悠久の機甲歩兵・・・もしも、序盤からもう1人パイロットがいたら・・・ 作:てとるマン
パチリ、と焚火から火花が跳ねる。
「生きた鎧リビングメイル、ねぇ」
ダマルはそう言いながら先ほど買い込んだ干し肉を食いちぎると、やっぱり不味いと顔をしかめる。
俺もあまり美味しくない干し肉を飾りつつ恭一から店での会話の内容をきていた。
「大方予想はついてたんだけど……“今”を生きてる連中には機械文明が伝わってねぇんだろーなぁ」
荒れ地の片隅。満天の星の下で野営には遅い夕食を貪る。
パサついた黒パンは煮ても焼いても旨くなりそうにはない代物で、干し肉はダマルの言うように塩辛いばかりで不味くて硬い。
それでも貴重な食料であることに変わりはなく、元々心もとなかった金子は今回の買い物でほとんど底をついていた。
「言い得て妙だけどね、リビングメイルって」
「まぁ、機械文明を知らない人間からしたらこんな鉄の人形が動いてたら化け物としか思えないもんな」
と俺は言つつさっきまで俺が脱装した黒鋼を眺めつつ、最初にこいつを見せられた時の事を思い出した。よくもまあ、こんな高性能な兵器を生み出したもんだと俺は思う。
「でもよ、問題はさっき言ってた蒐集家(コレクタ)って奴らだろ?機械文明が貧弱か、それか極端に低い状態なのに、マキナを狙うか?」
「猛獣使いみたいな存在だったりして」
「もしくはマキナを分解して素材が欲しいとかか?」
「確かに素材としてみりゃマキナは最上級だろうが、マキナを飼いならすぅ?そりゃ、頭がスイカみてぇに砕かれてから失敗に気づくだろうな!俺だったら粉末にされちまうよ」
カッカッカとダマルは笑う。
俺はもうこいつとは半年以上の付き合いだからか、慣れたもんだが恭一はまだ俺たちとは出会ってから今まで大体1ヶ月ほどだ、ダマルがたまに構してくる骨ジョークとやらにいつも顔を引きつられせつつ笑ってる・・・
今も黒パンを水で無理やり詰め込んで曖昧な笑みを浮かべているが多分ダマルは受けてると勘違いするなあれ、俺は流石に不謹慎過ぎるって前に言ったらそれ以来あまり俺の前に言わなくなった事を寂しなんて思ってない・・・うんとはいえ、と。
「最悪そいつらと遭遇したら、いい機会だし世界情勢でも聞いてみようぜ」
ダマルの提案はいいのだが焚き火の炎と影で骨のホラー感がとても強くなっていた。こいつの見た目が骨のせいで色々損をしているよなと感じる。
「君、見た目で損してるよねぇ」
「よせやい」
どうやら恭一も似たような事を考えていたようだ。
そう言ってダマルは後ろ頭を掻いた。
何をどう汲み取って照れたのか。恭一の言葉には皮肉も込められていた気がしたんだがなぁ・・・
「彼は何者なのだろうか」
小声だが周りには聞こえる声で恭一が独り言を呟きはじめた。
「実際悪魔であったり亡霊であったり、はたまた幻覚であるならそれで納得できる。だけど、彼はそこに居て、同じようにご飯を食べて、メンタリティまで人間臭いからなぁ」
「おい、恭一心の声、全部出てるぞ」
「えっ、あぁ、声に出てたか。ごめん」
「別にいいぜ、それに俺の事をそんな小難しい考える必要もねぇよ。俺はただのマキナの整備ができる骨ってだけだからな」
別に、と焚火に照らされる白すぎる手が振られる。
だが、俺は知っている。この骨は整備が以外にも沢山俺や恭一の事をサポートしてくれている。俺なんかマキナを少し動かす事しか出来ないのだから。
「いつもありがとう、ダマル」
俺は自然とダマルに対し感謝を述べていた。
「僕も君の整備にお世話になりっぱなしだからね。本当にありがたいよ」
恭一もなんだかんだでダマルと仲良くやっているなあと俺は思う。
「おいおい、俺を褒めたって骨の粉末ぐらいしかだせねぇぜ」
照れながら言うセリフじゃ無いと思うとやっぱり俺は思う。
◼︎
食事を終えてそろそろ焚き火を消そうか考えていると、恭一が俺に声を掛けてきた。
「そういえばゼロ、君の記憶は戻ったかい?」
「いやぁ、全然さ。前と殆ど変わらない、お前のほうは?」
「僕も前とは変わらないね、でも何か大切な事を忘れている気がするんだ」
恭一が少し思い悩んだ顔をしている。俺はあまりフォローとか出来ないのだがした方がいいかもしれない。
「大丈夫だろ、大切な事だという認識はあるんだからさ。いつか必ず思い出せるさ」
「・・・そうだね、ありがとう。励ましてくれて」
恭一がで礼を言ってくる、どうやら少しは持ち直せたようだ。正直俺はほぼ全部忘れているので何が大切かなどわかりはしない・・・自分で言ってて虚しくはなるが。
「お、どうしたどうした?俺が片付けている間になんか面白い話でもしてたのかよ?」
マキナの整備が終わったらしいダマルが焚き火戻ってきて話に混ざってきた。
「ああ、実はな・・・」
どうやら俺たちの夜はまだ終わらないらしい。
投稿頻度は2.、3日ぐらいかなぁ