魔法科に通う一般(相対的)生徒   作:姿見 写

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 初投稿です。
 ずっ追いかけてて、初めて全巻揃えた作品で常々二次創作を書きたいと思っていました。丁度『魔法科高校の劣等生』が完結したので書き始めました。
 オリ主を作るのは確定していたのですが、ヒロインは誰にするかで悩んでました。多くのヒロインは公式半公式を問わず、カップリングが成立しています。ですが、そういったカップリングを破ってまでオリ主を入れるのは主に心理的に難しく、結局オリヒロインを創りました。
 漢字のミスや言葉の誤用などが多々あると思いますので、誤字報告は覚悟しています。
 モチベーションはある程度自分で保つように努力しますが、例え改善点のご指摘でも感想をもらえると有難いです。もっと言えば、褒める内容の肯定的な感想ですと嬉しいです。

2020年9月24日に「ヒロイン(薫)の容姿説明」と「オリ主達のクラス」を変更しました


本編
初めまして


「こんなに早く着いちゃってどうしよう」

 そう呟くが、実際の所そこまで早すぎるわけでもない。式が始まる一時間前というのは一般的に言えば早い方かもしれないが、彼の胸と両肩にある八枚の花弁を模したエンブレムを見れば多くの場合納得するだろう。何故なら、それは入学するだけでも誇らしいことである国立魔法大学付属第一高校。その中でも入学時の成績が特に高い上位百人にのみ与えられるものであり、それを与えられるという事はまさに将来を約束されたと言っても差し支えない程の事だからだ。

 つまりは「一高の一科に入れた喜びで舞い上がってる人」と考えれば特段おかしい訳でも無いのだ。ただ、僕の場合は事情が違うのだが。

「雇用主様の命令だから何も言えないんだけど、遅刻するといけないからってこの時間に待ち合わせた(かおる)は案の定寝坊するし。一緒に出掛ければいいものを、わざわざ学校で待ち合わせにするからこうなるんだ」

 そんな愚痴をこぼしながら座れる場所は無いかと歩いていると、並木の向こうにベンチが見えた。誰もいないだろうと思っていたそこには、三人掛けのベンチに座って携帯端末に顔を落とす、人影があった。恐らく彼は僕の知っている人だろう。

()()()()()、突然ですが隣あいてますか?」

 そう声を掛けると、彼は一瞬面食らった様な顔をした後。穏やかな顔で返事をした。

「どうぞ」

 何だかいたずらが成功したようで少し気分が良かったが、すぐ彼に返されてしまった。

「失礼ですがお名前をお伺いしてよろしいですか」

 そうのたまう顔は、少し笑っている様に見える。

「自己紹介が遅れちゃったね、僕の名前は飯綱(いずな)三郎(さぶろう)。飯綱って呼んでくれと嬉しいな、名前で呼ばれるのはあまり好きじゃないから」

司波(しば)達也(たつや)だ。俺は達也で大丈夫だ」

 そこからは互いに会話も無く、二人ともそれぞれの端末に目を落としていた。

 気が付くと時間も丁度良くなり、端末を閉じて立ち上がろうとした時に目の前にふと影が落ちた。

「二人とも新入生の方ですね?そろそ会場の時間ですよ」

 そう声を掛けてきたのはどうやら先輩のようだった。女生徒用の制服に胸の八枚花弁のエンブレム、加えて腕のCAD。それの着用が認められる位の立場の人なんだろうと想像してると。隣の達也と彼女の間では何やら会話が交わされていた。しかしながら、達也は若干押され気味のようだが。そのやり取りを見ていると、彼女は思い出した様にこちらを見て慌てて自己紹介をしてくれた。

「あっ、無視してしまったようですみません。申し遅れましたが私は第一高校の生徒会長を務めている、七草(さえぐさ)真由美(まゆみ)です。ななくさ、と書いて、さえぐさ、と読みます。よろしくね」

 何だか語尾に星マークでもついて、キラッと言う擬音とともにウィンクしながら目元でピースしても違和感の無い口調だが。不思議と似合っていた。数字付き(ナンバーズ)それも七草の家系とは思えない気安さだと吞気に考えていると、達也は自己紹介を済ませてしまっていた。

「僕は飯綱三郎です」

「司波達也くんと飯綱三郎くんね、先生方の間で噂の2人が一緒にいるのは偶然かしら」

 はて、噂とは何の事だろう。

「司波くんも飯綱くんも魔法工学で小論文含めて満点、司波くんはそれに加えて魔法理論でも満点。前代未聞の成績よ、二人共第四高校に行ってもトップを取れそうな成績だって」

 努力していた事を認められるのは嬉しいものだが、達也は何だかつらそうな顔をしている。慌てて

「でも僕はその他の教科は普通なんですけどね」

なんて良く分からない言葉で場を濁して二人して

「そろそろ移動しなければならないので、失礼します」

と言って逃げるようにその場を去った。

 2人並んで歩いていると身長が152センチしかない自分の背がだいぶ低く感じてしまい、なんだか劣等感に苛まれてしまうな。なんて考えていると、講堂についたようだ。

 既に半分程度の席は埋まってしまっているが、自由席のはずなのに前半の席は一科生(ブルーム)後半は二科生(ウィード)と綺麗に別れている。興味深いと眺めていると、達也は空いている席に向かっていたのでついて行って隣に座った。

「飯綱は前半に座らなくて良いのか?」

 そんな事を聞かれても後ろでも声は聞こえるだろうからここで大丈夫だと答えると、達也は少し困ったように笑うと、そうか、とだけ言ってそれ以上は聞いて来なかった。会話は途切れたが、別段話したいことも無いので式が始まるまで軽く眠るかと瞼を閉じようとすると、

「あの、お隣は空いてますか?」

突然声がかけられた。僕ではなく達也が、だが。

「どうぞ」

 そう達也が答えると、次々と四人の女子生徒が腰をおろした。何やら会話を交わしているようだが、今朝早く起きたせいか本格的に眠くなってしまい。段々と声が遠ざかっていった。

 

 

 ふと肩を揺すられるのを感じて目を開けると、達也が呆れた顔でこちらを見ていた。

「まさか式の間中ずっと寝るとは思わなかった」

 もう式は終わってしまったのか、思っていたより時間が過ぎているな、と寝ぼけた頭で考えているとどうやらIDカードを受け取りに行くようなのだが、まだ眠いからと同伴を断った。すると達也は少し呆れた様にため息をつくとこちらに目を向ける人影を見るとどこかに行ってしまった。きっとカードを受け取りに行くのだろう、僕も行かなければ、なんて思いつつも眠気に負けてしまった。

 

 

「起きなさい!!」

 突然耳元で大きな声が聞こえ、びっくりして目を瞬かせていると。いたずらっぽく笑っている顔がこちらをのぞき込んでいた。

「おはよう、薫」

「おはよう、寝坊助さん」

 そう言って微笑む彼女には、朝は君の方が寝坊したんじゃないか、とか、そんな大声を出さなくてもいいじゃないか、とか言いたいことは色々あったけどその顔を見てると何も言えなくなってしまった。

「私を放っておいてこんな所にいるなんてひどいわね」

 なんて言う薫には申し訳ないことをしたと思うので、

「今度何か薫のいう事を何でも一つ聞くから許してよ」

 と言うと薫は満足そうに頷いた。

 カードを受け取りに行く為に並んで歩いてると、ふと薫と僕を見比べてしまう。

 167センチと女性としてみると背の高い薫は線が細くスレンダーな体系をしていて、胸はないわけではないが決して大きくは無い。僕は別に気にしていないのだが、薫は気になるらしい。髪の毛は栗毛のロングヘアで柔らかい顔立ちの中にある大きな丸っこい目、その瞳は翡翠色になっている。正直言ってかなりの美少女だ。

 僕はと言えば152センチの女性としても低い身長に男らしく無い中性的な顔立ち。黒髪の短髪に、丸い目に黒い瞳。いくら鍛えても細いままの体、二次性徴を迎えても低くならなかった声も相まって。薫に女性物の服を着せられた時も、何の違和感も無く思わず泣いてしまった。

 一応僕と薫は婚約者のはずなのに、私服で街を歩くと姉妹に間違われたり、絶滅したと思っていたナンパに声を掛けられた時は狙いが僕だった時もある。

 今更どうしようもない事なので諦めてはいるのだが、確実に男子とわかる制服には感謝している僕がいる。なんだか複雑な気持ち。

 そんな事を考えながらカードを受け取ると、C組と表示されていた。どうやら薫も同じC組のようだ、特段感動もないしホームルームに行っても特にする事が無いので帰ろうとすると同じく帰宅途中の達也たちを見かけた。

 声を掛けようかと悩んだが、彼の妹を含め美人な女生徒三人に囲まれて周囲から嫉妬のこもった眼差しで見つめられているのを見て、今日は疲れているのもあり無視して帰る事にした。

 

 校門を出て暫く歩くと駅に辿り着いた。薫とは調布にある同じマンション(ビル)の隣どうしなので、一緒のキャビネットで帰り部屋の前で別れた。帰る途中に一緒に登校する方が楽だと思うから明日からは一緒に行こうと言うと薫は頷いてくれた。なぜ昨日は断固として拒否したのだろう。

 家に帰れば自由の時間。という訳でも無い、高校生ではあるがこれでも飯綱家現当主。やるべき事はそれなりにある。まずは雇用主への報告書作成、書き終わるといつも通り暗号化の処理をして送信する。これで終わり。そう言っても相手は()()四葉(よつば)家だ。尋常ではない精神力を使う。

 その後は建物内部にあるジムに行き、身体を動かして夕飯を薫と共に食べ。明日の準備をして早めに寝る。四葉家への報告さえ終わってしまえば、後は楽なのが普段の特徴だ。しかし、その後は普段と違った。数日前から四葉家に問い合わせていたことへの回答がようやく来たため、部活連代表の十文字会頭へ部活連枠での風紀委員会への推薦を承諾する旨を伝えるメールを送った。すぐに十文字先輩から感謝のメールが届いたのには驚いたが、その日は明日のことを考えてそのまま眠ることにした。




 漢字のミスや言葉の誤用などが多々あると思いますので、誤字報告は覚悟しています。
 モチベーションはある程度自分で保つように努力しますが、例え改善点のご指摘でも感想をもらえると有難いです。もっと言えば、褒める内容の肯定的な感想ですと嬉しいです。
 衝動的に書き始めた作品なので、更新は不定期です。なるべく早めに投稿したいと思っています。なので、先の展開が思い浮かばずにエタる時は正直にギブアップのサインを出しますが、それがない場合は時間がかかっても必ず書きますので宜しくお願い致します。
 次回ではオリ主の境遇について解説したいと思います。

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