旧式鎮守府物語   作:あおさ海苔

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もう一度建造するそうです?

さてさて、慰安旅行も終わりまして訓練艦娘達のメンタルも大分回復したみたい。

 

教官の三人も新しい訓練計画建てたみたいだし大丈夫でしょう。三人もこの訓練期間が終わったら褒めてあげないとね。

 

 

しかし今まで実務系を三笠さんにやってもらっていたから、三笠さんが教官職もはじめたので一人でやろうとしていたけど、悲しいかな段々滞り始めてきてしまった。

 

うーん、ここは一回建造やってみますか!

実務補佐できる人なら秘書艦務めてもらうし、戦闘系ならああ見えて実務得意な富士さんの負担を減らしてあげようっと。

 

 

「けんぞうするー?」

 

「またおまもりかりるねー」

 

「これでちんじゅふのみらいはあかるい」

 

「なにかされたようだー」

 

 

 

んん? 妖精さん? なんか今みんなと違う服装の妖精さん居なかった?

 

 

「だれー?」

 

「どこー?」

 

「ちくわだいみょうじんー」

 

「すぱいかー?」

 

「だれいまのー??」

 

 

 

まぁいいか。妖精さんは妖精さんだしここは信用して建造ボタンポチッとな!

 

 

 

 

 

 

 

───2時間後

 

 

「提督、建造されたと聞きましたが経過はどうですか?」

 

 

ああ三笠さんお疲れ様です。

 

三笠さんに縁のある人だから大丈夫だとは思うけど、どんな娘が来るんだろうね?

 

 

すると妖精さんがとてとて歩いてきたので結果を聞くとどうやら海防戦艦との事。なんか強そう!

 

だって海を守る戦艦でしょう? これは富士さんの補佐にピッタリ! あれ? そうすると私の補佐はもう一回建造しなきゃ駄目そうだ……

 

 

「えっ、着任の挨拶に行けない? どうしてですか? 私のように下肢に力が入らないとか……」

 

 

 

 

次の建造の事を考えていたら、なにやら問題発生の様子。

 

三笠さんの質問に報告しに来てくれた妖精さんは辛そうに三笠さんにこう答えた。

 

 

───新しい艦娘が言うには

 

自分は『廃艦第七号』。 三笠さんに合わせる顔が無いから解体してほしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの子は! ああやっていつも自分のせいだって! あの事件なら私だってそうだし、性能的にどうしようもなかったじゃないですか!」

 

 

あわわわわわ、三笠さんがすごい形相で行っちゃった! これはこのまま行かせたら絶対こじれるやつだ、止めなきゃ!

 

 

 

「提督! これは『見島』……いいえ、『アドミラル・セニャーヴィン』と私の問題なんです! あの子はっ、あの子はっ!!」

 

 

んん? 今度の娘は名前が2つあるの?

 

 

「はい、日本海海戦で私達と戦い鹵獲されたのです。その後一緒にシベリアに行って……あの事件……」

 

 

三笠さんの目にどす黒い感情か渦巻く。

駄目だ、きっと『コレ』はイケナイ。

 

よくわからないけど艦娘が艦娘でいられなくなっちゃう気がする!

慌てて追いかけて三笠さんの顔を両手でしっかり捕まえる。

 

駄目だ、濁った目は私を見ていない!

 

 

「行かなきゃ……あんな事は二度と……」

 

 

三笠さん? 三笠さん! 私を見て!!

 

 

「行かなきゃ……イカナキャ……」

 

 

三笠! 私を見ろ!! その感情に呑まれるな!!

 

 

「え、あ、ていとく?」

 

 

……大丈夫たから、貴方は私の艦娘で、大事な初期艦なんだから。

 

よくわからないけど、建造された娘さんと何か嫌なことあったんだよね?

 

 

「はい、とても……とても辛い記憶です……」

 

 

そっか、ねぇ、貴方はなんて名前?

 

 

「え、あ、は、はい! 敷島型戦艦四番艦『三笠』です」

 

 

そう、貴方は世界に誇る船。辛い思いも楽しい思いも、その全てを誇りとして、私と一緒に来てくれますか?

 

 

「……先程は取り乱して失礼しました。はい、閣下のご息女としてではなく、『私』の提督として。那由多の果てにでもお供いたします」

 

 

よしよし、ありがとう三笠さん。じゃあ会いに行こうか。『私の艦娘』に。

 

 

「はい、『私の提督』───」

 

 

 

 

 

 

 

 

───建造ドック

 

 

「はやまっちゃだめー!」

 

「おとこのひときてー!」

 

「おちついてー!」

 

 

 

「だめだ! 自分は三笠さんと一緒に居ちゃ行けないんだ! せめてひと思いにっ!」

 

 

 

 

あわわわわわわ、なにやら銀髪でロシア系のちっこい艦娘さんが妖精さんとすったもんだしてる。

 

言葉の端々からとても事態は切迫しているみたいだ。

 

 

「アド……ッ……くぅ……」

 

 

三笠さんが無理に車椅子から立ち上がろうとして倒れてしまった。

 

その音に気がついたのか建造ドックにいたみんなの視線が集まる。

 

 

 

 

「三笠さん……自分は……自分は……」

 

 

手助けしようと手をさしだそうとするもすぐ引っ込めてしまい、唇を噛みしめる艦娘さん。口のはしからすっと血が零れた。

 

 

三笠さんも地面に座り直したが、俯いて何も言えない。

 

とっさに話しかけようとすると、真剣な目で三笠さんは私を見つめてきた。

 

 

うん、わかった。『任せるよ』

 

 

 

 

 

「貴方の名前はなんですか……」

 

「じ、自分は廃艦───「No!! 私達をぎりぎりまで追い込んだ栄えあるロシア帝国海軍バルチック艦隊所属海防戦艦、その名前はなんですか!」違う、自分は……」

 

 

「共に歴史に残る大海戦を闘った栄えあるアドミラル・ウシャコフ級海防戦艦二番艦の名前はなんですか!

 

 共に青島やシベリアで闘った大日本帝国海軍海防艦の名前はなんですか!

 

『廃艦第七号』なんて名前は聞いてない!

 

Please answer!!」

 

 

 

ドックに響き渡る三笠さんの大声。

 

でも、それはきっと心の底から誰かを叱る優しい怒声。

 

 

銀髪の艦娘さんはその声を真正面から受けた。そして俯いていたその顔を上げ、悲しそうな、世捨て人のような失笑を止め、きりりと目を引き締めると完璧な動作で敬礼してこう答えた。

 

 

 

「我が名は『アドミラル・ウシャコフ級海防戦艦 アドミラル・セニャーヴィン』! 偉大なるロシア帝国海軍バルチック艦隊の仲間と共に地球を半周し対馬の海戦で敗れるも、大日本帝国海軍の一員として青島、シベリアで貴方と共に戦った! そう、今の我が名は『見島』だ!」

 

 

見島、その言葉を聞いた時視界が真っ白になった。

 

ほんの数秒かもしれない、これが見島から溢れ出る光の影響だったと気がつく。

 

 

視界が戻った時、そこには両手にトンファーのように2連装の砲塔を装備し、帝国海軍の紺服を着た銀髪の艦娘が居た。

 

 

「かいにー!?」

 

「れんどいちなのにかいにーー!!」

 

「だいごのちからだよ!」

 

 

んん? 妖精さん、『改ニ』って何?

 

 

「けいけんをつんだかんむすができるちからー」

 

「すーぱーさいやじんー」

 

「あいのちからだよ」

 

 

ほむ……よくわからないけど三笠さんの見島さんに対する深い深い親愛が練度の壁を打ち破って改ニをもたらしたんだね。

 

 

「三笠さん、ありがとう……貴方の気持ち、伝わりました。だから貴方に信頼されている限り自分は最期まで貴方の信頼を裏切らない。だから、共に戦って欲しい……」

 

 

「ええ、もちろんですよ見島。ただでさえこの鎮守府には戦える艦娘が少ないんです。しっかりと戦ってもらいますからね」

 

 

 

……えっと、あのー三笠さん? 見島さん? 貴方達の提督はここですよー?  見島さんは三笠さんを立たせてあげるのはいいんですけど、なんでお姫様抱っこ?

 

そしてなんでそんな嬉しそうなの三笠さん?

 

 

 

そっか……これは………

 

 

 

やっぱり女の娘はこんなシチュエーションでお姫様抱っこされたらキュンと来ちゃうよね!!

 

 

 

 

 

「づかかー?」

 

「はしれーていこくかげきだんー」

 

「それちゃうわー」

 

 

 

あっ、まだ私見島さんから着任の挨拶もらってないや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




※アドミラール・セニャーヴィンの改造

レベル1  『廃艦第七号』

レベル35 『アドミラール・セニャーヴィン』(改)

レベル75 『見島』(改ニ)

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