旧式鎮守府物語   作:あおさ海苔

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更新頑張りますゴメンナサイガンバリマス








急襲のようです?

───陸上自衛隊 仙台駐屯地 作戦会議室

   野蒜訓練鎮守府 山本提督

 

 

 

 

 

『硫黄島急襲』

 

 

 

 

それはまさに青天の霹靂だった。

ハワイ攻略作戦は成功し、ハワイ攻略部隊は休養と補給を済ませ通常編成に戻された上で既にマーシャル諸島に向けて出撃していた。

 

 

これからは人類側攻勢の時期。東北統合隊の活躍によりできた中南部太平洋の深海棲艦戦力低下のタイミングを逃さず、積極的な攻勢を開始した矢先の出来事だった。

 

 

 

「……以上が市ヶ谷からの命令だ。横須賀が手薄で呉は空、佐世保は再編成中とあればまさに東北統合隊の出番という事かな」

 

 

東北統合隊指揮官、根本陸将が軽い口調ながらも重苦しい声で命令を伝える。

佐世保が再編成中であるように、先日編成が許可された移動鎮守府・強襲特殊部隊への改編がまだ途中だったからだ。

 

会議室に集まっている宮藤空将補も、樋口一佐も、上村ニ尉も表情は明るくない。

 

 

「松島は幸いにも米国のミサイルが届いたから戦力的には回復した。ただ硫黄島となりゃ最寄りの航空基地は父島の洲崎だ。アレじゃあ拡張工事終わったとしても爆装のF-2とか戦闘機部隊は回せない。ヘリか軽装のT-4ならなんとか……」

 

「上陸して防衛ならまだしも、敵前上陸用の機材もないしそもそも訓練していない。海からの攻撃に陸は参加できんな」

 

「現状では編成途上ですけど、私達野蒜鎮守府の強襲部隊での攻撃による敵撹乱、または硫黄島守備隊との挟撃……ですか?」

 

 

はい、あの決戦が終わり新しい鎮守府として一歩踏み出そうとしていた矢先に、安全圏と思われていた硫黄島がまさかの攻撃を受けました……

 

おまけにせっかくの優勢状態を逃すまいと本土の艦隊は軒並みマーシャル諸島へ進出していて、硫黄島への救援に動ける艦娘が不足していたのでした。

 

 

三笠さん、硫黄島での戦闘はどうなってるの?

 

 

 

「はい、現在硫黄島には横須賀鎮守府分遣隊の駆逐艦娘2名、陸上自衛隊の1個大隊と1個施設団が展開しています。通信は確保できており、戦力比から摺鉢山での籠城中とのことです」

 

「正直装備に恵まれてる方の部隊だが、装甲戦力や対艦装備はない。まさに陣地構築の真っ最中だったからな」

 

 

うーんそれじゃあ完全に籠城しかできなそうだ。艦娘は『海上でなければ艤装からの発砲ができない』から駆逐艦娘達はちょっと力持ち程度の戦力にしかならないし……

 

敵戦力は?

 

 

 

「硫黄島からの報告では巡戦2 空母2 軽巡4 駆逐12です。なかなかの戦力ですね」

 

「有力な任務部隊ですね、なんとも羨ましい限りです」

 

「空母2ならますます空はどうしようもねぇ……」

 

 

会議室に重苦しい空気が立ち込める。

 

富士さん、なんで楽な戦いがないんだろうね。

 

 

「楽な戦いなんて物は最初から有りはしないさ」

 

 

そうなんだけど、もう少しぐらい私達に優しくてもいいと思うんだ。

そしてそんなきれいな顔で、可愛そうな子を見る目で私を見ないで、真面目な会議の最中なのに興奮しちゃう。

 

んみゃ!? 心が読まれたのか三笠さんにふとももをつねられた……ありがとうございます! 反省します! 

 

 

「さて、現状が把握できたところで必要なのは空母艦娘だということで間違いないかね? 海軍側としてはどうかな?」

 

 

 

根本陸将がこちらを見る。大変言いづらい……

 

 

「残念ながら動ける空母艦娘は居ません。横須賀に訓練中の空母艦娘が居ますけど、彼女達では制空権に関与することも困難です」

 

 

「まぁ空母2とはいえ正規空母だしなぁ」

 

「ミサイル類の補給ができたイージス艦を投入しても1隻の艦載機相手が限界ですから、やはり何かしらのエアカバーがないと……」

 

 

 

……左右から熱い視線を感じる。

 

三笠さん? あの───「つまり我々前弩級戦艦隊による近接強襲ですね?」いや、えっとね?

 

富士さんは───「海面に接して無ければ艤装からの発砲ができない……だが問題ない。そのための強襲ブースターパックと我々(前弩級戦艦)だろう?」アッハイ

 

 

 

「なんとも士気旺盛で頼もしい限りだ……わかった、多賀城としてはレンジャー課程の修了している一個小隊を夜間空挺降下で送る事は可能だ。その場合、第一撃と橋頭堡確保は任せるぞ」

 

「ブースターパックも含めて、今回は緊急性を鑑みて松島から父島までは空輸になる。酔どめは持ってってくれよな」

 

「海自は艦艇の速度を考えると、横須賀の『きりしま』を中心とした一個護衛隊を父島へ先行させておく事になると思います。指揮系統も含めてそのあたりは後ほど」

 

 

話はだいぶまとまったかな。根本陸将、制空権のない島への強襲となりますが、まさに今改編している私達の使い所はここだと思います。いかがでしょうか?

 

 

「戦艦相手に大立ち回りした山本提督配下の前弩級戦艦娘隊なら間違いないだろう。作戦を承認する……硫黄島を頼む」

 

 

ありがとうございます! それでは早速準備にかかりますので! 三笠さん、富士さん、我に続け〜!!

 

「提督には俺が付く」

 

「はい、では私はこの後もう少しだけ詳細を詰めますので残りますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山本提督と富士が退室した後、三笠は手に持っていたタブレットに視線を向けつつその視線の延長線上に座っている根本陸将を見つめていた。

 

普段の三笠らしくもない、冷めた目をしている。

 

 

 

「さて、艦娘三笠君。何か気になる点でもあったかね」

 

「根本陸将……在日米軍からなんの情報もないのに、どうも米本国艦隊がウェーク島から出撃したようです。これは海軍の潜水艦娘から届いた機密情報ですが、上陸戦力も伴っているとの事」

 

 

機密情報でありながらあえてそれを山本提督が退室した後に伝える三笠。会議室の面々からすれば先日の野蒜鎮守府に対する人類側の攻撃を知る以上、単純な機密情報のリークだとは思えなかった。

 

 

「『上陸戦力』か……何を『拿捕』するつもりなんだろうね? いや、単純に海兵隊などの上陸部隊かもしれない。『同盟国』を疑うのは良くないなぁ艦娘三笠君」

 

 

根本陸将は少し笑いながら眼鏡を拭く。だが視線は手元には向いておらず、三笠から外していなかった。

 

 

「潜水艦娘が確認した時刻より前に東北統合隊への出撃命令が出ていなければ杞憂でしょう。それでは私も提督たちの出撃準備に向かいます、では」

 

 

冷めた目をしつつ、無表情のまま退室しようとする三笠。

ドアを閉める直前に根本陸将は眼鏡をかけ直すと一言こう言った。

 

 

「情報をありがとう艦娘三笠君。大丈夫、我々は仲間を必ず護り抜く。戦友ならばなおさらだ」

 

 

会議室に居た全員が頷いていた。それを見た三笠はいつもの柔らかい微笑みに戻り退室したのだった。









米国が悪いよ米国が
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