訳あり新人トレーナー、目指すは全地方制覇です!   作:白野蒼

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閲覧ありがとうございます。
ついに第十話です。
展開がめっちゃ遅いのはもはやデフォです。
主人公のピカチュウの覚えるわざは時系列はXYですが、LPLEと剣盾を参考にしています。
あとトレーナーのポケモンが麻痺ったのは言うまでもなく『せいでんき』のせいではありません。
アニポケではポケモンのとくせいってそこまで重要視されてないこともありしっかり理解してないトレーナーもいそうだよねって事でこうなりました。

そのへんは次回で説明出来たらいい……な……って思ってます。


第十話 『新人トレーナーと二匹目の仲間』③

「ん? あ、お前! この前のトレーナーじゃねえか。」

 

屋上に出てきたトレーナーと目がうっかり合った瞬間、どうやら忘れられてはいなかったようでそう声をあげた相手を軽く睨み付ける。

 

「…………貴方。」

 

「よぉ。この前はよくもやってくれたな。あの三人の中で一番弱そうだったのによ、てめぇのそのピカチュウにはしてやられたぜ。」

 

「ピ」

 

瞬間バチィと赤い電気袋から電気が弾けさせた左肩に乗る険しい顔の相棒の背を落ち着けと一撫でし、同じく険しい表情で相手を見遣るタケシくんとカスミに軽く目配せしてから立ち上がると、リオルをさりげなく背に庇うようにして相手と対峙した。

 

「そう。悪いけどポケモンに指示を無視されるような未熟なトレーナーに負ける程、私のピカチュウは弱くないのよ。」

 

お世辞にも見ていて気持ちがいいとは言えないにやにやとした笑みを浮かべながらこちらへ向かってくるトレーナーにぴしゃりと言い放ち僅かに顔を歪めた相手にすぃっと瞳を細める。

本当ならこんな奴、今すぐにでも組み伏せてジュンサーさんに付き出してしまうのが一番だ。

トキワシティのジョーイさんの話から考えてもこのトレーナーがポケモンを奪うため無茶苦茶なバトルを他のトレーナーに挑んでいるのは明白だし、なによりリオルとこいつをこれ以上同じ空間にいさせたくない。

でも一つだけ。

こいつがリオルを逃がした経緯だけは何とかして聞き出さなくちゃいけない。

 

「ハッ、言ってくれるじゃねえか。つーかあんなの弱っちいくせに粋がったリオルが悪いんだろ。それで負けてちゃ意味ねえんだよ。本当あんな奴捨てて正解だったわ。ポケモンなんざ所詮トレーナーに従ってなんぼのバトルのための道具だろ!! トレーナーの言うこと聞かないポケモンなんて存在価値ないんだよ!! 」

 

「ピカッ!!」

 

「リオッ!!」

 

眉を寄せる私を鼻で笑い、にやにや笑ったままそう続けた相手に私より早く反応したのは相棒と新しいパートナーだった。

 

鋭く声をあげ、私の左肩から前方へと飛んで着地したピカチュウと背後から飛び出しその横に並ぶリオルに仕方ないかと結論付け、相手を強く睨み付けると同時にザッ、と微かな足音を立て眉を吊り上げたタケシくんとカスミが私の両隣に並んだ。

 

「……タケシくん、カスミ。」

 

「――ごめん、リオ。あいつがリオルを逃がした理由が分かるまでは黙ってようと思ってたんだけど。もう限界! っ――! ちょっと、あんた! 黙って聞いてれば勝手なことばっかり言ってんじゃないわよ!!」

 

「ああ俺もだ。悪いなリオ。『存在価値がない』だと! ポケモンを何だと思ってるんだ!!」

 

私に一言告げてから声を荒げる二人の横顔に、ああやっぱりこの二人はサトシの初代旅仲間の「あの」タケシとカスミなんだな、なんて変なところで納得すると真っ直ぐに向けた視線で相手の瞳を射抜く。

 

「……貴方本当救いようがない屑ね。でもこれでリオルが貴方の言うことを聞かなかった訳も、見限った訳もはっきりした。ッ、ポケモンを『道具』呼ばわりするような奴に、ポケモンが応えてくれるわけないでしょ! 馬鹿じゃないの?」

 

「うっせえ!!!!! 何なんだよお前ら!! つーかリオルが俺を見限った?! 何言ってんだ! おれが弱いそいつを捨てたんだよ!! 町で見かけたトレーナーのガーディがかなり育ってたからそいつを賭けてバトルしようって時にまた勝手にモンスターボールから飛び出して邪魔しやがった挙げ句、俺のキリキザンを一撃で倒しやがって!! だからもう弱いお前なんざいらないからどこへでもいっちまえってなぁ!!」

 

ジリジリどころか急上昇する怒りのボルテージで今にも切れそうになる堪忍袋をギリッと拳を握る事で何とか抑えつけ、冷静に、冷静にと自分に言い聞かせながら淡々とそう口にし、最後に心の底から嘲って吐き捨てれば思いっきり顔を歪め激高する相手にわざとらしく一つ息を付く。

そのままもう一度馬鹿じゃないの?と冷ややかに言い放つと怒りでサッと顔を朱に染めたトレーナーがおい!と声を荒げた。

 

「てめえ! さっきから聞いてりゃあ言いたい放題……!」

 

「あら、馬鹿に馬鹿と言って何が悪いの? それに貴方、リオルの事何にも分かってないのね。いいわ、教えてあげる。リオルはあの時ピカチュウの≪そらをとぶ≫を避けられなかったんじゃない。避けなかったのよ。貴方を止めるにはバトルに負けるしかないとリオルはちゃんと分かってた。だから自分がバトルするとアピールし、貴方が『ついで』扱いして見くびったピカチュウのトレーナーである私に挑んできたのよ、『バトルして』ってね。……そんなリオルが、ただ弱いわけないじゃない!!」

 

「ピカッ!」

 

「な……っ!?」

 

そうぴしゃりと言い切れば、あの時リオルの意図にも私の意図にも気が付いていたからこそ全力で≪そらをとぶ≫を使った相棒が同意するように声をあげる。

流石にそれは予想だにしていなかったのか目を見開き絶句するトレーナーを一瞥した後、私へと肩越しに振り返ったリオルの赤い瞳にちゃんと分かってたよと瞳を細めた。

 

「そもそもあの時、最初から君は万全ではなかったしトレーナーから受けたダメージもあった。それにも関わらず、私の腕から抜け出した時もバトルの最中も君の動きはとても俊敏で力強かった。相当鍛えてる何よりの証拠だよ。きっとまともにバトルしていれば、キリキザンなんて言うコマタナから進化させるにはかなりの経験を積まなきゃいけないポケモンを一撃で倒すような君にはピカチュウのタイプ不一致の≪そらをとぶ≫じゃ到底敵わなかった。だから。リオル、君は強いよ。物凄くね。」

 

「…………リオ。」

 

最後にそう笑いかければふっと肩から力を抜きリオルが口元に笑みを浮かべ、一度頷くと改めてトレーナーへと向き直る。

 

「………………は?」

 

それだけでも私の話が事実だと理解したのかさらに目を見開いた相手からこぼれ落ちたのはその一言で、ああ来るだろうなと一つ息を付いた次瞬、トレーナーの怒号がその場に響き渡った。

 

「……は……はああああああ!!!? わざと……っわざと負けてただあ!! ふざけんな、ふざけんなよ、リオル!! てめえ俺に逆らいまくっただけじゃなくて、わざとっ!! ふざけんなよ!! 進化も出来ない弱い奴が調子に乗りやがって!! 俺に逆らったらどうなるか思い知らせてやる! 」

 

「……真っ先に言うべき事がそれとは。本当何度でもいうけど救いようがない馬鹿ね。」

 

「本当、呆れて言葉もないわよ!」

 

「ッなんだと!!」

 

まさに憤怒というべき表情で唾を飛ばしながらあまりにも幼稚な事を喚き散らすトレーナーに心底げんなりして嘆息すると私に同意したカスミがいい!?と相手を鋭い目で見遣り続ける。

 

「一度しか言わないからよーく聞きなさいよ!! リオルはね、他人のポケモンを奪うなんて真似あんたにして欲しくなかったのよ!! だから自分がバトルで負けて傷付く事も構わないで、あんたが馬鹿な事しないようしてた! 逆らったんじゃなくて何よりもあんたを思っての行動だったんじゃない!!」

 

「なっ……!」

 

「始めはトキワの森の時のように制してたんでしょうけど、躊躇なくリオルに暴力を振るう貴方の行動から見てもそれじゃあ止まらないって理解したんでしょ。だから、わざと負けて貴方も、相手のトレーナーとポケモンも守る方法を思いついた。……私としてはそこに少しだけでもいいから自分の身を守る方法も追加して欲しかったけど。――リオルがなつき進化だって事すら知らないみたいだし、貴方本当リオルの何を見てきたの?」

 

少し考えれば分かりそうなリオルの真意を理解しようとすらしていなかったのか、カスミの言葉に絶句するトレーナーにいい加減哀れみさえ感じ始め追い打ちをかけるように付け足し相手を半眼で見遣る。

それこそたった一回会っただけの私でも分かるくらいリオルの行動ははっきりしていたにも関わらず、肝心の本人が全く気が付いてなかったなんてお笑い草もいいとこだ。

つまりそれだけこのトレーナーがリオルを省みて来なかったという事なんだろうけど。

……何でなんだろう。

ポケモンとうまく信頼関係を築けないトレーナーは確かにいる。

 

でも、ポケモンと信頼関係を築く事はきっとそんなに難しい事ではない筈なのに――。

 

「……なつき、進化? は? 何言ってんだ、ポケモンはただ経験積んだら進化すんだろ!?」

 

「そういう進化をするポケモンは確かに多いが、ポケモンの進化の種類はそれだけじゃない。ほのおのいし等の進化の石が進化に必要なポケモンも、決まった時間や場所でないと進化できないポケモンもいる。それと同じでリオルはなつき進化、つまりポケモンがトレーナーにとてもなついている状態で経験を積む事で初めて進化が出来るポケモンだ。それは仮にもリオルのトレーナーだったなら知っていて当然の知識だぞ! お前はポケモンを道具として強いか弱いかという視点でしかみていなかったようだけど、そんなポケモンを蔑ろにするトレーナーにポケモンがなつく筈がないだろう!!」

 

「…………ッ!!」

 

「……タケシくん……。」

 

元ジムリーダーでポケモンブリーダーで、ポケモンドクターを志しているからこそ、多分この場で一番あのトレーナーの行動が腹に据えかねているであろうタケシくんの怒声についにぐっと黙り込んだトレーナーを見遣り動いたのはリオルだった。

 

リオ、と一度だけ声をあげくるりと相手に背を向けもう何の未練もないように真っ直ぐ私に向かって歩いてくるその姿は、今この瞬間リオルとトレーナーが完全に道を違えた事を実感するには十分過ぎる光景で。

 

おいとか止まれとか今さらすぎる声を完全に無視をして私の元にたどり着き真っ直ぐ私を見上げる彼の赤い瞳にもう、いいの?と尋ね、一度だけ頷いた彼の頭にそっと手を乗せ、出来得る限り優しく撫でれば僅かに見開かれた瞳が確かに揺れたのを見て眉を下げる。

 

「……よく頑張ったね、リオル。君は本当に凄いパートナーだよ。――だから、あとは私とピカチュウに任せてくれる?」

 

「リオッ」

 

最後にそう付け足し視線をリオルから、止まらないリオルに自棄になったのか凄まじい表情でモンスターボールを構えるトレーナーに移し、その少し手前で肩越しに私を振り返り電気袋からバチバチと電気を放ちながら早く来いと言わんばかりに気合い十分なピカチュウにはいはい、と肩を竦めると一歩歩を進めた。

 

「タケシくん、カスミ。リオルの事少しの間お願いね。」

 

「……リオ、一人で大丈夫?」

 

「必要なら俺達も一緒に戦うぞ」

 

そのまま肩越しに振り返りどこか心配気な二人に安心させるように笑いかけ緩く首を振る。

 

「大丈夫。それにこれは私が決着を付けないといけない事だから。……うん、『勝つ』よ、絶対。私とピカチュウなら。だからここでリオルと見てて。」

 

――何でか分からない。

 

でも、二人にそれだけ告げ再び前方に視線を戻した時にはあんなに怒りに満ちていた心がまるで風のない湖のように凪いでいて、いやにすっきりしている頭の中にあるのは勝利への確信だけだった。

そのままピカチュウの少し手前で立ち止まりおまたせ、と笑いかければしっかり頷き顔を前方に戻した相棒の小さくてとてつもなく頼りになる背中に瞳を細め、もう声も出ないのかギリギリと歯切りしながら私を射殺さんばかりに睨み付けるトレーナーにゆっくりと口を開く。

 

「……そう言えば一つ言ってない事があったわね。私、貴方が来る前にリオルに言われて彼をゲットしてるの。だから貴方は今リオルに捨てられたんじゃない。貴方がリオルを捨てた時に貴方もリオルに捨てられてたのよ。……本当、可哀想な人ね。」

 

「うっせえんだよ!!! お前、ッ、お前だけは許さねえ!! お前とバトルしてからリオルの様子がおかしくなったんだ! お前なんかに出会わなければリオルは俺の元から離れたりしなかったんだよ!! お前も、ピカチュウも! ぼろぼろにしてやる!! あの二人も、リオルも、全員だ!! 全員二度と立ち上がれないくらいに痛め付けてやらあ!!」

 

「……私より遥かに強いあの二人が貴方にぼろぼろにされる姿なんて想像出来ないけど。ま、いいわ。なら私達はこう答えましょう。『私達の大切な人達やパートナーに手出しをさせないためにも、貴方に勝ちます』ッ。」

 

「ピカッ!!」

 

「――!ぶっ殺してやる!! おら出てこい! キバゴ!!」

 

それがバトル開始の合図だった。

 

口から唾を飛ばしながら叫ぶトレーナーが宙に投げ、ぱかりと開いたモンスターボールから白い光と共に飛び出した頭の鶏冠と口の両側から突き出した二本の牙が特徴的なポケモン――キバポケモン・キバゴがゆっくりと瞳を開き顔を上げる。

 

ベストウィッシュのヒロインであるアイリスのパートナーと言うこともありその姿は知っているものの、今目の前にいるキバゴはアイリスのパートナーと比べると若干色が薄く、瞳とマフラーのように首元を覆う毛の色も違うように見える事から俗に言う『色違い』と呼ばれる個体だとはすぐに推測ができた。

ただそれ以上に怪我こそしてないものの薄汚れた体に生気がまったくない顔、ハイライトが完全に消えているどろりと濁った虚ろな瞳があまりにも異様すぎて僅かに眉を寄せた。

てかこんな状態のポケモンをバトルに出すなんて、やっぱ屑だなあいつ。

内心で改めて分かりきってる事を再確認し、視線は前方のまま体を斜めに向け左足を一歩に後ろに下げる。

そのままくっと両拳を握り深呼吸すれば凪いだままの心のその奥に決して消えない熱い炎が灯った気がして、小さく笑う。

 

――――よしッ!

 

「ピカチュウ! いっきに決めるよ!!」

 

「ピカチュウッ!!」

 

「いけ、キバゴ! ≪りゅうのはどう≫だ!」

 

「キ、キバッ!」

 

「≪でんこうせっか≫!」

 

「ピカっ!!」

 

そうしてタマムシデパートの屋上というバトルフィールドでさえない場所でポケモンバトルが始まった。

 

本来ならこんなバトル受ける必要なんて全くないのだろう。

リオルはすでに私のパートナーであり、また彼の怪我の事を考えればもうこんな相手に構わずさっさとポケモンセンターに行って、あとはジュンサーさんにこのトレーナーの事を通報すれば済む話だ。

 

でも、それじゃあきっと駄目なんだ。

ここでしっかり決着を付けておかないときっと前には進めない。

私も。

 

……――あのトレーナーも。

 

「ピッカ!!」

 

「キバァ!」

 

≪りゅうのはどう≫を躱したピカチュウの≪でんこうせっか≫が直撃し吹き飛んだキバゴの体にバチッと電気が纏わり付き弾け出す。

固いアスファルトに叩き付けられながらも、動きづらそうに起き上がったキバゴにトレーナーが鋭く舌を打った。

 

「チッ、『せいでんき』か! おらキバゴしっかりしやがれ! また殴られたいのか! ≪ドラゴンクロー≫!」

 

「キッ……! キバッ!!」

 

多分肉体的なダメージよりメンタル的な理由なんだろう、一度わざを使っただけでかなりしんどそうなキバゴに全くそう怒鳴り散らすトレーナーにびくっと体を跳ねさせ≪ドラゴンクロー≫を発動したキバゴが駆け出したのを見て小さく息を吐く。

 

うん、最初に思った通り、このバトルを長引かせるのはかなり危険だろう。

決着がつく前にきっとあのキバゴの心の方が限界を迎えてしまう。

 

……なら!

 

「――ギリギリまで引き付けて!」

 

「ピッカ!」

 

「キッバアアアアア!!」

 

そう指示を出せば返ってきたのは出会った時と同じ可愛くて勇ましい声で、ピカチュウの少し手前でダンッと思い切り地を蹴り飛び上がったキバゴが≪ドラゴンクロー≫を振り下ろした瞬間、すぅっと息を吸い込んだ。

 

「今!! ≪でんこうせっか≫で躱して!!」

 

「チュピッ!!」

 

「キッ……!?」

 

刹那、私に応え≪でんこうせっか≫を発動したピカチュウの姿がその場から消え≪ドラゴンクロー≫が大きく宙を空振った事でキバゴが体勢を崩したタイミングでさらに叫ぶ。

 

「≪ドレインキッス!!≫」

 

「ピカッ!!」

 

「キバッ!!!?」

 

かなりの勢いがついていた事もあり体勢を崩した彼にそれが躱せるわけもなく、間違いなく決まった≪ドレインキッス≫に再びキバゴが地に倒れ伏す。

ドラゴンタイプのキバゴにフェアリータイプのわざはこうかばつぐんかつ≪ドレインキッス≫は相手の体力を奪い取るわざだ。

ダメージも相当大きい筈。

 

「なっ!!? ピカチュウがフェアリータイプのわざだと!?」

 

「ええ。今日までわたしのポケモンはこのピカチュウだけだったから。いくらタイプ一致の方が威力が上がると言っても、でんきタイプのわざしか使えないんじゃジム戦なんて勝てないからね! でもね、このわざだけは使えるの!」

 

驚愕に見開かれた相手の瞳にそう答えぐっと拳を握る。

 

――さあ、終わらせよう。

 

「≪10まんボルト!!≫」

 

「――ピッ」

 

トレーナーが何か言うより早く自らの相棒に指示を出す。

バチイっと彼の赤い電気袋からいつもより強めに電気が弾けたのは一瞬。

そして。

 

「………ッカちゅうううう!」

 

目映い電気を全身に纏った彼が放った電撃は寸分違わず最後の力を振り絞って立ち上がろうとしていたキバゴへと直撃した。

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