果たせなかった悔恨を   作:@naru

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少し遅れてしまいました。すいませんm(_ _)m。
急いで書き上げたので誤字や脱字があるかもしれませんので、また後日修正致します!

今回は戦闘回。
先頭描写が下手くそすぎて萎えたし、疲れました‥‥。





7.信濃、抜錨します。

 心地よい風が吹き、白波が細やかに揺れる水面。頭上から刺す光が海を煌びやかに映す。

 現在、初めて海を走る僕は何とも言えない感情に心を奪われていた。

 

 

「うーん‥‥‥」

 

 

 初めてということもあるだろうが、海を走ると言う事にどうも新鮮味を感じてしまう。

 脚に付けた靴底の高いブーツの様な物に視線を向けると、進む度に自分の後方には白波が切られていた。

 

 僕はくぐもった声を出しながらも、周りを走る皆に目を傾けた。

 

 

「‥‥どうかしましたか?」

 

 

 首を傾げる動作をしながら問いかけてくるのは、真ん中を走る僕の左側に居る大和姉さん。その逆の右側には武蔵姉さんも居た。

 

 

「い、いや‥‥」

 

「もしかして、不安かしら?」

 

「っ‥‥‥‥」

 

 

 図星を突かれる様な鋭い言葉が前方から向けられる。

 

 その声の主は矢矧さんだった。

 

 

「まあ、無理もないだろう。何てったってこれが信濃さんの初航海だしな」

 

「そうですね。だからこそ、私達が守り抜かねばなりません」

 

 

 更に磯風さん、浜風さんが言葉を発した。

 

 そう、今回はこの六人が演習メンバー。

 

 奇しくも‥‥かたや提督の意図なのか"僕"にとって関係の有るメンバーで構成されている。

 そんな中、前方の磯風さんと浜風さんは特に意気込んでいるようだ。波を蹴る足から力強さを感じ、同時に頼もしさも感じた。

 

 体躯は大きく無くても、気迫という大きな圧が彼女達からは出ているのだ。

 

 

「(僕も頑張らなくちゃ‥‥)」

 

 

 彼女達に守られっぱなしでは格好が悪い。何せ僕は男。例え貞操が変わっていたとしても、守りたいという感情がないわけではないのだ。

 

 

「信濃、そろそろお願いします」

 

「うん‥‥‥」

 

 

 そう僕は心で決心し、手元にあった弓に矢を掛け、鋭い弦音を鳴らしたのだった。

 

 

 

 ここからが、僕の初航海だ————。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、作戦はどうする? 翔鶴姉」

 

「そうね‥‥やはりまずは信濃さんを叩くべきだわ」

 

 此方の空母は私と瑞鶴の二人。航空兵力の有利はこちらにあると言っていいだろう。

 だからこそ、先ずは相手の空母を叩きたい。制空権を取れば大きく優位に立てる。

 

 

「え〜? 夕立は夜戦をしたいっぽい!」

 

「夜戦に持ち込むのもいいけど、こちらのメンツと相手のメンツを考えてみなさい? あっちには大和と武蔵がいるのよ?」

 

 砲撃戦となれば、長門さん達がいると言えどもこちらが少し不利。大和さん達が相手だと分が悪いだろう。

 

「うぅぅ〜‥‥」

 

「そうだな。下手に夜戦に持ち込んでもあの二人を崩すのは難しいだろう」

 

「そう考えるとやはり信濃さんを先に倒しておく方がいいですね」

 

「確かにそうかも。制空権を取っちゃえば大和さん達も身動き取れないだろうからね。そこを長門さんと陸奥さんが砲撃、至近距離には夕立と不知火が応戦って事で」

 

 

「そうね、先ずは偵察機を出して先制攻撃といきましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやらお互いに始まったみたいだな」

 

 モニターに映る二つの艦隊。お互いが偵察機を出し、先制攻撃を仕掛けようとしている様子だ。

 

 今般は信濃達の方をAチーム。翔鶴達の方をBチームとして編成させた。

 

 Aチームの旗艦は信濃。着任して僅かながらその責務を負わせるのは少し申し訳なさが募るが、俺自身信濃の能力を知りたい。

 データ上では申し分のない性能。あの加賀を差し置いて搭載数トップを誇る空母だ。

 

 生粋のポテンシャルがあるのは誰もが認めるだろう。

 だからこそ、Aには信濃だけ、Bには翔鶴と瑞鶴の二空母を組んだ。

 

 ただ、例え信濃のポテンシャルがいかに高ろうかと、あの二人も鎮守府きっての精鋭。

 戦いの能力では劣らない。寧ろ勝っていると自信を持って言える。

 

 そこで、俺は信濃に勝ちまでを望んではいない。

 初戦闘の信濃にそこまでは求めていないのだ。先程も言ったが、一番は信濃の能力を見ること。それが今俺に課せられた"課題"であるから。

 

 

「‥‥‥頼む。勝ってくれよ‥‥"翔鶴"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥どうかしら?」

 

「えっと‥‥少し待ってください」

 

 

 耳に片手を置き、僕は目を瞑る。

 先ほど発艦した偵察機との視覚共有。これまた新鮮味を感じ、自分が艦載機に乗っていると錯覚してしまいそうになる。

 

 この身体になってからは慣れない事ばかりだ。

 

 今だって人間だったら出来る筈の無い芸当を実行している。妖精さんとの視覚共有と意思疎通。慣れない事をしていると自覚があるながらも、それに対しての慣れは異常に速い。

 

 その慣れが僕は怖かった。同時に不安が募った。

 

 戦いの最中で感じてしまう恐怖と不安は余計な焦りを生んでしまう。

 戦う前の不安は無くした筈だった。提督の言葉が僕の決心に繋がった筈だった。

 

 だが、新たな不安が僕を覆う。思考を広げる程不安は強くなる。

 

 僕はまた実感してしまうのだろうか。

 

 

 あの———最悪な悪夢を見た時の様に。

 

 

 

 

『‥‥‥‥‥‥‥っ! ーーーー!(ミツケタ!)

 

 

「えっ!? み、見つけた?」

 

 

「見つけましたか!?」

 

 

 妖精さんからの敵発見の言葉。その視覚を見ると、確かに前方に三隻の艦がいた。

 六隻中の数は三隻。恐らく、別々に分かれているのだろう。

 

 

「う、うん!北西の方向に三隻、編成は空母一と駆逐艦二隻が居るみたい」

 

 

「別々に分かれているということね‥‥こちらはまだ見つかってないし、此方から仕掛ける?」

 

「そうですね‥‥相手は空母二隻。別れている今がチャンス‥‥か」

 

「行きましょう、信濃。相手は二手に分かれて先制攻撃を仕掛けようとしていたみたいですが、こちらの方が先手を取りました。これは好奇ですよ

 

 確かに現状は先に相手を見つけられたこちらが有利。ここで一気に相手方の三隻を倒せればこちらは一気に優勢になる。

 

 ただ、攻撃中に別動隊から見つかり、挟み撃ちになるのが最悪な展開。

 それを噛みすれば此方も別々に分かれた方がいいのだろうか‥‥‥。しかし、空母は僕一人。

 

 相手方の空母が多いと考えれば、分かれるのは得策と言えない。

 

 となると、やはり手段は一つ。

 

 

「‥‥分かった。攻撃しよう。ただ、初撃は攻撃機と爆撃機で————」

 

 

「っ、南東方向から敵機!」

 

 

「えっ‥‥‥‥?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先制攻撃は貰ったわね」

 

 

 最初に出した偵察機の収容も終わり、私は爆撃機の視界から第一攻撃隊の様子を観察していた。

 

 敵方の陣形は此方と同じ輪形陣。信濃さんを守るように組まれている。

 

 

「まあ、当たり前ね」

 

 当然相手は信濃さんを真ん中に固める。それはこちらも承知のうちだ。

 

 だからこそ、私達は二手に分かれた。流石に正面からとなると、対空砲火も集中され攻撃力は減少する。

 そこでもう一方が後ろに回り、挟み撃ちにする。

 

 言わば瑞鶴達は囮。陽動部隊だ。

 

 この攻撃の間にも、プラスで瑞鶴達の方からも攻撃隊が発艦。信濃さんに襲いかかる弾幕は数知れないだろう。

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

 正直、信濃さんを一人狙いすることに罪悪感があった。最近着任したばかりで、これが初戦闘。しかも男性である信濃さんを攻撃と言うのはやはり来るものがある。

 

 しかし、これも勝負。戦略のうちだと考えるしかない。

 

 

 だが、信濃さんを狙うことにメリットもある。

 

 

 相手の航空兵力が潰れるという建前もあるが、やはり一番は‥‥‥。

 

 

「ふふふ‥‥‥"大破姿"、ですよね」

 

 

 

「(翔鶴の変態脳はいつ治るんだ‥‥)」

 

「(‥‥治るのを願いたいけど、そんなこと言っちゃダメよ‥‥)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ‥‥どうしよう‥‥」

 

 

 黒煙で覆われる辺り一帯。無数の爆撃と雷撃が艦隊を襲う現状。

 組んでいた筈の輪形陣も崩れ、各々が対空砲火で対抗するのに手一杯だった。

 

 幸い大きな損害はまだ出てない。被害と言えば武蔵姉さんが一発被弾し、小破しているぐらいだ。

 ただ、どうやら攻撃は僕が目標になっている様子。

 

 姉さん達の方に集中するのは爆撃隊のみ。

 一方、僕の方には雷撃爆撃共に多くの艦載機が殺到する。

 

 何とか被弾しないよう動いても、この嵐の様な弾幕を避け切るのは不可能だ。必ずいつかは被弾する。

 

 そんな中、早速僕の横から魔の手が襲いかかって来た。

 

 

「ぐっ‥‥‥‥‥」

 

 強い重力が横から押し付けられ、僕は思わず体勢を崩す。横から迫って来ていた雷撃に被弾してしまった様だ。

 

 

「信濃っ!」

 

 

「っ‥‥‥だ、大丈夫だよ!」

 

 

 被雷したと言ってもまだ一発。損害は小破にも満たない。まだ焦ることはないだろう。

 

 そして、漸くその嵐は過ぎ去ろうとしていた。

 

 攻撃隊は全て投下したのだろうか、各々帰路へと着いていく。

 皆の被害状況がまだ分からないが一つの苦難を乗り越えたことの安堵が大きかった。

 

 

「‥‥えっと、被害状況は‥‥」

 

「不味いわ‥‥。浜風が戦闘不能よ」

 

「う、嘘っ‥‥いつの間に‥‥」

 

 駆逐艦の装甲はあまり高くない。確かに何発も被弾したら大きな損害になる。

 

「攻撃はどうする。挟み撃ちにされている今、どちらかを早急に叩かなければまた攻撃に晒されるぞ」

 

 

 

「大丈夫」

 

 

 このまま負けっぱなしではいかない。僕は初戦闘、相手は恐らく多くの経験を積んだのだろう。

 

 だが、僕は受けた期待を裏切りたくない。

 

 強い意志が期待を裏切る事に対して頭が全否定する。自分自身が望んでいるのとはまた別の感情が僕を埋め尽くす。

 

 故に、この勝負に負けたくない気持ちの強さが膨れ上がるのだ。

 

 

「皆、聞いて欲しい」

 

 

 ここの決断は勝敗を大きく左右する———。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか‥‥な」

 

 

 そうして、信濃の初戦闘は幕を閉じた。

 

 結果から言ってしまうと、Aチームの旗艦が大破、戦闘不能によりBチームの勝利だ。

 

 だが、信濃達の後半の追い上げは凄まじかった。

 

 先ず部隊を二手に分け、大和と矢萩が瑞鶴の方へ、その他は翔鶴の方へと別々に攻撃を仕掛ける事になった。

 

 翔鶴の方への問題はないが、大和達の対空が厳しい。

 その状態で攻撃を仕掛けようとしてもあまり効果はないように見えた。

 

 しかし、あの無数の爆撃と雷撃の中、信濃は直掩に戦闘機だけでなく攻撃隊と爆撃隊を被弾しない位置に配置していたのだ。

 

 そこから帰投する瑞鶴の航空隊の後を追い、大和達と攻撃。

 信濃は航空戦略を補う見事な戦略を立てていた。

 

 そしてラストは信濃達と翔鶴達の一騎討ち。

 

 最初は激しい制空権争いが続き、僅かに信濃側が優位に立った。

 そこで武蔵と磯風対長門と陸奥の構図が発生。

 

 武蔵が後方、磯風が前方で戦う戦略を取り、優勢に見えたが長門達の狙いは信濃。

 後方から放たれた主砲が信濃に直撃し、中破。

 

 その時翔鶴の息が荒かったのは気の所為だ。

 

 

 まあ、そんな鼻の伸び切った翔鶴にバチが当たったと言うか、信濃の攻撃機によって魚雷二本の被雷。そこで翔鶴も中破した。

 

 

 そして、戦いも終盤。

 

 

 制空権が優勢にあった信濃に突如異変が生じる。

 

 後方から瑞鶴の艦載機が現れたのだ。

 

 

 大和対瑞鶴は瑞鶴達の勝利で終わり、瑞鶴以外は戦闘不能となっていた。

 

 その攻撃により不意を突かれた信濃が被雷。五本まで粘ったが信濃が大破し、戦いは幕を閉じた。

 

 

 今回見た限り、信濃の能力は予想以上に高く見えた。

 

 先ずはデータ上で見た性能面として装甲。魚雷六本という多大な量を食らっての大破。他の空母であればもっと早く大破してる筈だが、信濃の装甲の強さが勝ったのだろう。

 

 そして、機転の効く思考力。戦略の立て方。

 搭載数の多い信濃だからこそあの作戦が成功したという点もあるが、それを実行しようとした信濃の考えと判断が大きい。

 

 だが、最初の方を見ると、信濃は押しに弱いように見えた。自分の考えを言えず、悪く言えば周りの意見に流されてしまう。

 それも信濃と優しさと言ったらそう言えるが、戦いの場に持ち込むと迷いが生じる。

 

 実戦となると更に重要さが増し、判断力が鈍ってしまう事になる。

 

 そこが今の信濃にとっての課題となるだろう。

 

 

 ただ、予想以上の力を見せてもらったのは確かだ。

 素直に褒めたいし、励ましてやりたい。

 

 

 

 こういう奴が居なければ‥‥。

 

 

 

「ちょ、ちょっと!何やってるんですか!」

 

 

「何って信濃さんをエスコートしてるだけじゃないですか」

 

 

「貴方今の信濃の格好を分かってやってるんですか!? そして、ほいほいと男性の身体を触らないで下さい! 私の弟なんですよ!? 信濃も何とか言わないと!」

 

 

「あー‥‥あの、少し離れてくれませんかね‥‥手とか何で握って‥‥」

 

 

「はぁ!? 何勝手に手を握ってるんですか! さっさと離しなさいっ!」

 

 

 戦って疲れもあるだろうに関わらず、ギャーギャーと騒音が響き渡る。

 

 当の信濃は苦笑いをしながらも顔が引き攣り、後ろの奴らに関しては顔を赤くしたり、やれやれと呆れた表情をしたりと様々だ。

 

 

 まあ、翔鶴には目標も達成して貰ったし大目に見よう。

 だが、人の身体をほいほい触るのは見逃せないがな。

 

 

 

「あーもう!本当に貴方って人は!」

 

 

「何ですかー? 姉だからって調子に乗りすぎじゃないんでしょうかね?」

 

 

「何ですって!? 人の弟にセクハラする様な人に言われたくないです!」

 

 

「はあ!? 一体何処がセクハラと言うんですか!」

 

 

「セクハラでしょう! 知ってますからね。貴方が信濃の大破姿目当てで狙っていたって」

 

 

 

「へぇ‥‥それは本当か? 翔鶴」

 

 

 

「うっ‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

 

「はは‥‥今日は楽しい日になりそうだな。翔鶴さん?」

 

 

 

 

 




翔鶴さんは平常運転( ◜ᴗ◝)و

アンケートを設置致しましたので協力して頂けると嬉しいです!
他にして欲しいことがありましたら感想欄の方にお願いします。

信濃にして欲しい事

  • お出掛け(誰かとデート)
  • 王様ゲーム
  • 部屋で過ごす
  • 誰かの部屋にお邪魔する
  • 料理
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