旧式鎮守府物語   作:あおさ海苔

43 / 43
皆様お久しぶりです。
ちょこちょこですがエタらないように頑張ります。


交渉に臨みます?

───ヘルゴラント沖 ロシア連邦海軍 ウダロイ級駆逐艦『ヴィツェ-アドミラル・クラコフ』作戦会議室 山本提督

 

 

 三笠さん、作戦説明をお願い。

 

 

「はい、それでは作戦を説明させていただきます」

 

 

 自称公国の皆様の自称領土で休憩と作戦会議をしたのち、ドイツの港を『国外退去』させられた艦隊と合流し、また旗艦である『ヴィツェ-アドミラル・クラコフ』上で、私たち北海深海棲艦討伐艦隊は作戦会議を始めていた。

 

 各国の艦娘達は艦艇から伸ばしたワイヤーで曳航されつつ艤装につけたタブレットで、野蒜の皆は作戦会議室に居る三笠さんとシュレさん、その他の野蒜メンバーらは各国の艦娘達と一緒だ。

 

 なお欧州で合流した艦娘達は大多数が航続距離が短く、適宜燃料缶を艦艇から補給しつつ航行している。

 だからこその牽引と重厚な補給により、顔色をみる限りまだまだ大丈夫そうだと、牽引組のリヴェンジさんから無線がはいる。

 

 

「急な作戦変更だね、山本提督、艦娘三笠くん」

 

 本来であればこのまま一旦英国のスカパ・フローに偉い人を送り届けるつもりが、まさかの予定進路上に深海棲艦艦隊の目撃情報が入ったのだ。

 まずは一戦するか、迂回するか。しかし回避した場合進路上に大きな問題があるとの事で緊急会議を開くことになったのだ。

 

 

「本艦隊戦の鍵は北海に巣食う深海棲艦の状態です。先日の訓練艦隊襲撃から鑑みて、まだ理性や良心、艦娘としての最後の一線は保っていると信じ、まずは対話を優先します」

 

「確かに命は取らなかったし、怪我の程度も入渠ですべての艦娘が身体の傷は全治したとの事だが……」

 

「対話に応じた場合はどうするつもりかね?」

 

 

 おそらくあの『鈴谷』であろう深海棲艦は、野蒜に帰りたいだけなんだと思う。だから艦娘から装備や艤装を、人類側の拠点や沿岸施設から資材を奪ってはいるけと、その傘下の深海棲艦は駆逐艦にいたるまで人的被害だけは出していない。

 それどころかデンマークの漁船が濃霧の中で出会った深海棲艦の重巡にいたっては、驚いて海に転落した船員に対して奪った物資のなかにあったと思われる空き箱を投げて渡したとの報告もある。

 

 あの深海棲艦だけでなく傘下全てがもし交渉で無力化できるのなら、古代帝国が国境付近の異民族と持ちつ持たれつやっていた共生すら可能になるかもしれない。

 

 

「もし、もしだ。『冷戦』体制とまでは行かずとも『今そこにある脅威』としてあり続けてくれるのなら、私は今後も世界の秩序と平和のため欧州議会を代表して交渉に臨むべきだと考えている」

 

 

 作戦会議室では政府と民間側の代表として欧州議会議長とハプスブルク家の人が参加している。

 深海棲艦が弱体化しただけでこれだけ人類側が『戦後』を見据えた暗闘に大騒ぎなわけで、もし戦後の準備が終わらないうちに『居なくなったら』どうなるかなんて考えたくもない。

 艦娘が人類の争いに巻き込まれることだけは避けたいし、あってはいけない。それはこの艦隊に居るみんなの願いだ。

 

 

「北極圏……カナダや北欧諸国、ロシアは思うところがあるだろうが、北極や南極、いずれの国家にも属さない領域であれば戦後の影響は大きく抑えることができる」

 

「勝ち筋が見えてきたからこそ、もうこれ以上はゴメンだという気持ちも兵に広がり始めている。次の100年は平和でいたいと、私はそう思っているよ」

 

 

 今回の陰謀劇で、世界各地で深海棲艦との戦いが『続いてほしい』人々が検挙され、排除され、あぶり出されている。

 種の絶滅戦争であったこの戦いが、人類の長期平和をもたらすきっかけになるのなら、たとえか細い道であったとしても、その道に進もうと人類はしている。

 それはとても良いことだと思いたいし、なにより深海棲艦が怨みや哀しみの感情をもとに動いている事から、できれば救ってあげたいと思っても許される余力が人類に出てきはじめている。

 

 

「傍受した漁船の目撃情報によると、進路から今回の沿岸襲撃はおそらくヘルゴラント島の独海軍潜水艦燃料補給基地。重巡1、軽巡1、駆逐4、輸送船8の小規模襲撃艦隊。現在の当艦隊で十分対処可能だ」

 

『ヴィツェ-アドミラル・クラコフ』艦長が作戦スクリーンに海図を表示させ、船員に指示を出すと漁船の位置情報と敵艦隊の予測位置、レーダー妨害を受けているエリアなど情報が次々と表示されていく。

 その中に日付と時間が書かれた赤い文字。タイムリミットと書いてある。

 

 大量検挙や主だった組織が壊滅し、焦った欧州議会やNATOの戦争長期化派は、今のタイミングで深い所までついに動き始めている。

 

 このまま行くと、おそらく各長の不在を理由とした権限移譲と権力掌握までのタイムリミットは2日。

 今日中にこの小規模艦隊との接触や鈴谷さんと思われる深海棲艦達との休戦などの手土産を持って、再び表舞台に戻ることができれば、動いてしまった奴らはハシゴを外され一気に殲滅する事ができる。

 

 幸い今回我々と行動を共にしている軍人さんの1人が英軍の信頼できる飛行艇を確保しているため、事が終われば一気に欧州に戻れる予定だ。

 対潜哨戒機や護衛戦闘機も英軍と露軍の信頼できる部隊に手配済みとのこと。

 三笠さんの故郷とボレーニン艦長ありがとう!

 

 

「山本提督、貴女と貴女の指揮する艦娘達に神の祝福あれ。ご武運を」

 

 

 偉い人たちと次々に握手し、船の皆さんとも握手を交わす。欧州の……いや、人類の興廃此の一戦に在り、かな?

 

 

「Z旗はありませんが、またこのような大任、身が引き締まります。2度目の勝利を提督と人類に」

 

 

 三笠さんが握手をしてくれる。とても温かい……いつまでもこうして握っていたい。

 

 

「提督、感動のシーンが台無しじゃ。そのふにゃけた顔と三笠の手をにぎにぎするのをやめんか……」

 

 

 しかしだねぇヘッセンさん、そうはいっても……あー三笠しゃんのおててあったかいんじゃ〜

 

 まって三笠さん違うのおててすべすべだなって意味で握力勝負じゃなあいだだだだだた!!!???

 

 

 

 

 

 

 

 

────ヘルゴラント島沖 山本提督『艦娘 摂津』

 

 

 深海棲艦が現れる海域周辺には濃い瘴気が漂い、レーダーによる索敵、衛星からの偵察、現用機による高高度空撮ができず、瘴気に耐えうる艦娘の艦載機か潜水艦による海中からの偵察、サーマルやハイドロフォン、アイボールセンサーMk1(目視)による近距離探査のみしか行うことができない。

 

 だか、逆に考えると、レーダースクリーンで不自然に塗りつぶされたエリアがあれば、そこは深海棲艦が居るか何らかの異常がある海域だと分かる。

 

 コレにより、偵察については各国軍の偵察機や哨戒機による高速・広範囲偵察する事で、おおよその敵艦隊の位置を捕捉し続ける事が出来る。

 

 あとは瘴気の中に突入できる艦娘艦載機の水偵や艦攻などで詳細な位置を偵察できれば初めて接敵することができる。

 三笠さんの授業で習ったが、艦娘登場直後はいたずらに駆逐艦を偵察に出して帰らなかったり、通常潜水艦による決死の偵察などで多くの犠牲を出したらしい。

 

 その後まだ艦娘が駆逐艦や良くて軽巡しか居なかった頃は、帰らなかった艦艇の居たエリアへ放射状に対艦ミサイルを斉射し、爆発音を確認した方角に角度を絞って再度対艦ミサイル攻撃を盲目発射する。なんて事もやっていたそうだ。そりゃミサイルの在庫が尽きるわけである。

 

 これが姫級が出てくるともう海域レベルで瘴気にのまれてしまう。こうなるとミサイルつるべ打ちどころではないので、本当に人類は追い詰められていたのだ。

 

 

「提督、水偵より連絡。敵艦隊を確認。重巡1、軽巡1、駆逐4、輸送船8の小規模襲撃艦隊、輸送船は複縦陣、その先頭に単縦陣で敵戦闘艦。間違いありません」

 

 

 振り返ってこちらに報告してくれた三笠さんに返事と手を振って確認の合図をだす。無線封止中のため、声と合図だけが頼りだ。艤装に取り付けた作戦用タブレットは瘴気による障害で圏外になってしまっている。

 

 今回のこちらの戦力は

 

超弩級戦艦 リヴェンジ 

準弩級戦艦 摂津

前弩級戦艦 三笠、ヘッセン

軽巡    ケルン

駆逐艦   リヒャルト・バイツェン、ブルザ、ブリスカヴィカ

 

超弩1、準弩・前弩3、軽巡1、駆逐3の襲撃部隊

 

 

母艦である通常艦隊直掩として

 

超弩級戦艦 カナダ 

前弩級戦艦 シュレスヴィヒ・ホルシュタイン

 

対空護衛艦 フギン、ムニン

駆逐艦   スレイプニル、オーディン

 

 

超弩1、前弩1、駆逐・護衛艦4の護衛艦隊

 

 

 

この2艦隊に分離している。

 

 

 まずは私たち襲撃部隊で距離1万mまで距離を詰め、そこから対話を試みるためにありとあらゆる対処を実施予定だ。

 距離を詰めなければ前弩級戦艦の船速では取り逃してしまうし、直接会話可能距離まで近づいてしまえば雷撃の危険がある。

 

 行動的にこの敵艦隊は報告の『犠牲者を出さない』深海棲艦艦隊の可能性が極めて大だけど、実際には接近して確かめるしか───「ブロー音探知! 潜水艦、正面来るよ!!」ええっ!?

 

 

 ブリスカヴィカさんの声と共に水面が泡立ち始める。

 先頭の三笠さんの前にブリスカヴィカさんとブルザさんが加速して出てきて艤装の爆雷を準備する。

 

 ここに来てまさかの敵潜水艦である。しかもこちらで探知できてなかったにもかかわらず雷撃もないとなると、完全にこちらに気がついていない……?

 いや警戒は必要だ。徐々に浮上し、頭と胴体が見えてくる……うーん、潜望鏡も上げずに浮上してきてるし、随分とゆっくりだし、なんだこやつ。

 

 

(シューコー)ノシ

 

 

 ???

 

 

(シューコーシュー)ノシ

 

 

 ???

 

 

 「山本提督、あの潜水カ級は……?」

 

 「やけに馴れ馴れしいのぅ」

 

 

 爆雷片手に臨戦態勢だったブルザさんが思わずずっこけている。ヘッセンさんもすさまじくあきれている。

 

 そう、浮上した潜水カ級はマスクの呼吸音を響かせながらこちらを見て手を振っているのだ。どういうことなの???

 

 その時私の脳内に電流が走る。

 

 あっ、お、おまえーーー!! 野蒜沖で鹵獲された潜水カ級のカーちゃんか!

 

 

ヾ(シュッコーコッー)ノ

 

 

 なんか喜んでる。当たりっぽい。

 

 

 「山本提督、これ攻撃しなくてもいい?」

 

 「カー、なぜここに居るのですか?」

 

 

 ブリスカヴィカさんはとりあえず爆雷を戻しつつも困惑し、三笠さんは近寄ってナデナデし始める。

 なんとなく潜水カ級もといカーちゃんも嬉しそうだ。

 

 

φ(シュココー)メモメモ

 

 

 三笠さんの艤装に付いていたメモタブを受け取ると何やら書き始める……なになに? 『じごくからのししゃ!』

 

 

 デッデデーン……三笠さん、どゆこと?

 

 

「なるほど、接敵の前に使者として敵艦隊と話してくるつもりのようです。あの娘の艤装についてるドラム缶は贈り物の資材のようですよ」

 

 

 燃料補給基地を襲いに来てるから、最悪この燃料で何卒ってできるって事……?

 ま、まあそれなら一度お任せしてみるか……とはいえカーちゃんの安全のため、こちらもギリギリまで接近して待機。

 特にブリスカヴィカさんはその最大船速を活かして援護お願いね。何かあったら煙幕と牽引よろしく。

 

 

 「うん……なんか納得いかないけど、わかった」

 

く(シュコー!)

 

 

綺麗な敬礼である。

それにしてもこの贈り物作戦、誰が考えついたのやら……カーちゃんが自分で思いつくわけないし。

 

٩(フースーフーフー)۶

 あっ、首コキコキしながらタバコ吸う真似はじめた。なるほど、樋口一佐のアイデアだな。わたしはくわしいんだ。

 

 もう一度手を振ると、すっかり気が抜けてしまった我々襲撃部隊を置いてカーちゃんが敵艦隊に半潜水状態で向かっていく。

 半潜水状態なら即潜航退避もできるし、深海棲艦からみて仲間だとわかるわけで。

 ヘッセンさんが艦列を崩さぬようにの、と艦隊に注意しつつうしろから不満げな目で見てくる。

 

 

 「そのカー? が帰ってくるまで根掘り葉掘り話を聞こうじゃないかのぅ?」

 

 

 そんな艦隊の皆を無視して三笠さんはご安全に〜と手を振って見送っている。

 懐かしいな、あれは野蒜沖で哨戒機からの爆雷やアスロックで気絶して浮いてきた時から───「ながい、山本提督簡潔に」あい

 

 

「そのカーが帰ってくるまで根掘り葉掘り話を聞こうじゃないかのぅ?  のう? のうのうのう??? 」

 

 

 はい、ヘッセンさんが怖いのとブリスカヴィカさんにも長いと言われたので端的に纏めよう。

 

 あーこほん。

 

 めちゃくちゃよーしよししながらニコ◯コ動画四六時中見せてたら敵意がなくなって野蒜鎮守府のペットポジションになってた深海棲艦潜水カ級のカーちゃんです。

 

 艦隊のヨーロッパ参加組は顎が外れそうなぐらい驚いている。ちなみに三笠さん以外の野蒜鎮守府組も凄まじくあきれてる。あれ、なんで???

 

 

 「提督、カーは研究棟に居たのと、広報もしていませんから私と秘書艦業務の都合上、富士しか知りませんよ」

 

 

 えっ、そんな機密っぽい扱いしてたっけ……

 

 

「うちの提督は凄いんじゃかアホなんじゃか」

 

「なんというかお察し。野蒜の皆さんお疲れ様」

 

「」

 

「」

 

 

 ドイツ組のケルンさんやリヒャルト・バイツェンさんは完全について行けずフリーズしてしまっている。

 わかるよ、正直私もそうだし。

 

 ところで三笠さん、野蒜の研究棟にいるはずのカーちゃんがなんでヘルゴラント沖に? 何か知ってる?

 

 

「……かなり前ですが、カーに専用の追跡装置をつけて深海棲艦の泊地や補給地点を洗い出すという任務のため放流したのですが、許可したのは提督では?」

 

 

 あーうん、そうそう! そうだよね! 各地で補給しながら欧州方面に向かってて『逆バルチック艦隊かよ』とか富士さんと話してたね思い出した!

 

 インド洋ではそれで紅茶を護りに来ていた英国戦艦部隊によって島ごと深海棲艦側の補給基地がぶっ飛ばされたとかなんとか。

 

 

「深海棲艦を、懐柔……?」

 

「わからない、文化が違う」

 

 

ドイツ組は頭を抱えて現実を拒否し始めた。

 

 

「変な人達」

 

「まとめてくくると艦娘達がかわいそう」

 

 

 ポーランド組はひたすらあきれている。なんかどうでもいい感じのようだ。ブルザさんにいたっては爆雷の点検を始めてしまっている。

 

 あれ、リヴェンジさんは? そういえばおとなしいけど。

 

 

「リヴェンジなら最初から気を失っとるよ。そこで伸びておる」

 

 

 いつからかはわからないけど、リヴェンジさんはもはや気を失って水面に倒れ込んでしまっていた。なんかこう、わからんでもないかもしれない。

 ごめんねリヴェンジさん。いつもあなたはこうしてドタバタ限定の被害担当艦になっちゃうよね……

 

 

「リヴェンジさん、破天荒に見えて不知火さん並みの常識人ですからね」

 

「……コレが常識人?」

 

 

 哀れみの目でリヴェンジさんを見つめる三笠さんに、倒れているリヴェンジさんに手で水鉄砲をかけて遊んでいるヘッセンさんといい、カーちゃんが見えなくなった頃にはすっかり艦隊の戦意と緊張感は霧散し、なんかもういいやになったので帰ろうみたいな感じになってしまった。

 

 わ、私はわるくぬぇ!! 悪くぬぇ!!

 そんなこんなしていると、無線封止中にもかかわらず敵艦隊の方向からモールス信号が。えーと、……三笠さん!(丸投げ)

 

 

「お な か ま ん ぷ く お れ い」

 

「との事じゃ」

 

 

 まだ伸びてるリヴェンジさんに膝枕してあげているヘッセンさんが、三笠さんと一緒に教えてくれた。

 これは交渉成功かな……? 

 そして再びモールス信号、えーと、三笠さん!(丸投げ)

 

 

「む か う お れ い」

 

「律儀な奴じゃの」

 

「一応警戒態勢、戦闘準備?」

 

 「山本提督はかしこいですね、ここまでおみとおしですか」

 

 「そうですね、山本提督はすごい策士ですね」

 

 

 ああやめてポーランド組のお二方、美少女駆逐艦娘のジト目は───「前方半潜水の潜水カ級確認、あと……軽巡1」

 

 

 双眼鏡で確認したのか、ブルザさんが教えてくれる。

 もう一隻の軽巡は使者か何かかな? まさかここまでうまくいくとは。

 

 すると主砲をこちらに向けないようにした状態の軽巡ツ級がカーちゃんと一緒にやってきた。

 ご丁寧に白旗を片手に持っている。

 

 

 「停船せよ、停船せよ、こちらは大日本帝国海軍野蒜鎮守府所属、戦艦三笠、軽巡ツ級、停船せよ」

 

 

 拡声器を使って先頭の三笠さんが停船を促す。

 カーちゃんが連れてきたなら大丈夫だとは思うけど警戒するにこしたことはない。

 

 

(シュコー)ノシ

 

(ギチギチ)ノシ

 

 

 歯ぎしりしながら軽巡ツ級は手を振ってきた。

 

 なんだか変な挨拶が深海棲艦に流行ってしまった!?

 

 

「あ、頭が痛いです……」

 

「ケルン、強く生きるのです……」

 

 

 あ、ドイツ組が再び現実を直視できないでいる。気持ち、わかるよ……訳わかんないよね。

 人類の不倶戴天の敵だったはずの深海棲艦がなんかこう、アホっぽい動作で目の前に敵意なく居るんだもの。

 

 臨検に向かった三笠さんとブリスカヴィカさん。しかし臨検は早々に終わったのか三笠さんが軽巡ツ級に軍用チョコレートをあげている。半分に割って自分で一口食べたあと、残りの半分を差し出した。

 

 ツ級は手に持った白旗をパタパタさせたあと、銀紙ごと食べてしまう。なんだか苦しそうに震えたあと銀紙を吐き出し、その場でくるくる回り始めた。

 銀紙が歯に染みたのかもしれないが、くるくる回っているところを見ると美味しかったのだろうか?

 

 カーちゃんも手で海面をパチャパチャして三笠さんに多分チョコをねだっている。

 

 

「かわ、いい……?」

 

「何も分からない。文化が違う」

 

 

 ドイツ組はついにその場で座り込んでしまった。ケルンさんにいたってはもうほぼ体育座りである。

 

 

 

「……はっ!? なんだか夢で深海棲艦の潜水艦と仲良くしてる三笠をみた気がするが、気の所為だった───

 

(シュコー)ノシ

 

(ギリギリ)ノシ

 

 

───きゅぅ」

 

 気絶から復活したリヴェンジさんが膝枕していたヘッセンさんの顎を中破させながらガハッと起きたが、手を振る軽巡ツ級とカーちゃんを見て再び意識を失い倒れてしまう。

 

 しっかりしてリヴェンジ! 貴女が居ないと常識枠が私しか居ないの!!

 

 

 

「帰りたい」

 

「何で僕らこの提督についてきちゃったんだろうね」

 

「そうじゃな、ドイツ組はもう帰ろうかのぅ」

 

「「貴女はこっち側じゃない」」

 

「ドイツ艦なんじゃが……」

 

 

 さて、まずはツ級に話を聞いてみましょうか……どうやって話せばいいんだ???

 

 




皆様、よいお年をー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。