───野蒜訓練鎮守府上空、航空自衛隊松島基地所属
F-1 CCV部隊
「よーし、全機準備はいいな?」
「隊長、これは基地の許可取ってるんですか?」
「とってるとってる、『六機編成による戦闘哨戒と編隊訓練』で飛んでるんだ。しかも今日は突発と言う名の予定通り鎮守府卒業感謝祭だ。ならやるしかねぇよなぁ?」
「そうですなぁ、あくまでこれは『編隊飛行訓練』ですからなぁ」
「松島基地のパイロットならやるしかねぇよなぁ? なぁ? 「もちろん、松島基地のパイロットならこれを夢見てました!」「同じく!」物分りが速い部下で助かる」
「編隊長! まもなく上空通過しますよ!」
「よっしゃ……全機! 伝統を取り戻すぞ!」
───突発で始まったことになった予定通りの第一回野蒜訓練鎮守府卒業感謝祭、民間人と各自衛隊員が集まる鎮守府の上空を松島基地所属F-1CCV六機編隊が見事な三角形を絵描きながら飛んでいった。
それはまるで平和な時代のブルーインパルスのようで、周辺住民や自衛隊員達は胸に込み上げるものがあった。
なお、主役の野蒜訓練鎮守府山本提督は、アツアツの陸自芋煮を食べようとしていた所で戦闘機の爆音を聞いたことにより驚き、冷ますまもなく里芋を口に突っ込んで火傷をし、慌てて三笠の飲んでいたお茶(アツアツ)を口に含みダメージを拡大していたと三笠の感謝祭レポートには記載があるとかないとか。
「ところで提督、なぜ芋煮の味付けは二種類あるのでしょうか? 自分は味噌味が好みなので有り難いのですけど……」
「見島教官、まるじゅう味になにか落ち度でも?」
「Oh...不知火、短い付き合いだったネー……」
「俺のために争わないでくれ、提督の好きな味が一番でいいじゃないか」
「まるじゅう味ではなく醤油味では……?」
イケナイ、東北民に芋煮の味付けと肉の種類を振ってはいけない! きのこたけのこ戦争のように終わりのない戦いになるぞ! ……いや、東北民はここには居ないけど、自衛隊の人とか民間の方に今の話が知れたら今日の卒業感謝祭が戦場に変わってしまう!
あっ、三笠さん。因みにまるじゅうというのは───「コラ! 富士さん! そのお椀は提督用に確保した芋煮ですよ! ふーふーするんじゃありません!」
あかん、何故か知らないけど今日はいつにもまして三笠さんがすっごい私の保護者感ある。
「もう提督は三笠お母さんって呼んだらいいんじゃなーい? それとも鈴谷の事、お母さんって言ってくれる?」
ほら、いつぞや提督が利根さんにしたっていうハグ〜、なんて鈴谷さんが言いながら両手を前に広げていつでもハグカモーン体制に。三笠さん? すかさず私の事ハグしないで?
「だ、だめです! 提督のお世話するのは私です!」
「えーっ、提督〜そこんところどうなのさ? 鈴谷と、三笠教官、どっちがお母さん?」
うん、えーっと、えーっと。頭抱えて胸に押し付けないで、帽子が、帽子がとれる。
えーっと、だからね。つまりはミキプルーンがリスペクトされるのはオセアニアじゃあ常識なわけでだからその。
「愛が重いネー」
「ふっ……後で提督には俺の良さを実感「そう言いながら初日のアレ以外手を出せてないヘタレ富士ネ」いや……それは……」
「三笠さんが楽しそうで何よりです。あぁ……三笠さん……あんな、あんな顔、自分には見せてくれないのに……三笠さん、三笠さん、三笠さん」
「コッチも愛が重いネー……」
「まともなのは不知火と浅間教官だけなんですか……」
因みに乗艦体験させたいからと護衛艦ななきたの接舷許可をもらいに来た第16護衛隊司令に目撃されるまで私は顔を真っ赤にして目玉ぐるぐる状態の三笠さんの胸に顔をうずめさせながら頭ナデナデされ続けたのでした。
車椅子の三笠さんに抱きすくめられる膝立ち提督が居るらしい