雷の鳴る所には雨が降る   作:秋月 了

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第十話 浅草の鬼 壱

 八丈島での任務を終えて数日。

その日カナエの呼ばれてある場所に来ていた。

数日前にカナエに煉獄邸に来てもらい小芭内の健康診断をしてもらった時に呼ばれたのだ。

 

「来てくれてうれしいわ飛鳥。」

 

にっこり笑いながらお礼を言ってくるカナエ。

その笑顔を見て心臓がはねあがる。

この笑顔が見れるならどこへでも行く。

姉妹二人とも自然な笑顔がまぶし過ぎる。

前に隠の男性数人がカナエの事を天使と言っていたが正にその通りだと思う。

そう思う俺自身もこの笑顔の虜なのだろう。

 

「次の任務まで暇だしな。でどうしたんだ?」

 

一様平静を装いながら返事を返す。

 

「ええ。少し頼みたいことがあってね。」

 

「なんだ?まさか後ろの修理作業を手伝えとかじゃないよな?」

 

言いながら後ろの大きな屋敷を指さす。

その屋敷は長年使われていないのか現在修理工事の真っ最中だった。

 

「違うわ。えっとね。お館様の指示で怪我した隊士を治療所を開設されることが決まったの。」

 

「ふむ。」

 

まず今までそういう場所がなかったのかと言いたいがここは黙っておくことにした。

 

「それでね。医療器具類はどうにかなったんだけれど薬品類が全く足りてないの。」

 

おおよそ理解した。ようは荷物持ちである。

俺は医療の勉強もしたが知識としても怪我の治療くらいしか出来ない。

知識も技術もカナエやしのぶには遠く及ばない。

そんな俺がその方面で役に立つとは思えない。

 

「なるほど。俺で役に立てることがあるかわからないが任務があるまでの間好きに使ってくれ。」

 

「ありがとう、助かるわ。じゃあ行きましょう。」

 

夜の浅草

 

カナエの知り合いの薬師兼医者がここにいるという事で訪ねてきたのだ。

何でもカナエの親、つまりはおじさんとおばさんが医者として修行中に世話になった人物で

先日の瑠火さんの病気を治したのもその人らしい。

 

「もう爺さんなんだよな?その人。」

 

「ええ。凄腕のお爺さんなの。」

 

「ふーん。」

 

その人物に一切興味ない俺は適当に返事しながら周りを見ていた。

滅多に都会に来たことのない俺からすれば目新しい物ばかりだ。

 

「飛鳥ここよ。少し待っててね。」

 

カナエはまだ開いていた店の中に入って行く。

一緒に入っても暇なので外で待っている事にする。

その時鬼の気配を感知する。

 

「(こんなところにも鬼が。しかも二つ。一緒にいるな。場所はあっちか。)」

 

追いたいがカナエを放置していく訳に行かず、気配感知に集中して見失わないようにする。

その時、店からカナエが出てきた。

 

「飛鳥ごめん。少し荷物が多いから手伝ってくれない。?・・・どうしたの?」

 

「鬼がいる。それも二人。」

 

「本当?」

 

「ああ。俺はそいつらを追うから待っててくれ。」

 

「私も行くわ。ちょっと待ってて。」

 

カナエは再び店の中に入って行く。

ついでに持っていた地図を店主に見せながら鬼がいるであろう場所に何があるか店主に聞く。

 

「ああ、そこなら医者の珠世さんが弟子の愈史郎君と住んでるよ。

見た目若そうだがいい腕をしておる。それがどうかしたのか?」

 

「いえ、来るとき気になったので聞いてみたんですよ。」

 

「そうか?カナエちゃん丁度いいから彼女にもあっていきなさい。

儂の紹介だと言えば話を聞いてくれるじゃろ。」

 

「有難うございます、では。」

 

「おお、行ってらっしゃい。」

 

カナエと共に走ってその場所に向かう。

数分もしないうちに目的の場所の裏通りにつく。

 

「あの中だ。今も気配は鬼しかしないな。」

 

「じゃあ珠世さんや愈史郎君という方は。」

 

「分からない。最初からここには人の気配はなかった。殺されているかもしれないし、

本人かもしれない。もしくは入ったはいいがいなかったくらいか。待った出てくるな。

この感じなら向こうも俺達に気付いているだろう。いつでも戦闘出来る様にしててくれ。」

 

「分かったわ。」

 

言いながら戦闘態勢を整える。

すると目の前の家から綺麗な女性が出てくる。

 

「私たちに先頭の意志はありません。どうか話を聞いてもらえませんか?」

 

「鬼舞辻に加担する鬼と話す気はない。」

 

「違います。私達は鬼舞辻に加担するものではありません。むしろ敵対者です。」

 

「本当かも呪いが発動しないし信用してもいいと思う。」

 

「分かった。だが警戒はさせてもらう。」

 

「それで構いません。ここではなんです。中にどうぞ。」

 

俺達は女性に付いて行く。

屋敷の一室に案内された俺達は女性の正面にカナエが座り俺がその後ろに座る。

女性の方もカナエの正面に座りその後ろに少年が立つ。

少年の方はあまり俺達を歓迎していないようだ。当然だが。

 

「先ず私は珠世と言います。此方は愈史郎です。」

 

「私は胡蝶カナエ。彼は清水飛鳥と言います。」

 

「どうも。」

 

「単刀直入に話させてもらいます。私達に協力していただけませんか?」

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?
面白かったなら次回もよろしくお願いします。
ではまたお会いできるその日を楽しみにしております。
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