸べる醒。そして、その手を取ったスカー。

 

「そ、そんな」

 

「っふふ、頑張りましょう!スカーさん」

 

「…俺の兄は…」

 

「え?」

 

「俺の兄は、母は、友は、お前ら敵とヒーロ―によって殺されたのだ」

 

バリッ

 

一瞬青き火花が飛び散るとともに、握られていた手は消し炭になっていた。

 

 

「っいいったい!!!スカーさん!?」

 

「俺は、貴様らのような奴を消すために名を、捨てたのだ」

 

「…そっか、残念だよスカー。そっちにいくんだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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