それと、いつの間にかUAも10000を超えていてビックリです!
読者の皆様には感謝でいっぱいです!
誤字報告や感想もとても作者の為になっています。
本当に皆様には感謝しかありません!
とまあ、何だかんだで二章突入です。
二章はシリアス無し!日常と逆転要素いっぱい入れていきますよ!
13.取材交渉成立です!
「ぅん‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
外から聞こえる鳥の囀りと共に、窓から刺す眩しい光。
気怠い身体を何とかベットから起こし、僕は寝惚け眼を擦る。時刻は朝6時半。いつも通りの起床時間だ。
そして、視線の先にはベッドが二つ。
そこには、すやすやと寝る姉さん達二人がいた。
僕は早々と寝間着からいつもの袴に着替え、洗面台の方へと向かう。
鏡の前に立ち、冷水を顔にかけて僕の意識ははっきりとした物になる。
パンッと顔を叩いて自分を引き締め、僕は次の作業を行う為身体を動かした。
○
「大和姉さん、朝だよ。ほら、早く起きてってば」
「ん〜‥‥‥‥もうちょっと‥‥‥」
時刻は7時。
未だ眠る姉の身体を揺らすも、一向に起きる気配はない。
普段はきっちりとしているのに朝はこうも弱いとは誰も思わないだろう。
「ん、何だ。大和はまだ寝ているのか」
「あ、武蔵姉さん。おはよう。‥‥うん、全く起きる気配が無くて‥‥‥」
後方から声を掛けてきたの武蔵姉さんだった。
頭を掻きながら欠伸をし、寝巻き姿である事から恐らく今起きたのだろう。髪は所々跳ねて寝癖がついていた。
まあ、自分で起きてくれる分大和姉さんよりも立派だけどね。
「大和は朝が弱いからな。朝はいつもこうだ。‥‥私は着替えてくるぞ」
「うん、分かった。あ、姉さん今日秘書艦だったよね?」
「ん、ああ、そう言えばそうだったな。忘れていた」
「もう、しっかりしてよ? それと、そんな事だろうと思ってそこに朝ご飯置いてあるから。時間もあと少しなんだから早く準備してね」
「む、すまないな。恩に着る」
そう言い、慌ただしく準備をしながら、武蔵姉さんはドアを蹴って執務室へと向かった。
朝から少し騒がしくて気疲れしてしまうが、それが姉らしくてつい微笑んでしまう。
迷惑とは思っていないけど武蔵姉さんにももう少し意識して欲しい物だ。
「‥‥‥それにしても」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥本当に起きる気配がないなぁ」
ツンツンと姉の頬を突っつくが、未だ起き上がる事はない。
さて、一体どうした物だろうかと頭を悩ませる中、僕は一つある言葉を思いついた。これを言ったら姉はすぐ跳ね起きるかもしれない。
そんな魔法の様な言葉を僕は姉の耳元で囁いた。
「こんな朝も起きれないだらしない大和姉さんは嫌いだなぁ」
「っ‥‥‥‥‥‥!」
瞬間、驚いた様に飛び跳ねて身体を起こし、大和姉さんは漸く起床する。
「おはよう、大和姉さん」
「お、おはようございます‥‥‥」
目覚めは最悪と言わんばかりの歯切れの悪さ。疲れた様な表情をしたその顔には、冷や汗をかいていた。
僕はにっこりと表情を作るも、目は笑っていない呆れを含んだ視線を送る。
「ほらほら、もう朝なんだから早く着替えてね。布団は僕が畳むからさ」
「分かりましたぁ‥‥‥‥」
そう言い、姉さんは眠そうな目を擦りながら洗面台の方へと向かった。
○
時刻は午前7時半。
僕は朝食を取る為、食堂へと歩みを進めていた。
起きた筈の姉さんはと言うと、朝から明石さんのところで艤装のメンテナンスがあり、朝食は後から取るらしい。
その為、僕は一人で食堂へと向かっていた。
「ん‥‥‥あれは‥‥‥」
突如、視線の先に映る一人の人影を目にし、足を止める。
そこには掲示板の前に佇む一人の少女がいた。
その少女はこちらに気づいた様で、こちらへ振り向く。
「あ、おはようございます。信濃さん」
「はい、おはようございます。朝潮さん」
その少女は、朝潮型一番艦の朝潮さんだった。
黒のジャンパースカートと白のボレロを見に纏い、駆逐艦ながらも容姿からは何処か大人びた感じを醸し出している。見た目的には中学生くらいだろうか。
朝潮さんとの面識は歓迎会の一度だけだが、印象では真面目と言った言葉が似合う。
「信濃さんは朝食ですか?」
「その通りですが、朝潮さんは一体何を?」
「あ、えっと‥‥‥鎮守府通信を確認していまして」
朝潮さんが少し恥ずかしそうに見上げる先には一枚の紙。
そこには鎮守府通信と書かれ、主にこの鎮守府内での出来事を載せている新聞だ。
実際に見た事はないが、大和姉さんからはあまりお勧めしないとの事らしい。
「いつもこうして確認しているんですか?」
「はい、自分の日課にしているんです」
「へぇ〜、偉いですね。毎日新聞を見ているなんて」
「まあ、これと言って良い事は一つも書かれていませんけども‥‥」
あははと苦笑する朝潮さんを横に、僕は一度その通信に目を通す。
そこには、『提督と信濃さんの秘密の執務!?』『赤城さん赤面!原因はあのSさん!』『大和型の部屋の真相‥‥』と言った、まあ何とも言えない内容が書かれていた。
というか8割型僕についての内容じゃないですかねこれ。
「た、確かにそうですね‥‥‥」
僕は何とも言えない内容に苦笑いをするしかなく、朝潮さんとの間に気まずい空気がこの空間を取り巻いた。
「(えっと‥‥‥これを書いたのって‥‥‥)」
一体誰が発行者なのかと視線を動かしているところに、僕の考えを読むよう朝潮さんが切り出す。
「これは青葉さんが書いたんですよ」
「青葉さん‥‥ですか」
告げられた名前を記憶の中で辿ると、一人思い当たる人が浮かび上がった。
青色の瞳に、桃色の頭髪。
歓迎会時、片手にカメラを握りしめてひっきりなしにシャッターを切りまくるちょっと異質な女性。
新聞記者による
結構ぐいぐい来る印象が強い為、少し面倒臭く思ってるところがある。
「‥‥‥あまり浮かない顔ですけど、青葉さんと何かありましたか?」
僕の考えが顔に出ていたのか、朝潮さんが心配そうに此方へ問いかけた。
「ああ、いえ。特に何もありませんよ」
「本当ですか‥‥‥?」
じーっとこちらを見つめる視線が痛い。
まあ、実際そんなに変な事をされた訳でも無いし大丈夫なのだが。
「分かりました、信濃さんがそう言うのであれば特に言及はしません。でも、もし困った事があったら是非とも私に言ってください。必ず助けになりますから!」
あらやだかっこいい。
中学生の様な姿ながらも凄く頼りになる。
これなら加賀さんや翔鶴さんよりも頼りになるんじゃ‥‥‥。
「ややっ!! そこにいるのは朝潮さんと信濃さんですね?」
僕の失礼な考えはさておき、噂をしていたら何とやら。
後方から聞こえて来た快活な声の主は、片手にカメラを持ち、襟と袖が青いセーラー服を着用していた。
「あ、青葉さん」
そう、この鎮守府のパパラッチ兼鎮守府通信の発行者、青葉さんだ。
「ども!青葉ですぅ!何やら新聞のネタになりそうな匂いがしたので!」
「げっ」
それを聞いた朝潮さんはバツが悪そうに顔を顰める。
「げっ、とは何ですか。げっ、とは。そんなに青葉の取材を受けるのが嫌ですか?」
「当たり前じゃ無いですか。どうせありもしないデマを載せられるんでしょう?」
「え、そうなんですか?」
「ちょ、ち、違いますからぁ!信濃さんも信じないでくださいよ!」
ぶんぶんと手を横に振り、強く否定を見せる青葉さん。
ここの鎮守府で青葉さんの取材というのは皆から煙たがられているのだろうか。
先程見た朝潮さんの表情も嫌がる様にしか見えなかった。
「そ、それよりも、ここで一つインタビューをさせてください!信濃さん!」
「インタビューですか?僕は別に構いませんが」
「え、良いんですか‥‥?」
「はい、大丈夫ですよ。というか、そんな反応をするなら何故聞いたんですかね‥‥」
自分から申し出たのにも関わらず、青葉さんから疑問形で言葉を返された。
僕が断ると思ったのか、青葉さんは驚いた表情を露わにしている。
別にインタビューぐらい構わないのだけどね。
僕も此処の皆とは積極的に交流して行きたいし。
「‥‥私的にはあまりお勧めしません。インタビューとなれば一対一でやりますし、あられもない事を聞いてくる可能性だって‥‥‥」
「私ってそこまで信用ないんですかぁ!?流石に変な事は聞きませんってば!」
「まあ、青葉さんはそう言っていますけど、後は信濃さんの判断に任せます」
「そうですね‥‥‥」
朝潮さんの言葉を耳にし、僕は一度考える素振りを見せた。
青葉さんからはお願いしますと懇願する様な視線がさっきから突き刺さる。
そこまで新聞のネタにしたいんですかね‥‥‥。
まあ、一度やっても良いって言った訳だしここで断るのも気が引けるというものだ。
青葉さんとはあまり接点もなかった。ちょうど良い事だろう。
「僕は構いませんよ。是非インタビューをお受けします」
「あ、ありがとうございます!いやはや、こうして取材を文句無く受け入れてくれたのは信濃さんだけですよ!」
「青葉さんの取材を快く受け入れてくれる人なんて相当優しい人か変な考えを持った人だけですからね。あ、信濃さんは勿論前者ですよ」
そんなに青葉さんの取材って嫌われているのね‥‥‥。少し同情してしまうよ。
というか、朝潮さん青葉さんに対して辛辣すぎないですか?
青葉さんのメンタルもボロボロですよ。
とまあ、そんなこんなで青葉さんの取材を受ける事となりましたが。
「その前に朝ご飯食べても良いですか‥‥‥?」
「「あ、はい」」
本来の目的を見失っては元も子もないよね。
○
「さて、ここいらで良いでしょうか」
食堂で朝食を済ませ、場所は変わり青葉さんの自室。
青葉さんの部屋は妹ととの二人部屋らしい。
見たところ片付いていて綺麗な部屋だが、机の上には多くの原稿のようなものが並べられていた。
とまあ、これ以上人の部屋をジロジロ見るのも失礼だろう。
そう思う僕は早速青葉さんの取材を受けようと少し身構えた。
「早速ですがインタビューをさせて頂きますね。まず一つ目、改めて名前を教えてください!」
おっと、本格的に名前から始まるのか。
特にこれと言った自己紹介もないし、普通にやってしまえばいいかな。
「はい、大和型三番艦の信濃です」
「ありがとうございます。さて、二つ目。好きな食べ物は何ですか?」
好きな食べ物か‥‥‥。
前世では良く甘い物が結構好きでよく食べてたなぁ。
まあ、強いて言うなら羊羹とかどら焼きが好きだけども。
何かそういう和菓子って良くない?お茶と合わせると完璧だよね。
「僕は甘いものが好きなので、和菓子とかですかね」
「ほう、和菓子ですか。男性らしくて良いですね〜」
えっと‥‥‥男性らしいって事はこの世界ではスイーツを食べるのが主に男性って事かな?
僕の頭の中ではあまり想像できない。
別に悪いってわけじゃ無いけど、ああいうメルヘンチックな場所に男が沢山いるってどうなのかね。
「三つ目です!提督の事はどう思っていますか?」
提督ねぇ‥‥‥。
改めてどう思っているかと言われると少し難しく感じる。
僕は部下の立場である訳だし、気安く友達と呼称するのもそれはそれでどうなのかね。
でも、凄く頼りになる人と言うことは分かる。
接し方も優しいし、人柄も良い。文句の付け所なんてないだろう。
「僕はとても頼りになる方だと思っています。優しく接してくれますし、あの人が提督で良かったです」
「ふむふむ、確かに提督は私達にも優しいですからね。それを言ったら信濃さんも相当優しい方だと思いますよ。この地球上何処を探してもお二人の様な私達にも優しく接してくれ方なんていないですもん」
「あ、あはは。流石にそれは言い過ぎじゃ‥‥‥」
流石に世界中で探せばそのくらい何処でもいるでしょ。
と思っていたけど、思い返せばこの世界は異質だ。
聞いてはいなかったが、この世界の男女の数はどうなっているのだろうか。
ちょうど良い事だし、青葉さんに聞こうか。
‥‥‥気の所為か、凄く嫌な予感がする。
「あの〜‥‥‥青葉さんは普通に答えて貰えば良いのですが、男女の数って普通どちらが多いんでしょうか」
「へ?い、いきなり唐突ですね。一体この質問が何を意味しているのかは分かりませんが、青葉の普通としてはやはり圧倒的に女性の方が多いですよね」
奇しくも、僕の悪い予感は的中してしまう。
それはこの世界の異質さを改めて実感してしまう最悪の言葉だった。
認めたくなくても、これが現実。これまた面倒臭い事になるのだろう。
これからの生活にまた一つ不安が芽生えてしまうのであった。
「あ、ありがとうございます‥‥‥。では、インタビューを続けましょうか‥‥‥」
「? まあ、分かりました。それでは四つ目といきましょう。初対面で一番印象的だった方は誰ですか?あ、提督は抜きでお願いします。あくまで艦娘の中で、です」
「ん〜‥‥‥そうですねぇ」
印象的と言えば、それこそ沢山いたのだけども。
カメラのシャッターを以上に切る人とか。
異常に自分をアピールしてくる先輩とか。
初対面の一言が『不幸だ』とか言う人とか。
その時は流石にちょっと心にグサっと来て少し傷ついた。
と言ったところで、個性的な人が沢山いて印象に残る人はとても多かった。
まあ、強いてあげるならば‥‥‥。
「加賀さん、ですかね」
「へぇ、加賀さんですか。して、それはどうしてでしょうか」
「‥‥‥ノーコメントで」
「え」
だってあの人について詳しく言いたく無いんですもん。
初対面で人を壁に追いやる人とか聞いた事ないですし。
「次をお願いします。この手の話題には触れたくないので」
「わ、分かりました‥‥‥」
当然のことながら、青葉さんの言葉は歯切れが悪く、納得出来ない表情をしていた。
そして渋々次の質問へと言葉を移した。
「さて、五つ目。これで最後です。ズバリ、好きな女性のタイプをお願いします!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
青葉さんの言葉は虚空の彼方に消え、空気は閑散とした物へとなる。
結局そういう質問はしてくるんですね。
自分で受けるとは言ったけど少し後悔してます。
「‥‥‥やはり朝潮さんの言う通りでした。青葉さんの取材という物は快く受ける物じゃありませんね」
「ちょちょちょ!!すいません、少し興味本位で聞いただけなんです。許してください。土下座しますから。何なら靴でも舐めますから」
「その言葉、本当ですか?」
「え‥‥‥‥‥?」
その言葉に、青葉さんは素っ頓狂な声を出して固まってしまう。
現在進行形で僕の視界には顔を下に向けて頭を下げる土下座状態の青葉さん。
そんな青葉さんを見て、悪戯っ子のような笑みを浮かべながら僕は脚を差し出した。
「じゃあ、お願いします。青葉さんが言った事、この場でしてください」
「っ‥‥‥!」
まさか本当にする羽目になるとは思っていなかったのだろう。
青葉さんは一度息を飲み、何かを決心したように顔を僕の脚へと近づける。
お世辞抜きにも、青葉さんの容姿は整っている。言わば美少女。
そんな女性を土下座させ、靴を舐めさせるという有り得ない現状にとてつもない背徳感が僕の中で這い上がる。
そして、ついに顔と靴の距離は数センチ———。
「ぁ」
「ふふっ、ジョーダンですよ〜。女性にそんな事させるわけないじゃ無いですか」
すんでのところで脚をヒョイッと上げ、僕は脚を青葉さんから離す。
未だ土下座している青葉さんに手を差し伸べ、少し微笑みを浮かべながら謝罪を伝えた。
「すいません、悪戯が過ぎました。別に青葉さんの事を嫌いになった訳じゃないですからね」
僕の言葉と行動に青葉さんは目を見張り、表情に驚きを隠せずにいた。
とまあ、少し悪戯をしようと思っただけですよと。
そう伝えた矢先、青葉さんは顔を赤くしてその場に倒れ込んだ。
「もう‥‥‥誰か殺してくださいぃ‥‥‥‥‥」
プシューっと湯気が出るような表情と共に、青葉さんは気絶してしまった。
某キャラクターのように人差し指を上に向け、その姿は何処か後悔と羞恥心で一杯に見えた。
「え、ちょ、あ、青葉さーん!?これはちょっとした悪戯ですから!さ、流石にやり過ぎたかもしれませんが‥‥‥ちょ、ちょっとー!?」
僕、ここで一つ覚えました。
人に悪戯するのはやめようって。