「お願いします! 鈴谷を、鈴谷を訓練に参加させてもらえませんか!!」
「不知火もぜひお願いします……このままでは終われませんっ」
演習が終わった後、横須賀鎮守府の提督さん(横須賀には複数提督が所属しており、今回の演習相手)から
「睦月がトラウマになってる」
とか
「長門が演習後余暇も取らずに訓練三昧になってしまった」
とかあれこれ苦情が来てたんだけど、島村首席参謀から
「†解決しといた†」
というお人柄から想像する中身の斜め上を行く電報が届いたのと合わせて、なぜかあの演習で横須賀所属だった航空巡洋艦の鈴谷さんと、駆逐艦の不知火さんが訓練に参加したいと鎮守府入り口で頭を下げていた。
「あっ、提督。その、お二人が先程から……」
「古鷹さんごめんね。古鷹さんも訓練生なのに対応してもらっちゃって」
「いえ、これも秘書艦業務訓練の一環ですから」
横須賀組の二人が鎮守府入り口で私を待っていたのを朝のランニング中に古鷹さんがみかけたようで、とりあえず対応してくれていたみたいだ。
さて、訓練に参加したいという意気込みは良いんだけど、ここ軍事組織だからさ、そこらへんはしっかりと筋通さないと行けないわけで……うぅ、あんまりやりたくないなぁ。
こほん。さてさて、鈴谷さん、不知火さん、お二人がこの鎮守府で訓練に参加するにあたって何点か確認したいことがあります。
まず一つ目、横須賀鎮守府よりこの鎮守府に来るための外出許可、または出張や赴任に関する移動許可は取りましたか?
「「はい」」
よろしい、では次に当鎮守府で訓練を受けるためには一時的に当鎮守府所属になる必要があります。私の命令系統で動く必要がありますからね。辞令はありますか?
「はい、こちら島村首席参謀よりいただきました」
「鈴谷達は、横須賀に戻るつもりはありません。全てを護れる艦娘になりたいんです、ここで! たとえ血の滲むような訓練であったとしても!」
す、すごい覚悟だ……そして辞令も確かに正規の物。よし、なら今日から貴方達も『私の艦娘』です。
しっかり訓練して行ってくださいね。
「「はい!」」
うんうん、元気だね〜期待してるよ〜
───3ヶ月
「特殊艤装試験駆逐艦、不知火着任します」
「同じく特殊艤装試験巡洋艦、鈴谷着任します!」
んんん? ここ訓練鎮守府だったのにいつの間にか試験もやるようになっちゃったぞ!?
「山本提督、早速ですが彼女たちにテストしてもらいたい装甲板なと各種装備がありますのでよろしいですかな?」
「いやここは先に空自の新型フレア装備を……」
「いやここは陸自の新型徹甲弾のテストを……」
いや、それならいっそのこと鈴谷さんに海自の装甲板ユニットを盾として使ってもらって、不知火さんに空自の新型フレアを使ってロック妨害してもらいながら新型徹甲弾のテストを鈴谷さんにすればよいのでは?
「不知火、燃えてきました」
「よっし、装備テストなら鈴谷にお任せ!」
「「「同時テストの発想は無かった!」」」
そんな着任の挨拶と共に鈴谷さんと不知火さんはそのまま各自衛隊のみなさんと一緒に退出していった。
あーうん、なんだか陸海空の自衛隊さんも本格的な対深海棲艦装備の開発をしているみたいで、ここで装備テスト始めるようになるみたいです。
海自の基地は宮城にはなかったんだけど、あっというまに奥松島に基地を作ってしまいました。
たしかに基地作るノウハウはうちの鎮守府はあったし、陸自さんが作ってきた『工作用艤装』とかいうもはや見た目がガンダムに出てくるアッグみたいな艤装を使ったりで手伝ったらすぐできた(使った利根さんは恥ずかしくて泣いてたので目一杯甘やかした)
なーんでか知らないけど、どんどんと増強に増強されて、本当にこの近海は訓練用海域なんだろうか? ってぐらいの戦力である。
最初は横須賀鎮守府傘下扱いだったのに、東北太平洋方面統合運用隊とかいう組織の傘下に入り、陸自、海自、空自、海軍の統合部隊に名を連ねてしまった。
東北太平洋方面統合運用隊
総指揮
陸上自衛隊 東北方面総監
傘下部隊
陸上自衛隊
多賀城駐屯地
「第22即応機動連隊」 他
仙台駐屯地
「東北方面特科隊」他
海上自衛隊
第16護衛隊(奥松島)
DDH-199 「りゅうほう」
DDH-143 「しらね」※故障のため繋留
DDG-171「はたかぜ」
DE-255 「ひろせ」
DE-256 「ななきた」他
航空自衛隊
松島基地
F-35×2(対空)
F-2×2(対艦)
F-4EJ改ニ×2(爆装)
T-4改×6(訓練機兼務)
F-1CCV×8(対艦)
大日本帝国海軍
野蒜訓練鎮守府
記念艦「三笠」
練習特務艦「浅間」
海防戦艦「見島」
航海学校保管艦「富士」
また、ご近所の海上保安庁塩釜管区に巡視船数隻も所属している。
あれ? 深海棲艦による攻撃で海上艦艇を解体現場から再生してるレベルのはずなのに戦力デカすぎでは……?
「横須賀が主攻、大湊が防衛、宮古や単冠で船団護衛、そしてここ野蒜で訓練と既存戦力との統合作戦演習をするようですよ」
そっか……確かに太平洋側は大半艦娘部隊で、舞鶴とか日本海側は護衛艦メインだもんね。
でも現状深海棲艦に対する既存兵器による攻撃は重巡級以下に対する飽和攻撃により凄まじい費用対効果でなんとか撃沈できるかできないからしいので、自衛隊も安くかつ強力な打撃力が欲しいんだろうなぁとは思うんだ。
そこで、ここで艦娘は訓練し、自衛隊は艦娘と共に既存兵器を改良するって事で落ち着いたんだろうなぁ……あれ? もしかして私責任重大?
「Yes. しかも地域住民からの期待も高まってるネ。漁業への支援も必要ヨ」
「自衛隊の警務隊が対応してくれていますが、自分も最近『観光客』をよく見かけるようになりました。人類一枚岩とは行かないようですね」
「まぁ俺は自衛隊と訓練するのは嫌いじゃない。なんといってもあのガッツは時代が変わっても熱くなるものがあるよ」
うーん、うーん、私は1鎮守府の司令官だよぅ……
「古鷹入ります。お話中失礼します。あ、あの……提督、陸自の方が当鎮守府でカレーを振る舞いたいとの事で……既に到着しており、野戦炊飯部隊が設営許可を求めてるのですが」
あーもう! 古鷹さん! 許可しちゃって!! シーフード以外なら食べるっきゃない!!
この世界では既存兵器による攻撃は通用しますが、カスダメ程度なのでどれだけ火力を投入しないといけないかはお察しください