旧式鎮守府物語   作:あおさ海苔

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提督になったようです?

時は202X年 突如現れた『深海棲艦』により海を追われていた各国海軍であったが、

第二次世界大戦期に『存在』していた各国の艦艇が突如として『艦娘』として顕在化。

 

今や提督と共に快進撃を続けており、平和な海が帰ってくる日も近い!

 

 

 

 

 

 

 

……というだいたいそんな内容のテレビで流れている提督試験者・自衛官募集のCMを眺めながら、私はそっと机の上にある木材をなでていた。

 

「提督かぁ……親族に居たらしいけど、『昔』の軍人だったらしいし、私には関係ないかなぁ……」

 

 

深海棲艦によって軍需に大きく重点が置かれたこの日本において、私みたいな田舎の小娘がありつける仕事も余りなく、攻撃される危険があるということで

家賃が安いこの東北の沿岸部にあるアパートに住みながら、ひたすら近所の牡蠣小屋でバイトする日々を過ごしていた。

 

 

近くに遊びに行けるようなところもないし、ここに引っ越してきてから家でぼーっとしながら先祖代々伝わると言う木材のお守り(なんだかコゲついている)をなでたり、近所を散歩したりして

過ごしていた。

 

 

あーあ、今日はどこに行こうか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───轟音───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何が起きたかはわからない。

 

 

音がした、体が宙に浮いた、部屋の中にいたのに外に居る? 青空が広がってる。

 

 

なに? 私はいったい……?

 

 

 

「キィイイイエェェエエエエエ!!」

 

 

 

ぼーっとする頭で黒板を爪で引っかいたような音がしたほうを見ると、黒くて、大きな口から大砲みたいなのをだしてるバケモノが……あぁ、そうだよね。家賃が安いのは『こういう』危険があるからだったもんね。

 

 

深海棲艦かぁ……親族の軍人さんはこんなやつと戦ってたのかな? いやいや、時代が違う。 そういえばこのお守りのこげつきも、戦ってできたのかな?

 

 

……くやしいなぁ、なんにもできないまま、殺されちゃうなんて

 

 

 

 

───呼、、く、、さ、、

 

 

「えっ」

 

 

───呼んで、、、い、、

 

 

聞こえた、よく分からないけど、何かが聞こえた。よ、呼んで?

 

 

 

───私を呼んで!!

 

 

「よ、よく分からないけど助けて! 死にたくない!!」

 

 

私の声とほぼ同時に深海棲艦から発砲された砲弾は、私の命ごとこの小さな漁港跡を消し飛ばすはずだった。

 

 

 

 

 

ガキィン!!

 

 

 

 

鼓膜がやぶれるんじゃないかというぐらい大きな金属と金属がぶつかり合う音と共に、目の前に一人、軍服を着た女性が居た。

 

 

 

「閣下のご息女をやらせはしない!」

 

 

先祖の写真で見たような白い帽子、肩から羽織った金色の刺繍が入った灰色の上着。そしてまるでその背中にはテレビで見た『艦娘』のような装備が着いていた。

 

 

すると遠方からヒュルルルという音が聞こえてきた。目の前の深海棲艦もその音に反応してその方向へ向きなおした。

 

 

「提督、こちらへ」

 

 

すると『艦娘』のような女性は私をかばうように抱きしめた。そしてその直後、再び轟音がして私達の上に砂が大量に降ってきた。

 

ガン、ゴンと金属に何かがあたる音がしばらく続き、それもやがて収まった。

 

 

 

「もう大丈夫ですよ、お怪我はございませんか?」

 

 

そう言うと私を抱きかかえて守ってくれたこの艦娘らしき女性は、私の体についた砂を丁寧に手で払うと座り込んだまま、背筋を伸ばしとても綺麗な顔で微笑みながら敬礼してきた。

 

 

「敷島型戦艦四番艦、三笠。本日天気晴朗ナレドモ波高シ……。提督、共に勝利を!」

 

 

 

えっ、提督? 三笠? えっ?  ええぇえええーーーーーー!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして、三笠さんは少し照れくさそうにしながら、そして少し悲しそうな顔をしながら教えてくれた。

 

 

自身は艦娘としてはきわめて旧式であること。

艦種としては『記念艦』であり、戦闘能力はないこと。

『記念艦』であるがゆえ、歩くことができずこうして座ってあなたを守ることしかできないと。

 

 

そして、いつの間にか私が握り締めていた木材の破片(少し小さくなっていた)に基づき建造されたと。

 

どうやらこの木材は目の前の三笠の体の一部だったものらしい。ご先祖様はどうやってこれをお守りとして手に入れたんだろう?

 

 

「この身、提督に捧げるつもりではありますが……申し訳ございません。どうしても下肢に力が入らず、動くことが……」

 

「い、いいんだよ三笠さん。あなたは私を助けてくれた、それだけでもう100点満点! 大勝利だよ!」

 

「しかし……「あ、あの! よろしいでしょうか!」」

 

 

 

三笠さんとお話していると、海のほうから二人、三笠さんのようにゴテゴテとしたものをつけて走ってきた。

 

一人はセーラー服を着て、後ろに結んだ女の子。もう一人はワインレッドとピンクの着物の女の子。そして二人は私と三笠さんを見ると

とても緊張したように敬礼の姿勢を崩さない。セーラー服の女の子は緊張100%で、着物の子はどうにも敬礼する手が震え泣きそうな顔をしている。どうしたんだろうか?

 

 

「提督、すこしよろしいですか?」

 

「えっ、あっ、はいどうぞ『三笠』さん」

 

 

そう言うと三笠さんは帽子を被りなおすと、背筋を伸ばして私にした自己紹介をもう一度二人にすると、向こうも自己紹介してくれた。

 

 

「駆逐艦、吹雪です。よ、よろしくお願い致します!」

 

「神風型駆逐艦一番艦、神風です……本当に、本当に三笠様なのですね……」

 

「はい、吹雪さん。よろしくお願いします。鼠輸送やサボ島沖では大変でしたね。そして……神風さん。最期までお疲れ様でした。特別輸送艦としてその小さい体で多くの人を運んでくださいましたね。動けない身でしたが、みんな見ておりましたよ」

 

 

 ええっと、やっぱり艦娘だった二人だけども、神風さんはついに泣き出しちゃったし、吹雪さんもおろおろしてしまって……ど、どどどどうしよう!?

 

 

 敬礼の姿勢のまま泣き始めてしまった神風さんら三人ともその後何か言うわけでもないよく分からない雰囲気(声をかけづらい)が続いた後、港につながる道路から上半分が戦車みたいな車が何台もやってきて、私達の近くで止まった。

 車からは数人の緑色の迷彩服を着たお兄さん達が現れ、周辺を警戒するように見渡しながら近づいてきた。

 

 

「陸上自衛隊多賀城駐屯地 高野と申します。今よろしいですか?」

 

「あ、はい。どうぞ」

 

「海軍の駆逐艦、吹雪です! こちらは同じく駆逐艦神風と申します!」

 

「私は記念艦三笠と申します。大変失礼ながら、提督の身を守るためにも、そしてシャワーや暖かい食事などをご提供いただけますでしょうか?」

 

「はい、もちろんです。そちらのお二方も、後ろにある高機(人員輸送用の自動車、ジープのようなもの)に乗ってください。そちらの提督からも多賀城で一旦待機して欲しいと連絡が来ていますので」

 

 

「あっ……の、乗り物はちょっと……」

 

「えぇと、私達はこのまま海岸線を進んで川から駐屯地に向かいますので」

 

 

なんだか嫌そうな顔をする海軍? の二人。

 

あれ? 海軍? 自衛隊? え、わ、私達どうなっちゃうの? 機密保持とかそういうやつ!?

 

 

「提督、大丈夫ですよ。私がお守りします。必ず……あ、それですみません高野一尉、そちらの隊員の皆様ご協力いただけますか? 私、下肢に力が入らず歩くことができないのです……」

 

 

 

平凡な一日から攻撃で吹き飛ばされたと思ったら艦娘が守ってくれて自衛隊の基地に行くことになって……え、えええええええーーーーー!!!??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この度は沿岸防衛にご協力いただき、艦娘の皆様には感謝申し上げます」

 

「いえ、提督の出撃命令に従ったまでの事ですから」

 

「むしろ三笠様がいらっしゃらなければこの方がどうなっていたことか……馳せ参じるのが遅くなり申し訳ございません」

 

 

 

駐屯地に着くと早速コゲたり砂だらけの服は脱がされ、体中怪我の検査と治療をしてもらい、ヘリコプターに乗せられたと思えばレトロな雰囲気の施設につれてこられ

なんだかすごい自衛隊の偉い人がいっぱい居る会議室に連れてこられてしまった。

 

 

隣に居る三笠さんは車椅子に乗っているけど、この部屋に入ってからずっと手を握ってくれている。うん、やさしいお姉さんだなぁ……

 

 

 

「───そして山本さん、ご無事で何よりでした。到着が遅くなり申し訳ございません。ご自宅は残念ながら完全に破壊されてしまっていたようです。」

 

 

そっか……とはいえ物に対する愛着があんまりないせいか、メンテナンスに出していたお下がりの自転車とこのお守りぐらいしか大事な物はないからまぁいいかなっとなってしまう。

 

 

「い、いえ……大事なものと言えば自転車とこのお守りぐらいなものでしたから。自転車もメンテに出してましたから無事ですし」

 

 

そう言ってお守りを皆さんに見えるように机の上に置くと、三笠さんが「之は私の甲板に使われたチーク材です。修理の時にすこし取り外された部分のようですね」と教えてくれた。

 

 

「艦娘について、提督については海の方でお話があると思います。多賀城駐屯地としては、山本さんのご自宅周辺の警備を固めておきますので」

 

「ありがとうございます、鎮守府としても遺構・遺品捜索隊を向かわせています。」

 

「空自としては現在周囲に敵影を認めておりません。はぐれのイ級だったのでしょうか」

 

 

 その後素性や何をしていたのか、三笠さんをどうやって呼んだのかとか色々質問されたあと、なんだか緑の服、青色の服、灰色の服、そして白の服の人たちで話し込み始めてしまった。

 ええっと、私はどうすれば……

 

 

「あっ、すみません。山本さん、ご協力ありがとうございました。吹雪、神風、お二方を仮鎮守府まで海上護衛してあげて」

 

 

 

 

 

「はい! では駆逐艦吹雪、山本提督と三笠様を『野蒜仮鎮守府』まで海上護衛します!」

 

「神風、全力で任務遂行にあたります!」

 

 

神風さんたちの提督さんらしき人より指示を受け、そう言うと神風さんは三笠さんの車椅子を押してゆき、私も吹雪さんに連れられるようにして会議室を後にした。

 

 

 

 

 

ん……? 野蒜って私の働いてる牡蠣小屋隣でなんか工事してたところ?

 

 

 

 

 




艦これにも旧式艦が出てきてもいいと思うんだ。天龍が最新鋭に見えるぐらいには。

※Hoi開始の1936年まで浮いてたならなんでも艦これにしたいだけのAAR……じゃなくって二次創作SS
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