修行開始からニ年が過ぎた。
この二年の間後継者としての教育を徹底的に受け条件さえ満たせば
即柱になれるだけの知識と技術など色々仕込まれた。
そしてついに師範の許可を得て今、最終選別を受けるため、藤襲山に来ている。
山の麓から中腹にかけて鬼の嫌う藤の花が一年中咲いている山で
鬼にとっては牢獄のような場所である。
そんな場所に最終選別を受けるために俺を含め約二十人位の人間が来ていた。
その中にカナエがいたので驚いて声をかける。
「カナエ、どうしてここに?」
「飛鳥!久しぶりね。二年ぶりくらい?私達も鬼殺隊に入隊するために修行してたの。」
「達という事はしのぶも?」
「ええ。今日はあの子はまだ未熟という事でいないわ。」
「そうか。」
「でも良かった。飛鳥も無事で。二人で気にしてたの。
あの後どうなったんだろうって。」
「連絡できなくてごめんな。」
「気にしないで。こうして会えたんだから。今はお互い生き残る事を目標に頑張りましょう。」
「そうだな。」
「「皆様、今宵は鬼殺隊最終選別にお集まりいただき、
有難うございます。」」
話していると二人の少女が出てきた。二人とも白髪で見分けがつかない。
「この藤襲山には鬼殺の剣士様が生け捕りにした
鬼が閉じ込められており外に出ることは出来ません。」
「鬼が嫌う藤の花が山の麓から中腹にかけて一年中狂い咲いているからです。」
「しかしここからは鬼どもがおります。」
「この中で七日間生き抜く。それが最終選別の合格条件です。」
少女たちは交代で説明を行ってゆく。
「「では行ってらっしゃいませ。」」
受験者が一斉に山に入っていく。
「行くか。」
「ええ。背中は任せて。」
「任せた。」
二人で協力することを約束し山に入って行く。
俺が前を進みカナエが後ろで後方を警戒しながら
太陽が最も早く出る東に進む。
この試験の目的は生き残る事だなら別に別れて個々に戦う必要はない。
互いに相手の事を分かってるからできる事だが勝算はあると思う。
説明を聞きながらカナエに提案して乗ってくれたのでそうすることにする。
「久しぶりの人間だーー。」
「肉よこせー。」
「(雷の呼吸 弐の型 稲魂)」
「(花の呼吸 肆ノ型 紅花衣)」
俺達はそれぞれの方向から来た鬼の頸を落とす。
頸を落とされた鬼は塵となって消滅した。
「よし、通じる。大丈夫か?カナエ。」
「ええ。こっちも大丈夫。行きましょう。」
「そうだな。」
心配してカナエの方を見れば笑顔で返事してくれる。
やばいこの笑顔がやばい。つい索敵忘れて見とれてしまう。
最終選別の途中だという事を思い出し即座に気持ちを切り替える俺。
それからまた進み出てきた鬼を倒しつつ日にちが経つのを待つ。
五日目の夜にそれは現れた。
いつも通り互いで死角を守りつつ、その場にとどまり襲ってくる鬼を迎え撃っていた。
そんなとき急にこれまで感じたことのない鬼の気配を感じた。
「なんだこの気配。今まで感じた気配とは別格だ。」
「どうしたの?」
「これまで感じた鬼とは別格の奴がいる。それに体も異様に大きい。
もしかしてこれは異形型か?」
「嘘!ここにいるのは人間を一人か二人位しか食べてない鬼しかいないはずよ。」
「分からんがうまく隠れていたのか。そもそも管理が杜撰なのか。
分かんねえけど誰かと戦いながらこっちに来てる。」
「どうするの?」
「やるしかない。奇襲をかけられたらいいが。」
「分かったわ。」
俺達はそれの下に向かう。
近づいて物陰からそれを見ると多くの手を持つ鬼が
宍色の髪の少年と戦っていた。
年齢は俺と同じくらいだろう。
果敢に戦っているが疲労が激しいようだ。
「カナエ、俺が突っ込むから時間差で攻撃してくれ。」
「わかったわ。まかせて。」
その時宍色の髪の彼が攻勢に出た。
無数の腕を切り首を狙いに行く。
突っ込んで頸を切ったと思った。
だが頸の硬さに負けて刀が半ば辺りで折れてしまった。
そして隙が出来た瞬間鬼は手で彼を握りつぶそうとする。
「まずい(雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃 神速。)」
俺は持てる技の中で最も早い技を繰り出し彼を襲う手と頸の周りの腕を
切り落とす。これで頸が見える。
「カナエ、今だ。」
「ええ(花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬。)」
前方に繰り出された九連撃で鬼の頸を切った。
「よし。」
「よかった。」
それぞれ安堵の声を上げ鬼が消滅するのを確認する。
完全に消滅したのを確認すると彼に話しかける。
「大丈夫か?」
「ああ、済まない。助かった。」
「気にしないで。それより怪我は大丈夫?」
「ああ。しかしどうするか。」
「刀か。それなら共に行動しよう。どうせもうすぐ夜明けだ。
少し休んだら行動しよう。」
「ああ。」
「すまん。自己紹介がまだだったな。俺は清水飛鳥だ。」
「私は胡蝶カナエよ。」
「俺は錆兎だ。」
「錆兎か。よろしくな。とにかく三人で生き残るぞ。」
それから俺達は残り一日を三人で乗り切った。
錆兎はとても強く折れた刀でも普通に鬼を倒していた。
開始位置に戻りながら錆兎と話す。
「十分強いじゃん。」
「ええ。ほんと。」
「そうか?二人も十分強いだろ。」
そんなことを話しながら最初の鳥居の場所まで向かう。
俺たちが最初だったが次々戻ってきて最終的にには全員が戻ってきた。
その中には錆兎の知り合いがおりその人の場所まで向かっていって
そいつを背負って帰ってきた。
名前は冨岡義勇というらしい。
「お帰りなさいませ」
「ご無事で何よりでございます。」
「まずは隊服を支給させていただきます。寸法を測り階級を刻ませていただきます。」
「階級は十段階ございます。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。今現在の皆様は、
一番下の癸でございます。」
「さらに皆様には鎹鴉を付けさせていただきます。
鎹鴉は連絡用の鴉です。そう言って白髪の少女が手を数度たたくと鴉が現れ俺達の肩に乗った。
「では此方をご覧ください。」
そう言って黒髪の少女が後ろにあった台座にかけられた布を取る。
「こちらから刀を創る鋼を選んでくださいませ。
鬼を滅殺し己を守る刀の鋼はご自身で選ぶのです。」
俺達は台座の前まで行き鋼を直感で選んだ。
刀ができるまで十日~十五日ほどかかるらしい。
俺は錆兎やカナエとその場で別れ育手のもとへ戻った。
再び登場カナエさん登場です。
胡蝶カナエの入隊時期などの細かい設定がわからず
今回は錆兎や冨岡さんと同期入隊という事にさせてもらいました。
これが捏造設定その一ですね。
この話における胡蝶カナエ紹介
名前 胡蝶カナエ
性別 女性
年齢 十三歳
呼吸 花の呼吸
家族 しのぶ(妹)
飛鳥
親を鬼に殺され、寸でのところで飛鳥の機転と悲鳴嶼のおかげで助かる。
その後親戚の家に引き取られるが妹のしのぶと共に悲鳴嶼の家に
押しかけ弟子となり家事手伝いをする。
その後悲鳴嶼の計らいで花の呼吸の育手の下で修行を開始。
一年半で最終選別に参加して飛鳥と協力して切り抜けた。
笑顔がきれいで飛鳥も見とれて索敵を忘れそうになるほど。
またお会いしましょう。