旧式鎮守府物語   作:あおさ海苔

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壮大に何も始まらない







戦闘準備!

平和な鎮守府の平和なお祭り

 

そんな人々の幸せにあふれていた光景は、一本の緊急連絡により終わりを告げた。

 

 

 

「海上保安庁より緊急電! 繋ぎます!」

 

『こちら巡視船まつしま! 野蒜沖東約30海里にて深海棲艦を確認! 重巡6! 駆逐9! 野蒜沖東約30海里重巡6駆逐9後は頼───』

 

 

「まつしま、通信途絶っ……!」

 

 

 

やられた。こちらの戦闘可能艦娘は先程『卒業』して船団護衛へと向かってしまった。まだそう遠くない距離だけれども、30海里まで距離を詰められていた以上、あと一時間もすればここは戦場だ。

 

そして今、鎮守府は鎮守府祭で民間人もごった返している、最悪のタイミングだっ!

 

 

……三笠さん、各自衛隊に連絡して沿岸部、鎮守府内の避難誘導を。

 

「直ちに」

 

富士さんは宮古の海上護衛隊司令へ援軍要請。

 

「通信室に向かう」

 

不知火さんと鈴谷さんは積める戦闘用艤装を確認し、近距離戦と高火力装備を中心に装備、電探や水偵系は不要です。

 

「鈴谷にお任せっ」

 

「承知しました」

 

 

浅間さんは東北太平洋方面統合運用隊と連携してこの鎮守府の避難誘導が終わるまでの迎撃作戦立案を。

 

 

「Roger!」

 

 

見島さん……私と共に海に出てもらえますか?

 

 

「直接戦闘指揮ですか……承知しました。自分はこの身果てるまで提督と三笠さんの信頼に応えます」

 

 

ありがとう、よろしい、では遅滞戦闘準備! 卒業生が帰ってくるまで3時間! 『母港』を守りぬけ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

───海上自衛隊 奥松島 第16護衛隊

 

 

「とんだことになったな……」

 

 

執務室で、この第16護衛隊司令である東郷一佐は『まつしま』からの緊急電と、野蒜鎮守府からの出撃要請をほぼ同時に受け取っていた。

 

 

「鎮守府祭の避難は陸に任せるとして、今動かせるのは?」

 

「はっ、『りゅうほう』『ひろせ』です。『ななきた』は向こうで乗船体験しておりましたので、戦闘可能か確認中です」

 

 

副官の上村からの報告を受けた東郷は悔やんでいた。

 

大型艦である『はたかぜ』は来月新型ミサイル搭載テストの予定だったため、既存のミサイルが装備できない。そのためテストが始まるまで船員には休暇を与えていたので即応できなかった(そもそも魚雷も旧式化のため撤去しており、現状単装砲しか武装がない状態だが)

 

『しらね』は20XX年において艦暦50年を超える旧式艦であり、熟練乗組員の不足に伴う機関故障のため武装は好調であっても出撃できなかった。

 

そのうえ『りゅうほう』は空母型護衛艦であり、ここまで距離を詰められた状況ではただの的であるうえ、艦載機はすべて松島基地におろしていたので艦自体は戦闘力に余りならない。

 

 

野蒜鎮守府で戦えるのは重巡1 駆逐1 旧式海防戦艦1の艦娘しかおらず、なんとか駆逐級だけでも護衛艦で相手取ってやりたかったが、『ななきた』が避難のため使われていた場合を想定すれば戦力は3000tクラスの『ひろせ』しか出せそうもなかった。

 

 

「止む終えまい、『ひろせ』だけでも行かせる。統合隊にはそう伝えてくれ」

 

「はっ……無念です」

 

「できる事は何があるはずだ、知恵を絞るとしよう」

 

 

第16護衛隊の長い一日はまだ始まったばかりだった。

 

 

 

 

 

───航空自衛隊 松島基地

 

 

「あのバカ共がちょうどいい時に『洋上警戒装備(予備燃料タンク装備)』でしかも『実弾装備』で野蒜を飛んでやがる。りゅうほうの艦載機も合わせれば駆逐級ぐらいは数隻ぶっ潰してやれるだろうさ」

 

 

松島基地基地司令、宮藤空将補は海自の東郷一佐に比べ多少は楽観視していた。

 

なぜならばタイミングよく野蒜上空に対艦ミサイル装備かつ、これから増援を飛ばしても待機していられるだけの燃料をドロップタンクとして装備しているF-1CCVが六機もいたからだ。これならばたった今何かがおきたとしても後手に回ることはない。

 

それに戦力的に見ても『りゅうほう』の艦載機であるF-4EJ(改二)×8と、松島基地のF-4EJ改×2、そして残りのF-1CCV×2  F-2×2も合わせればかなりの対艦兵力となる。

 

さらに敵には空母は居らず、対空戦闘力に秀でた軽巡も居ない。重巡にはカスダメしか通らないが、駆逐級相手ならば殲滅する意気込みだった。

 

 

「大事にとっておいた火力を叩きつけてやる」

 

 

対地・対艦装備部隊に全機全力出撃の指示を出しながら、宮藤空将補は対艦ミサイルによって次々と吹き飛ぶ駆逐級を想像しながらニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

───陸上自衛隊 多賀城駐屯地 第22即応機動連隊

 

 

「大和の機動戦闘車隊は全部出せ、普通科は対戦車装備以外の者はすべて避難誘導に回す、県警、消防、海保との緊密な連携を維持せよ。どうせすぐ同じ事をやれと仙台から指示が来るさ」

 

 

「はっ、では直ちに編成に入ります!」

 

 

多賀城駐屯地司令、樋口一佐は落ち着いた口調で指示を出しつつその脳内では必死に計算していた。

 

卒業した艦娘部隊が戻ってくれば重巡2 駆逐3の戦力であり、野蒜鎮守府の戦力を合わせれば重巡3 駆逐4 海防戦艦1 また海上自衛隊の艦艇や航空自衛隊の援護もあるのでたとえ敵が重巡6 駆逐9であっても戦えるとにらんでいた。

 

 

しかしそのためには敵駆逐級だけでも自衛隊が撃破しなければならない。カスダメしか通らない事を考えれば万が一を想定し兵力を集中しなければならない。

 

だが陸上自衛隊東北方面隊の手持ち戦力で、まともにダメージが通る対艦ミサイルを装備している第4地対艦ミサイル連隊は八戸であり間に合わない。

 

せめても対戦車火力として機動戦闘車隊と、八戸からたまたま宮城県内の王城寺原演習場に来ていた第2対戦車ヘリコプター隊も投入する決断を下した。

 

そして避難民を護る最後の砦として、対戦車装備の混成普通科部隊を殿にする覚悟だった。

 

 

 

「あと鎮守府にいる高野一尉を山本提督に派遣してほしい、連絡将校というやつさ。まぁ、山本提督を娘みたいに思ってるみたいだし適任だろう」

 

 

窓から外を見ればテキパキと準備をすすめる隊員達。いますぐにでも褒めてやりたい練度の高さだと考えたと同時に、東北方面隊司令より先程樋口一佐がした内容と、想定された援軍部隊出動とが書かれていた。

 

 

「あぁ……長い一日になりそう……」

 

 

避難誘導対策司令本部を設置すべく、樋口もテキパキと準備し部屋から出撃して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

───大日本帝国海軍 野蒜鎮守府 作戦司令室

 

 

「以上、各自衛隊からの報告だ」

 

 

なるほど……富士さん、報告を実際に受けてくれたわけだけど正直どう思う?

 

 

「報告の通りさ、多分航空機からの対艦ミサイル雨あられで駆逐級は3~4隻は吹っ飛ばせるだろうが、重巡6はキツイな……1隻ぐらいは沈めてくれるかもしれないが。とにかくこちらの手持ち戦力では4隻が限界だ。残りの重巡2隻をどう沈めるか……」

 

「山本提督は『ななきた』艦上で指揮していただきます。艦娘の皆さんも乗船していただけますのでご安心ください」

 

 

 

なるほど……あとは重巡と狩り残した駆逐を……えっ、高野さん? 他の娘も前線に連れてくんですか!?

 

だ、だめです! だめですよ!

 

 

「俺達を置いてくのか……?」

 

「もう岸壁で見送るのはNoですヨ」

 

「言ったでしょう、提督、那由多の果てへでもお供すると」

 

「だそうですよ山本提督、『ななきた』の乗組員も美女達を乗せて戦えるなんて光栄だーなんて言ってますからね。もちろん私もお供しますよ」

 

 

 

えっ、えっとだって戦えない娘は鎮守府で色々とやってもらいたいし、高野さん陸ですよね? 船に乗れるんですか?

 

 

「これだけは言っておきますよ、山本提督、貴方は私の娘よりすこし年上だ。そんな年齢の娘が戦場に出る。国民を護る自衛隊員として、一人の父として行く以外の選択肢はありません」

 

 

あわわ、高野さん真顔で本気だ……そしてさり気なくお子さん私よりすこし年下だったんですね。

 

 

「松島基地より入電! 『対深海棲艦戦闘』のため山本提督の指示に従うとの事!」

 

「『ひろせ』より入電! 空自の攻撃に合わせて何時でも合戦用意良し!」

 

「多賀城より機動戦闘車は約40分で到着予定! 沿岸部は任せろとの事!」

 

 

 

うん、まさに持てる全力での総力戦だね。これだけの敵戦力を叩き潰せば間違いなく太平洋側海上航路の安全度はぐっと上がるはず。

 

……勝てればだけど。

 

 

あ、うん。三笠さん、その、手をにぎにぎしないでもらえます?「いやです」アッハイ

 

 

「では提督、自分はどうすれば良いですか?」

 

「Oh.妬いてるネ?」

 

「ち、ちがいます!」

 

 

 

えーあーうん。では作戦を説明します

まずは───

 

 

 

 

 




なんだかすごそうな回だけど、まとめると三笠さんカワイイヤッター!
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