果たせなかった悔恨を   作:@naru

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毎日投稿!を現在は継続していますが次回からは多分難しいと思っています。申し訳ございませんm(_ _)m。

なるべく速く執筆をして行きますので、気長に待っていただけると幸いです。



○信濃のキャラ紹介(今更)
・今作品の主人公。艦息。
・性格は比較的温厚で誰にでも優しい。その反面、押しに弱かったりする部分も。
・容姿は紺色の長着に緑の袴を着用。長着と同様の紺色の髪。瞳は姉と同じオレンジ色。身長は160cmとちょっと低め。整った容姿で、俗に言う美少年。
・これと言った趣味はない。得意な事は○○。
・過去のある出来事を未だに引き攣っている。信濃の記憶を受け継いだことで内には強い悔恨を更に秘めている。






8.一矢報いたいですね。

 

 

「‥‥‥報告は以上です。初演習としては大きな成果だと思います」

 

「そうだな。これなら場所を"改める"可能性がいよいよ出てきた」

 

 その言葉に思わず息が詰まる。異議を申し立てたくても、相手の立場が分かっているなら安易な発言は慎むべき。

 この世界ではそれが当然なのだ。

 

「はい、信濃の力は相当な物です。まだ至らない所も有りますが、そこは改善できるでしょう」

 

「うむ。では、後は此方で考えるとしよう」

 

「承知致しました」

 

 本当はこのままにして欲しいという本音が心にあっても、俺はそれを押し止める。

 退出する為にドアノブに手をかけると、そこに一つの質問が投げられた。

 

「一つ聞きたいことがある」

 

「‥‥何でしょうか」

 

 俺は声の方向に顔を向けずに言葉を返す。

 

「君はこの件をどう思っているのか気になってな」

 

 その言葉に思わず顔が引き攣った。

 ここでの正解は考えを合わせる事。

 

 だが、俺は自分自身の感情を押し殺すのにも限界を感じていた。

 

 それを言うべきでは無い。例え自分の考えを言ったって通る訳が無い。

 

 そう分かっていた筈なのに、俺は自らの考えを発してしまった。

 

 

 

 

「私は‥‥その案に賛同致し兼ねます‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥っ」

 

 

 『バシュッ』と静黙とした空間に響く鋭い弦音。空母の皆、主に赤城さん、翔鶴さんと言った主力の方々が稽古を行っていた。

 

 的を見据える先輩達の目は凛々しく、思わず見惚れる様だった。

 放たれた矢は全て真ん中を射ており、その精度と技には感嘆する他ない。

 

 

「はい、次は信濃の番だよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 快活とした声で順番が回ったことを伝え、弓を渡してくれた瑞鶴さん。

 

 僕は弓を受け取り、位置に着くが、皆がどんどん真ん中を捉えている故にプレッシャーを感じてしまう。

 

 前世ではちょっとした弓道経験が有った。しかし、その実力も精々初心者に毛が生えた程度。熟練した玄人から見ればほぼ初心者に近しいだろう。

 

 だが、やるしかない。

 

 そう心で決め、僕は弓を構える。

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

 その瞬間、多くの視線が僕に注目した。

 思わず息を吐きたくなる様な重い空気が空間を取り巻く。

 

 そんなに注目しないで欲しいと心の中で叫びながらも、僕は的を見据えた。

 正直、この世界の貞操観念に文句を言いつけてやりたいが、これがこの世界の普通となれば仕方ない。

 

 それが世界の普通なら合わせて行かなければならないし、合わせなければ変な目で見られるのが必然。

 

 変人として見られるのは御免だ。

 

 

 僕は矢を引き、キリキリと弦の音が鳴る中、矢先を的へ向けた。

 

 フルドローを自身でしっかり意識し、精神を集中させる。

 

 やる事はあの演習の時と変わらない。発艦に関わる大事な作業。

 これが完成されれば発艦は必ず安定する。

 

 それくらい重要な事だと実感すると緊張が膨れ上がるが、一時の緊張でいつまでも迷うのはダメだ。

 

 ここは放たなければならない。

 

 

 そして、僕はその矢を放った。

 

 

 弦から離れた矢は大きな弦音を鳴らし、前方へ突き進む。

 

 そうして、バシッという音と共に矢尻が的を刺した。

 

 場所は惜しくも真ん中には至らず、右側にずれた結果。

 

 自分にしては上出来。真ん中を捉えられずとも、まずまずの結果だ。

 しかし、周りの反応はどうなのだろう。

 

 レベルの高い先輩達だ。こんな事も出来無い事に落胆しているだろうか。

 その不安が取り巻きながらも、僕は横に視線を移した。

 

 そこには、赤を特徴とした道着を着用した女性。

 顔を赤くし、何かにずっと視線を向ける姿は、その何かに見惚れている様だった。

 

 僕は首を傾け、恐る恐る言葉を発する。

 

 

「どう‥‥でしたでしょうか?」

 

「っ‥‥! は、はい!す、凄く綺麗でした‥‥」

 

「‥‥‥‥‥え?」

 

「‥‥‥‥‥ぁっ」

 

 

 僕は思わず素っ頓狂な声を出し、それに伴い赤城さんも小さな声を漏らす。

 言葉の綾なのか、赤城さんは更に顔を赤く染め、弁明する様に頭を大きく横に振った。

 

 

「ち、違うくてですね! その‥‥構えとか射角がとても綺麗で———」

 

「あはははっ! い、いきなり何言ってるんですか?」

 

 

 閑散とした空間の中に突如通った笑い声。瑞鶴さんはお腹を抱えながら大笑いしていた。

 

 

「全くですよ。別に誤魔化さなくても信濃さんの姿に見惚れて惚けていたのは分かりますので」

 

 

 そして、赤城さんを追撃する様な言葉が翔鶴さんから放たれる。

 僕は何とも言えない空気に苦笑いをする事しかできなかった。

 

 

「っ〜〜〜〜〜!」

 

 

 赤城さんは恥ずかしさからか、顔を手で覆い後ろを向いてしまった。

 というか、僕の一矢はどうだったのだろう。赤城さんの言葉でどっかに飛んでってしまった。

 

 

「あの〜‥‥僕の一矢はどうだったでしょうか」

 

「ああ、そうだね。赤城さんの言う通り構えとか射角はとっても良かったよ。的を見据える眼差しとかすっごく格好良かったから!」

 

「あ、ありがとうございます‥‥」

 

 

 こう実際に褒められると少し恥ずかしさが有る。

 僕は羞恥が募るのを髪を触って紛らわした。

 

 

「まあ、後は細かい動作ですね。手の震えで少しズレが生じてたり、背筋をもっと伸ばして放つ所などを良くすればもっと精度は上がりますよ」

 

「は、はい‥‥分かりました」

 

 

 翔鶴さんが思ったよりもしっかり僕の事を見ていてびっくりしてしまった。

 真面目な時は真面目という翔鶴さんの頼りになる一面が現れた瞬間だ。

 

 

「それにしても‥‥‥」

 

 

 スッと視線を移した先には未だ顔を覆う赤城さん。蹲り、恥ずかしそうに顔を赤くする姿が少し不憫に思えてしまう。

 

 

「まさかあの赤城さんがね〜」

 

「ええ、あの赤城さんが、ね」

 

 

 更に追い討ちをかける様に話す二人。

 僕は一度、赤城さんの方へ步を進めた。

 

 

「赤城さん」

 

「は、はい‥‥」

 

 赤城さんは覆っていた手をずらし、視線をこちらに向ける。

 

 

「褒めて頂きありがとうございます。その‥‥う、嬉しかったですから‥‥。あ、あまり気に留めないでくださいね」

 

「ぇ‥‥‥‥‥」

 

 

 赤城さんが僕を褒めようとしてくれた事に変わりはない。その気持ちはとても嬉しかったし、嫌がる要素なんて何処にも無い。

 

 だからこそ、赤城さんには事を大きく捉えて欲しく無い。

 僕は励ます心算(つもり)で言ったのだが、どうだろうか。

 

 現状、赤城さんは心底驚いた様な表情をしているが‥‥。

 

 

「い、良いんですか‥‥?私、あんな変な事言って‥‥」

 

「大丈夫ですよ。悪口でも無ければ貶そうとした訳では無いじゃないですか。何処にも怒る所は有りませんし、嫌悪する所も有りません」

 

「‥‥そ、その‥‥ありがとうございます」

 

「ふふっ、何で赤城さんがお礼を言うんですか?」

 

「ぁ‥‥す、すいません」

 

「謝罪も大丈夫ですよ。‥‥はい、どうぞ」

 

 

 そうして、僕は手を差し出す。

 また赤城さんは驚いた表情を見せるが、先程とは違って微笑みを浮かべ、手を伸ばした。

 

 

 

 その瞬間———。

 

 

 

 

「はいストーップ」

 

 

 僕と赤城さんの間に入り、いきなり遮って来た翔鶴さん。

 思わず「へっ」と素っ頓狂な声を出してしまい、驚きが隠せなかった。

 

 

「ちょっと翔鶴姉! 何邪魔してんのさ!」

 

 

 驚きと怒りが混じった様な言葉で瑞鶴さんが釘を刺す。

 

 

「折角新たな恋が始まりそうだったのに〜‥‥」

 

「こ、恋‥‥!?」

 

 

 これまた急と言うか、どうしてそういう路線に行ってしまうのかと溜息を吐きたくたくなる様な状況。

 漸く立ち直った赤城さんがまた顔を赤くしてしまった。

 

 

「そうなると困るから割って入ったんですよ。そんな漫画みたいな展開があってどうするんですか」

 

「そう言うのが良いから言ってんじゃんか!」

 

「夢を見過ぎるのも大概にしなさいな。確かにそういうシチュエーションは良いと思うけど、他人のそれを見て良く思わないでしょう」

 

「もう分かってないな〜! これだから翔鶴姉は‥‥」

 

「あらあら、お姉ちゃんにそんな事言っちゃいますか〜?」

 

 

 

 

 

 

「はぁ‥‥‥‥‥」

 

 

 先日と似た様な言い争い。昨日続けて翔鶴さんが関わっていたり、既視感を覚えるこの状態に僕は溜息を吐いてしまった。

 

 

 赤城さんが二度目の再起不能に入り、二人の激しい言い争いが続く。

 

 

 僕には処理しきれない現状を目の当たりにし、僕はまた一つ溜息を零すのだった。

 

 

 

「はぁ‥‥‥どうしてこうなるんだろう‥‥」

 

 





前途多難(ニッコリ)。

信濃にして欲しい事

  • お出掛け(誰かとデート)
  • 王様ゲーム
  • 部屋で過ごす
  • 誰かの部屋にお邪魔する
  • 料理
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