旧式鎮守府物語   作:あおさ海苔

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シリアスかけないヤダーー!!










寝込むようです?

目の前で吹き飛ぶ艦橋

 

浜辺で逃げ遅れていた私達をかばってあの船は沈んだ。

 

いっぱい人が死んだ。

 

激痛を感じる。

 

脚に何かが飛んできて、当たって、私の脚は曲がっちゃいけない所から曲がってる。

 

飛んできたものをとっさに掴む。

 

それには結婚指輪がはまっていて───

 

 

 

腹からこみ上げてくる、嘔吐か嗚咽かわからない。

でも耐えられない。

 

 

 

 

 

「お、おぇ、…、うぇっ!」

 

「提督! 大丈夫です! 不知火が居ます、不知火はここに居ます! 提督っ!!」

 

 

 

あ、あれ……? 不知火さん、どうして……うぇっ……

 

 

「落ち着いてさい、大丈夫、大丈夫です……提督は不知火が護ります、必ず護ります」

 

 

ご、ごめんなさい。大丈夫大丈夫、ちょっと夢見が───

 

 

あれ?

 

不知火の指に光ってるのは何? 

 

あれは、指輪?

 

私が、   しまった、人と、   同じ銀   色の   ───

 

 

 

『コロシタ』

 

 

 

 

 

 

『コロシタ』

 

 

 

『コロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタコロシタ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ不知火、一体何があったんだ? あの提督が急にあんな……」

 

「わかりません、ただ、うなされていたようなので朝でしたから起こしました。しかしなから起こした時は大丈夫だったのですが、不知火の手を見た途端突然『赦して』と不知火の手を使って自身の首を……」

 

 

会議室には、今朝方の提督について何があったのか、それを知るために艦娘達が集まっていた。

提督は鎮静剤をうたれ直ちに自衛隊病院へ搬送された。艦娘の力に対抗出来るほどの強い力で、不知火の手を掴み自らの首を締めたのだ。

 

目は虚ろで、鎮静剤が投与されるまでひたすら能面のような表情のまま首を締めていたという。

 

 

 

 

提督が無理して笑ってたのは私達との演習が終わった時からなのは知ってる。

 

趣味の自転車に乗らなくなったのもそのあたりのはずだ。そして目の下のクマを化粧で誤魔化すようになったのも……あの化粧とか全然気にしない不知火でさえ気がつくぐらいに。

 

激務で疲れてるんだろうって皆思ってた。でも提督の優しさに甘えてたんだ。そして仕事が原因だって決めつけて提督の仕事を減らして問題は解決に向かってるって思い込んでた。

 

 

「三笠さんは何かわかりませんか? 一番提督と長く居る三笠さんなら……」

 

「いえ、提督の事については確かに殆どお話を聞いていませんでした……Shit! これでなにが提督の初期艦かっ……!」

 

「私達も提督に聞かれるがママ、私達の事ばかり話してたネ。提督がどこで生まれて、どんな趣味で、どんな事が好きで、どう生きてきたか、聞いてなかったヨ……」

 

 

確かに私達は提督について知らない事ばかりだ。自転車の趣味だって普段から遠くへ自転車ででかけているからそういう趣味だって思っていただけ。本人から聞いたわけじゃない。

 

 

不知火も、三笠さんも、浅間教官も、自分を責めてる。でも今は自分を責めてる暇はない。ここまで提督が心身を追い詰めた原因を一刻でも早くつきとめないと!

 

 

「……そういえば不知火、その右手に指輪、いつ着けた? 最初の演習で会った時や訓練の時には見かけなかったが」

 

「あぁ、これは第十八駆逐隊の皆で作った指輪です。今回の戦いは決死の覚悟でしたので着けて出撃しました。陽炎や霞、霰達から少しでも勇気を貰おうかと」

 

 

 

提督の昔、提督自身を知る人……ちょっち二人ほど思いついたかな。

 

 

「不知火の手に関してはそれぐらいネ……鈴谷? 鈴谷ー?」

 

 

いやー、ちょーっと行くところができたんで、鈴谷外出しまーす!

 

 

 

「あ、こら鈴谷さん!」

 

 

 

三笠さん、貴方は提督から信頼されている。でもそれだけじゃ駄目なんだ。提督はついこの前まで唯の女の子で、きっと、たぶん。

 

 

 

 

 

 

すごい深い疵を抱えてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「山本さん? そーだねぇ、あまり自分の事を話す娘じゃないからねぇ……そういえば『海は苦手』って言ってた事があるよ。なんでも小さい時に色々あったとかで」

 

 

「あぁあの娘かい。山本って言うの……そういえば名前聞いたことなかったなぁ。

でも確か牡蠣小屋の買い出しとかでよくうちに来てたけど、刺身とかついでに食べてきなって見せた時なんだか凄く怖がってたね。

だから海鮮類は必ず発泡スチロールに入れて渡してたんだよ」

 

 

 

 

提督が今でも手伝いに行ってる牡蠣小屋の主人や、買付けの鮮魚屋によれば提督は小さい時の出来事で海が苦手になり、海鮮が見るのも駄目になった。

 

確かに海自の人とかにシーフードカレーは許さないとか前に言ってたような……

 

 

でもこれらは提督が海沿いのここに引越してきてからの情報だ。

 

 

もっと前、もっと前の提督は何をしていたの?

 

 

 

 

 

 

 

 

「個人情報につき自衛隊として調べた情報の開示には本人の同意が必要です……現状同意は得られそうに無いのはこちらも承知しているため、親や代理人に依頼してもらう他ないのですが」

 

 

提督として任命するにあたって略歴など調べたであろう自衛隊の情報を高野さんに頼んで取得しようとしたけど、『艦娘』では無理だった。それに高野さんはその事以外で表情を歪めているようだった。

 

 

 

「なお、彼女にはそれに該当する人が居ないので諦めてほしい。そういう伝え方しかできないけども、理解してくれると助かる」

 

 

今の提督には家族どころか親族すら居ない……?

 

 

 

 

 

 

 

それから私は直ぐに図書館へ向かい新聞を探した。提督の小さい頃、なにか山本家に海に関して嫌な事件があって、独りになってしまったんじゃないか。

 

海難事故とか、殺人事件とか、津波とか台風とか。

 

 

 

そして新聞のアーカイブを前に調べようとした時、私はわかってしまった。

 

 

 

 

私達は提督の『名前』も『年齢』も『どこに住んでいたか』も知らない事に。

 

 

 

 

 

 

ねぇ、提督。

 

 

貴方は一体『誰』?

 

 

 

 

 

 

 

 




今までの文章に仕込むとかむりでち
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