この世界には創世記元年から、多くの歴史が刻まれてきた。幾度となく生物による、自然による創造と破壊が繰り返されその姿を変えてきた。だが、その中で唯一、数十億年姿を変えていない場所がある。
ムノロフ島中心・旧都アルドガイア
ここは、災禍乃魔獣が生まれ、初めにその猛威を奮った場所だ。そこは今でも荒れ果て、瘴気で島一帯が覆われている。その地に足を踏み入れれば普通の人間ならその身が果ててしまう。普通の人間なら…。
「ウィーダー、こんな所で何してる。各地に飛び蹂躙せよって命令だろ?」
「ザムドグか。お前はルイソーサーの存在を信じているか?」
「ルイソーサー…アルヴァラ様の生み出した身体能力を飛躍的に上げる魔石か。フッ、存在したとしても今どこにあるのやら。」
「その石がここにあるとすれば…?」
「なに!?」
「魔石の起源を知っているか?大規模な魔力爆発が起こった事で生まれると古い文献に書いてあった。アルヴァラ様が作ったと言うが偶然の産物だ。…そこでだ、ヴァル・テン・ダーが生まれた時も大規模な魔力爆発が起きたと…ならここにもあるだろう…とな。」
ドノルの元から旅立ち数日、魔物や野盗に襲われている商人達を助けそれで生計を立てていた。
人の目に付かないようフードを被り顔を隠して旅をした。もしエルサムの事を知っている人に見つかれば大変な事になる。旅の目的はあるが具体的にどうすればいいのか…それを知るため南の国ハワナルの首都、ワイキマへ向かっていた。どうやらそこにドノルの弟子がいるらしい。
「今国境辺りだから…まだ200キロもあんじゃねーか。」
小さな農村出身で、村から出たことの無かった俺には、この距離が途方もなく思えた。
馬車とかを使えば早いのだろうがそんなものを使うほど金に余裕が無い。
木々に挟まれた幅の広い真っ直ぐな道をただひたすら歩いていた。すると、目の前に村が見えてきた。その村からは至る所から煙が上がり、悲鳴がこだましていた。
俺は走って村へ向かった。村に入り村中を見ながら中心へ向かう。すると中心には黒いローブを着た白髪で長髪の男が立っていた。
「全員殺したと思ったのになぁ…まだ生きてるのがいたか。」
そう言うとこちらに向き、首を傾けた。
「あれ、君ここの村の人じゃないね。こんな貧乏な村にそんなローブ着てるやつがいるわけないしね。誰、」
「お前こそ誰だ、人を殺して、村を壊して、何が目的だ!」
「質問でかえってきた…ま、いいや。僕の名前はカルロス・エン・テン。アルヴァラ教第二位階信徒。この世界を負で満たすのが目的さ。」