旧式鎮守府物語   作:あおさ海苔

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迂回奇襲はよくある話。


※若干百合成分あるのでごめんなさい




奇襲!

ハワイ奪還大作戦が佳境を迎えていたある日、なんだかすごくそわそわする感じがして、なぜか私は早く起きてしまった。

 

んむぅ……まだ暗い……なんだろう。なんだかすごいそわそわする。こう、たぶん、なんか、悪い意味で。

 

ざわざわする……けほけほ、うーんこの空咳。風邪ひいたかなぁ?

 

 

 

───アイニイクヨ

 

 

えっ、だ、だれ!?

 

 

とっさに枕元にある拳銃を構えて周囲を見渡す。気配や物音はしない。今のはいったい?

 

 

───カワイイコ、アイニイクヨ『ダァン!』

 

 

声のした方向に発砲する。こんな聞くだけで背筋が凍りつく声、絶対『ヒト』じゃない。

 

 

───ドウシタノ? ダイジョウブ オカアサンガムカエニイクカラネ……?

 

 

 

 

おか……あ、さん……?

 

 

私の、おか、あさ……ん……?

 

 

 

 

 

 

 

 

吹き飛ぶ艦橋

 

 

 

 

圧し折れる私の脚

 

 

 

脚を折ったのは飛んできた左腕

 

 

 

その指には銀色の指輪が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

う、うぁああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!

 

 

───ダァン!ダァン!ダァン!ダァン!ダァン!

 

 

 

「提督援護するよ!! って、提督!?」

 

 

 

───ダァン!カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

 

 

ああ、ああああああああアアアアアァァァァァァ!!!

 

 

 

「提督! 提督! 鈴谷だよ! わかる!?」

 

 

 

母さんを返せ! 母さんを返せ!! 返せ返せ返せ!!!

 

 

 

 

「提督っ!」

 

 

 

 

んぐっ!?   あっ、あえぅ……あれ、キス……されてる?

 

 

「……提督、私を見て。鈴谷を見て。大丈夫、大丈夫だよ。鈴谷が護ってあげる。だから大丈夫だよ」

 

 

 

脱力して弾切れの拳銃が私の手からこぼれ落ちた。そうだアイツは!?

 

アイツはどうなったの!!

 

 

「提督、さっきまでずっと壁の作戦地図を撃ってたよ? 怖い夢見たの? 大丈夫だよ、鈴谷はここに居るよ。安心して「駄目だ! 来る、絶対に、私を……連れて行こうと……っ」わかった、提督を信じるよ。だから提督も鈴谷達を信じて。絶対に護るから」

 

 

 

あの声を聞いてからおぞましい寒気が止まらない。

 

間違いない。よくわからないけど、絶対にヤツらは私を堕としに来る。

 

いやだ、いやだよ鈴谷ぁ、鈴谷ぁ……三笠さぁん……富士さぁん、怖いよ、嫌だよ……

 

 

 

「大丈夫、絶対に護る。絶対に……何があっても……っ!」

 

 

 

鈴谷さんに抱きしめられて背中を優しくとんとんと、とんとんとされて、ごめん、鈴谷、ごめんね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───野蒜鎮守府 特殊艤装試験艦 鈴谷

 

 

 

 

 

 

提督は意識を失ったみたい。一瞬だけ深海化のように髪の色が白くなりかけたけど、今はもとの色に戻ってる。

 

 

提督が爪をたててすがりついてきたから多分服の背中破れちゃってるなぁ……むしろ多分引っかき傷どころじゃない気がする。ある意味提督身体に刻んでもらった傷って事でイイコトかもね。

 

 

「鈴谷さん! 提督はご無事ですか! 鈴谷さん!?」

 

「僕が来たからには覚悟しろ曲者め!! ……って、鈴谷さん!? 背中大丈夫!?」

 

「提督!! 提督!!」

 

 

みんなが銃声を聞きつけて駆けつけてきてくれた。

 

まずは提督を医務室まで護衛して陸自にも要請して即応部隊を鎮守府に展開してもらわなきゃ。

 

 

「三笠さん、提督の事を頼みます。富士さんや楢くんと一緒に医務室まで向かって。鈴谷は多賀城に連絡入れて鎮守府の警備に回るよ」

 

「わかった、医務室まで運んだら出港中の不知火やイニコ達をすぐに呼び戻す」

 

「僕らに提督は任せて!」

 

 

 

 

 

提督を背負う富士さんと艤装を展開して警戒しながらついていく楢くん。三笠さんも後に続いた。

 

うん、これで提督は大丈夫。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとは

 

 

───ザシュッ

 

 

うん、オマエを殺すだけだよ。

 

 

 

 

 

───グントウテイドデシニハシナイヨ?

 

 

 

滅べ、鈴谷の提督を2回も狙ったな。絶対に赦さない。

 

 

 

──ソウダ、ウラメ、イカリニミヲマカセロォ?

 

 

黙れこの腐肉、提督を攫いに来るんだろう? その時は覚悟しろ、たとえお前が『誰』であろうと必ず殺す。

 

 

──アア、アノコヲタノムヨ。モウスグムカエニイクカラネェ

 

 

作戦地図がかかっている壁の床に広がっていた醜い肉塊を何度も軍刀で突き刺す。

 

しばらくしたら肉塊はもう何も話さなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

「……落ち着きましたか? 鈴谷さんは『話を伺える状態』ですか?」

 

「あはっ、どうしたの高野さん。そんな『鈴谷に銃を向けて』」

 

 

後ろから聞こえた声にゆっくり振り返ると、そこには小銃を『私に』構えている高野さん。

 

 

「いえ、以前『鈴谷さんの姿形をした深海棲艦』が出ましたからね。念の為です……まずはその艤装を解除してもらっても? 『艦娘鈴谷』であるのなら」

 

 

高野さんの視線を辿れば紅い焔を纏った私の艤装。あちゃーこれ、言い訳効くかなぁ……

 

 

「深くは聞きませんよ。『ドロップ』の鈴谷さんですからね。何処でドロップしたか、横須賀時代からどう変わったか……なんてね」

 

 

こちらが艤装を収めるのと同時に高野さんも小銃の構えを解く。一応信頼はしてくれてるみたいだね。

 

 

あーあ、でもどうしよっかなぁ。せっかく提督と『また逢えた』のに、研究所? 良くて別鎮守? やだなぁ……

 

 

 

「鈴谷さん、安心してください。この件に気がついているのは『市ヶ谷』にもわずかです。『大本営』も事情を鑑みて黙認の構えですから。貴方と山本提督との間を引き裂くようなことはしませんよ」

 

 

そっかーならいいんだけどねー

でも大丈夫? 鈴谷の事信用しちゃって。だって───「嘘つきはそんな事言いませんからね、なにより貴方が提督を愛しているのはよくわかりましたから」あっ……えっと……ど、どこから見てた?

 

 

 

 

ねぇ、ちょっと高野さん? なんで目をそらすの?

 

えっ、監視カメラとか見てた系? 現地観戦系? 

 

 

ねぇちょっと、高野さん? 高野さん!?

 

 

 

「さて、ではまもなく到着する即応部隊の指揮をとってこなければ。その肉片はこちらで回収しますから、軍刀だけ持って帰ってくださいね。それでは」

 

 

 

えっ、ちょっと! もー!

 

 

もーーーーー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────発 小笠原諸島警備部隊 

 

    宛 自衛隊各隊並びに大本営、および周辺を航行中の全艦艇

 

 

小笠原諸島西80海里にて哨戒中のUS-2が多数の水中を航行する深海棲艦を確認。

 

数およそ60 艦種不明 進路は北 真っ直ぐ本土を目指している模様。

 

 

艦種や総数確認のため、P-3Cによる対潜調査の要あり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───迎えに行くよ、私の、ワタシノ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    カワイイコ

 

 

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