美食殿のダンジョン探索 作:†ベビーナイト岸†
憑依タグは必要なのかわからなかったので一応つけました。このタイプは憑依では無いと言う意見がありましたら憑依タグは消します。
「これは、一体……」
思わずそう呟いてしまったのは仕方の無いことだろう。
順に整理するとしてまず一つ目。朝目が覚めると見覚えのない部屋……いや、何だか"知っては居るが知らない部屋"で目が覚めたのだ。
本来住んでいた部屋は一人暮らしに丁度いい程度のアパートで、今自分のいるような一戸建ての立派な家では決してなかったはず。
そして二つ目。視界に入り込む白い前髪、小さな手、そして消えた息子の感覚。
違和感から軽くまさぐったが、すぐに分かった。なんか女の子になっているのだ。
兎にも角にも、なんでこうなったのかが分からず、可愛らしくなってしまった声で困惑の一言を絞り出すくらいしか出来なかったのだ。
「しかし、本当にどうなって……」
場所の確認をしようと階段を降りた先で独り言をつぶやこうとしたが、後ろにある階段から"ギシッ"と木の軋む音が聞こえてきたことで中断される。
急いで後ろを振り返ると上の階から降りてくる人影が見えた。
「ふぁぁ……アンタ相変わらず起きるの早い……わ…………」
「はい?」
「……コロ助が起きたあああああああああぁぁぁぁぁぁ」
降りてきた人物は、こちらを別人と勘違いしていたようで、途中まで言いかけたところでふと、セリフが止まりそのままもと来た方へと何やら叫びながら駆けて行ってしまった。
が、先程まであった困惑を塗りつぶすほどの衝撃が頭の中を乱していた。
降りてきた人物は、猫耳に黒髪と白メッシュの女の子で、スマホやパソコンの向こう側で何度も見たキャラクターにそっくり。駆け去って行く際に叫んでいた名前も心当たりの有りすぎるモノであった。
「今の人の猫耳に白メッシュで……それにコロ助って……この声も、もしかして」
自分の姿に思い至った所で、ドタドタと階段を駆け下りる音の後、またも上から二つの声が聞こえてくる。
「本当だ! コッコロちゃんが起きてる!!」
「やっぱり夢じゃなかったでしょう!」
声の主……キャル……のそっくりさん? と、ペコリーヌのそっくりさんのそんな声に、やっぱりかと悟った。
俺はいつの間にかプリンセスコネクト! Re:Diveの登場キャラクター『コッコロ』の姿になってしまったらしい。
「ぇぇぇぇ……」
どうしよう、これ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
大きなテーブルに俺対キャル? &ペコリーヌ? という構図で向かい合って腰掛け、目の前に出されたコンソメを少しすする。
「ふぅ……」
澄んだ琥珀色のスープが寝起きの身に染み渡り、よく分からない状況に緊張していた体を解してくれた。
こちらが一息ついたのを確認すると、向かいに座るキャルが口を開く。
「まず一つ、言っておかないといけないことがあるの」
「言っておかなければならないこと……?」
そう聞き返すと、神妙に頷いたペコリーヌが、言葉を引き継ぐように話し始める。
「先程の様子を見る限り、コッコロちゃんには現在、前世の記憶があると思います」
「前世……なのでしょうか、死亡した際の記憶というものは無いのでよく分かりませんが……」
「前世の記憶自体は私たち二人ともありましたけど、死んでしまった時の記憶は私はあってキャルちゃんは無かったので個人差だと思います……まあ、それは置いておいて。実はコッコロちゃんは私たち二人と違って生まれた時から前世の記憶を持っていた訳では無かったんです」
へぇ〜……へ? その言い方だと……。
「その様子だと……ショックで眠りにつく前のことが飛んでしまっているみたいですね……」
「みたいね、コロ助、それとアンタ記憶が不意に前世の記憶が蘇ったせいでか分からないけど1ヶ月以上も眠っていたのよ?」
「1ヶ月!?」
「本当にビックリしたわよ? あの時いきなり『この記憶は……っ? わ、わたくしは、俺は』みたいな感じで色々とブツブツ言った後急に倒れちゃうんだもの。衝撃的すぎて今でもハッキリ覚えているわ」
「はい、目覚めて本当によかったです」
自分の記憶のアレコレに対する発言や1ヶ月もの間眠りについていたこと。そしてそれ以前にも自分が普通に生活していた事実に思わず大きな声を上げてしまったが「そろそろシチューも完成したはずですし、食べながら話しましょう」というペコリーヌの言葉に、落ち着きを取り戻す。
木の器によそわれた大きめのお肉や野菜がゴロゴロと入ったクリームシチューは、湯気と共にとてもいい香りが漂い、一緒に出されたパンもとても美味しそうで、シチューに浸して食べるのを想像するだけで食卓が輝いて見える。
「「「いただきます!」」」
まずはスプーンに野菜とシチューをたっぷりと乗せ、口に運ぶ。
「これはっ、とても美味しゅうございます!」
しっかりと、それでいて主張し過ぎない野菜の風味と、クリーミーなシチューの組み合わせに、思わず頬が緩むのが自覚できた。
「んんー! やっぱりシチューは良いですね☆」
「ええ、猫舌だからあんまりガツガツは食べられないけど、やっぱり美味しいわね」
「フーフーしてあげましょうか?」
「いらないわよバカ!」
何となく見つめていたそのやり取りに懐かしさを感じ、記憶を辿ると、知ってはいるが体験した自覚のない記憶がポツリポツリと浮かび上がってくる。
「あ……」
「コッコロちゃん!?」
「コロ助? ってどうしたのよ!?」
机に落ちた雫で涙が出ていることに気がつき、声を上げたことで二人もこちらの様子に気付いたらしく、慌ててこちらへ回って背中に手を当ててくるが、胸を締め付けるような感覚はむしろ強まるばかりだ。
見覚えのない、しかし実際に存在する彼女等との思い出に、前までのコッコロという少女の自我を消してしまったのではないかという恐怖や、前世の『俺』が本当に存在したのかという不安に頭の中がかき乱される。
しばらくして、シチューが冷める頃には頭の中も落ち着き、口を開くことが出来た。
「すみません。先程の様子を見ていて、眠る前の記憶が何となく思い出せたのですが、知識としてはあってもどこか自分ではない誰かの体験のようで、今の私は前世の『俺』であって前までの『私』では無いように思えてしまって……それにこの『俺』としての記憶も本物かどうか……」
その言葉に2人はキョトンとした顔の後に苦笑いをすると、優しく声をかけてくる。
「コッコロちゃんはコッコロちゃんのままですよ? 今も昔も私たちファミリアの仲間です!」
「そうね、それに聞く感じ前世は男だったみたいだけど、口調とか食べる時の仕草とかは見た感じコロ助のまんまだし、前世のコロ助でもあり前までのコロ助でもある。どっちでもあるハイブリットでむしろラッキーってプラスに考えなさいよ」
そう言いつつ彼女は、向かい側の席に戻ると改めて口を開く。
「それにこの3週間で気絶する前のつぶやきから、そういう事態も考えてはいたし今更仲間じゃないなんて思ったりしないわよ」
「はい! 安心してくださいね?」
キャルと、続くペコリーヌの言葉に、過去のコッコロを塗りつぶしてしまったのでは、この人たちの仲間ではなくなってしまったのではと不安になっていた心が多少落ち着くのが分かる。
そしてこちらを励ましていた二人が唐突に「あ、忘れてた」「そうね」と言って姿勢を改めたため、こちらも姿勢を正すと、朗らかに笑いながら言うのだった。
「コロ助」
「コッコロちゃん」
「は、はい」
「「おかえりなさい」」
「はい、ただいま。です」
「なんか焦げ臭くない?」
「あああ! お鍋の火、消し忘れてました! ヤバイですね☆」
「ヤバイですね☆じゃないわよ、もったいない!」
「大丈夫ですって、焦げちゃったシチューも別のお料理に使うことができますから安心してください!」
(何だか懐かしいのに新鮮で、これからがとても楽しみですね)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
温くなったシチューを平らげた所でとあることを思いだし、ふと口を開く。
「そういえば、今更ですがダンまちの世界なのですねここは」
「ほ、本当に今更ね……前世の記憶のなかったコロ助からしたらそのリアクションも納得だけど」
そう、前世という言葉が出ていたが新しい生を受けたのは異世界、それもラノベの世界なのだ。
先程ギルドではなくファミリアと呼んでいた時にその事に思い至ったのだが、改めて口にするととても不思議な感覚だ。
「1ヶ月も経つのですし、何か変わったことが起きたりしましたか?」
「あー、そうねその辺の話もしないといけなかったわね」
「スキルのこととかですね」
二人の様子に、特別なスキルが存在するのだろうと予想されるが、どんな物なのだろうか。
「実は新しいスキルが発現したんですよ」
「そうね、なんか急にプリコネの私たちと同じようなことができるようになったのよね」
「では、わたくしも追いつかないといけませんね……」
プリコネで出来ていたことができるとはなかなか強力なすきるのようだ、着いてしまった差を埋めるべく気合を入れる。
「そこまで差を気にしないでも良いと思いますよ?」
「ええ、実はコロ助含め私たち3人に同時に発現スキルだから」
「わたくしにも、でございますか?」
その問いかけに頷く2人。
「スキルの名前は『美食殿』効果は絆が続く限り共に成長する。すこし照れますけど、3人の絆の証でもありますね☆」
「そ、そうね……まあ、共に成長するっていう一文の通り、経験値みたいなのが全員に入るような感じね……しかもステータスの上がり幅を確認した感じ自分以外の成長は少し低かったけど自分自身に入ってくる経験値は変わらなさそうだったわ」
「と、いうことは」
「はい! 全員が頑張れば効率アップです!」
チートやん……という内心に気付いたらしいキャルは同じように思っていたようで思わずお互い苦笑いをしてしまう。
「まあ、コッコロちゃんは流石に少し体が鈍っていると思うので慣らしからですけどね」
「そうね、私たち3人でならそれなりに潜れるでしょうけどまずはそこからね」
「はい、頑張ります!!」
と、胸の前で拳を握ると「あともうふたつ効果があって_______」とキャルが説明を再開しようとする。
「ひとつはさっき話したプリコネで使用していた技なんかが使えるようになるのと、もう一つは_______
と、最後の効果を説明しようとしたところで玄関の開く音と共に「ただいま〜!」という声が聞こえた。
反射的にそちらを向くと。
「アメス様…………」
「コッコロ……たん?」
またもゲームで見覚えのある少女……いや、ここでは女神であり、このファミリアの主神である"アメス様"が驚愕の表情でこちらを見ているのだった。
皆さんもTS憑依、TS転生、書こう。
どんな料理を食べようか
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山菜!