麻帆良学園の達人級《マスタークラス》   作:はぐりん

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第3話

「しかし真名、漆原先生が実は襲撃者に加担しているという可能性はないだろうか?」

 

学園長室へと向かってる道すがら私は漆原先生の強さは怪しすぎると感じてしまった

あれほどの強さだ

魔法のことを全く知らないというほうがおかしいと考えてしまうのは裏の世界を生きてきた者にとってはごく自然な思考だ

だが私よりも裏の世界を熟知している真名によってそれは否定された

 

「それはまずないだろうね」

「なぜだ?」

「簡単なことさ、あの強さなら私達程度姿を見せるまでもなく殺せるからね」

 

確かに

 

「だから漆原先生が味方なのは確実だ」

 

「だが魔法をしらないことはどうなんだ?」

 

「私が言っただろう?こちら側の裏の世界とね、裏の世界は何もひとつという訳じゃないってことさ」

 

「魔法がない裏の世界ってことか?」

 

「そういうことだ」

 

魔法が無い裏の世界・・・

先生はその中ではどれほどの実力者なのか

私にとっては全くの未知の世界であり、先生の底知れぬ力に若干の恐怖を感じた

しかし、魔法を知らないとなるとますます厄介だ

魔法がある裏の世界としての漆原先生は【人外の強さを持つ一般人】だ

一般人である以上魔法を秘匿せざるを得ない

だがあの強さをうまくいかせばこれ以上無い程の戦力となる

こちら側に引き入れたほうがよいのだろうか

 

 

 

 

そうやって思考に埋没している間に学園長室へとたどり着いた

私はドアをノックした

 

「誰じゃ?」

 

学園長の声がした

 

「桜咲と龍宮です」

「入ってよいぞ」

 

「「失礼します」」

 

学園長室には学園長しかいなく、ほかの魔法関係者の姿はなかった

 

「襲撃者は撃退したようじゃな、えらい早かったのう」

 

「はい、実はそのことについて報告があります」

 

「ほ?報告とな?」

 

「学園長は漆原高虎先生についてなにかしっているかい?」

 

真名が学園長に聞いた

 

「漆原高虎?うーむ、確か女子中等部の若手教師じゃったのう?」

 

「ほかには?」

 

「ワシが知ってるのはそれくらいじゃ、漆原君がなにかあったかのう?」

 

「はい、実は・・・」

 

そう言いかけたときに学園長室のドアがノックされ思わず私達は振り向いた

 

「誰じゃ?」

 

「高畑です、学園長」

 

「高畑君か、入ってよいぞ」

 

高畑先生か

高畑先生なら同じ女子中等部の教師だからなにか漆原先生の極秘情報を持っているかもしれない

 

「失礼します」

 

「うむ、高畑君もご苦労じゃった、してさっきの話の続きじゃが」

 

「なんの話です?学園長」

 

「それがのう、桜咲君と龍宮君が漆原君についてなにかあるそうじゃ」

 

高畑先生はその言葉を聞いて首をひねった

 

「漆原先生ですか?彼は完全な一般人のはずですが」

 

高畑先生も漆原先生についてはなにも知らないか

 

「実はさきほどの襲撃者を撃退したのは漆原先生なのです」

 

「ほ!?それは真かのう?」

 

「間違えないよ、あれは漆原先生だった」

 

真名がそう返すと高畑先生が滅多に見れないレアな驚き顔をしながら質問を重ねた

 

「それが本当なら彼は裏の人間かい?」

 

「おそらくは、しかし漆原先生は推測ですがたぶん魔法が無い裏の世界の人間でしょう」

 

「式神を普通の人間だと思ってたな」

 

「ほう、魔法が無い裏の世界というと武術のほうかの?」

 

学園長はやはりそちらの世界にも詳しいのか?

 

「なるほどね、武術の世界なら話の辻褄があうね」

 

高畑先生も納得顔だ

 

「しかし武術の世界とはいったいどのような世界ですか?」

 

さきほどから疑問に思っていたことを口にした

 

「武術の世界は簡単に言えば己の肉体と武器のみで戦う世界のことじゃ」

 

「武術家と呼ばれるものたちが己の強さのみを追求していくストイックな世界さ」

 

己の強さのみ・・・

 

「魔法の世界とは違って相手を倒すことしか考えない野蛮な世界というふうにもいわれておるのう」

 

「だがその武術の世界の猛者達は達人級(マスタークラス)と呼ばれ、中には魔法界に名を轟かせた者もいるよ」

 

真名も言っていたな・・・達人級(マスタークラス)

先生は武術の世界でも指折りの猛者ってことか

 

「その世界の者達は魔法を知らないのですか?」

 

「知っている者もいる、だが大部分の人間はしらんじゃろうな」

 

「どうしてでしょうか?魔法界側は知っているのでは?」

 

「魔法界側もしっている者は少ないぞい、それに魔法は基本的には秘匿技術だからのうあんな野蛮なやつらに関わりたくないというのが魔法界の共通認識じゃ」

 

そういうものなのか

私は魔法界のほうもいまいちよく分からないからそう解釈した

 

「しかし相手の式神は先生のことを特A級と呼んでいたぞ、何かの階級か?」

 

真名の言葉に今度は学園長も心底驚いた顔をした

 

「特A級とな!?それは達人級(マスタークラス)の中でもさらにトップクラスの者のみ呼ばれるいわば武術の頂点じゃ!!」

 

「そんなにすごいのですか!?」

 

「そうだね、特A級となれば僕達魔法界の人間じゃ想像もつかない力を持っているね」

 

「まさか漆原先生がそこまでの猛者だったとはのう・・・盲点じゃったわ」

 

学園長がそう呟いた

若手教師が実はものすごい強者だったとは流石の学園長でも予想外なのか

 

「どうする学園長?先生を味方につけるためには魔法を伝えることが一番じゃないか?」

 

「そうじゃのう・・・正直言って戦力はあって困ることはないしのう、それも特A級ともなれば喉から手が出るほど欲しい人材じゃ」

 

学園長が思考を始めて少し経ってなにかを決めたように声を上げた

 

「とりあえず実力を見たいのう、人柄はおそらく問題無いじゃろうから」

 

まぁ教師だからそうだろう

それに漆原先生の評判はそんなに悪くない

若いから友達感覚っていうのが大きいかもしれないが

 

「明日の朝、高畑君とともに広域指導をさせて見ようかのう」

 

「僕とですか?」

 

「そうじゃ、そこで生徒達の騒ぎを鎮めさせてやれば多少なりの腕は見れるかもしれないからのう」

 

「わかりました、では明日の朝に広域指導に連れ出して実力を見ます」

 

「たのんだわい」

 

おそらく先生がこちら側にくるのは時間の問題だろう

はたして先生はどれだけ強いのか

勝てるとはおもえないが一度勝負して見たいな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございまーす!!」

そう挨拶しながら俺は職員室へと入っていった

自分のデスクに向かっているときに個人個人に挨拶していくことも忘れない

 

「瀬流彦先生おはようございます」

 

「あぁ、おはよう漆原先生」

 

今挨拶を交わしたのは俺の一期先輩である瀬流彦先生だ

そこそこ整った顔だが寝不足なのか隈ができている

 

「瀬流彦先生寝不足ですか?」

 

「昨日はちょっと夜にやることがあったからね」

 

「そうですか無理しないでくださいね

実は昨日の夜ランニングしていたんですが変質者にあったんですよ」

 

「変質者?」

 

瀬流彦がよく分からないといった感じで聞いてきた

 

「はい、2-Aの桜咲と龍宮が襲われてたんですよ!!まあ俺が撃退してやったんですが

最近の変質者は逃げ足が速いですね、気づいたら全員いなくなってたんですよ」

 

「うぇ!?桜咲さんと龍宮さん!?漆原先生大丈夫だったの!?」

 

瀬流彦先生がとんでもない声を出しながら心配してきた

確かに学園内に変質者がでれば驚くのも無理はないか

 

「見た目通り腕力には自信ありますから」

 

「いや!!そうじゃなくて!!」

 

どういうことだ?

 

「漆原先生はいるかい?」

 

瀬流彦先生と奇妙な会話をしていると名前が呼ばれたので職員室の入り口を見れば高畑先生が立っていた

あの人出張ばかりであんま学校にいないんだよな

そんなに喋った事ないからどんな用事なのか全く想像できない

 

「じゃあ瀬流彦先生も気を付けてくださいね」

 

「え、あ、ちょ」

 

瀬流彦先生がまだ喋り足りないといった感じだったが高畑先生に呼ばれていたので足早に離れていった

 

「おはようございます高畑先生」

 

「おはよう漆原先生、ちょっと先生に用があったんだよ」

 

用?なんだ

 

「実は漆原先生にも広域指導を手伝ってもらおうと思ってね、漆原先生はガタイもから」

 

広域指導か

広域指導は喧嘩とかを止めるだけだしたぶん大丈夫だろう

なんか嫌な予感するが

 

「わかりました、今からですか?」

 

「うん、悪いけどすぐ来てくれないかな」

 

そう言われ俺は高畑先生とともに広域指導をするために職員室をでた

 

「そういえば高畑先生、昨日の夜ランニングしていたんですが変質者に遭遇したんですよ」

 

瀬流彦先生に伝えたように高畑先生にも昨日の変質者集団のことを伝えた

 

「ほう、変質者かい?」

 

「それで2-Aの桜咲と龍宮が襲われてたんですよ!!一応俺が撃退したんですが逃げ足が速くて全員取り逃がしたんですよ」

 

「そうなのか、ご苦労だったね」

 

「とりあえず後で学園長に報告しようかとおもいまして」

 

「それは僕がやっておくよ」

 

「え?いやでも」

 

「その変質者ってのは変な格好をしてなかったかい?」

 

なぜ分かったんだ?

有名な性犯罪集団なのか?

 

「有名なんですか?たしかに鬼の格好したやつとか変なコスプレ集団でした」

 

そういったら高畑先生があごに手を当てながら考え始めた

しばらく待っていたのだが高畑先生が覚悟を決めたような顔をして喋り始めた

そして高畑先生の口から全く予期していなかった言葉が飛び出した

 

「単刀直入に聞くよ、漆原先生は達人級(マスタークラス)かい?」

 

・・・・・・・・・・・・・・、予想外すぎて思考停止してしまった

 

「・・・え?高畑先生もこっちの世界の人間ですか?」

 

俺がやっとのことで搾り出した言葉だ

 

「厳密に言うと違うがね、似たようなものだし武術の世界についても多少の知識はあるよ」

 

そうなのか・・・もうこれで隠せなくなってしまった

いっそのことおもいきって暴露してもいいかもな

 

 

やっぱないか

 

「まぁ、はい高畑先生の言うとおりです

できれば生徒達には内緒にしてくれませんか?」

 

「なぜだい?」

 

なぜってそりゃ

 

「自分で言うのも難ですが俺は人外の強さを持っています

普通の人にしてみれば常に拳銃や日本刀を持っている・・・いや、そこにダイナマイトを持った人間なんです。その気になれば拳ひとつで人を木っ端微塵にできるような人間なんてそりゃ関わりたくないのが普通じゃないですか?」

 

俺が自分自信の客観的評価をそのまま高畑先生に言った

高畑先生はひとつ頷いてから俺の問いに答えた

 

「普通なら漆原先生の言うとおりだよ」

 

やっぱそうだよな

高畑先生も俺の予想通りの答えをした

 

「だが残念ながらね、ここではそんな常識通用しないよ」

 

そのまま続けた高畑先生の言葉はさきほどの言葉とは矛盾していた

 

「だってここは【麻帆良学園】だよ?」

 

ここは麻帆良学園?

 

「普通だとありえないでかい木、どう見てもロボットな人が当たり前かのように街を練り歩く

そんな非日常がここでは常識だ」

 

非日常が常識・・・

 

「それにあそこを見てごらん?」

 

高畑先生が指差したほうに目を向ければそこには人だかりがあった

あれはなんのあつまりだ?

遠くから眺めているとその人だかりの中から武術家とおもわれる人間が宙を舞った

今舞った奴は弟子級だな

あの舞い方だと受身が取れんぞ

ぶっ飛ばされるにしてもうまいぶっ飛ばされ方ってもんがあることを分かってない

 

「あれは乱闘ですか?」

 

「いや、あれは毎朝恒例のタイマンだよ」

 

タイマンか、てか毎朝恒例ってなんだよ

 

「今日はあれを止めるよ

あれは放っておくと収拾がつかなくなるからね」

 

「・・・はい」

 

やはり自分の力を生徒に見せるのは怖いな

だがさっき高畑先生が言っていた(ここでは非日常が常識)

この言葉を信じていいのだろうか

 

人だかりに近づいていったらその人だかりを形成していた生徒達がこちらを見た

その瞬間こちらを見た生徒達がいっせいに道を開け始めた

 

「やべぇ!!デスメガネだ!!」

「このタイマンもこれで終わりか!!」

 

デスメガネって高畑先生のことか

いったいなにをやらかしたんだこの人

 

そしてその人だかりの中心にたどり着いたときに・・・

見知った美少女がそこにいた

 

「あ、高畑先生アル!!それに漆原先生もアルカ!!」

 

「古菲!?」

 

あの格闘娘は毎朝こんなことをしていたのか

 

「おはようございますアル!!」

 

「あぁ、おはよう古菲君」

 

「お、おはよう」

 

挨拶しながら古菲がいつものお気楽な笑顔でトテトテとこちらに歩いてきた

 

「漆原先生も勝負していくアル!!一度先生と勝負してみたかったアルヨ!!」

 

「だーかーら、生徒に手を出すわけにはいかんって」

 

そうやっていつもどうりあしらうと

 

「いいんじゃないかな?」

 

「エ!!ちょ高畑先生!?」

 

まさかの援護射撃がきた

 

「高畑先生からも許可がでたアル!!」

 

「まてまて古菲!!怪我させたら問題になりますって!!」

 

「大丈夫、学園長からも許可がでてるよ」

 

「いつの間に!?」

 

そんなのに許可出してる暇あるのか学園長!?

 

「漆原先生、ここでは非日常が常識だよ?」

 

「ぐっ!もういいや!俺も武術家だ、ここまで勝負を挑まれたら受けざるを得ない!!」

 

「やったアル!!手加減は無用アルヨ!!」

 

手加減しなかったらたぶん消し飛んじゃうからそれは無理な注文だ!!

古菲から距離をとり俺は構えた

構えた瞬間、気を少し出して対戦相手である古菲を威嚇した

 

「この気!?先生はやっぱすごい達人アル!!」

 

「なるほど・・・」

 

近くで見ていた高畑先生も俺の気を感じ取った

周りのギャラリーたちにも

 

「おい、あの漆原って先公すげぇ気じゃないか!?」

「俺らの菲部長がとられちまう!!」

「菲部長勝ってくれ!!」

 

そういや古菲は中国武術研究会の部長だったな

でもとられちまうってなんだよ

古菲はお前らのものじゃねぇぞ

 

 

「古菲」

 

「なにアルカ先生」

 

「お前の最強の技を俺にぶつけて来い

一撃だけあえてうけてやろう」

 

余裕たっぷりで古菲を挑発した

だが古菲も実力差はなんとなくわかっているのかムッっとせず

 

「わかったアル!!この一撃で先生を倒すアル!!」

 

そう意気込んでいた

 

「じゃあ僕が審判をつとめるよ」

 

高畑先生が審判を買って出てくれた

 

「よろしくおねがいします」

 

「では、」

 

一瞬だが静寂が訪れた

 

「始め!!」

 

高畑先生がそういった瞬間古菲が飛び出してきた

 

「行くアル先生!!」

 

「こい古菲!!」

 

スピードは中々

問題は技の威力だ

分析しているとついに古菲が渾身の一撃をはなった

古菲の鋭い踏み込みから突き出される中段への正拳

これは崩拳か?

 

馬蹄崩拳(マーティーボンチュアン)!!」

 

すさまじい音をだしながら古菲の崩拳が俺を襲う

だが・・・

 

俺は古菲の渾身の一撃を小指で止めた

それを見た古菲は案の定で驚愕していた

 

「嘘アル・・・私の馬蹄崩拳(マーティーボンチュアン)を小指で止めたアル!?」

 

その光景を見たギャラリーたちもだが審判である高畑先生も絶句していた

あたりにふたたび静寂が訪れる

その静寂をやぶるように俺は声をあげた

 

「力の配分がなってないな」

 

口ではそういいながらも俺は古菲の実力に感嘆していた

この威力、想像以上だ

弟子最上位

もはや妙手一歩手前じゃないか!!

 

おそらく独学でここまでやってきただろうがいい師がついたらすぐにでも達人級(マスタークラス)の仲間入りだなこりゃ

 

古菲が呆然としていたのでとりあえず励ますことにしよう

 

「だがこの威力は素晴らしいぞ古菲!!お前は俺以上の達人に間違えなくなれる」

 

事実を教えると古菲が若干頬を赤らめながら

「ほんとアルカ?それより先生すごく強いアルネ、ここまで強いとおもった男は始めてアル」

 

あれ?なんだこの展開

困惑してるとギャラリーたちの嘆きの声が聞こえた

 

「うおーん!!菲部長ー!!」

「菲部長が負けただとー!?」

「あの漆原って野郎許せん!!」

 

なんかおもっくそ反感を買ったんだが

どうなってんだ・・・

 

「そこまでだよみんなもう予鈴がなるから教室に急ぎなさい」

 

高畑先生がそうやってギャラリーを威圧していた

ギャラリーたちもデスメガネ相手だとといったかんじですごすごと退散していった

 

「先生、女子中等部まで一緒に行くアル!!」

 

そういって古菲は顔を真っ赤にしながら腕にしがみついてきた

 

「お前なんか勝負したらすごい懐いたな」

 

どうなってんだ?

あとで2-Aの誰かに聞いてみよう

 

「高畑先生はどうしますか?」

 

「ん?僕は別ルートで女子中等部へ戻るよ

流石にいっしょに行くのは無粋だからね」

 

恋人じゃあるまいし

 

「高畑先生ありがとうアル!!」

 

古菲が嬉しそうにお礼を言った

こうしてみるとほんとに美少女だな

 

そのまま古菲にひっつかれながら女子中等部へ戻った

 

 




3話です

書きたいこと書いてたら長くなってしまいました

まだ高虎は古菲の自分より強い者を婿にするということを知りません
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