悠久の機甲歩兵・・・もしも、序盤からもう1人パイロットがいたら・・・   作:てとるマン

17 / 18
過去編と言ったな…あれは嘘だ(デジャヴ)
 はい、実は軽く序盤のシーンを書こうと思ったのですが、ならプロローグに挟めば良くね?と思い、少し触れる程度にしました。後で挟まなきゃ(使命感)
上手く仕上がってたら幸いです。


橋を渡る際は御用心

◼︎

 

 現在俺達は東の方向に向けて進んでおり、恭一の行動に爆笑してしまったダマルがしばかれ掛けたりした事以外は特に問題はなく、旅は順調である。

 

 さて、俺達の今の目標は補給…古代の物資の調達だ。だが、何処に何があるか分からないため八方塞がりだった所、アポロニアが提案した場所を探すことにしたのである…正確には場所ではなく組織らしいが。

 

 その組織の名前はテクニカ、現代の研究者達の集まりでできた組織らしいのだがその全貌は余り明らかになっていないなのだとか。

 それでも分かっていることはあり、実はコレクタユニオンはテクニカの下部組織でその目的はコレクタ達が集めた過去の遺物、もしくはリビングメイルを買取、社会の役に立てる研究していると。

 そんな連中なら何処に何があるか。また、俺達が必要な物資を持っている可能性が高いという判断で、テクニカが活動していると噂されるユライア王国という国を目指して東に向けて走っているというわけである。

 

 

 とまぁ現状の確認の為、少し振り返っていたのだが…俺は今何もする事が無い。…え?お前いつも何もしてないって?いやいや、色々してるよ!

 見張りは交代制だが今は俺ではなく恭一の番だし、ダマルはシューニャと交代で運転しているしでうん…整備ぐらいしかやる事ないな。

 

 俺は自分にそう言い聞かせながら、最近ずっと磨いている気がする突撃銃の手入れをしようかと腰を上げると声を掛けられた。

 

 

「ゼロ、今いい?」

 

 

 その声の主のいる方向に振り返ると先日とは違う格好のポンチョを羽織っているシューニャがいた。なんでもバックサイドサークルに行った際、討伐の報酬を使って恭一が新しい服をシューニャにプレゼントしたらしく、ファティマも買ってもらい、ついていけなかったアポロニアが拗ねるという事態になりかけたが恭一が自分の予備の作業服を上げると尻尾を嬉しそうに振りながら喜んでいたの思い出した。と、また話が逸れてしまったな…俺は思考を切り替えてシューニャに返答することにする。

 

 

「おう、いいぞ。どうしたんだ?」

 

「ん、実は前から聞きたい事があった」

 

「え、そうなのか?なんでもっと早く言わなかったんだ?」

 

「前のゼロは…なんだが私達を避けてる気がしたから、聞くのを遠慮してた」

 

 

うっ、そう言われると確かに少し前の俺は余りシューニャ達に関わらないようにしてたからな…これは俺のミスだな…うん、もう少しコミュニケーションを取ることにしよう、余り得意では無いのだが。

 

 

「そ、それは悪かった申し訳ない」

 

「いい、気にしないで。それに今は違うって分かる」

 

「そうか…うん、ありがとう。それで聞きたいことって?」

 

するとシューニャは俺の顔を眺めながら少し考え、言葉を紡ぐ。

 

「ゼロは恭一と同じ髪の色をしているのになんで顔付き…()()()()()()()()()()()()()()()なんで?」

 

俺はそう言われて鏡など全く目にしてなかった事もあり、最近余り気にしてなかった事を指摘された。

 

「ああ、俺も覚えちゃいないがな。なんでもダマルと恭一の予想じゃ、俺は企業連合の人間と共和国の人間の間で生まれたハーフじゃないかって言われたんだよ」

 

そう、俺の見た目は何故か恭一と同じ企業連合に所属する人種ではなく、共和国に所属する人種の顔付きだったのだ…髪は黒だが。

俺が生命保管システムで目覚めた時にダマルと初めて会った際に「なんで、企業連合のシステムから共和国の人間が出てくるんだよ…」と怪しまれたのだが俺が記憶を失っており敵意がなかったのと、髪が黒色だったので(どうやら共和国の人間は金髪が多いらしい)経過観察になったなと今ではいい思い出?である。

 

 

「はーふ?って何?」

 

「えー…ハーフはな、人種が違う人間の間に生まれた子供の事をハーフって言うだよ」

 

「…()()みたいなものと理解した」

 

「…デミってなんだよ」

 

新しい単語がシューニャから飛び出してきたので今度は逆に俺が質問してみると直ぐにシューニャは返してくれる。

 

「キメラリアと人間の間に生まれた子供を指す言葉、デミの見た目はキメラリアの親の特徴を持っていたり、普通の人間の子供と同じだったりする」

 

「へぇ…なるほどな」

 

 

 その後もシューニャからあれやこれやと質問されたが、俺もまだ記憶があやふやなところが多い為、余り詳しく答えてやる事が出来ず、恭一にパスするのであった。

 

 

 

◼︎

 

 

 現在俺達はユライア王国とカサドール帝国の国境線で様子見で停車していた。

 え?こんなGPSもない世界でなんでそんな正確に国境線がわかるかって?

 それはこの地域がグラデーションゾーン(階調地帯)と呼ばれているからである。読んで字の如く、環境がガラッと変化しており、今まで何もない荒野を走っていたらグラデーションゾーンを境に緑…豊かな自然の草原が広がっていて、これが国境線としての役割を果たしているのだとか。

 

 何でこんなに環境が違うのかは理解出来ないが、まぁそういうものだろうと俺はその思考を切り捨て双眼鏡を構える。

 そもそも何故俺達がここで停車しているかというと、少し前にレーダーで人間の集団らしき物を発見した為、その警戒である。

 双眼鏡で見た先には廃墟らしき町があり、そこに帝国軍の鎧を纏った集団が歩いているのが見える。恐らく、パトロールをしているのだろうなと考えながら眺めていると突然、少数の革鎧のような物を身につけた奴等が現れ、帝国軍に襲いかかり、帝国軍の隊列が崩れ、怒声と金属音が響き渡り集団が瓦解していくのが見て取れた。

 

 

「うわぁ…あそこまで綺麗な奇襲は初めて見たな…」

 

「遭遇戦って言うより、明らかに待ち伏せされてたねあれ」 

 

 

 俺が砲塔に背中を預けながら観察していると、恭一も上部ハッチから半身を乗り出して双眼鏡を覗き込んでいた。

 帝国軍の奴等は全員、鎧を着ている為か動きが鈍いが革鎧をつけたゲリラの様な奴等は手慣れているのか、人数差があるのにも関わらず一方的に帝国の兵達を潰していく。

 

 

「あちゃー……人が足りないからって重装歩兵だけの編成ってのはダメッスよねぇ」

 

 と恭一の隣にアポロニアが顔を出しながら何やってるんですかねぇという顔をしていた。まぁ、確かに昔も装甲がある戦車が歩兵の護衛なしで前に出た所で敵の身軽な歩兵には撃破される事が多く、その常識は現代にも通じるらしい。まあ、この前の元味方相手に容赦なくぶっ放す奴が何を言っているだよとツッコミたくなったが取り敢えずスルーする。

 

 

「グラデーションゾーンでの会戦はしばらく行われてないって聞いてたッスけど、予想通りの散発戦闘ッスね。こーいうの帝国軍は苦手なんスよ」

 

「消耗しすぎて大兵力が出せなくなってるのかい?」

 

「うーん実際どうなのかは流石に……消耗が激しいのはまぁご覧の通りッス」

 

 戦力の逐次投入は愚策と誰かが言っていたような気がするな、まぁそれも時と場合によるだろうがな。そう考えるていると戦闘が終わってらしく、革鎧を身につけた奴等が勝鬨を上げており、帝国軍の連中は全員が地に伏せており動く者はいなかった、

 

「終わったッスね。あーあー、ボロボロ」

 

「あの連中が王国軍かい?」

 

 まぁ、こうなるッスよねと言わんばかりにため息をつくアポロニア。そんなアポロニアに革鎧の連中の所在を確認しようと恭一が声を掛けていたが別の人物が返事をした。

 

「あれは王国軍の軽歩兵部隊。彼らは長い戦争で帝国軍の弱点を知ったから、ああやって身軽な部隊を編成して後方を撹乱することで抵抗している。会戦に出てくるような主力はラメラーアーマーが主体だったはず」

 

「賢い戦い方だ。国家軍と言っても考え方は様々か」

 

「そうだな」

 

 我等がシューニャ先生の解説を聞き、恭一の言葉に俺も共感する。

 どうやら王国は帝国より頭数が劣っているようだが、こうやって地道相手の隙を突き削り取っていけば、後々の影響は馬鹿には出来ないだろう。

 王国の連中が帝国兵から戦利品を回収をし、直ぐにその場から離脱していく。その動きを見て俺もほぅと言いたくなるぐらい迷いのない見事な動きであった。

 王国軍の撤退を見送った後、恭一はダマルに声を掛ける。

 

「ダマル、出発だ。国境線とやらはもうすぐらしいから」

 

 運転席上のハッチを開けて電子タバコをくゆらせていたダマルは暇を持て余していたらしい。あいよぉと返事をするが早いかは、素早く玉匣は発進した。

 

 

 

◼︎

 

 あれから丸2日は経ち俺は今、暗闇の中に1人潜んでいた。なんでこんな事をしているのかというと王国の進むルートで幾つか問題が起きたからである。

 まず一つは川が渡れなくなっていた事、元々細い川があったとシューニャの情報により玉匣なら超えられるという判断で進んでいたのだが…少し前に降った豪雨で川が増水していようで、どう見ても川の向こう岸まで何百メートルもあり、玉匣の渡河能力では渡る事が出来ないほどの状態であった。どうやらこの状態になると1〜2ヶ月はこの調子らしく橋もない為どうするか悩んでいた所にレーダーでデカイ生体反応捉えた。

 どうやら帝国軍が進軍してたしく、今まで遭遇してきた中でも群を抜くほどの大群であった。

 

 

「ダマル、視認範囲まで近づこう」

 

「ぁあ?なんで?」

 

「帝国軍はこの川を渡る手段を持っているのかもしれない」

 

 

 

 そうでなければ辻褄が合わないのだと恭一は言った

 曰くアポロニアが帝国軍の進む陣形からして防御陣形でレーダーで見た限り、集団の真ん中がポッカリ空いていて、恐らく最新型投石機を牽引しているだという。それを聞いた恭一はたとえこの川を越えて射撃できるほどの長射程を誇っていたとしても、会戦にならないのであれば王国軍は後退するだけで被害を抑えられるだろうにそんな無駄なことのために建造にも移動にも労力がかかる兵器を、わざわざ最前線まで引っ張ってきたとは思えないから連中は川を渡り王国軍を攻める手を持っているかもしれないと恭一が言い。帝国軍の後をつけたところ、そこには存在しない筈の橋があった。

 俺達がその橋を見つけた時、数百キロはありそうなカタパルトを2台ほど運ぶ連中の姿が見え、橋の強度的にも重量を分散すれば渡れるかもしれないと思えた。

 

 ならばこれを利用する手はないという結論になり、敵の主力が橋にある陣地から離れた後に、まずは橋の見張りで残っているだろう帝国兵を片付け、翡翠と黒鋼で橋の陣地に突撃してそこを突破し、東に逃げればそこまで消耗する事なく行ける筈だと話し合いの結果で決まった。

 

 

 

 そんなわけで俺は今闇に潜みながら見張りを片付ける為、サプレッサーをつけた拳銃と刀身が光らないよう黒く染めれたナイフを構える。音が出ないようゆっくりとだが確実に見張りに近づいていくと歩哨をしていた兵士がプラプラと手を上げて近くにいた兵士に声を掛けていた。

 

「ちょっとションベンしてくる」

 

「おう。早く戻れよ」

 

 それを聞き俺はトイレに行く奴の後をつけ、立ち止まったのを確認すると、素早く背後に周りながら左手で兵士の口を塞ぎ右手で相手の背中にナイフを押し付ける。しばらくもがいていたが、力が抜けるのが分かると左手で音が立たないようゆっくりと横たえさせながらナイフを抜き取る。

 念のため武器を回収し、ククリ刀らしき物を手にしながら来た道を戻り、先程の見張りの兵士の近くまで来ると、拳銃を構え発砲する。

 

 パスッパスッと空気が抜けるような小さな音が鳴ると見張りをしていた男が力無く倒れるのを確認し、小声で無線機に声を掛ける。

 

「クリア…恭一、そっちはどうだ」

 

『こっちも終わったよ。玉匣前進せよ』

 

『玉匣了解、南櫓前に停めてやるから着装準備体制で待機してろ』

 

『了解』

 

「了解」

 

 無線を切りつつ指定された場所に向かうと先に着いていた恭一とアポロニアに合流したのだが、恭一が苦笑いしながらクロスボウと沢山のボルトを持っていた。

 

「あ、ゼロお帰り怪我は?」

 

「無傷だよ、そっちは?」

 

「僕も無傷だよ」

 

「無傷ッス。あと戦利品も」

 

 ニィと犬歯を覗かせてアポロニアが見せてきたのは2つの革袋とクロスボウだった。

 狙撃やら無線通信やらしていた間暇だったのだったのか、開いてみれば銅貨が詰まった財布で、僅かばかり銀貨も見て取れる。

 まあ、物資が余りないから仕方ないが、やはり奪うという行為には少し抵抗があるなぁと考えているとアポロニアが俺に余っていたいのかクロスボウを一つ差し出してくる。

 

「ボルトも結構持ってたんで、全部失敬したッス。ちょっとでも飛び道具はあったほうが便利ッスよね?」

 

「あぁ、うんそうだな」

 

 恭一が何で苦笑いしてたかわかったなぁと考えているとギャラギャラという喧しい履帯の音が聞こえて背の高い草を押し分けて玉匣が突入してきた。

 後部ハッチを開き、俺と恭一はすぐに黒鋼と翡翠を着装する。ヘッドモニター上には右足のアクチュエーター稼働率が少し落ちていると表示されるが特に目立った問題ではないのでそのまま黒鋼を起動する。

 俺がスタンバイしている間はシューニャとアポロニアが外で警戒し、ダマルも玉匣の砲手席に座って周囲を見回している。

 恭一は突撃銃と携帯式電磁加速砲パーソナルレールガンを背に抱え、手には収束波光長剣を携えてハッチから外に出ていき、俺も対マキナ狙撃銃を背負いながら光剣片手に恭一に続いていくと運転席からシューニャが無線を飛ばしてきた。

 

『帝国兵相手には過剰な気がする』

 

 ミクスチャを相手にしたときとほとんど同じ装備だと、彼女は首をかしげる。まあ、生身の人間相手なら武装などしなくてもマキナを着ていればそれだけで百人いようが千人が関係ない為、確かにそうなのだが今回武装持ち出したのは戦闘の為ではない。

 

『玉匣を軽量化するためだよ。別に使うわけじゃない』

 

『橋の強度を気にしている?』

 

『そういうこと』

 

 恭一がシューニャの疑問に答えながらダマルが弾薬が勿体ないだろ!と言ってたなと俺は思い出した。まあ、実質使えるのは光剣のハーモニックブレードしかないので効率は余り良くないが消耗はほぼないため今回の戦闘であればマキナという強力な武器があれば事足りる。

 

 ダマルから弾薬が勿体ないから使うなと口酸っぱく言われているのだ。結局振り回すのは長剣1本だけで、背中に抱えた武器は全てデッドウェイトということになる。

 昔なら考えられないくらい非効率な戦い方だが、それもマキナという現状において非常識な戦力があれば許される。

 

『ダマル、僕が東詰に到着してから30秒後に渡河を開始してくれ』

 

『あいよぉ』

 

 気の抜けるような返事を恭一に返すのを聞きながら、俺と恭一は黒鋼と翡翠を橋の上へと進ませた。

 ゆっくりと慎重に…諺で石橋を叩いて渡るを実践しているみたいだ…木製だけど。

 足を踏み締める度にギシギシとこちらの恐怖を煽ってくる音が聞こえるが橋はどうやらマキナが歩いても問題無いほどには耐久力はあるようだった。

 俺と恭一は橋の真ん中までくると一旦止まり、お互い見合わせてほっと安堵のため息をする。ま、こんな所でぼやぼやしている敵に見つかるかもしれないので恭一に合図を送り、恭一が軽く頷くのを確認すると両足に力を込めて駆け出す。

 

 恭一を先頭に橋を駆け抜け始めた時、対岸から鬨の声が響き渡ったのが聞こえた。

 

 

 

 

 

 




期間が空いてしまう…最近体調が安定しなくて余り書けないので次回も未定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。