悠久の機甲歩兵・・・もしも、序盤からもう1人パイロットがいたら・・・   作:てとるマン

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誤字修正の報告がありがたいと感じる日々しかないてとるマンです。今回はオリジナル強めで展開していきますが上手く纏まっているかは不安です。
そしてファティマとアポロニアを間違えてしまう痛恨のミス発覚!!
竹氏(骨)さん指摘とてもありがたいのです(泣


過去の遺物

 

 

 さて、そういえば忘れていたのだがこの前のフラッシュバックについてである。

 余り良い記憶とは言えなかったが何も悪い事ばかり思い出しただけではない。実はあの時、昔の戦い方を思い出したのである…正確には感覚をだが。

 

 今から半日程前のブラットバイトに対する狙撃もその一つであり、思い出す前は命中率は余りよろしくなかったのでありがたかった。

 そしてもう一つ思い出した事がある。

 

「あの〜ゼロさん?ほんとうにやるんですか?」

 

 俺に対して少し困惑気味に質問してきたのは猫耳の少女ファティマで、現在俺に対して10メートル程離れた位置でその辺で拾った木の棒を構えて立っていた。因みに俺は恭一から借りた銃剣付きの小銃を構えつつ、どう動くか頭の中を整理する。

 

「ああ、ちょっと試してみたくなって…それに腹ごなしにはちょうど良いだろ?」

 

「それもそうですね〜ボク、お兄さんにこの前負けたのでゼロさんとも戦ってみたかったんですよ〜」

 

何故こんな状況かと言うと、俺がもう一つ思い出したのは近接格闘についてだったので、この前恭一と模擬戦して且つ、最近欲求不満だったらしい彼女のストレス解消に丁度いいと思い、晩飯が出来るまで模擬戦をしないかと誘ったのである。

 

 

 俺はその辺に落ちていた小石を拾い手で遊びながらファティマに言う。

 

 

「今からこの小石を上に投げるから、この石が落ちてきた瞬間に開始って事で良いか?」

 

「いいですよ」

 

 了承を得たので俺は小石を上に放り投げる。

 

 

「いや〜楽しみですね〜お兄さんは変わった戦い方をしてましたけど、ゼロさんもするんですか?」

 

「それはやってみてからのお楽しみって事で…」

 

 

 小石の落下音が響いた瞬間、ブラットバイトの突進に引けを取らないスピードでファティマが突っ込んでくる。

 

「シャァァ!!」

 

斜め上から上段振りでくる棒を、俺は構えていた小銃を少し横に倒してこの一撃を受け流す。

 

「…つっ!!」

 

両腕が受け流した衝撃で震えている。恭一がファティマとの模擬戦を嫌がった理由がよく分かったが、俺がそんな事を考えている間も彼女の攻撃は止まらず、先程の勢いのまま棒を俺に向けて振り払ってくるが、流石に連続で受け流すのはまずいと感じ、バックステップで下がりながら風切音が凄まじい棒を回避する。

 

「まだまだいきますよ!!」

 

 ファティマがそう言うと先程よりも俺に接近し、居合の構えのように袈裟斬りを放とうする…が残念ながらその距離は俺の間合いである。

 

 ガン!!と鈍い音が響き渡り、その音と感触にファティマは手応えを感じたようだが油断を全くしていなかった。

 

 それはそうだろうなんせ俺が、ファティマの一撃に対して微動だにせず立っていたからである。

 俺は咄嗟に右足を胸の高さにまで上げてファティマの一撃を受け流していたのだ。

…プレートアーマーを足には着けていたとはいえ少々…いや、かなり痛かったがそれでも腕で受け止めた時よりは遥かにマシであった。

 

「…さて反撃開始と行こうか」

 

 俺がそう言うと右足を股関節と逆側に90度程捻り、前に突き出すように蹴り上げてファティマが持つ棒を弾き出す。

 

「うにゃ!?」

 

 

 俺の動きにファティマは軽く動揺しているようなのでこれを機に俺は一気に攻める事にし、まず手始めに左足を軸にした回し蹴りを放つ。

その動きにファティマは食らいつき、棒で俺の蹴りを受け止めるが態勢が悪かったせいで蹴りを受け止めきれない。

 だか彼女とて戦士である。その程度で勝負が決まる筈もなく、蹴りを受け止めきれないと見るや棒を手から離し、右足を振り上げているせいでガラ空きの俺の胸に右ストレートを放ちにきた。

 

 

「もらったぁぁ!!」

 

 だが彼女の一撃は虚しくも届かなかった…何故なら俺が左手で保持していた小銃を両手で構え、その銃身で彼女のパンチを受け止めたからである。

 攻撃を完全に受け止めたられたファティマが呆けている隙に、俺は彼女の足を軽く払い尻餅をつかせた。

 

「…ふぅ、俺の勝ちだな」

 

「…むぅ、また負けてしまいましたね…」

 

「おーい、そちらのお二人さーん。ご飯出来たっスよぉ〜」

 

 

 俺達の模擬戦が終わったのと食事が出来たのが同時だったらしく、これにてファティマとの模擬戦はお開きとなった。

 

 

◼︎

 

 

 あれから、食事を終え、各々が自由にしている中、俺は昼間に使った対マキナ狙撃銃の手入れをしていた。

 そんな時、俺にダマルが声を掛けてきた。

 

「なぁ、ゼロよぉ。さっきのファティマとの模擬戦見てたがよ…前に恭一とやった時と動きが全然違ってたが何かあったのか?」

 

「ああ、この前のフラッシュバックの時に軽く戦い方の事も思い出したんでな」

 

「なるほどねぇ…昼間のブラットバイトの狙撃も同じ理由か?」

 

「多分な、あれから銃に対する手の馴染みが良くなった気がするんだよ」

 

 

 はぁ〜なるほどねぇと骨が言っていると意味深な事を言い出した。

 

 

「にしても黒鋼で対マキナ狙撃銃を使う機甲歩兵ねぇ…」

 

「ん?そんなに黒鋼で狙撃銃を使うのが珍しかったのか?」

 

「うんにゃあ、んな事はねぇんだけどな。ただ、最前線で狙撃銃片手に大暴れしたっていう黒鋼のパイロットの噂を俺ぁ聞いた事があったんだよ…確か何かあだ名があったようなぁ」

 

 

 ダマルがうんうん唸っていると恭一が答えてくれた。

 

 

「もしかして黒い悪魔ってあだ名じゃなかったかい?」

 

「そう!!それだよそれ!!」

 

 

黒い悪魔ねぇ…なんか中二病満載な名前だな…

 

 

「僕が聞いた話なら共和国のマキナをあの手この手で殲滅する様から悪魔って呼ばれ出したって聞いたよ」

 

「俺ぁは確か狙撃銃を使って共和国の進軍をたった一人で2日程止めた何て眉唾レベルの話を聞いたもんだなぁ」

 

何だその、恭一と同レベルの化け物は、そんな奴実在したのか怪しいもんだな…もう確かめようが無いが。

 

「案外君だったりしてね」

 

 恭一が冗談紛いで俺に向かって言うので、俺は笑いながら冗談を紡ぐ。

 

「だとしたら恭一が青い悪魔でダマルは白い悪魔だな」

 

 俺がそう言うと恭一は苦笑し、ダマルは俺はうんな強くねぇよと言いながら残量の少ない電子タバコに火をつける。

 

「恭一?何の話をしているの?」

 

どうやら俺達の話に興味を持ったシューニャが話の輪に加わってきた。

 

「少し昔話をしていたんだよ…シューニャも聞くかい?」

 

「…ん、わかる範囲で聞く」

 

 

 その後は昔話の花を咲かせる恭一とダマルに加わったシューニャが余りに彼女の常識から外れた会話のせいで頭の処理能力を超えてオーバーヒートしてしまい、そのままお開きとなったのであった。

 

 

 

◼︎

 

 

  

「おぉー、凄い大きいですね」

 

「話には聞いたことがあったッスけど、直接見るのは自分も初めてッス……」

 

 現在俺達はフラットアンドアーチとばれる地域に来ておりこの付近でミスクチャが目撃されていると言われていたのだが、今目の前にある数十メートルはありそうなアーチ状の巨大鉄塊に俺は驚きを隠せなかった。

 

「これは境界線アーチだと思う。フラットアンドアーチの1番外側にあって、最も小さなアーチ」

 

「もっと大きなのがあるんですか?」

 

 これでもびっくりして目が覚めました、と言うファティマ。

 昨日既に薄らと巨大アーチが見えていたこともあって、早朝から近づいてみたのだが。

 俺と恭一とダマルはこれを見上げながら声を失っていた。

 

「僕の見間違いってわけじゃないよね」

 

「いや、冗談だろ……」

 

 ゆっくりとダマルが鉄塊に歩み寄る。

 最低でも数百年は風雨に晒されたであろうそれは、既に塗装は一切残っておらず、真っ赤に錆びた地金を晒している。風も強く吹く地域なのか、大量の砂が側面に積層していた。

 それを骨の手が払いのけていく。最初はただ地金が現れるだけだったが、やがて何かが彫られた場所を探り当てた。

 それを目の当たりにして、ダマルはあぁ、と肩を落とした。

 最早予想は覆らないだろうと、恭一がダマルの隣からプレートを覗き込み、そこに書いてあっただろう文字を読み上げた。

 

 

「支柱名、第168外縁天蓋支柱。竣工、新共通歴1805年。第8地上農業区」

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、俺の視界に再びノイズが走り始め、耳にもノイズの音が聞こえ出した…だが何故かあの時とは違い不快な感覚は無く、あの憎悪の塊のような声も聞こえなかった。

 

 

 ノイズが晴れた瞬間、俺は田畑が広がる場所にポツンと立っていた。

 心なしか背はいつもよりも低く感じ、少し違和感を覚えたがなんとなく上を見上げると何か薄い膜に覆われた空が広がっていてそれを支えているらしい大きなアーチ状の巨大な柱がいくつも並んで見えた。

 

『どうしたんだい?○○?』

 

 声をかけられ俺は振り向いてみると、恐らく30代前半程の男が立っていた。声ははっきりと聞こえるが、何故か顔にはノイズがかかっていて見えなかった。

 俺はどうするべきかと考えていたのだが、自然と口から言葉が出ていた。

 

『○○○さん、あれ何?』

 

 

 俺は薄い膜のドームに指を指しながら男に聞いていた。

 

 

『あれはね環境遮断大天蓋、ホシノアマガサって言ってね。あれのおかげで悪い空気が入ってこなかったり、悪い人達からお前を守ってくれてるんだよ』

 

『わるい…人たち?』

 

『うん…そうだね…まだお前には早いな』

 

 

はは、困った困ったと言いながら、その男は俺を抱え上げ肩車をする。

 

 

『さあ、○○。次は何処にいきたい?○○さん、久しぶりの休暇だからね。お前の行きたいところならどこにでも連れて行ってあげるよ』

 

 

『本当ぉ!?なら次はねぇ…』

 

 

 その言葉の後、俺の意識はその場から引き剥がされてしまい周りはまたノイズが走り始め、先程まで俺がいた荒野と巨大なアーチがあるだけの場所に立っていた。

 

 

 

「……とりあえず、玉匣に戻ってからにしようか。ダマル、ゼロ、行こう」

 

「そうだな。廃墟眺めてたってはじまらねぇや」

 

「…ああ、分かった」

 

 

…あれは誰だったのだろう…分からないが思い出せないのはしょうがない。

 ただ、俺とあの男にとってここは…大切な場所だったのかもしれない。俺はそう想いながら、恭一達の後を追った。

 

 




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