悠久の機甲歩兵・・・もしも、序盤からもう1人パイロットがいたら・・・ 作:てとるマン
さて、今回でミスクチャ編は終わりなのですが、ほぼオリジナルです…うん、うまく辻褄があってたらいいな(達観)
誤字報告毎度ありがとうございます!!
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『全く…折角私が止めてあげたっていうのになんでそんなほうけた顔してんのよ!』
…俺は確かミスクチャと戦ってた筈なんだが、周りは白い空間で何もない。そんな中俺の目の前にはノイズだらけの…誰かが立っていた。それから発せられる声も、ノイズが混じりで余りクリアには聞こえてこなかった。
『ねぇ?聞こえてるの!?もしもーし!!』
俺が黙っているせいか大分ご立腹の様子である。いや突然こんな状況なのだから誰だって困惑してしまうだろと思うが取り敢えず答えることにする。
「…お前は誰だ?」
『それが人に名前を聞く態度?名前を聞くならまずは自分から答えなさい!』
随分と我儘そうな言い分だが、そんな事をいちいち言っていたら話は進まないし、間違った事は言っていないので俺は答える事にした。
「…ゼロだ」
『知ってるわよ』
知ってるのかよ!!と内心思ったがなんとか飲み込む。
『私はね、貴方の記憶の残滓…昔いた誰かの姿を借りてるだけよ…貴方の記憶が不完全だからノイズだらけだけど』
「じゃあ、俺は今自問自答してるってわけか?」
『そういう事になるわね、それでね…』
ノイズが訝しげなような目でこちらを見てくる…いや、ノイズなのでよくわからないが雰囲気で感じた。
「何だよ?」
『貴方は…
突然の質問に俺は少し困惑したが考えてみることした。
何の為に戦っているのか…か、深くは考えた事はない事だったので、中々答えが出てこなかった。
国の為か?…違う。英雄になりたいからか?…違う。俺が戦う理由は…単純だ。
「敵を殺す為だ」
俺がそう答えるとノイズに赤色が混じり、顔を真っ赤にさせたような見た目で怒り始めた。
『馬鹿!!だから私は
「この前…帝国兵の時か」
『そうよ、あのままだと貴方は…止まらないと思ったの。それなのに…はぁ』
そこまでいうとノイズは何故かため息混じりにぶつぶつと『私が頑張って止めたのに意味ないじゃないの…たく』と愚痴を言いながら、思考を切り替えたようである。
『とにかく!私が今ここにいるのは貴方を助ける為…そして、貴方の心の暴走を止めるためよ』
心の暴走…確かにあの時の俺やさっきの俺は、暴走していると言われると納得である。だからこそ疑問に思う。
「…俺の心の何が暴走させてるって言うんだ」
ノイズは少し言うのを迷った素振りをするが決心したのか俺に面と向かって言い放つ。
『昔…私は貴方と、ある約束をしたの…その約束が貴方の心を苦しめてるの…』
「約束か…思い…出せないな」
『そう、今の貴方は記憶をなくして覚えてはいないみたいだけど、心は覚えていたから…精神が暴走してしまったの…』
ノイズの声が少しすすり泣くように言いながら、俺とした約束について伝えようとしてくれている。俺は一体どんな約束をしたのだろうか?もしかしたら…俺が暴走している時に口走っていたアイツに関係している事なのかも知れない…
『…でもね。その約束をもう貴方は果たしてくれたわ…800年前に、ただ貴方は忘れているだけ。だからもう、奪おうとしないで、自分を犠牲にしようとしないで』
ノイズは今にも泣き出しそうな声で伝えてくる。その言葉に俺は唯、ぶっきらぼうに聞くことしか出来なかった。
「そうか…俺は、約束を果たしていたのか?」
『うん』
「俺はもう、誰からも奪わなくていいのか?」
『うん』
「俺はもう、憎まなくていいのか?」
『うん』
「もう…覚えていない…アイツに会わなくていいのか?」
『だって…もう会えたじゃない?忘れてるだけ』
その言葉を聞いた時、俺の頬に何かが伝うのを感じ、手で触れ、そのまま膝から崩れ落ち、ポタポタと水滴が地面に落ちていくのが見えた。
そんな俺にノイズが近寄ってくる。先程よりもノイズが混ざらない声で俺に声をかけながら頭を撫できた。
『そんなに辛かったの?』
「違うんだ…ただ、何でか分からないんだ。でも、肩の荷が降りたような気がしたら糸が切れた人形みたいになっちまっただけさ…」
『もう!私の
俺は泣きじゃくる声で「私の騎士?」と聞き返し、すぐに答えが返ってきた。
『そうよ!貴方はずっと私を守ってくれたの!だから私の
寂しそうに言うノイズに俺はそうだと小さく言う。
「今の俺には守りたい奴等…家族がいるんだ。だから俺はそいつらを守らなくちゃならない…お前は許してくれるのか?」
『当たり前でしょ!貴方の人生なのよ!私が許す許さないなんて関係ないじゃない』
「そうだな」
俺は立ち上がりながら涙を拭き、ノイズを見据える…感謝を伝える為に。
「ありがとう…なんだか体が軽くなった気がする…お前はこれからどうするんだ?」
『私?私は見守ってるわ…
「え、今なんて言った?」
『あ!今のナシナシ!』
「えー…ま、いいや。じゃ俺は行くよ、家族を守りに」
『うん、いってらしゃい』
俺はそのノイズを通り過ぎて歩き出す、すると後ろから声が聞こえてきた。
「バイバイ…私の
ノイズ混じりではなくハッキリ聞こえたその声に俺は咄嗟に振り向いた…そこには金色に光る、何かが居たのだった。
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視界が元いた場所を映し出すと、俺はすぐに状況を把握しようしたがそれを遮るように恭一の鋭い声が飛んできた。
『ゼロ!!逃げろ!!』
その言葉が聞こえたの同時に、先程見た他の個体とは別種のミクスチャが俺に向かって突進してきているのが視界に入ってきた。
身体が激しく損傷していて、8本程はあった筈の腕は半分はえぐり取られていたのだが、それでも素早い動きで俺に近づいてくる。
恐らく、恭一が損傷を与えたのだろう。だが致命傷には至らず、棒立ちだった俺に狙いを定めた状況だろうと何とか把握した。その上で俺は恭一に安心させる為の言葉を紡ぐ。
『大丈夫だ…俺に任せな!』
後2歩…あのミクスチャが踏み込めば、あの無駄に太い腕で俺は吹っ飛ばされるかマキナごと握り潰されてしまうだろう…そんな未来は来ないがな。
『出力制限解除、コード
目の前でプログレスバーが伸び、申請受諾の文字が浮かび上がると共に、視野全面が真っ赤な警告文に埋め尽くされた。
出力制限解除、エーテル機関負荷増大、アクチュエータ圧力負荷増大、稼働状態安全保障外、他。
玉泉重工と軍が定める安全規則違反だから速やかにリミッターを設定しろと、オペレーティングシステムが煩く騒ぎ立ててくる。
そんな雑音を無視し、俺は前を見据える。
俺がリミッターを解除している間に既に相手の間合いまで詰められていたらしく、ミクスチャが俺の胴体に向けて殴りかかろうとしていた。普段なら反応も出来ずにやられていたであろう一撃を、向上したマキナの運動能力で俺は身体の半身をずらし、その横を凄まじい風切り音を撒き散らしながらミクスチャの腕が通り過ぎる。
その腕の付け根に狙いを定め、右手に持っていた光剣を奮い残りの腕を全て切断した。ミクスチャはまるで絶叫をするかの如く、後退りをするがその隙を見逃す程俺は甘くはない。ブースターを点火し、今度は逆に俺がミクスチャの懐に入り込み肉薄する。
俺はこのまま切り刻んでしまおうと考えていたが、景気付けに丁度良いと考えて片足をミクスチャの足元に滑り込ませた。
『いっけぇーー!!!』
そのまま掬い上げるが如くミクスチャを蹴り上げる。大体30メートル程上がり、バタバタと身体を動かしているがもう…遅い。
俺は背中に背負っていた狙撃銃を左手で掴み、そのまま片腕だけを使い、上空にいるミクスチャに狙いを定める。
『汚ねぇ花火を咲かせな!!』
トリガーを連続で弾きその分、砲と言っても差し支えのない銃口が輝き、轟音が響き渡り、空ではミクスチャの花火が咲いていた。弾倉に装填されていた弾丸を全て撃ち切り、銃口から硝煙が燻っていたが、そのまま背中に背負い直しているとグシャァと花火の残骸が降ってきた音が聞こえた。
『出力制限開始…ふぅ、土壇場でリミッターを解除とかやるもんじゃねぇな…頭がグワングワンする…』
俺は一息ついていると、恭一が慌てたように駆け寄ってきた。
『無事かい!?』
『おい!?生きてんだよな!返事しろ!!』
『あぁ、済まない…恭一、ダマル心配かけたな』
無線越しに大分ご立腹な骨の声も聞こえ、「シューニャ達も心配してたんだぞ!」と言ってくる。迷惑をかけてしまったと反省する。
『もう俺は大丈夫だ。さぁ、恭一残りの奴らを片付けてちまおうぜ!』
『そうか…よし、やろうか!みんなに心配をかけた分、しっかり働いてもらうよ!』
そうだな、しっかり働いて早く帰ろう…守るべき奴らの…大切な家族のいる場所に。
俺はそう思いながら、先程よりも大分動きが鈍くなっていたミクスチャの残党に踊りかかるのであった。
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『ただいまー』
「おかえりー…じゃないですよ!ゼロさん!しんぱいしたんですよ!?」
玉匣に帰り着いての一言目からファティマに怒られてしまった…俺が全面的に悪いので『すまなかった』といえばまた、今度模擬戦してくれた許しますと言われたので約束をする事でなんとかおさまった。
「…ゼロ…前にも同じ事があった。私達の事、信用してくれたんじゃないの?」
うぐっと俺は心に突き刺さる事を言われて口籠るがなんとか弁明を絞り出す。
『すまん…俺の軽率な判断が原因なんだ反省している。別にシューニャ達を信用してないわけじゃないんだ』
「そう…ならいい」
その後アポロニアにも謝ったが「無事に帰ってきたのならそれが一番ッスよー」と言ってくれた…本当にすまん。
そして、一番お怒りな人物が現れた…そう、ダマルである。
「たくよぉ、てめぇ。あれだけ俺に言わせといてトラブルたぁ…いい度胸してんじゃねぇか」
ここから俺は1時間程、リミッターを解除した事を含め、黒鋼を脱装する事も出来ないまま説教されてしまい、俺の事を心配してくれているのが分かっているので俺は黙って聞いていた。
その後アポロニアが用意してくれた晩ご飯?を食べ終え、シューニャ達は眠り俺と恭一とダマルは酷使した、黒鋼と翡翠のメンテナンスをしていた。
「ゼロ…僕はあまりガミガミ言う性格では無いけど…今回は余りに危険だった。その自覚はあるかい?」
恭一が真剣な表情で俺に聞いてくる。そう、今回は結果は良かったからいいが下手をすれば俺はやられ、恭一達も危険に晒す可能性もあったのだ。
「ああ」
俺は下手な言い訳をした所で何もいい事は無いと思い、短い肯定をする。
「最悪の場合…何も対策が打てないようなら、今後君を前線に出すのを控えないといけない…」
まぁ、当然の懸念ではある。いくらマキナを扱えるとはいえ、戦闘中に棒立ちになるような兵がいれば、ただの足手纏いである。だからこそ、恭一にはっきりと自分の意思を伝えなければならない。
「恭一、俺はあの時ミクスチャの殺意と憎しみに反応していたんだ…その殺意と憎しみが昔の戦場と重なって…なんて言えばいいんだろうな。俺は昔の俺に戻ろうとしていたんだと思う、その際に今の俺の記憶と混濁して暴走したり、ノイズが酷くなって身動きが取れなくなったんだ…」
恭一とダマルは作業を止めて、俺の言葉を黙って聞いていてくれている。
「でもな、その際に少しだけ思い出せたんだ…なんで俺は戦っていたか。誰かと約束をしたんだ…その内容は思い出せなかったけど、その約束を果たす為に俺は殺意と憎しみを振りまいて戦っていたんだ。でも、俺は既にその約束を果たしていたんだ。それを思い出したら憎しみで染まっていた心が晴れてノイズも聞こえなくなったんだ…だからもう大丈夫だと思う」
「…でも、万が一の可能性はあるって事だよね?」
「そうだな…だから、俺にもう一度戦うチャンスをくれないか。その時俺がまた暴走するようなら…煮るなり焼くなり、好きにしてもらって構わない」
恭一は目を閉じて少しの間、焚き火の音しか聞こえなかった。静かな夜が続く中、恭一が目を開け言葉を紡ぐ。
「うん、分かったよゼロ。君の覚悟は聞かせてもらったからね。それに僕の隣で戦ってくれる相棒がいなくなったら、手が足りなくて困ってしまうよ」
「企業連合のエースに相棒って呼んでくれるなんて嬉しい限りだな」
「はぁ、全く…俺ぁ内心ヒヤヒヤしてたぞ…」
ダマルが深くため息を吐きながら脱力している。こいつにもいつも迷惑をかけちまってるなぁと俺は思い、恭一含めいつか何かしてやんないとなぁと心に刻む。
作業を再開し、黙々と整備を進めいていく中、俺の心は今までになく晴れ渡っているのを感じながら、片耳にイヤフォンをつけ音楽を流し始めるのであった。
本編以上に噛ませ犬にしてしまったコマンダーミスクチャパイセンに合掌_:(´ཀ`」 ∠):
あ、因みにゼロにフラグを立てる気はありません。タグ詐欺だって?恭一がハーレムするからいいんだよ。(恋愛したことないからかけましぇん)
次は2日以内を目指すのです。