鬼っ子痴女海賊団ドタバタ珍道中   作:黒雲あるる

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6/30追記
そういえばエースって白ひげ海賊団に弟がいるって手配書片手に紹介してたわ…という訳でマルコがルフィの名前を聞いて無反応たった部分をちょっと修正!!!



第八話

「どうだ?繋がったか?」

「…ダメじゃ、プルルルル~としか言わんぞこやつ」

「手が離せねェ状況か、もしくは寝てるかだと思うが…繋がらねェならしょうがねェよい」

「時間をおいてもう一度掛け直してみようかのぅ…エースと話せると思ったのじゃが…残念じゃ」

「ま、焦るこたぁねェ。話す機会なんざこれからいくらでもあるよい」

 

 モビー・ディック号を出発し、"赤い土の大陸"(レッドライン)上空を飛び続けて丸一日。現在地点はシャボンディ諸島上空を通過したところ。道中でこれといった問題は特に発生することもなく、旅路は至って順調そのものである。

 

 ──ある一点を除いては、だが。

 

「よし!じゃあ飯の時間じゃな!!」

「さっき食ったじゃねェか!!もう残ってねェだろおまえの分!!おれの分まで食うなよい!!」

 

 怒鳴り散らすマルコを無視してゴソゴソとリュックを漁る。

 

 サクヤの大食漢っぷりを警戒して一週間分の食料を詰め込んだにもかかわらず、旅路二日目にして既に食糧は一割程しか残っていない有様であった。あの手この手で阻止しようと四苦八苦したマルコだったが、獣型で飛行している以上取れる手段は限られてしまう。涙ぐましい全ての努力は徒労に終わり、初日の内に殆どの食糧を目の前で食い尽くされてしまったのだ。

 

「はふあはへっへふぁはひふはふぁふぇひんははほ!!!」

「食うか喋るかどっちかにしろい!!──ったく、何処かの島で食糧補給しねェと…」

 

 アラバスタ王国は"楽園"の中でも前半地点に存在する国だ。海路で目指すよりも遥かに早い空の旅路ではあるが、それでも順調に行けたとしても三日四日は掛かる距離にある。如何に白ひげの右腕として活躍してきたマルコと言えど、流石に飲まず食わずの状態で三日四日の距離を進むことは不可能だ。

 

 人目のつかない島に降りて休息を挟みながら空を進む計画が早々に破綻してしまった以上、何処かの島で食糧を補給しなければならない。しかし、それは即ち人目のある場所に姿を見せなければならないことを意味する。

 

 白ひげ海賊団の中でも柔和な面持ちのマルコだが、その実その首に掛けられた懸賞金は"四皇"に次いで非常に高い額を誇っている。つまりは人目につけば必ず騒ぎになる程の有名人だということ。そんな男が一人島に姿を現せばどうなるかなど、火を見るよりも明らかだろう。

 

「近くにナワバリの島があれば良かったんだが…」

 

 近くにナワバリの島があればその島に降り立ち補給と休息を行えたのだが、生憎周囲の海域にナワバリの島は存在しない。"新世界"に拠点を置いている関係上、行き来するだけでも一苦労な"楽園"にナワバリを置くメリットは皆無なのだ。先ほど通過したシャボンディ諸島の遥か海底に存在するリュウグウ王国が有する魚人島が最も拠点から離れた位置にあるナワバリであった。

 

(魚人島にゃあ行く手段もねェし、仮に行けたとしても往復するだけでえれェ時間が掛かっちまう…その間にもエースはアラバスタから離れてるだろうし…さてどうしたもんか)

 

 彼是考えながら飛行を続けるマルコ。その背では残りの食糧を食い尽くしたサクヤだが、まだまだ満たされぬ胃を満足させる為に手頃な獲物が居ないかと見聞色を用いて広範囲を捜索していた。

 

「──むっ!!」

 

 ──やがて複数の気配がサクヤの見聞色に捉えられる。

 

「マルコ!マルコ!前方に鳥の群れがおるぞ!あれを丸焼きにして食べよう!!」

「鳥?──あぁ、ニュース・クーの群れだな」

「にゅーすくー?」

「世界政府とかの新聞を配達する鳥だよい…そうだな、一旦情報を仕入れとくか」

「む~~食糧ではないのか?儂、腹減ったぞ~~~……」

「食糧なら後で調達するからもう少し我慢しろぃ」

 

 そう口にするや否や、マルコは前方を悠々と飛ぶニュース・クーの群れに追い付こうと急加速した。後方からの突然の闖入者にニュース・クーの群れが慌てふためき、その拍子に数枚の新聞が彼等の鞄から零れ落ちた。すかさずその内の一つの新聞をマルコが嘴でキャッチし、背中のサクヤへと投げ渡す。

 

「なんじゃこれは?せかいけいざいしんぶん??」

「よりにもよって世経かぃ……──っとサクヤ、リュックに金入ってるから代金渡してやれよい」

「む、分かった!!」

 

 膨大な食糧に押し潰されリュックの底にへばりついていたいくらかの貨幣を取り出し、ポンと指で弾いてニュース・クーへと渡す。器用に嘴で貨幣を受け取り鞄へと押し込むと、涎を垂らしながら自分達を見るサクヤに身の危険を感じたのか、悲鳴を上げながら即座に二人から離れていく。

 

「もしかしたらエースの事が載ってるかもしれねェよい」

「本当か!?」

「あいつ行く先々で問題起こしやがるからな…何が書いてるか聞かせてくれよい」

「分かった!読むぞ!……んと、あらばすた王国の反乱が終結。こぶら王と反乱軍りーだーのこーざが協力して復興に着手…これは二日前の記事かの?」

「アラバスタ王国か…まさかとは思うがエースの奴、反乱に巻き込まれてたりしてねェだろうな??」

「エースの事は何も書かれてないのぅ」

 

 数日前のエースからの定時報告の際にはアラバスタに滞在してると報告を受けている。日に日に反乱軍の数が膨れ上がり、王国軍と激突するまで秒読みと言われていたあの国にだ。億越えの賞金首が捕まったとなれば新聞に載らない訳は無い。エースの名前が載っていないところをみると、巻き込まれずに済んだ可能性は高いと思われる。

 

「次はぁ~~…あいすばーぐ市長暗殺未遂事件発生と書かれておる!」

「アイスバーグってェと…確かウォーターセブンの市長か、犯人は捕まったのかよい?」

「実行犯はにこ・ろびんと…麦わらの一味という海賊団みたいじゃ!まだ捕まっておらんようじゃな」

「ニコ・ロビン…確か"悪魔の子"と呼ばれてる女だが……──麦わらの一味?……どっかで聞いたような気がするよい」

「船長の名はもんきー・D・るふぃとのことじゃ」

お、思い出した!!エースの弟じゃねェかよい!?

なっ何じゃとォ!!!!!??

 

 まさか、自身の弟に更に弟なる存在が居るとは思ってもいなかっただけに、サクヤの驚きようは一入であった。偶然手に入れた新聞に弟の弟が引き起こした事件が載っているなど、一体誰が予想出来ようか。

 

「るふぃ…!エースの弟………!!」

「驚いたな……ウォーターセブンの船大工達ァ随分と腕っぷしが強ェって噂だが…捕まえられてねェってんならルーキーにしちゃあなかなかやるよい」

「なぁマルコ!!儂!るふぃにも会いたい!!エースの弟なら儂の弟でもある!!」

「あァ~~言うと思ったよい……」

 

 弟の弟は自分の弟とは些か暴論な気がするし、サクヤの言い方は弟の物は全て兄姉の物という兄弟喧嘩の理由ぶっちぎりNO1に近しい意図を感じてならない。

 

 そもそもの話、今し方存在を知ったルフィはまだ仕方ないとしても、まだエースとも連絡が着いてないまま行方を捜しているのだ。…言うなれば今の三人は赤の他人状態である。

 

 そんな状況で突然見知らぬ幼女から「お主の姉のサクヤじゃ!!」と言われても「頭イカレてんのかこいつ」としか思われないだろう。果たしてサクヤは其処ら辺をちゃんと認識しているのだろうか。

 

「会ってどうすんだい?」

「先ずは自己紹介!!」

「……その後は?」

「──???その時考える!!」

 

 やっぱり何も考えていない。マルコは深い溜息を吐いた。何はともあれ、ここまで連れてきた以上、途中で投げ出す訳にもいかない。最後まで付き合うのは最早確定事項である。

 

 エースに繋がる電伝虫は呼び出し音を鳴らしたまま繋がる様子は見られないが、連絡さえ取れれば合流することは可能だ。問題は弟の弟の方である。

 

「エースは連絡取れれば合流出来るだろうから良いが…エースの弟の居場所が分かんねェ以上見付けるのは難しいよい」

「むむ、確かにそうじゃのう…」

「新聞にエースの弟の情報は乗ってねェか??」

「ん~~~他の事件か…「えにえす・ろびー陥落!?世界政府完全敗北か!?」と書かれておる」

「ハァ!?大事件じゃねェかよい!?」

 

 司法の島"エニエス・ロビー"。

 

 世界政府の直轄地で裁判所が設置されている島で、一年中夜にならない"不夜島"としても有名であり、別名"昼島"とも呼ばれている。創設以来唯の一度として侵入者も脱走者も出したことのない鉄壁の要塞であり、勿論その警備はアリの子一匹通さない程の厳重さである。そんな鉄壁の要塞であるエニエス・ロビーが陥落したなどと俄かには信じ難い内容であった。

 

 この記事を書いたのは情報操作新聞と悪名高い世界経済新聞社だ。

 

 その社長である新聞王(ビッグニュース)は権力に屈せず世界に真実を伝えるといったジャーナリズム精神を持ち合わせてい…ない男だが、かといって部数を稼ぐために根も葉もない嘘や誹謗中傷を書き立てるようなブラックジャーナリズムにも決して走らない、ある種独特な信念の持ち主でもある。

 

 だからこそ判断に迷う、果たしてこの記事は真実なのだろうかと。

 

「それで?まさかとは思うが…エニエス・ロビーを襲撃したのは何処のどいつだよい」

「るふぃじゃ!!」

「何考えてんだエースの弟は!?」

「ワハハ!!大暴れしておるわ!!流石儂の弟の弟じゃ!!」

 

 記事には詳しい経緯は語られていない。エニエス・ロビー付近を飛んでいた世界経済新聞社の本社が崩壊していくエニエス・ロビーを偶然目撃し撮影したらしい。無我夢中で社員達が撮影した写真の中の一枚に麦わらの一味が写り込んでいた為、主犯と断定されたようだ。

 

「その記事は今朝の速報だったな…だとすりゃァもう騒ぎは収まってると思うが……」

「まさか海軍とやらに捕まったのか!?」

「その可能性もあるよい…だとすりゃァ行き先はインペルダウンか…?」

 

 もし、インペルダウンに投獄されていれば残念だが手の出しようがない。マルコとサクヤの二人だけでは襲撃しても返り討ちに合うだけだ。もしくは無事に生き延びて何処かの島に辿り着けた可能性も考えられるが…その可能性は限り無く低いと見るべきだろう。海軍の拠点にたった数人で殴り込みを掛けるとは、つまりはそういうことだ。

 

「なんにせよ情報が欲しいよい」

「此処から一番近い島は何処じゃ??」

「一番近ェのは…ウォーターセブンか」

「ならそこに参ろう!大丈夫じゃ!!儂の弟の弟なら必ず生き延びる!!」

「会った事もねェしなんなら存在すら知らなかったのによく自信満々に言えるよい」

無論!!儂の!!弟の!!弟なのじゃから!!!

答えになってねェ!!!

 

 空の旅の次の目的地は──ウォーターセブン。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

「敵に回すとおっそろしい連中だが……味方だとすんげェ頼りになるよな」

「違いねェ」

 

 "白ひげ"の元へ最短距離で突き進むシャンクス達"赤髪海賊団"。島を出た直後から海軍艦隊の襲撃を受けていたが、近付いた軍艦からウズメの"フネフネの実"の餌食となっており碌な抵抗も出来ぬまま海の藻屑と化していた。

 

 久しぶりの戦闘だと武器を掲げながら意気揚々と海に出た"赤髪海賊団"の面々だったが、残念ながら彼等の出る幕は無く、瞬く間に分解され海に投げ出されていく海兵達を只々眺める事しか出来なかったのだ。

 

「あらイイ男♡お姉さんと遊びましょうか♡♡」

「はっ離せ!!貴様等赤髪の仲間かっ!?」

「どうだっていいでしょそんなこと、ホラホラ服を脱いで♡♡」

「や、やめ!!あああ~~~~♡♡♡」

 

「「………」」

 

 海に投げ出されながらも、運よく生き延びた海兵達を引き上げては瞬く間に身包みを剥がし、即座にその場でおっ始める女達。最後まで抵抗していたのは中将らしき指揮官だが、それもものの数秒で鎮圧されてしまい複数の女達に連れられ船内へと姿を消した。

 

「こんなに敵さんに同情したの生まれて初めてだぜおれァ……」

「……奇遇だな、おれもだ」

 

 シャンクスとベックマンがあっという間に肉欲に塗れていく目の前の光景を虚無の表情で眺めながらそう呟く。恐らく、彼等がこの先自由になる日が訪れる事は決して無いだろう。彼等が解放される日が来た時、それは永遠の眠りを意味する。

 

「島の女達への手土産はこれぐらいで良いだろ、なかなか見所ありそうな連中だしな」

「ねぇ族長様。島に帰るまであの男達生きてられるかしら?」

「………お前らが我慢すりゃあそれで済む話なんだが?」

「無理ね♡」

「はぁ……またどっかで捕まえるしかねェか…」

「はぁ~い♡」

 

 年若く性欲が旺盛な女達の手綱を思うように引けない状況に大きな溜息を溢してしまう。自分が女達と同じぐらいの年頃の時はこんなに暴走気味に性欲を爆発させている女は居なかったが…環境が激変しただけでこうも違いが出るものなのかとウズメは頭を抱える。

 

 今回の遠征に同行している女の数は総勢百名ほど。その内の六割程は子供達とその母親達で占めており、残りの四割は出産経験のない孕み頃を迎えている女達で固められている。今回暴走列車と化しているのはこの四割の女達であった。

 

 確かに、彼女達の焦る気持ちも理解出来なくはない。閉ざされた島に運よく辿り着く男は一年を通して一度あるかないかだ。そしてよしんば辿り着けたとしても、五体満足な男はほぼ居らず、その数も島の人口に対して非常に少ない。

 

 一度も男を抱いた経験がないまま、年老いて孕めない躰になってしまうのを彼女達は恐れているのだ。現に一定数、その末路を辿ってしまった女達が少なからず存在していることも、彼女達の焦りを助長させる要因となっている。

 

 "男漁り"に出ようという提案が彼女達から出たのも、致し方ないと言えよう。

 

「しつけェ連中だな海軍ってェのは……」

 

 遠方にまたもや海軍艦隊が現れる。既に分解した軍艦の数は十隻を優に超えているが、敵の増援が途絶える気配は一向に訪れない。しかし、海軍も馬鹿ではない。次第に迂闊に近寄ってくる軍艦は減り、ウズメの射程範囲内に入らないように適度な距離を保ったまま遠方から大砲を撃つ戦法へと方針を変えている。

 

 だが、それならそれでシャンクス達にとっては好都合であった。遠方から放たれる大砲など驚異の内にすら入らないし、凄腕の砲手でもない限り命中率は限り無く低いからだ。万が一直撃コースになったとしても、直撃する前に撃ち落としてしまえば良い。

 

 "赤髪海賊団"だけでなく、ウズメ達の船にそれが出来ない者は誰一人として存在しない。

 

「この調子で行きゃあ明後日には白ひげんとこに辿り着けるか」

「シャンクス、その白ひげんとこに向かった新入りから伝言だ。どうやら聞く耳持たれなかったらしい」

「…白ひげのことだ、相手にしねェだろうなとは思っていたよ」

「あともう一つ──妙なチビッ子が白ひげの傍に居たらしい」

「─────!!…当たりか?」

「恐らくな」

「……ウズメに伝えておくか」

 

 詳しく報告を聞いたベックマンによると、髪はウズメと同じ金髪、ワノ国の伝統衣装に似た衣服を身に纏っていたという。そして何よりも重要な点はウズメ達と同じ一本角が額に生えていたという報告である。額に一本角が生えている種族は彼女等"女鬼族"を置いて他に存在しない、間違いなくウズメの娘本人だろう。

 

「おーい!ウズメー!」

 

 ロックスターと合流したら褒めてやらなきゃなと、内心でそう考えつつシャンクスはウズメに貴重な情報を伝えるべく、彼女の名を呼ぶのであった。




一方、その頃の麦わらの一味は…

・ォーターセブンでアイスバーグ市長の殺害未遂事件が発生し、市長暗殺の濡れ衣を着せられる。
・エニエス・ロビーに乗り込みロビンを取り戻す事に成功し、一味全員が賞金首となる。
・新たな船の完成を待ちつつ、ウォーターセブンで宴に明け暮れる。←今ココ。
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