アルヴァラ教第二位階信徒と対峙したリベリック。無言で佇む2人の間の静寂を、家々や人が焼け焦げた匂いの風が吹き抜ける。
しばらくすると何か重厚な物が、地面を踏みしめ鉄と鉄が擦れる音が複数聞こえてきた。その音はどんどん近ずいてきて、とうとう姿を表した。
(あのマーク…王都守護兵団か。なんでここに…。)
ある程度の距離をあけ、止まると綺麗に並び真ん中の男が…
「私の名前はイスカーン。お前達アルヴァラ教徒には、国家転覆罪による殲滅命令が出ている。」
「ちょっとまて、俺はアルヴァラ教徒じゃない!この村から煙が上がっていたから…。」
「全体、かかれ!」
後ろにいた十数人の男達が剣を鞘から抜き、走ってくる。
先頭を走ってきた男の剣を紙一重でかわし身を転がす。転がると同時に俺も剣を抜き構える。カルロスを殺さなければならないがこいつらも聞く耳を持たない。どうすれば…。
兵士達は一旦俺を諦めたのか、その様子をただ無言で…微笑みながら見ていたカルロスの方へ走っていった。
一瞬の事だった。兵士たちの血肉が花弁が散るように、空を舞った。
それは、泣き叫ぶことも無く、音を立てずに散った。
「美しい、実に美しい!君達はこの光景を見て何を感じる。僕と同じように美しいと、綺麗だと思うのか、それとも怒りや憎しみを感じるのか。…いや、答えは分かっている。後者だろう。僕と共通の感覚を持っていないのなら…今ここで美しく散れ!」
俺はイスカーンの方へ向き
「おい、信じてくれ俺は味方だ。協力しても勝てるか分からない相手だ。おね…。」
強い風が頬を撫でたかと思えばカルロスがイスカーンの背後にいるではないか。そしてカルロスが手をあげると、イスカーンの首が落ちた。
ダメだ…勝てない。どうすればいい、どうすれば助かる…。考えるんだ、……っ!
助かる方法が1つだけあるかもしれない、でも成功するかどうか。…一か八かやるしかない!
俺は勢いよく地面を蹴り、前身した。そしてカルロスの元まで数メートルという所で
「ザラーム!!」
「……ザラームとはな、相手を悪夢へ引きずり込む魔術じゃ。魔術対象のもつ恐怖心が多いほどその威力はます。アルヴァラ教の信徒は過去に大きな恐怖を植え付けられた者も多くいる。アルヴァラ教徒と戦うにはうってつけの魔術じゃ。だが、過信しすぎるでないぞ?」
ザラームを放ち、足で急ブレーキをかけ後ろに飛ぶ。
どうだ、これで動きが少しでも止まってくれれ…
「はぁ、嫌な事思い出させてくれちゃって。あーあ、気分が悪くなったよ。もういい、美しくなくていい。お前は殺す。」
カルロスの睨みで、俺は腰を抜かしてしまった。あぁ、今度こそ死ぬ。すみません、ドノルさん。俺には荷が重かったようです。こんなヤツらには、勝てません。俺は死を覚悟した。
その時…
「アクティース!」
背後から伸びた一筋の光は、カルロスの心臓部を貫いた。呻き声を上げながらうずくまるカルロス。
「き、貴様…何者だ…。」
「私の名前はエルオーリ・ヴァルカ。王宮第6階の守護を任された聖騎士である。お前らアルヴァラ教徒を、殲滅しに来た。」
そしてその男、エルオーリは俺の方を見て微笑み、カルロスの方へ歩いていった。
俺もカルロスの方へ向くと驚くべき光景が…心臓部に空いた穴が塞がっているではないか。
「再生か…気持ちの悪い。もはや人間ではないな。」
そう言うとカルロスの両腕、両足を切り飛ばした。
さっきまで圧倒的に優勢だったカルロスだったが一気に劣勢になった。
俺はそこで安心した。安心してしまった…。