旧式鎮守府物語   作:あおさ海苔

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大変長らくおまたせしました









圧勝するようです?

硫黄島防衛戦

 

敵(深海棲艦)

 

巡戦2 空母2 軽巡4 駆逐12

 

 

味方(摺鉢山籠城中)

 

駆逐2 (艦娘)

歩兵一個大隊

一個施設団

 

 

東北統合隊

(第一班 強襲用ブースター装備)

前・準弩級戦艦4(敷島 朝日 シュレースヴィヒ・ホルシュタイン シュレジェン)

 

(第二班 通常装備)

弩級・超弩級戦艦3(リヴェンジ カナダ センチュリオン)

 

(予備戦力)

弩級戦艦1  前弩級戦艦1(摂津 三笠)

 

海上自衛隊

DDH-199「りゅうほう」

DDG-171「はたかぜ」

DE-255 「ひろせ」

 

 

 

───東北統合隊 海上自衛隊第16護衛隊DDH-199「りゅうほう」 山本提督

 

 

バシュン!

 

 

とても大きな音をたてて次々とうちの娘達が発艦していく。

 

戦闘機やヘリの離着艦以外想定していない純粋な空母型護衛艦に艦娘用の火薬式カタパルトを搭載する改装はそこそこ大変だったけど、強襲用ブースターと併せてものすごい勢いで飛んでゆく敷島さんを見送ると、確かに『強襲用』としてとんでもない装備だけど頑張った甲斐はあると改めて実感する。

 

 

「特殊ウイング固定よし!! 次! 朝日さん! グッドラック!!」

 

「機関員さんありがとう、三笠、提督、行ってきます」

 

 

バシュン!!

 

 

今度は朝日さんが敬礼した後発艦していく。

 

離れたウイングにいるのに帽子がおさえてないと飛ばされてしまいそうだ。

 

ところで甲板の自衛官さんたちがしきりにギアチェンジみたいに手を上、左、上ってやってるのはなんだろうね三笠さん。

 

 

「決められた道をただ歩くよりも、選んだ自由に傷ついた方がいいんですよ」

 

 

……んん? 三笠さん?

 

 

なんかやり遂げた表情をしている三笠さんは置いとこう。

今度はシュレさん。なんか凄い気合が入ってるね。

 

 

「多くのドイツ帝国海兵たちの死が……無駄死にでなかったことの証のために!再びホーホゼーフロッテの威容を掲げるために!……大海よ、私は帰ってきた!!」

 

 

バシュン!!

 

 

……三笠さん、なんか甲板の自衛官さん達すっごい盛り上がってない?

手すきの人さっきまで帽子ふってたのに、みんな敬礼してるんだけど。

 

 

「艦娘達の魂の輝きです」

 

 

いや、三笠さんまで真顔な直立不動で敬礼しないで?

 

 

なんだろもー……さてさて、最後はシュレジェンさんだね。

んん? なんでマイク持ってるの?

 

 

「私の歌をきけぇーーー!!」

 

 

バシュン!!

 

 

 

ねぇ三笠さん、甲板のみなさんがすっごい盛り上がってるんだけど?

 

 

「銀河の歌姫ですからね」

 

 

……艦長、三笠さん含めみなさんの様子がなにか変なんですが心当たりあります?

 

 

「海上自衛官として、『空母から発艦』ともなれば血が騒ぐのは当然の事です」

 

 

いや、えっと、そういう話ではなくですね?

というかこの船、空母なんですから見慣れた光景───「戦闘機が発艦するのとはわけが違うのです」ハイ……

 

 

「山本提督も帰路で一緒にアニメ鑑賞会しませんか? 艦娘の皆さんは大変気に入ってくれましたよ」

 

「砲雷長、シュレースヴィヒ・ホルシュタインさんに0083を勧めたのは見事だ。あの発艦は孫まで自慢できるぞ」

 

「はっ! 録画もバッチリです!」

 

 

いやいやいやいや、なんか私ほっぽって盛り上がらないで!? 三笠さん! 艦長! 誰か説明してくれません!?

 

 

「デデデンッ! さて提督、正直なところ援護のミサイル攻撃すら不要かと思われますがいかがしますか?」

 

 

三笠さんはそう言うと、すこし恥ずかしそうに一度帽子を整えたあと誇らしげに外を見た。

 

つられて見ると、リヴェンジさん達『第二波』の皆さんが手を振ってくれている。

 

 

「提督ー! 巡戦はみんな私がブチのめしといたぞー!!」

 

「ダメージが足りな…被害軽微で無事戦闘終了ね」

 

「弾薬に引火して消し飛ぶ様は最高よ。ゾクゾクしたわ」

 

 

うわぁ……前弩級戦艦組の近接格闘術大好きなのもアレだけど、弩級戦艦組も結構アレだよね、バトルマニアというか……

 

 

「まぁ無事、上空警戒の艦載機も上げない空母型護衛艦を旗艦とした小規模護衛隊とナメてかかってきた巡戦2と軽巡2、駆逐8は消し飛んだのですから良いではないですか。敵空母艦載機も島への空襲で出払っているようですし、この突撃強襲でイチコロかと」

 

 

艦長のおっしゃる通り、多分嬉々として敷島さんあたりは敵空母の首級とか持ってくるんだろうなぁ……

 

 

 

そう、こちらが『護衛艦へ艦娘を搭載』して来るとは思ってもみなかったのか、巡戦を中心とした打撃艦隊が分離し迎撃してきたのである。

 

 

こちらの対応としては、ブースター準備に手間取っていた第一波はそのまま、第二波の弩級戦艦組で迎撃しもらった。

 

相手も高速で接近し続けていたし、高機動力な護衛艦で距離をつめスモークで敵の視界を遮ると一気に弩級戦艦組を出撃させ、距離9500mでの砲撃戦を行ったのだ。

 

巡戦が至近距離で戦艦と撃ち合えばどうなるかはご覧の通りであり、随伴の水雷戦隊は護衛艦からの砲撃で足止めされ、戦艦の副砲による攻撃であっという間に壊滅してしまった。

 

深海棲艦は人型に近いほど指揮能力が高く、旗艦の軽巡が撃沈された人型から最も離れている駆逐艦はタダ本能のままに突っ込んでくる的なのである。

 

 

一方的に壊滅した敵艦隊は巡戦2 軽巡2 駆逐8

つまり残りは空母2 軽巡2 駆逐4 しかも艦載機は硫黄島を空襲中と硫黄島守備隊から連絡が来ている。

 

あと5分後には敵残存艦隊撃滅の報告が来ると思う。

 

うん、ミサイルはもったいないので温存しましょう。ボフォース対潜ロケットの残弾も十分だしね。

 

 

「しかし山本提督の艦娘達は不思議ですな。研修で学んだ艦娘とは大違いだ。守備隊の駆逐艦娘は海の見えない洞窟陣地への移動をこれでもかと嫌がっていたそうですぞ?」

 

「私達からしますと、建造されてから車に乗り、ヘリに乗り、飛行機に乗りと全く違和感なく過ごしてきましたからむしろ他の艦娘が不思議なのです」

 

 

三笠さんの言うとおり。

そう、なぜか艦娘は他の乗り物に乗りたがらないのである。先日の野蒜防衛戦のように進退がかかっている場面では渋々従ってくれる場合もあるけど(それでも飛行機で来援した、引退して長く多少乗り物に慣れている夕張は特殊な例)、こういった敵前まで遠征し乗せてこよう物なら戦う前から戦力として全く使い物にならないほど疲弊してしまうのだ。

 

一説には乗り物である『船』から建造されている艦娘だから、乗り物が乗り物に乗るとアイデンティティがなんとかなんとか。

三笠さんはこう、西暦20XX年まで現存してたから不思議ななにかで大丈夫だったというか、そもそも車椅子使わないといけなかったから違和感なかったけど、そういえば富士さんも普通に高機動車乗ってたもんね。

 

 

「富士さんでも流石に運転は無理なようですけどね。提督、まもなく接敵しますよ」

 

 

おっとっと、うちの娘達の乗り物苦手じゃない不思議現象に気を取られてた。

手元のタブレットに表示された戦術情報を見ると、あと5秒で接敵するようだ。

 

 

「5.4.3.2……ロケット・煙幕弾発射! 接敵しました!」

 

「敷島、シュレスヴィヒ・ホルシュタインは空母に突入。朝日は軽巡へ、シュレジェンは駆逐艦に弾幕をはっています」

 

 

あっという間に敵空母に撃沈判定が出る。ロケットを発射してからわずか3分もせず敵艦隊は全滅した。

 

敵艦隊が全滅してもしばらくは瘴気が晴れないため、無線通信は難しいけど、レーザー通信により第一波旗艦の敷島さんから戦闘終了報告が入る。

 

なになに? ミ・シ・ル・シ・モ・ラ・イ・ウ・ケ・タ

 

 

怖い怖い、敷島さんこれ絶対艤装の日本刀に空母の首掲げて嬉々として帰ってくるやつやん。守備隊や護衛隊のみんなが見たらドン引きだよ!!

 

 

「当艦は生物の持ち込みは禁止させていただきます。首は拾った場所に返してきていただきたい」

 

「艦長、第一波は絶対血みどろでしょうから除染用のホースと消毒剤準備しておきます。返り血で甲板腐食させられたり、隊員が怪我したら笑えませんからね」

 

 

……ぐぅの音もでない。

 

 

「いいえ、これも自衛官としての務めですよ。こうして被害なく笑って戦を終われそうなのですから、それに越したことはありませんとも」

 

「そうそう、帰りは敷島さんにサクラ大戦を……「水雷長、まずは飛天御剣流を習得してもらうのが先だ」艦長ずるいですよ!!」

 

和気あいあいというか、緊張感があまり感じられない艦橋。

艦娘が登場するまで深海棲艦相手に絶望的な戦いを続け、つい先日は野蒜で全滅覚悟の決戦をしたばかりだ。こうも圧勝してしまうと気が緩んじゃうもんなんだろう。

 

 

「提督」

 

 

三笠さんに周りから見えないようにツンツンされ、視線で促される。

 

三笠さんの視線の先には膝を震わせながら笑う監視員がいた。振り返れば三笠さんは少し微笑んでもう一つ教えてくれた。

 

 

「完全に気が抜けていたら、勝って兜の緒を締めよとばかりに対潜哨戒のためにさっきSH-60K(対潜ヘリコプター)を4機もあげたりしませんよ」

 

 

そういえばいつの間にか対潜ヘリが離艦していた。艦長から『よろしいですかな?』と色々言われてたけどうんうんと空返事してた。

うぅ、どうやら気が抜けてしまっていたのは私みたいだ。はずかしい……

 

 

「まぁそういう〆るところは歳上に任せておきなさい」

 

 

艦長、ありがとうございます……東郷一佐の後任が決まるまで護衛隊の指揮兼務頑張ります……

 

 

艦橋で少し笑い声が広がる。それも艦長の「笑う余裕があるなら交代の必要はないな?」の一声で静まり返る。

 

わ、私もいつかこんなカッコいい指揮官になるからね!!

 

 

「はい、その時を心待ちにしておりますね」

 

 

 

やだ三笠さん、そんな女神のように微笑まないで。

 

 

 

「硫黄島守備隊より通信! 『敵航空隊の燃料切れを待ってから穴ぐらから出る、対空警戒の要まだあり』との事!」

 

 

は、はい! このまま護衛隊は回収作業をしつつ対空・対潜警戒を厳に!

 

 

「回収作業継続し対空対潜警戒継続、除染準備はあと15分で終わらせるように」

 

 

ねぇ三笠さん

 

 

「何でしょうか提督?」

 

 

やっぱり護衛隊指揮官兼務は無理だよぅ

 

 

「……摂津の時のように凛々しい顔で立っていてくださるだけで大丈夫です。あとは艦長と私でなんとかしますから」

 

 

 

 

 

 







第二章といった感じで、引き続き頑張ります
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