雷の鳴る所には雨が降る   作:秋月 了

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第十一話 浅草の鬼 弐

「単刀直入に話させてもらいます。私達に協力していただけませんか?」

 

「「はっ?」」

 

カナエと二人で困惑した。

まさかこんな事を言われるとは思っていなかった。

 

「驚かれるのも無理はないと思います。ですが私たちは二百年前から鬼を人間に戻す薬の研究を

続けています。ですがそれを完成させるためにはどうしても足りないものがあります。」

 

「それは何ですか?」

 

「十二鬼月の血です。どうかそれを集めるのを協力していただけませんか?」

 

「少し考えさせてください。いきなりそう言われてもすぐには答えは出ません。

彼とも相談したいですし。」

 

「それは当然だと思います。ですが出来れば早い方がいいので私たちは少し席を外すので

相談してみてください。」

 

そう言って珠世と愈史郎は部屋の外へ出ていく。

 

「さてどうするんだ、カナエ?因みに俺は反対だ。

ああは言ってたがそれが事実だという保証はない。」

 

「私は信じて見てもいいと思うわ。というより信じたい。」

 

「そうか。俺には薬学の事はあんま分からないしカナエに任せていいか?」

 

「うん。任せて。じゃあ呼んできてくれる。」

 

「分かった。」

 

隣の部屋にいるのは分かっていたので連れてくる。

 

「お待ちいただき申し訳ありません。」

 

「いえ、今回の件はとても急な話無理もありません。それでいかがでしょうか?」

 

「はい。我々は受けても構わないと考えております。

ですがこの件はまずお館様に報告はさせてもらいます。

勿論この場所に関しては話すつもりはありません。

それと研究資料と現段階の状況を説明していただけませんか?

我々は貴方の言葉を信じますが他はそうもいきません。その説得材料に仕えるかもしれませんから。

以上が此方から出すこの話を受ける条件です。いかがでしょう?」

 

「分かりました。それで構いません。」

 

「珠世様よろしいのですか?下手をすればこの場所が。」

 

「そちらの言う事も分かっているつもりです。

ですが我々は組織です。そして組織である以上報告するのは義務。

私の勝手な判断でその組織そのものが崩れる事もあります。

そうなっては元も子もありません。どうかこの事をご理解ください。

決して悪いようには致しません。」

 

カナエは誠心誠意頭を下げる。

俺もつられるように頭を下げた。

 

「わかっています。愈史郎ここでそれは言わないで。」

 

「はい。珠世様。」

 

「では此方へどうぞ。」

 

珠世は自ら研究室に案内する。

俺達は付いて行き説明を受けるが何を言っているのかさっぱりわからない。

仕方がないので理解しているふりをしてやり過ごす。

その後採取の為の器具の説明を受け受け渡しの説明を受けて分かれる事になった。

 

「胡蝶さん。後これをお持ちください。」

 

分かれ際に珠世は何らかの薬を渡してくる。

 

「これは?」

 

「そちらは血鬼止めの薬と、鬼用の回復薬です。切り札とは言えませんが、

うまく使えば役に立ってくれると思います。」

 

「有難うございます。」

 

「それと清水さんに一つお聞きしたいことが。」

 

「なんでしょう?」

 

「あなたのご先祖に清水蒼月という方はいらっしゃいませんか?」

 

「清水蒼月は俺のの先祖の名ですが、」

 

「そうですか。では此方もお持ちください。」

 

渡してきたのは数冊の古い本だった。

表紙には特に題名はなく下の方に小さく清水蒼月と名が書かれているだけだ。

 

「それは唯一鬼舞辻を追い詰めた剣士の方と共におられた方が書き残された物です。

いつか自分の子孫が現れたら渡してほしいと言われて預かっていました。」

 

「そうだったんですね。分かりました。ではいただきます。」

 

「ではお世話になりました。」

 

そこで珠世とは別れた。帰り道にカナエから

 

「飛鳥、さっきの説明分かった?」

 

と聞かれて

 

「悪いが半分も分からなかった。」

 

と答えて

 

「もう少し医学の事も勉強しないといけないわね。」

 

と呆れられた。

その後本来の目的を果たし屋敷に戻りその足でお館様に謁見の許可を

貰いあった事を説明する。お館様は

 

「報告有難う。飛鳥、カナエ。この事については飛鳥とカナエに任せるよ。」

 

と言われた。

俺としては鬼に家族を殺されている事で恨みがある。

だからお館様が反対してくれることを期待してたのだが物事上手くいかないものだ。

こうして俺達は鬼討伐とは別にもう一つ任務が増えたのだった。

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