鬼っ子痴女海賊団ドタバタ珍道中   作:黒雲あるる

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第三話

「見えてきたよい」

 

おォ~~~!

 

 小さな客人を乗せたまま、マルコ達一番隊は無事に本隊が停泊する海域へと帰還を果たす。遠目に見えるは、太陽に反射して白く輝く船体を水面にプカプカと浮かせた巨大な船。

 

 "白ひげ海賊団"の旗艦"モビー・ディック号"だ。

 

 船首は名前の由来となった白鯨を象った造りとなっている。勿論、白鯨の名に恥じぬ巨体さを誇っており、船体の大きさ、重量共に人間が乗り込む船の中では世界最大級だろう。なお、巨人族の船は含まないものとする。

 

凄い大きさじゃなァ~~!母上の船より大きいぞ!

 

 甲板の手摺に乗っかり、上機嫌そうに"モビー・ディック号"を眺める幼女。陽光に照らされて、短く乱雑に切り揃えられた金髪が波に揺れる。

 

わわっ!

 

「おいおい危ねェよい、海に落っこちても知らねェぞ」

 

 船体が波に揺られる度に器用にバランスを取っているが、見ている側は海に落ちるんじゃないかと心配して冷や冷やしっ放しだ。マルコ達は、万が一にも小さなお客様が海に落ちない様に、細心の注意を向けつつ本船へと舵を取る。

 

む!マルコッ!マルコッ!何やらピカピカ光っておるぞ!光線か!?

 

「光線撃ってくんのは黄猿だけで十分だよい……ありゃあモールス信号だ」

 

も~るすしんごう?それは何じゃ?

 

 モールス信号。電伝虫に頼らずとも交信が可能な、古くから存在する技術である。

 

 電伝虫の普及に伴って長距離での活躍の場は奪われてしまったものの、それでも目視できる距離ならばモールス信号の方が圧倒的に早いため、現在でも重宝されている交信手段である。

 

 それに、予め暗号を仲間内で共有しておけば、敵に悟られずに次の指示を素早く伝達出来る利点もあり、更に傍受される心配もないので一石二鳥なのだ。

 

・-()・・・

・-()・・

-・()---

--()

 

「おかえりって言ってるんだよい」

 

おォ~~!凄いな!今のピカピカで意思疎通しておるのじゃな!

 

-・()

-・() ・・

・-()

-・()・-

 

 

 『タダイマ』と"モビー・ディック号"へ返答し、ついでにお互いの近況報告のやり取りに入る。と言っても、本船はナワバリから出る事は基本的に無いので、近況報告と言ってもその内容はほぼ世間話のようなものしかない。

 

 どうやら昨日は雪が大量に降り積もったらしく、一日中雪合戦をしていたらしい。体格の大きいジョズやアトモス、ブレンハイム等が集中砲火を受けてブチキレて最後は乱闘になったとのこと。

 

「……いやいや何してんだよい」

 

 大の大人が何やってんだと返答をしながら、船に小さなお客さんが居る事を伝える。が、どうやらオヤジから既に聞き及んでいるらしく、皆"ロジャーの娘"と名乗るお嬢さんに興味津々のようで、隊長格はマルコと二番隊隊長を除いた全員が勢揃いしているようだ。

 

「……パトロールはどうしたパトロールは!?」

 

なぁなぁマルコ!お主だけずるいぞ!儂にも教えてくれ!

 

 そしてその張本人はと言うと、マルコの真横で飛び跳ねながらモールス信号をやってみたいと駄々を捏ねていた。

 

「お、じゃあ返事でもしてみるよい?」

 

 面倒見の良いマルコは然して嫌がる素振りも見せず、身長の足りない幼女の為に適度な木箱を送信用のライトの前に置いて、その上に幼女を乗せる。

 

「ほら、これが符号表だ…長い横線は約一秒で、点はほんの一瞬光らせるだけで良いよい。…あァ~文字と文字の間も間隔を開けとけよい」

 

ふむふむ

 

 全く似ても似つかない二人だが、教えを請う幼女と、柔らかい表情で説明するマルコの姿はまるで親子のように見える。なかなか見られない隊長の珍しい姿に、部下達は「親子じゃねェか」と、二人の様子を微笑ましく見守っていた。

 

覚えたぞ!

 

「……なに?」

 

 符号表を片手に持ち、ライトの前で唸る事数分──何を送るか決まったのか、幼女は勢いよくライトを操作して電文を本船へと送り始める。

 

・-・- --・-・ (ろじゃーの)・・ ・--・- ・・--

 

- ---・- -・・(むすめの)・- ・・-- 

 

-・-・- ・・・- (さくやじゃ)・-- --・-・ ・・ 

 

-- ・-・- --・(よろしくたのむ)-・ ・・・- -・ ・・-- - 

 

「完璧じゃねェかッ!?」

 

ワハハ!儂に掛かればこの程度!造作もないのじゃ!

 

 こりゃ驚いたと、マルコが驚嘆する。

 

 新入りは雑務を熟しながら、先ずはこの符号表を覚えなくてはならない。大体全てを覚え切るのに掛かる期間は一か月ほどだ。

 

 そして、次に符号表を頭に入れた新入りを待ち構えるのは、膨大な量の暗号類である。この暗号を覚えなければ戦場に出る事は出来ない。いざ戦場に出た際に戦場を飛び交う暗号を覚えていなければ、己の命は勿論として、"白ひげ海賊団"全員を危険な状況に追い込むことに繋がりかねないからだ。

 

 その事態を避ける為に、"白ひげ海賊団"は先ず第一にこの符号表と暗号を覚えさせる。それを全て頭の中に叩き込んで初めて、新入りは新入りの称号を返上することが出来るのである。

 

 尤も、敵に暗号を解析されるのを防ぐ為に、定期的に暗号の内容は変更されているので幹部も新入りもその都度憶え直さなくてはならないのだが、それはまた別の話だ。

 

「すげェなあのチビッ子…おれァ暗号全部覚えるのに一年掛かったんだが…」

 

「覚えた矢先に暗号変更なんてよくある事だからなァ…」

 

 一瞬で符号表を頭に叩き込み、流暢に使いこなす幼女に周囲からも驚嘆の声が上がる。手を叩いては口々に幼女を褒め称える部下も現れ始めた。本船からの返答がないところを見るに、恐らくは向こうも似たような状況なのだろう。

 

「ていうかお前さん、サクヤって名前なのかよい…そういやァ名前聞くのすっかり忘れてたよい」

 

はっ!そうじゃった!外界の人間は儂の名を知らぬのじゃったな!

 

 族長であるウズメの娘なこともあってか、あの島では幼女改め"サクヤ"の名を知らぬ女は存在しなかったのだ。故に、生まれ故郷を飛び出すなんて真似をしていなければ、名を名乗る機会なんて永遠に訪れる事は無かったろう。有名人故の弊害ではあるが、こればかりは致し方無いと言える。

 

 ともあれ今更感はあるが、サクヤはこの機会に改めて己の名を知ってもらおうと、高らかに宣言するつもりでいるようだ。木箱から軽々と跳躍し、操舵輪が設置された高台へ着地する。

 

皆の衆!良く聞けい!

 

 本船が近付くにつれ、合流の準備で慌ただしくなっていた甲板に凛とした声が鳴り響く。何だ何だと手を止めた一番隊の面々は、声の発生源たるサクヤが立つ高台に視線を向けた。

 

儂の名は木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)!誇り高き女鬼(めっき)族が族長!天宇受賣命(アメノウズメノミコト)と偉大なる男!"ろじゃー"の娘なり!親しき者は儂をサクヤと呼ぶ!命を助けてくれた礼じゃ!特別にサクヤと呼ぶことを赦そうぞ!!

 

「「「「めっちゃ上から目線!!!?」」」」

 

ワーハッハッハッハッ!!

 

 そしていよいよ本隊と合流する時がやってきた。

 

 "モビー・ディック号"に接舷した一番隊の船へ橋が掛けられ、マルコの部下達が次々と本船に乗り込み、二週間ぶりに会う顔馴染み達と久々の再会を祝い合う。この広い海の上、一度離れてしまえば二度と会えなくなる可能性は決して小さくはない、だからこそ彼等の喜び様も一入なのだ。

 

「んじゃ、行くよい」

 

うむ!参ろうぞ!

 

 その最中を、サクヤを伴ったマルコがゆっくりと進んでいく。

 

 人垣を掻き分け、やがて甲板に辿り着いた二人を待ち構えていたのは、綺麗に隊列を組んで佇む隊長格達。当然、総勢十三名の隊長達の眼差しはマルコの隣に堂々と佇む、サクヤへと向けられていた。

 

 ──そして、もう一人。

 

「帰ったよい、オヤジ」

 

「グララララ!帰ったかマルコ……おう、そこのハナッタレが例の"ロジャーの娘"か?」

 

 最奥に座するは、現在最も"海賊王"の座に近いと称される世界最強と名高き男"白ひげ"ことエドワード・ニューゲート本人である。

 

 ──鋭い眼差しが、サクヤを射抜いた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

問答無用で襲って来やがったからちったァ骨のある男共かと思ったが…

 

 嵐を抜け新世界へと足を踏み入れたウズメ達。しかし、娘の行方を探そうにも手掛かりは何一つ無く、航海初日にして既に八方塞がりの状況。だが、このまま悩んでいても仕方が無いので、一先ず外界の情報を仕入れるべく、人が住む島を探して航海を続けていた。

 

「ほらほら!何してんだいッ!しっかり腰動かしなッ!!」

 

「や、やめ──……はう♡」

 

 ──その矢先の出来事である、"百獣海賊団"と名乗る男共に襲撃されたのは。

 

『おォ~~~!えらく上玉が揃ってんじゃねェかよ!!大人しくしてろ!おれ達ァ泣く子も黙ると評判の"百獣海賊団"!良い子にしてりゃァ手荒な真似はしねェぜ、へへへっ♡』

 

 そう言って乗り込んできた男達は、"百獣海賊団"の中でも下っ端の中の下っ端であった。だが、たとえ下っ端であろうとも、"百獣海賊団"の一員であることに変わりは無く、この名を口にしただけで、たちまち男は顔面蒼白になり、女達は己の辿る運命に嘆き悲しむのである。

 

 だが、男達は一つ取り返しのつかないミスを既に犯していた。

 

『"百獣海賊団"?…アンタ知ってる?』

 

『知る訳ないべさ』

 

『族長様は?』

 

知る訳ねェだろ

 

『………………へっ?』

 

 外界の情報が届きにくい女鬼(めっき)島に住んでいたウズメ達にとって、"百獣海賊団"など当然知る由も無い。彼女達が唯一記憶に留めている海賊団は唯一つ、"ロジャー海賊団"のみなのだ。

 

『『『『はァ~~~!!?』』』』

 

 何だこの女達は?男達は啞然とした表情のまま、思考をシンクロさせる。

 

 おれ達は全員完全武装しているし、女達は見たところ全員が丸腰だ。局部を隠しただけの露出の激しい服装で、武器を隠し持っている様子もない。一歩踏み出して刀を振り下ろされれば、自分達の命は儚く散ると言うのに、女達は男達の前に平然と突っ立っていたのである。

 

 ──まるでお前達の事など、眼中に無いのだと言わんばかりに。

 

『ナ、ナメてんのかてめェら~~~!!!』

 

 なけなしのプライドを深く傷付けられた男達は、我を忘れて刀を抜き女達に斬り掛かる。が、その努力は全て無駄な行為でしかなかった。

 

『や、刃が…通らねェ!?』

 

『お、何だい何だい?随分とやる気になってるじゃないか♡』

 

『族長様~!こいつら食って良いの!?♡』

 

好きにしろ、ただ聞きてェ事があるから一人だけ残しとけ

 

 最早戦闘とすら呼べない戦闘が終わった頃には、男達は身包みを全て剥がされ帆柱(マスト)も何もない甲板に集められていた。海風に晒された肌を酷く震えさせ、己が辿る末路を想像して身を縮こませる。

 

 ──そして男達は、終わりなき快楽地獄へと突き落とされるのであった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

へェ~~"百獣のカイドウ"ねェ……強ェのかそいつは?

 

「つ、強ェなんてレベルじゃねェ!誰も殺せねェ生物だって噂だ!て、ていうかアンタらカイドウさんを知らねェって何処の田舎出身だ!?」

 

女鬼(めっき)島だが?

 

「聞いた事ねェよ!そんな島何処にあるッてんだ!?」

 

 最初に女に斬り掛かったリーダー格らしき男が、全裸で甲板に正座した状態でウズメからの質問に答えていた。

 

「あれ?……まだ二十発しか出してないのにィ…もう死んじゃったよ」

「だらしない男共だねェ…」

「死んだ男共はとっとと海に捨てちまいな!邪魔だよ!」

 

「……──ッ!」

 

 男の背後からは恐ろしい言葉の応酬が繰り返されており、その合間合間に何かが海に落ちる音が聞こえてきていた。振り返ってその音の正体を確認したい衝動に駆られたが、振り返る事は許されておらず、想像でしかその正体を探ることが出来ないでいる。

 

この周辺にゃあ島はねェのか?

 

「……ち、近くに無人島がある!水の補給でたまに立ち寄る島だ!ロ、記録指針(ログポース)もある!」

 

無人島か…もしかすっとその島に流れ着いてる可能性もあるか…?

 

「……?」

 

 質問が途切れ、肉と肉がぶつかり合うような音が背後から聞こえてくる。仲間達の声は既に無い。最初こそ下卑た笑い声が響いていたが、いつしかそんな声は届かなくなり、変わりに命乞いをする声へと変わっていった。

 

よォ~し、じゃあお前!

 

「は、はい!」

 

アタイ等をその島まで案内しな、そうしたら解放させてやるよ

 

「…?──わ、わかりやした!!」

 

 妙な言い回しだと感じたが、聞き返したりして変に機嫌を損ねてしまえば、折角の生き残れるチャンスを棒に振りかねない。男はいそいそと服を着て、持っていた記録指針(ログポース)で無人島への針路を確認しつつ、針路を指し示す。

 

「族長様?あの男は食っちゃダメ?」

まだ食い足りねェのかよ…島に着いたら食って良いぞ

「やったァ~~♡」

 

 男の背後でコソコソと交わされた会話は、幸か不幸か男の耳には届かなかった。振り返った甲板には仲間達の姿は無く、全裸のまま掃除を行う痴女集団しか存在しない。皆絶世の美女揃いで、一瞬視線を奪われ掛けたものの、鋼の精神で誘惑を振り払う。そうしなければ、仲間達と同じ末路を辿ることになるからだ。

 

 今まで好き勝手に略奪や強姦に明け暮れてきた男にとって、目と鼻の先に極上の裸体が跋扈する今の状況は、耐え難い苦痛を伴う拷問にも等しい状況であった。とっとと無人島まで案内して、そして急いで"鬼ヶ島"まで逃げよう。起きた事を全て報告すれば、きっとカイドウさんや幹部の方々が仲間の仇を取ってくれる筈。

 

 男はそれだけを心の拠り所にして、誘惑に必死に抗い続け、唯々無心に案内を続ける。

 

 そうして無人島を目指して航海すること約一日。ようやく辿り着いた無人島には先客が居たらしく、海岸には二隻の船が停泊していた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「おいミホーク!もっとルフィの話を聞かせろッ!」

 

「………先ほどから何度も言っているが、もうおれから話す事は何もない」

 

「無駄だぞ"鷹の目"…こうなったお頭にゃあ何言っても聞きゃあしねェ」

 

「………そのようだな」

 

「……うっ!……は、吐きそう」

 

「お、おい!ここで吐くなよお頭…!吐くなら向こうの茂みの奥で吐け……!!」

 

「おう…ちょっと行ってくる……うぷっ!」

 

 欝蒼としたジャングルの奥地で、複数の男達が宴を催していた。が、宴もたけなわな状況とは言い難く、殆どが二日酔いで屍を晒している状態である。何せ数日前から続いていた宴である。寧ろ今も意識を保ち、未だに酒を飲み続けているシャンクスとベックマン、ミホーク達の方が異常なのだ。

 

「……お頭もあんな調子だし、そろそろお開きだな」

 

「そうだな、おれも戻るとしよう…そろそろ海軍が怪しむ頃だ」

 

 "四皇"と"王下七武海"。

 

 両者は本来ならば敵同士の関係にある。"赤髪海賊団"と共にいる事が海軍に露見すれば、裏切り行為と見做され"王下七武海"の地位を剥奪される可能性が高い。

 

 尤も、そうなったらそうなったでミホークは喜んで歓迎するだろうが。

 

「ふう、吐いたらちったぁ楽になった……………──ん?おいおいミホーク!もう帰るのかッ?」

 

「長居し過ぎた、おれはもう行く」

 

「えェ~~~~!?」

 

「子供かアンタは……それにもう酒は残ってねェよ」

 

「なにィ!?」

 

 帰り支度を始めていたミホークを見るや否や、シャンクスは宴はこれからだろと言わんばかりの口調でミホークを引き留めようとする。が、残念なことに既に酒は残っていない。

 

「「「「お、お頭ァ~~~!!!」」」」

 

「「ん?」」

 

「………?」

 

 身支度を整えたミホークがその場を後にしようとした、その時であった。血相を変えて飛び込んできたのは、"赤髪海賊団"の船員達。此処まで全力で駆け抜けてきたようで、息切れが激しい。

 

「お、沖合に見た事ねェ変な船がッ!どうしますかッ!?」

 

「落ち着けよ、変な船ってのはどんな船だ?」

 

帆柱(マスト)も帆も何もねェんです!なのに真っ直ぐこの島まで向かってきてるッ!」

 

「───ッ!!」

 

 シャンクスが持っていた空っぽの酒瓶が地に落ち砕け散る。

 

「……ま、まさか………"男漁り"か……ッ!?」

 

 シャンクスの脳裏に"ロジャー海賊団"の見習い時代の記憶が蘇る。二十六年経った今でも、克明に覚えている、決して忘れられない記憶。

 

『ほらほら♡可愛い可愛い私の坊や♡……若いんだからまだまだ出るだろ?』

 

『さあこれをお飲み♡…うふふ♡心配するこたァないよ…元気になれるお薬だからさ♡』

 

『~~~~ッ♡……やっぱりアンタみたいな若い子と交わるの最高だわねッ♡』

 

 一句一句、何を言われ何をされたのかも全て覚えている。あの時に無理矢理飲まされた謎の薬の甘い味が、じわじわと口の中に広がり体中を駆け巡る感覚が蘇る。

 

「──こ、こうしちゃあいられねェ!!おい!出航だ!急げッ!!」

 

「お、おいおいどうしたんだシャンクス!お前らしくもねェ!」

 

 ぐっすりと夢の中に旅立っている幹部達に蹴りを入れて、次々と叩き起こしていく。普段の落ち着いた物腰柔らかな様子は微塵も見られない、こんなシャンクスを見るのはミホークは勿論として、ベックマンもこれほど取り乱した様子のシャンクスを見るのは初めてだ。報告しに来た船員達も、様子が一変したシャンクスを前にして困惑して動けずにいる。

 

「説明しろシャンクス!!その変な船がどうかしたのかッ!?」

 

 シャンクスの様子が変わったのは船員達の報告を受けてからだ、原因がその"変な船"にあるのは間違いない。

 

「は、話してる暇はねェ!!急いで出航しねェと………お……お……」 

 

「「「「「お………?」」」」」

 

 ベックマンとミホーク、そして叩き起こされた幹部達や船員達が、固唾を呑んでシャンクスの次の言葉を待つ。

 

「──犯されちまうッ!!!」

 

「「「「──はァ!?」」」」




一方その頃の麦わらの一味は…

・ローグタウンでルフィが処刑されそうになるも、突然の落雷で未遂に終わる。

・麦わらの一味、偉大なる航路に進出する。←今ココ





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