雷の鳴る所には雨が降る   作:秋月 了

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第十九話 複数の鬼

夜、三羽の鴉を放ち、ほとんど人気のないその町を見回る。

最近までは夜もにぎわって日が変わる頃まで騒がしい街だったそうだが

今は事件のせいですっかり人気のない街に変わってしまった。

飛鳥達三人はそれぞれ屋根の上を歩きながら見回る。

飛鳥は広範囲の気配感知で探る。

だが見つからない。

 

「(複数いて気配感知の血鬼術を使っているのか?それともそれ以外に何かあるのか)」

 

それからも一晩探りを入れつつ探す。

すると一人のかなり泥酔した男が家から出てくる。

男はそのまま路地裏に向かって歩き始める。

気になった飛鳥は彼を追い始めた。

すると建物の影から鬼が出てきて食べようと手にかける。

 

「(雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃)」

 

雷の呼吸で鬼を切り殺しすぐに男から見えないところ隠れる。

その時周りから複数の鬼が出てきた。

 

「へっへっへ、待ってたぜ鬼狩りしかもその刀、柱だな」

 

「だからどうした?」

 

「柱を殺せばあの方から多くの血が貰えるんだ」ザシュッ

 

聞いているのも馬鹿らしくなったので飛鳥はその鬼の頸を切る。

すると数体の鬼が出てきた。

その鬼が影を操る鬼だったのだろう。

その数は計三十体。

これだけの鬼がいるとはさすがの飛鳥も驚く。

 

「これだけいたとは正直驚いたよ。だがやる事は変わらない」

 

呟いて走り鬼を切り殺していった。

 

 

 

 

 

 

 

一方他二人の所でも影を操る鬼が殺されたことで複数の鬼が

影の中から出てきた。

その一つ義勇の所では二十体鬼が群れを成して襲ってくる。

 

「(一体ずつはそこまで強くない。そして鬼同士は連携は出来ているようで

全く出来てない。)行ける(水の呼吸 拾壱ノ型 凪)」

 

義勇も数体の鬼を切り刻む。

だがまだまだ多い。

 

「負けられない。」

 

義勇に鬼に負けるという事は頭になかった。

それ以上にこの任務に同行している飛鳥に負けたくないという気持ちから

いつもより早くより多くの鬼を狩り実力をつけて飛鳥に並びたいという

欲が出てきていた。

 

「(まだだ、まだいける。)来い」

 

この時の義勇の顔は鬼狩りの最中ではあるが

少し生き生きとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃もう一方の錆兎の方は

より強い敵に遭遇していた。

 

「まさか十二鬼月に遭遇するとはな。しかも下弦の弐」

 

目の前の塀の上と周りには数人の鬼と片目に下、弐と書かれた鬼と

蟷螂の鎌の部分を思わせる腕を持つ異形の鬼と他下級の鬼が三十匹ほど立っている。

 

「どうした?俺が十二鬼月で驚いたか?それともビビったか?」

 

「いや、俺は運がいい。これで飛鳥に一歩近づけるんだからな」

 

「なんだと!」

 

下弦の弐は苛立つ。

無惨を除けば最強の十二の鬼であるはずの自分が踏み台扱いを受けているのだ。

誰だって怒るだろう。

 

「俺が強くなる為の踏み台だとふざけやがって。

いいだろう。お前も俺が操って下僕にしてやる。」

 

「やっぱ馬鹿だろ。これで俺はお前が洗脳か体を操る系の血鬼術の

使い手だとわかってしまったぞ。」

 

「き、貴様―。」

 

激昂する下弦の弐を錆兎は隙無くうかがう。

 

「もはや操るなんて優しい事は言わない。行け。奴を殺せ。」

 

下級の鬼たちは錆兎に向けて一斉に襲い掛かる

だがただ突っ込んでくるだけで何の連携もない。

それを落ち着いて一匹ずつ頸を落としていく。

ものの数分片が付いた。

 

「なんでだよ。三十だぞ。その数を何で対処できるんだ。」

 

「突っ込ませすぎなんだ。数で押すしか戦術がないのかよ?

もう少し戦術を使うべきだったな。」

 

「くそ、行けあいつを殺せ。(その間に逃げよう。

他の箇所にはなった鬼も全滅してる。急がないと。何、鬼はまた集めればいい。)」

 

だが異形の鬼はそこにはいなかった。

そして自分の頸も落ちかけている事に今されながら気づく。

 

「何でいつの間に」

 

「戦場でべらべら喋る奴がいるか」

 

「隙だらけだ」

 

飛鳥と義勇が後ろから塀の上にいた異形の鬼と下弦の弐の頸を落としたのだ。

 

「くそう」

 

それだけ言って鬼は消えた。

 

「はいこれで終わり」

 

「ああ」

 

「たく、飛鳥、義勇、いいとこ取るなよな」

 

「べらべら喋ってる錆兎が悪い」

 

「まったくだ」

 

「はあー、仕方ないか。帰えろうぜ」

 

「そうだな」

 

三人は宿に帰り眠った。

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