楓&理沙依存&実績『翌檜』解除RTA 作:チルドレン
はい、よーいスタート。
沢山ガバっても何とかなるさと前を向く走者失格のRTA、はーじまーるよー!
前回はサリーちゃんがずっと潜っているのを見つめるだけで動画が終わりましたね。
本来なら今回もそうなる予定だったのですが、大人の都合上で
という事で今回はさっさと二階層の開放に行く事になりました。
…え?前回はメンテからスタートする予定だっただろ?再走しろ?
走者にガバは付き物だからね、しょうがないね。
「よーし、早速中に入ろう!」
-元気なメイプルが私の背中を降りながら嬉しそうに喋りだす。▽
-それを見たサリーが少しだけ苦笑するのと同時に、メイプルを先頭にゆっくりと歩きだした。▽
この時点ではメイプルの最強悪食壁戦法がまだ残っているのでそれを使って軽々攻略していきたいと思います。
因みに遠距離攻撃とかを主人公が持っていると戦闘に参加しなきゃいけないので此処でロスになります。
経験値を稼げてない場合はしても良いとは思いますが…今回は走者の魂を削りながらゲームをしているのでしなくても良いでしょう。
この走者、RTA中一切眠らなかったってマジ?
「…調子悪そうだけど、大丈夫?」
-メイプルが少しだけ心配そうな表情でこちらを見つめてきた。▽
-大丈夫だよと小さく微笑み返すと、少しだけ困った様な表情でこちらを見つめた。▽
「これからボス戦だし、体調悪かったら早めに言ってね」
タイミングよく色々言われましたが、これはゲーム内で何度も徹夜した場合に現れるイベントですね。
特に放置しても何も影響ない筈なので、此処は無視していきましょうか。
-大扉を開けると、其処には高い天井とそれに届かんばかりの大樹が聳え立つ部屋があった。▽
-私達が部屋に入るのと同時に扉が閉まる音が聞こえ、大樹が巨大な鹿へ姿を変えていく。▽
-遠目から見れば大きな鹿だが、大樹から変わった影響か角からは青々とした木葉が茂り、瑞々しい林檎が実っている。▽
「来るよ!」
-その言葉と同時に、巨大な鹿が私達を睨み付け…鹿の足元に緑の魔法陣が現れ輝きだす。▽
「うん!」
-戦闘開始だ。▽
まず初めに角を狙って攻撃をしましょう。
始めは蔓を使った攻撃で確定なので、もし走る方がいたらこの攻撃はちゃんと覚えましょう。
先ず初めにギリギリ引き付け、そのまま襲い掛かる蔓の上に乗ってタイミングよくジャンプをしましょう。
はい321…おkですね。
ジャンプした御蔭で自分の目の前に角が現れたので三回斬りつけましょう。
本来なら魔法陣がある為身体等に攻撃しても意味がありませんが、林檎を攻撃するという都合上角には攻撃が通ります。
「…」
三回攻撃した後に角に剣を引っ掛け、角に足を掛け片足だけでスキル【跳躍Ⅹ】を使用します。
これはバグ利用なので当然次回修正されますが今回は大丈夫です。
そのまま距離を稼ぎつつ剣を角に投げ刺して林檎を落としておきます。
「【ウィンドカッター】!メイプル!」
「うん!【
-メイプルの短刀から紫色の竜が鹿に向かって襲い掛かってくる。▽
-紫色の竜が毒をまき散らしながら鹿を噛み付き、確実に体力を減らしていくが…▽
此処ですね。
丁度跳躍で離れた距離が縮まったこのタイミングで剣をもう一度取り、“STRをボスのステータスより1低くして”三回攻撃をします。
因みにこの三回攻撃は一秒の間にやらなくてはいけません。
-緑色の魔法陣が点滅し、硝子が割れた様な音と共に壊れる。▽
-そして巨体の鹿が倒れるのと同時に…光になって爆散していった。▽
「……うわぁ。これメイプルが居なかったらかなり時間掛かってたね」
「そうかな?私は翌檜ちゃんの方が凄かったと思うけど…」
工事完了です……。
本来なら緑色の魔法陣が消えて鹿の体力が回復するんですが…今回はそれをスキップしました。
因みにこれから走る兄貴達の為に解説しておきます。画面右にご注目下さい。
-緑色の魔法陣。
-体力が2割になった時に発動する。
-体力を1割回復し、現在掛かっているバッドステータスを治療する。
こちらは鹿の下にあった魔法陣の説明です。
まず発動するタイミングですが、二割になった“時”に発動します。
つまりスリップダメージで地道に削ると回復していくんですね。その為メイプルちゃんに任せると最終的にメイプルちゃんがスタンされて結果的にサリーちゃんが頑張る事になります。
それを防ぐ方法として使ったのが今回のタイミングよく一秒で三連撃を与えるという方法になります。
それでは二人が喜んでいるのを右側に移動して……中央の動画をご覧下さい。
これはさっきと同じようにメイプルちゃんが【
…………はいストップ。ボスの体力バーをご覧下さい。
HP【ーー- 】
体力が二割五分程度残っているこの部分ですね。
もし此処で何もしないと残念ながらメイプルちゃんの毒によって二割に到達します。
では二秒程進めてみて…此処ですね。
HP【ーー 】
二割に見える?(これ以上は書けないんだから)当たり前だよなぁ?
という事で二割と一虚空だけ残っている状態です。後1Fも立たない内に緑の魔法陣が起動して回復するでしょう。
そして走者の翌檜ちゃんですが、既に鹿の角に剣を合わせています。
そのまま抉り取る様な三連撃…これが理想の動きですね。
HP【ー-- 】
という事で二割を飛ばして一割九分程度に減らしたらなんと、緑色の魔法陣は発動しませんでした!
……はい。
MMO廃人兄貴なら分かったと思いますが、フェーズ移行を使った技飛ばしですね。
これによって緑色の魔法陣を使った回復よりも先に全体スタンを行おうとするので、その間に削り切れば大丈夫です。
今回は【
やっぱ…【
と言った所で今回は此処まで、次回は第二回イベント準備をしたいと思います。
では諸君、サラダバ!
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「あうぅ…」
「うーん…私もまさかイベントの二週間前にメンテが来るとは思わなかった。しかも…」
「今回のメンテナンスは上位陣対策。私含めて結構な弱体化だね」
私と楓が楓の家で、理沙が通話で話しているのは次のメンテの内容だった。
私を抱きかかえている楓が悔しそうに見つめる先には、悪食の回数制限の追加と……
「防御貫通攻撃は私達に関係ないけど、楓は大変そう」
「そうなんだよー!痛いのは嫌なのに…!」
「一応痛みの軽減はあるんだけどね。貫通攻撃はよくあるスキルだし、今までが少な過ぎたかな」
理沙がそういうのと同時に、楓が申し訳なさそうに画面の理沙に手を合わせる。
「あー…ごめんね!無敵じゃなくなっちゃった…これじゃあ無敵パーティーになれないし…せっかく回避盾になってもらったのに」
「それは仕方ないよ。それに、ダメージは受ける様になったけど…絶対ノーダメージじゃなくなっただけだし……ダメージエフェクトが出る分削っても削っても死なない!ってなって無敵感が強調されるし。不敵に笑っていれば格好良いままだよ!」
それを聞いた楓がこっちを見つめ、更に申し訳なさそうな表情を浮かべた。
その事に少しだけ疑問を覚えつつも、私は苦笑しながら優しく楓の頭を撫でる。
「楓なら色々スキルを発見すると思うから大丈夫。それに“防御貫通攻撃”って事は“ダメージ減少スキル”とかが見つかれば更に無敵感が増す」
「……そうすれば、翌檜ちゃんを更に守れるかな?」
「…?私はずっと楓に守られているから大丈夫だよ」
そう言って小さく口を緩ませれば、楓が嬉しそうに微笑んでから……何かを想像したのか黒い笑みを浮かべた。
私はそれにドン引きしつつも、ゆっくりと理沙の方を見て微笑む。
「理沙も一緒に考えてくれるよね」
「……はぁ。はいはい、一緒に考えてあげますよ」
「ありがとう」
素直にお礼を言うのと同時に、理沙の頬が少しだけ朱くなって目を逸らされる。
それを見て楓が少しだけ頬を膨らませるのと同時に…
「でもそうなるとHPも上げないといけないか。貫通で削られちゃうとまずいし………痛いのは平気?」
「まあ…どうしても無理、ではないかな?現実よりは全然痛くないし…しかも、痛みが軽減されたみたいだし」
「PSを磨いて出来るだけ防ぐのと……回復系のスキルと装備、MPとHP系統もいるかな?」
「後は悪食と使い分ける盾が欲しいね」
その言葉を聞いて、楓と理沙が小さく首を傾げた。
「新しい盾ならこれから作って貰うよ?」
「でもその盾ってオーダーメイドだよね?それだと耐久度を管理しないといけないよね」
「あ……確かに初心者の楓にそれをさせるのは難しいか。でもユニーク装備の大楯なんて……」
その言葉を聞いて、私は少しだけ考えた。
…一つだけある。けれどそれを一人でやらせるのはかなり成功確率が低かった筈だ。
失敗すればスキルを習得する時間が間に合わず、【銀翼】に勝てない。
けれど今回のこれを手に入れれば楓が更に強化される筈だ。
「…何か考えがあるの?」
「ある…けど、イベントの強化を考えると0か100」
「時間が掛かって失敗すると……って感じか。情報はあるの?」
…その言葉に逡巡しながらも……今回は良いかと小さく微笑んだ。
どうせ現実だから運営には通じないだろうし、言い訳も何とかなる筈だ。
「…私が持ってる情報は一つ、始まりの街の教会と言う所で受けられるクエスト」
「えっと待ってね……これ?」
その言葉と同時に、理沙が携帯の画面を見せる。
それを見て私は小さく頷くのを見て……理沙は小さく首を傾げた。
「でもこれでユニーク装備が出るなんて書いてないけど…」
「……私の持っている【円卓の王】ってスキルがあるんだけど、それを持った人とペアで組むと発生するユニーククエストなんだ」
「そうなんだ?!……ってあれ?どうしてそんなクエスト知ってるの?」
「このスキルを手に入れた時に各地に光の柱が出て、その時に教会に行ったら発見したクエストだった」
その言葉を聞いて少しだけ理沙がこちらを見つめ……そして小さく頷いた。
…どうやら一応誤魔化せたらしい。
「そっか!じゃあこれから一回やってみる?」
「……止めた方が良いと思う。多分だけどユニーク装備が手に入るって事はかなり難易度高いだろうし、時間もかかる……そうだよね?なっちゃん?」
「……?うん、多分そうだと思う」
「そっかー…でも明日学校ないしー…」
そう言いながら私を抱きしめてむすっとしている楓を見て…私と理沙が思わず苦笑した。
…こうなった楓を宥めるのは難しいし、それだったら一回挑戦して貰った方が良いだろう。
「…じゃあ一回だけやってみる?情報は必要だろうし」
「良いの!?じゃあ早速ログインしよ!」
「…分かった。私も一緒に行くから少し待っててね!」
その言葉と同時に通話が切られたのを見て、私は苦笑した。
それを見た楓が嬉しそうに私の手を握るのを見て…私は小さく頷いた。
「それじゃあゲームでね!」
「あ、待って!」
そう言いながら急いでゲームの準備をする楓を見て、私は思わず声を掛ける。
それを見た楓が小さく首を傾げるのを見て…私は小さく口を開いたり閉じたりしてから…
「……頑張ろうね」
「うん!」
嬉しそうに頷いた楓を見て、私は小さく微笑んだ。
…今回は楓は何もしなくても良い、唯私が頑張れば良いんだ。練習はした。
勝てるかどうかは分からないし、認められるかどうかも分からない。
でも……
「…頑張らなきゃ」
頑張ればその分だけ楓が強くなる。
第六階層に行けば更に強化されるし…そんな事を考えながらゆっくりとゲームの準備をしようとして…
「…」
身体の震えを無理矢理抑えながら、私は小さく息を吐いた。
特に何も考えてないので失踪します。