マギアレコードRTA 特殊エンドルート ACコラボDLCチャート   作:ポテトマッシャー

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 4月くらいから書き始めてここまでしか書けてないってマ?
 ちょっと遅すぎんよ…。


一話裏

「あははは…、ごめんごめん。忘れてないから」

 

 そう言いながら私、御園かりんの恩人たる富美子先輩は眠そうに左目を擦った。

 黒髪のロングと茶色い色彩に囲まれた黒い瞳。美しくも記憶の欠片にすら残らないであろう程の掴み所の無い少女。

 いいえ、記憶に残らないように影を薄くしていると思うの。

 それでも彼女は有名人なの。栄統合学園の生徒でなくとも、耳が良い者なら聞いたことはあるであろう噂なの。

 

 化物、魔女、他の人間を餌にして生き延びた卑怯者。

 

 とある惨劇の唯一の生存者と目された彼女。口さがない者達には格好の獲物として、真偽も分からないのにそう後ろ指を指されているの。

 そんな彼女に近付いていく人はあまり多くないの。私もただの女の子だったら関わりもしなかったと思うの。

 私が魔法少女で、彼女が命の恩人でなければ、なの。

 

「しっかりしてほしいの、怪盗かりんとしても魔法少女としても強くならないといけない、って教えてくれたのは先輩なの」

 

 そう言いながら私は彼女に助けられた時のことを思い出していたの。

 

 

 無限に拡がっているような魔女の結界。数えるのが億劫になるような使い魔の群れ。先程倒した魔女を一回り大きくしたような強大な魔女。そんな中を私は必死に逃げていたの。

 このような経緯になったことは何てことはないの。魔法少女として未熟だった私のミスなの。

 

 それは魔法少女になって、マジカルかりんとして活動しはじめてばかりのころだったの。

 その時の切っ掛けは、学校帰りに小さな小さな魔女結界を見つけたことだったの。出来立てホヤホヤの、まだ生まれて間もない魔女の結界なの。

 それならば私も倒せる筈なの。そう思ってそこに踏み込んだの。

 使い魔を倒し、奥に踏み進んでいったの。

 

「小さな結界の割には、使い魔の数が多いの…?」

 

 はじめはそんな違和感だったの。けどそこで気付くべきだったの。

 奥に進むにつれ使い魔の数が増えていき、その強さもどんどん強くなっていたの。

 ここは一旦引くべきかも、と思ったその時、ようやくこの結界の主たる魔女を見つけたの。

 前に戦った魔女よりも小さく、私でも倒せると思ったの。だから歩みを進めたの。それが失敗とは気付かずに。

 

 結果から言えばその魔女は倒せたし、グリーフシードも得ることが出来たの。けれど結界が晴れることはなかったの。

 そこに疑問を抱く暇もなく、再び襲い来る使い魔の群れ。慌てて逃れてみれば新たな魔女が居たの。

 先程倒したよりも大きな、しかも同じ姿をした魔女。

 当時は訳がわからなかったけど、今の私があの現場にいたら、運が悪かったと思ったと思うの。

 使い魔から成熟したばかりの魔女を見つけて追い立てている内に、その親の魔女の結界に辿り着いてしまった、と。でも違ったの。

 

 追うものと追われるもの。狩るものと狩られるもの。その関係は瞬く間に逆転したの。

 鎌を振るい使い魔を切り裂いたの。けれど一匹一匹が強く重く、また幾度幾度と倒そうとも数が減っているようには思えなかったの。そうしてる内に、段々と体が重く力が抜けていったの。

 魔女は手を出さずただこちらを見ていたの。いいえ違うの、なぶっていたの。私が使い魔に殺されるのを楽しんでいたの。

 

 私が鎌を振り下ろそうとした刹那、その鎌は弾き返されたの。振り上がる鎌、大きく開いたその隙間に、別の使い魔の攻撃が突き刺さったんだと思うの。

 鋭い痛みと浮遊感、少ししたあとに背中から全身へと広がる鈍い痛み、天と地かグルグルとグルグルと入れ替わったの。刺された傷から血は流れ、打ち付けられた痛みで身体中が震えていたの。

 傷だらけの手で鎌を立て、体を起こし顔を上げればそこには魔女がいたの。魔女が近付いたか、魔女の方に飛ばされたかはもう関係なかったの。そこにやつはいたの。そうすぐそこに。

 

 

 声は出なかったの。怖くなかった訳ではないの。今、目の前の存在に殺されるの。今までの全部が全て無くなるの。そんなの怖くないわけがないの。

 ただ、おばあちゃんの顔が思い浮かんだ。魔法少女に為るときに願ったおばあちゃんのことを。

 私の大事な大事なおばあちゃん。あの人にまた会いたかったの。

 

 魔女が体を大きく沈み込ませたの。どうやら決めたと思うの。子供が無邪気に虫を潰すのと同じようにするのつもりだったと思うの。

 でも魔女の体が地面を蹴り、その巨体が浮かんだとき声が聞こえたの。そう、そんな気がしたの。

 

「───────」

 

 その瞬間には魔女は目の前から消えていたの。いいえ、磔にされていたの、遠く魔女の結界に。

 その貫かれた体には無数の鎖が、何処からともなく延びていたの。

 そして、私のそばには誰かが居た。見たことも聞いたこともない魔法少女の誰か。

 

「ハハハッ!見てたよ、ルーキー!なかなかやるじゃなぁい?ちょーっと、危なかったけどね?まあ、いい腕かな?新人にしてはさ!」

 

 黒色のローブを頭からかぶり、その銀色の仮面の奥からは、鋭く紅い光が輝いていたの。それ以外は彼女の表情を伺い知ることは出来なかったの。

 ジャリジャリン!と大きな音を立てて、魔女に突き刺さった鎖が抜き去られたの。縦横無尽に結界内を走り回ったそれは使い魔を撥ね飛ばし、やがてその魔法少女の左腕に戻っていったの。

 

「まったく、これじゃ、おちおち話もできないしね!」

 

 そう彼女は言いながら、飛び掛かってきた使い魔を切り裂さいていたの。いつの間に取り出したのか、右手には剣が握られていたの。

 

「待ってて、すぐ片付けるからさぁ!」

 

 彼女は右手の剣を振るいつつ魔女に向かって歩き出したの。

 魔女が吠えたの。使い魔が魔女を守るように集まっていき、次々と彼女に襲いかかったの。私なんかもう眼中に無いの。

 でも無駄だったの。再び彼女の左腕から鎖が延びたの。使い魔を貫き、抉り、締め切りながら結界内を飛び廻ったの。

 

「捕まえた」

 

 そう言いながら彼女は、魔女に向けた左手を握り締めたの。その言葉と同時に鎖は巻き戻されたの。

 無作為に張り巡らされたと思ったそれは、まるでクモの巣のように魔女を絡めとって縛り上げたの。

 

 哀れな魔女はその糸から逃れようと、その大きな体を奮わせたの。けれど無駄、無駄だったの。

 もがけばもがくほどより絡まり、ピアノ線のようにその体へと深く潜り込んだの。

 

「終わりだ」

 

 その言葉はとても冷たかったの。私を圧倒したおの魔女はいとも容易く消えたの。押し潰され、切り裂かれ、魔女だったものが吹き出していったの。

 消え去っていく結界。ようやくこの戦いは終わったの。そう、この戦いは。

 彼女は魔女の落としたグリーフシードを私のソウルジェムへかざしたの。それと共に濁りかけていた輝きが再び戻る。

 

「はじめまして、と言うべきかな?君はー、あー、こんな格好じゃあ自己紹介も何もないか…」

 

 そう言いながら彼女は魔法少女の衣装を解いたの。それにつられて私も元の姿に戻ったの。

 そして見やったときに気付いたの、彼女を知っていることを。

 

「さて、初めまして、と言うべきだね、怪盗かりん、だっけ?君の噂は耳にしているよ」

 

 私の体は少し震えたの。彼女が私の正体を知っている事は、もはや大した事でないの。問題はその着飾っている服のことなの。

 私もよく身につけている栄総合学園の制服、そして雲を掴むような特徴のないその容姿。それは噂で聞いた彼女の事そのものだった。

 

「あ、ふーん…。あなたも栄学園の人だったんだ…。じゃあ、私の噂も知ってるよね?

 人呼んで人喰いの魔女、岐津富美子だよ」

 

 その言葉に私はよりいっそう体を震わせて彼女を見たの。そんな私を見ながら再び口を開いたの。

 

「あははは…、そんなに怖がらなくてもホントに人を獲って喰ったりなんかしないよ。

 まあ、確かにちょっかい掛けてきた連中は、学校から叩き出したり、地面をキスして抱擁する位には大好きにさせたけど。

 第一、君の事は評価してるんだ。あの魔女?うん、とりあえず、魔女でいいや。ヤツから生き延びたんだから。自信もっていいよ。

 少し歩こう。私のことは好きに呼んでくれればいいよ。とりあえず、御園ちゃんて呼んでいい?」

「あ、大丈夫、なの。岐津先輩」

 

 そう私は返しながら彼女について歩き出したの。

 当時の私はもうボロボロで彼女から逃げ出す気力すらなかったの。ただ後ろに誰かいる気がして振り向いたの。

 そこには何も居なかったの。けれど一瞬だけ見えた筈なの。その暗い暗い奥の影にキュゥべぇと、誰かまた別の魔法少女が。

 

 

 連れられた先はただの公園だったの。人が居ないわけでもなく、人が多すぎるわけでもなく、ただ人々が日常を過ごしていたの。

 彼女は私をベンチに座らせると自販機へと歩みを進めていったの。目の前には私たちが守っている光景が広がっているの。

 

「おまたせ!レモンティーしかなかったんだけどいいかな?

 というのは冗談で適当に選んじゃったけど大丈夫?」

 

 そう言いながらいつの間にか戻ってきた彼女がペットボトルを渡してきてたの。

 悴んだ手に温もりが広がる。それに少し驚きながらもそれを受け取り返事を返したの。

 

「あ、いえ、大丈夫なの…」

「ん…!ならよかった!

 かぁっー!カフェインが染みる!労働のあとのカフェインは最高やな!」

 

 そう言いながら彼女はペットボトルに入った紅茶を飲んだの。

 カフェインって染みるものなの…?まるでお酒を飲むような言い草なの…。そんな私の疑問を見通したのか彼女は口を開いたの。

 

「気分だよ気分。

 まあ、確かにカフェインには依存性があるけどね。

 さて、本題に入ろうか?」

 

 そう言いながら彼女は隣に座ったの。その雰囲気は一気に重くなるのを覚えてるの。

 

「君が相対した存在は魔女じゃないんだ。いや、魔女じゃないと言うことしか分かってない。

 もちろん、キュゥべえにも情報を回しているんだけど芳しくなくてね。

 私自身、あれに相対するのは二度目なんだ」

 

 そう言いながら彼女は申し訳なさそうに頭を掻いていたの。

 私にはどうして謝ってるのかその時は分からなかったの。でも次の言葉で理解できたの。

 

「あなたが危険にさらされたのは私のせい。

 実はね、あれは私が捕り逃しちゃったんだ。最初はキュゥべえから特異個体の調査を依頼されて、何時もの依頼だ、って慢心して挑んで…。で、這う這うの体で命辛々逃げ出して…。

 ぶん殴られようとも構わないよ、それだけのことをした自覚はある」

 

 彼女は命の恩人なの。けれど、彼女の言う言葉が本当なら、私は彼女のせいで死にかけたの。

 私は思わず口をつぐんでしまったの。それを見ながら彼女は口を再び開いたの。

 

「……時には沈黙ほど雄弁な物はないんだよ。まあ、それでも構わない。

 さて、今現在でわかってることは少ないの。魔女に極めて近い性質を持っていることは分かっているけれど、その誕生のプロセスはまるで未知ね。そして獣のように獲物を捕食する。

 産まれたばかりの魔女を倒したと思ったらいきなりアイツが出てきたでしょ?」

「え?ええ、うん、そうなの…。

 でもどうしてその事が分かったの?」

「それは、まあ、調査の賜物ってことにしておいて…。

 じゃあさ、擬似餌ってわかる?

 チョウチンアンコウの特徴のひとつなんだけど、自分の体の一部分を光らせて、寄ってきた小魚を食べちゃうって奴。

 魔女はそんなことは普通しないんだ。けど、今回は違う。魔法少女が結界を見つけてそこに入り、小さな魔女が倒されることによって、強力な結界が発動する。  

 そして使い魔たちとの戦いで疲れはてた魔法少女は、結界から逃れられず、弱ったところを狩られるんだ」

 

 そう彼女は忌々しそうに言葉を切ったの。

 

「その事から魔女ではないが極めて近しい存在、なおかつ、獣のような特性から魔獣と呼称しようと考えてるんだ。

 それに確証もないし憶測にすぎないけど、あの個体だけだとは考えてられない。魔女の発生原理も分かってないんだ。

 もしかしたらとんでもなく増殖するかもしれない。しかも、あの強さだ。普通の魔法少女を圧倒するだろう」

 

 そう言いながら彼女は目頭を押さえたの。

 魔獣、ってのがどんどん増えていったら街の人も魔法少女も…。

  

「もちろん他の魔法少女にはインキュベーターを介して情報を回すつもりさ。複数人で当たれば倒せなくとも逃げ延びれる。

 それに強力な魔法少女が複数人組めば手早く処理できるからね。彼女たちに期待ってところさ。

 さて、残りの問題はあなた」

 

 そう言いながら彼女は私を見たの。

 私にはその言葉が理解できなかったの。今度の問題は私、なの?

 そして彼女は再び言葉を紡ぐ。

 

「ウワサって言うのは、あっと今に広まってしまうもの。

 私は仕事柄色々と伝があるから、ある程度は詳細に知ってはいたけど…。

 さて、あらかじめ言っておくと私はあなたのやり方を否定するつもりはないよ。だけど他の魔法少女からは、脅威に写るかもしれない。

 ……少なくとも実害が出てるわけだし」

「……それは、そうなの」

「チームを組んで貰えない、ってのはソロでやっている以上、たぶん問題は出ないけれど、問題は討伐対象にされてしまった時だね。

 中世の魔女狩りを知ってるかしら?まあ、分からなくてもいいんだけど…。簡単に言ってしまえば他の魔法少女から命を狙われる、ってことよ」

 

 彼女は頭を振ったの。その表情からは思い出すことすらしたくない、とありありと浮かんでいたの。

 

「私の仕事柄、魔法少女との争いに巻き込まれることも多くてね。大体は人違いだってのに…。

 だから魔法少女、いえ、人間自身の悪辣さならよく知ってる。ただでさえ魔法少女なんて超常の力を手に入れてるのだから、とんでもないことを平然とする。

 一度だけだけど、過激な連中とぶち当たったせいで、周囲を巻き込んで殺されそうになった」

「そんな…、流石に冗談なの…」 

「残念ながら本当なんだな、これが…。

 時間があるときに図書館でも訪ねてみるといい。歴史が証明してくれるよ、人間の容赦の無さは、ね。

 残忍で残虐で悪辣で冷酷で。ただ、秩序の鎖によってその体裁を保ってるに過ぎないのさ。

 まあ、その中身こそが私の求めてる物かもしれないけど、ね」

 

 そう言いつつ言葉を切ったの。その表情は極々普通のように見えたけれど、どこか影を落としてたの。何かを隠しているような、私の知らない何かを知っているような。

 だけども彼女はその影を引き戻すと、先程と同じように話を始めたの。

 

「まあ、それは置いといて、私なりの埋め合わせがしたい。実際、危険に晒さしてしまったわけだし…。

 だからこそ私の技術を貴女に教えたいと思うんだ。どうかな?」

 

 その提案は私にはよく分からなかったの。どうしてそこまでするのか、その理由が見出だせなかったの。

 だから気付いたときには、もう尋ねてしまったの。その言葉に彼女は苦笑いしながら答えたの。

 

「簡単な話、ここで会えたのも何かの縁、ただそれを大切にしてるだけ。

 それにかわいい後輩がひどい目に遭うなんて見逃すことが出来るだろうか?いいや、できないね」

 

 そう彼女は言葉を切ったの。少しの沈黙、どこか切り出しにくいような、ばつが悪そうにしながら再び口を開いたの。

 

「……キュゥべえから誰かが魔獣と戦ってると聞いたとき、最悪のことを覚悟してた。

 だから現場に着いたとき、御園ちゃんが生きてたのは本当に驚いた。曲がりなりにも戦って生きていたんだから。

 もしかしたら貴女はセンスがあるのかもしれない。さっきも言ったけど評価してるの。第一、貴女自身が思ってるよりも貴女は強い。

 その君の可能性を私は見たいんだ」

「私が…強いの?

 そんなことは…ない、の…。私は弱い、の…」

「……強さの定義は状況によって、意図も容易く変わってしまう。だからこそ、自分の持ち味を生かすんだ。

 例え襲われたとしても、生きて逃げ延びられれば十分勝利と言えるさ。

 さて、実務の話に戻りましょう」

 

 そう言いきると真面目そうな表情で私を見たの。

 

「あらかじめ言っておくと、私の戦闘技術のすべてを教えることは出来ないんだ。

 私はキュゥべえと魔法少女になる契約とそれ以外にも別の契約を結んでるんだ。一応、神浜が拠点ではあるけど、依頼のせいで長期間、神浜に戻れないこともある。

 だから君を守り続けることも出来ないし、君自身で火元を消火できるほど強くすることは出来ない」

 

 そう言うと、彼女は私の顔を見たの。その目には強い力があったの。

 

「そこで、だ。君が襲撃から逃げ延びる技術を重点的に教えようと思う。時間もかかるけどきっとそれだけでも強くなれる筈。

 ああ、教育に関しては安心して、キュゥべえに頼まれる依頼の多くが、成り立ての魔法少女のサポートだから」

「魔法少女の先生なの?そんなのがあるなんて、はじめて知ったの!」

「あー、その、なんと言うか…」

 

 彼女はそう言うと言い淀んだの。そして困ったように口を開いたの。

 

「まあ、全国各地に強い魔法少女が均等に居るわけではないから…、ね。戦えない人たちもいるし。

 例えばなんだけど、強い魔法少女が引っ越しとかで居なくなってしまうことを想像して欲しい。その結果、そこの他の魔法少女だけじゃ対処出来なくなってしまうことがある。そして魔女がどうしようもなく強くなってしまうんだ。

 そこで、そんなところに私が派遣されて魔女の跋扈を防ぎ、魔法少女を教練して戦えるようにしてるんだ」

「すごいの!かっこいいの!」

 

 そう言いつつも、私は少し疑問が芽生えてたの。

 どうして、先生が出来るほどの魔法少女が倒されかけたのか?恐らくは西の七海やちよほど強いはず、なの。

 その疑問は富美子先輩も気付いて居たのか答えてくれたの。

 

「魔獣にやられかけたのは、最初の依頼が捕獲で全力が出せなかったのと、お恥ずかしいことだけど慢心、だね…。私の技術も人からの受け売りだし…。

 全く面目次第もない…」

「あ、また謝らなくてもいいの!」

「いや、本当に…。

 ……とりあえず、連絡先交換してもろて、後でもう少し詰めましょか?大分時間たったし…」

「あ、わかったの…」

 

 

 それが私と富美子先輩の関係の始まりだったの。そして今は…。

 

「あ、アリナ先生じゃないっすかー!ご機嫌いかがっすか!あ、こんな所にアリナ様の落とし物と思われるお金が!それとも靴お舐めしましょうか、UV様!ぷはー、それにしても今日もいい天気☆」

「あんたのせいでベリーバッドなんですケド!」

「ギャー!御免なすって!御免なすって!アリナ先輩!?まずいですよ!あー!お許しくださいまし!アリナ博士!お許しください!」

 

 ……富美子先輩に絡まれてるのはアリナ・グレイ先輩、数多の賞を欲しいままにした天才芸術家なの。富美子先輩に出会ってすぐ後に紹介されたの。

 二人はクラスメイトなの。どうして私と会わせたの、と訪ねたら、下の子と親しくなれば多少は丸くなるかな、って言ってたのだけど、短い付き合いだけどこれは分かるの。少なくとも全然変わってないの…。

 そう思いながら私は通学路の自販機でイチゴ牛乳を買って…「バッ!」……バッ?

 

「あっ、私のイチゴ牛乳!」

「ちゅーーー、ズゾゾゾゾ…」

「あぁぁ…、ひどいの、アリナ先輩!」

 

 私の買ったイチゴ牛乳が見る見る内に吸い込まれていくの。これも二人に出会ってから、いつもの光景と成りつつあるの。でも、イチゴ牛乳を飲むのはやめて欲しいの…。

 

「もー、アリナちゃんもあかんよー。ほい、かりんちゃん、イチゴ牛乳」

「あ、ありがとうございますなの」

 

 富美子先輩が自販機で買ったイチゴ牛乳を私に渡しながらそのまま続ける。

 

「ところでアリナちゃん、もうすぐ冬休みだよね?そして、その前には期末テストとかあるよね?

 勉強…してるよね?」

「……パードゥン?」

「あのさぁ…、言わなかったっけ?アリナちゃんがテストで赤点を採る度に、先生方からどうにか手綱を握ってくれ、って苦情が沢山来るの…。で、捕まえて補習して…。

 それを、また繰り返させる気…?……だったらさ、アリナちゃん、……少し頭冷やそうか」

 

 あ、富美子先輩のスイッチが入ったの…。よく、アリナ先輩と一緒に呼び出されてるからまあ、仕方ないの…。一応この人、体は弱いけど勉強は出来るほうなの。

 そうこうしながら、お説教を聞き流しながら歩いてると学校にたどり着いたの。流石にお説教も打ち切りなの。

 三人で昇降口を上がりながら富美子先輩が唐突に口を開いたの。

 

「それにしても今日もいい天気ね」

「ウェザーの話題はもうしたんだケド」

「お、流石天才芸術家のアリナ先生だよ。その記憶力を勉強のほうに、振り分けてくれると私は嬉しいなぁ。

 あ、そうだ二人とも冬休みで空いてる日あるかい?よさげなレストラン見つけたんだ。それ以前は私の方がドタバタしてて…」

「あ、私は大丈夫なの」

「アリナは行かないケド。ウィンター・バケーションはトラベルをエンジョイするカラ」

 

 あ、富美子先輩が崩れ落ちたの。もしかしたらすごく楽しみにしてたの?

 富美子先輩は物凄く残念そうな顔しながら膝元を払い立ち上がる。

 

「うーん、それは残念…。あ、アリナちゃんが利用するのは飛行機?」

「え?ええ、そのつもりだケド」

「じゃあ、座席の安全のしおりを確認しときなさい。非常口の場所やそこまでの通路。それともし不時着水するときは、機外に出るまで救命胴衣を膨らませない。あと会社が急成長して人員の教育や整備が足りてない、って事もあるからよく調べる。それと…」

「……そんな沢山言われても困るカラ。そもそもどこに行くのもアリナの勝手なんですケド」

「いい、アリナ。飛行機とはとても危険なものなの。飛行機のマニュアルは血で書かれてる、って言われるぐらい一度の事故で大勢が亡くなるの。

 恐らくはないと思うけど、もしもの時は生き残るためにあらゆる手を尽くしなさい。それこそが…。

 ……いえ、少し熱くなりすぎたね。少なくとも気を付けてね」

「全く、そんなこと分かってるカラ」

「あ、そろそろお別れだね、またね、かりんちゃん」

「じゃあ、フールガール」

「はいなの、また放課後なの」

 

 そういって私は二人と別れたの。二人ともすっごく変わってるの。でも、とってもスゴくていい人なの。

 だからこそ、こんな日々が私にはとても楽しかったの。  

 

 




 先駆者様たちの努力が、作品への愛がどれ程強大なものなのかを強く痛感いたしました…。
 文面がおかしいなところがございますが、何れ修正する予定です。
 自身の実力の無さがホント…。
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