悠久の機甲歩兵・・・もしも、序盤からもう1人パイロットがいたら・・・ 作:てとるマン
あれから時間も経ち既に深夜と言っても差し支えの無い時間になった。
シューニャとファティマからこの世界の常識やらなにやらを聞いていたのが二人がそろそろ限界に近かったので一旦お開きとなった。
取り敢えず、彼女達には俺たちがいつも使っている寝台を使ってもらう事にしてもらい、恭一は運転席、俺は砲手席で寝る事にした。あれ?一人忘れていないかと思われただろう。だが、それも仕方ない、あのエロ骨はあろう事か寝る際に二度目のセクハラ発言をかまし、ファティマから一撃をくらい恭一をホモ扱いしたので外に追い出されたのである。
まあ、あの骨の自業自得なのでしょうがないと考えつつ俺は懐から黒いウォークマンを取り出しイヤフォンを耳につけ寝ようと思ったのだが、ふと外が気になり機銃に連動したカメラを起動し外の様子を見てみた。
「…何やってんだ、あいつ」
カメラに映っていたのはドンゴロスを被ってシクシク身体を震わせながら車体の上で横になっていたダマルであった。
そんな状況になったのは自業自得なのだが流石に可哀想かなと俺は思い、俺は砲塔のハッチを開けて声を掛けることした。
「おーい…大丈夫か?」
「…オメーにはこれが大丈夫に見えるてっかよ…」
ダマルはこの裏切り者!!見たいな目で見てくる。いや仕方ないだろ…あの状況はどう見てもお前が悪い。
「…一人が嫌なら俺も付き合ってやろうか?」
「あ?俺に男寝る趣味はねぇってさっき言っただろう…まてまて!!悪かった!!だから無言でハッチを閉めないでくれ!!」
ダマルが必死に俺を止めにかかってくる。まあ、虫嫌いって言っていたのにあんなザトウムシがいる外で野宿は流石に一人では怖いだろうしなと思い俺は砲塔から外に出る。
「はぁ、助かったぜ…全く、これだからガキは嫌なんだよなぁ。あんぐらいキレる必要ないってのによぉ」
「いや、それは知らんがあの状況で普通にセクハラ発言が出来るお前の頭がどうかしてると思うがな」
「はあ!?あんぐらいスキンシップの内だろうが!!ってお前にそんなこと言ったってどうしようもねぇな」
ダマルは気を取り直して懐から電子タバコを取り出して吸い、煙が骨の隙間から漏れ出している。
「…なあ、前から気になったんだがそれ吸えてんのか?」
「ああ、吸えてるぜ、イヤーやっぱりタバコは吸い始め一番だぜ」
全くと思いながら、俺はこいつの事を思い返す。出逢ってからもう半年は経ち、恭一よりも長く一緒にいるのだが俺はこいつの事をあまり知らない。
何故ならこいつの昔の事を聞きにくいのである。勿論全く知らない訳ではない。俺たちと同じ企業連合所属の軍隊でマキナの整備兵をやっていたらしいし、ダマルに相談事をした時も真摯に考え答えてくれるとても便りなる奴だ。
だが、こいつがこの世界で目覚めた時、既にその身体は骨だっけだった。
その時のこいつの悲観は俺は知らない、どれだけ絶望したか俺には分からない。
そんな俺でも分かる事はこいつに必要なのは同情じゃない、励ますことでも無い。
ただ一緒にいてやればいいと思った、理解者が一人でもいてやればいいと思った。だから、俺はこいつと一緒に旅をしている。恭一もその一人だ、まだ一緒に生活を初めてそんなに月日は経って無いがダマルの事を理解してくれていると思う。
今は余計かなとそんな思考を中断をし、俺は懐からウォークマンを出し携帯型のスピーカーをそれに接続し俺がこのウォークマンを聴いていて気に入った少し激しめな曲調の曲を流し始める。
「お前、ホント音楽好きだよなぁ。そのウォークマンを見つけた時から暇がありゃ聴いてるしよぉ」
そう、このウォークマンはまだあの施設にいる時に偶然見つけた産物である。
何か使えそうな物はないかと施設を探索していると、ロッカー室から小さな鍵付きの抗劣化性の箱を見つけたのだ。鍵が見当たらなかったのでピッキングをして開けてみると、このウォークマンと携帯型のスピーカーとイヤフォンが入っていた。何故俺がピッキングを出来るかは昔の事なので分からないが、そんな経緯で入手したのである。
因みにこのウォークマンはマキナにも接続出来るらしく、昔のパイロット達の癒しの一つでもあったらしい。
「ま、お前の趣味がタバコなら俺の趣味はこれだからな」
「だがよ、寝る時にその曲はねぇんじゃねえか。もう少しオルゴールで聴くような静かな曲はねえのかよ」
「…オルゴールってなんだ」
「んあ?ああ、ネジを巻いたら音楽が流れるオモチャでな。まぁ俺たちの世代にゃ殆ど見なくなっちまったレトロな道具でよ、昔は流行ってらしいぜ」
へぇ、と俺はダマルの話を聞きながらリクエストされた静かな曲を探し、流し始める。
「お、いいじゃねぇか。なんて曲だよそれ?」
「それがな、このウォークマンに入ってる曲に名前がついてないから分からないんだ」
「前の持ち主は曲名入れるの面倒がったのかねぇ」
ま、曲はいいしな、とダマルはタバコを吹かしながらゴロンと仰向けになる。俺は砲塔に背中を預けながら空を見上げる。
「にしても星が綺麗だな」
「全くだぜ、俺たちがいた時代じゃ中々味わえなねぇ光景だわな」
人工的な明かりが無くなったっであろう現代の星空は爛々と光、俺たちはその夜空を眺めながらゆっくりと眠りについた。
次も2日以内を目指しおります