最初の事件が終わってから数ヶ月が過ぎその間鬼を討伐の為近畿を駆け回っていた。
その数も既に五十を超えていた。
「飛鳥。討伐より移動の方が時間かかってる気がしない?」
「確かに。最初の女の鬼を殺してから異形はともかく異能の鬼が全くいない」
俺達はそんなことを話しながら次の任地に向かっていた。
数日後
俺と真菰はとある山麓に立っていた。
今回の任務はこうだ。
今全国に広まっている新興宗教に「万世極楽教」がある。
その宗教の信者の女性が消えていると報告があった。
お館様はこの件を鬼の仕業と判断。
大分前から密かに調査を進めていた。
その結果教祖が鬼の可能性ありということで
偶々長期任務で近くにいた俺達と後本部から来る柱の三人で任務に当たる事になった。
そして現在その柱を待っていた。
すると向こうの方から一際大きな体の男性が歩いて来た。
「お久しぶりです。悲鳴嶼さん。」
「飛鳥も長期の任務ご苦労だったな。でそちらは?」
「初めまして、鱗滝 真菰です。よろしくお願いします。」
「よろしく頼む。私は岩柱 悲鳴嶼 行冥だ。」
「はい。」
「では行くとしようか。」
悲鳴嶼さんの言葉を受けて俺たちは山を登り始める。
そこまで高くない山の山頂付近にその建物はあった。
「・・・・・・ここか?」
「・・・ここ・・だよね?」
俺と真菰は困惑した。
何故ならその建物は屋敷というより御殿に近かったからだ。
宗教の寺院と言えば誰でも知っている質素な寺を想像していた。
だが目の前の寺院は豪華で少々成金感がある建物だった。
「新興宗教の団体って金あるんだな。」
「だね。」
「急ぐぞ。」
悲鳴嶼さんはそう言いながら扉を開けて入っていく。
中を見れば外観に負けない位豪華だ。
「ようこそ万世極楽教へ。今日はどのような用件でしょうか?」
そう言いながら坊主頭の男が俺たちの方へ来る。
「鬼殺隊だ。教祖に会わせてもらおう。」
悲鳴嶼さんがそう言うと男が急に顔色を変え襲い掛かってきた。
「(雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃)」
俺は悲鳴嶼さんの後ろから飛び出して男の頸を落とす。
男は人間なので死んでも消えずその場で絶命した。
「よくやった飛鳥。」
「いえ。」
そう言いながら俺と悲鳴嶼さんは合掌し念仏を唱える。
「「南無阿弥陀仏。」」
俺達が念仏を唱え終えると真菰は信じられないという顔で
「鬼じゃ無いのにどうして殺したんですか?」
と聞いてきたので俺は少し暗い顔しながら、
「この男は悲鳴嶼さんの話を聞いて急に襲い掛かってきた。
つまり教祖が鬼だとそして俺達がどういう組織か分かっていて何をしに来たか
理解しているから襲ってきた。つまりそういう事なんだろ」
「(覚悟していたがやはりつらいな。)うん。そうだね」
真菰は無理やり納得したように頷く。
「行くぞ」
「はい」
俺達は奥へと進む。
奥に進むにつれて鬼が出てくる。
俺達は鬼を殺しつつ奥へと進む。
「悲鳴嶼さんやはり」
「ああ。如何やら当たりのようだ。気を引き締めろ。十二鬼月かもしれん」
「ですね」
「はい」
俺達は一番奥の一際豪華な襖を開けて入る。
中には刀を持った初老の男性が立っていた。
「騒がしいと思っていたがネズミがここまで来たようだ」
そう言いながら刀を居合の構えを取り高速の一閃を放った。
俺はそれを刀で受け止める。
「(この爺さん、まさか)」
「ほう。受け止めるとはやるな。桑島も中々の使い手を育てる」
「(この爺さん、これだけのやり取りだけで師範の事まで)」
俺は素直に疑問をぶつけてみることにした。
「爺さん、なんで師範の事を知っている」
「当然だ。桑島は儂の弟弟子だからな」
「なるほど師範の言っていた鬼側に着いた馬鹿兄ってのはあんたか」
後ろを見れば悲鳴嶼さんと真菰は驚いてその爺を見ていた。
「どうかの~。そんなことよりはよ来い」
「二人で行くぞ、清水。鱗滝は他の鬼の討伐にいけ」
そう言いながら悲鳴嶼さんは俺の横に立つ。
「いや。ここは俺が残ります。まだ鬼の残数が分からない以上この爺さんに
数を割くのはまずい。それに真菰一人じゃ下弦はともかく上弦はきついでしょ。
上弦相手なら貴方がいないと」
少し考えて悲鳴嶼さんは、
「分かった。任せるぞ」
「任せてください」
悲鳴嶼さんは踵を返して部屋から出ていく。
「ふむ。話は終わったようじゃの。では護衛 長船 長政」
「えっ」
「馬鹿者。試合前は名乗るのが礼儀じゃ」
「すみません。(調子狂うな~)」
俺達は再び構える。
「では改めて護衛 長船 長政」
「鬼殺隊 雨柱 清水 飛鳥」
「いざ」
「尋常に」
「「勝負」」
その頃真菰視点
私は寺院のの廊下を走っていた。
私が前で悲鳴嶼さんが後ろから助けてくれるという形で前に進んでいく。
周囲に鬼がいなくなり一息つく。
悲鳴嶼さんにある疑問をぶつけてみた
「あの、何で飛鳥一人に任せたんですか?
実力を疑っている訳じゃありませんけど少し疑問で」
「飛鳥がやらねばならないと思ったからだ。
会話からあの二人には直接では無いが何かがあるんだろう。
二人で倒すことを提案してみたが最初から飛鳥に任すつもりだった」
「勝てますかね」
「勝つ。だてに鬼殺隊最強と噂されている奴ではない」
本人は余り知らないが鬼殺隊最強は誰か?と言うのが隊士内で話題が持ちきりだ。
その候補に飛鳥と悲鳴嶋さんが筆頭候補に入っていると周りから聞いた。
話が終わる頃鬼がまた出てきたのでまた動き出す。
「(勝ってね。飛鳥)」
三人称視点
飛鳥と長政は切りあっていた。
単純な剣技から呼吸を加えた型を出す。
息は上がっているが互いに無傷。
だが顔に疲労はなく二人とも笑っていた。
「ふ~~。中々やるではないか、小僧。久々にたぎるわ」
「そうかよ。確かにいつもより身体が熱い。こんなことは初めてだ」
「それがたぎるという事よ。目の前の相手に勝ちたい。我こそが最強なのだと示す。
ただそれだけの為に己の全てを賭ける。それが剣士の生き様。
小僧、お主に問う。何の為に刀を取った?」
「最初は恨みを晴らすためだった」
途端に長政は落胆する。こいつもかと。
「小さいのう「だが」うん?」
「俺は強くなりたかったんだ。全てを守るために強くなりたい。その為にあんたに勝つ」
飛鳥の返答を聞き長政は落胆した顔が晴れた。
「そうじゃ。それこそが剣士の在り方じゃ。
ようやっと会えたわい。真の剣士に」
「感謝する、爺さん」
「何の。気にすることはない。では続きと行こうかの~」
「ああ」
そして再び高速の戦いが始まる。
「これじゃ。これこそが儂が長年待っていたもの。数十年待った甲斐があった」
「そうか。確かにこのまま終わらせるのは惜しい気がするがそろそろ終わりにしよう」
「同感じゃな」
そう言って二人は居合の構えを取る。
「「((雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃))」」
同時に動き出し交差する瞬間、相手を切り互いに背を向けた状態で止まる。
そして倒れたのは・・・・・・・長政だった。
飛鳥は長政が動かないことを確認しながら近ずく。
「見事」
「最後に何か言い残すことはあるか」
「これを」
そう言って渡してきたのは先程まで使っていた物とは別の刀だった。
「これは?」
「代々鬼殺をしていた長船家の当主が使ってきた刀じゃ。
当主は血筋は関係なくこの刀を持つに相応しいと判断した者に
この刀をを渡す。そして渡されたものはその日より長船家の当主となるのが習わし。
だが別に当主になってくれという訳ではない」
「じゃあ、何の為に?」
「剣士のあるべき心意気、在り方を次代に繋いでほしいからじゃ。
恨みで刀を振るっても長くは続かん。いずれは折れる。
今の鬼殺隊がまさにそうじゃ。
忘れるな。剣士とは人の身で最強を追い求めるもの。
その二文字の為に命を懸けることを許されるものの事じゃ」
「確かに理解した。恨みはある、でもここで爺さんに誓う。
決して恨みで刀は降らない。そして忘れない。この戦いと爺さんの言葉」
「そうか。なら・・もう思い残す事もない・・・な。」
そう言いながら長政は息を引き取った。
その後すぐ悲鳴嶼と真菰が戻ってきた。
「終わったか、飛鳥」
「はい。我儘言って済みませんでした」
「気にするな。それでは戻ろうか」
三人は寺院を出てそのまま焼き払った。
その時飛鳥は長政の遺体も持って出た。
「私はお館様に今回の事をすべて報告しに戻る。お前達はどうする?」
「またすぐに任務があると思うので暫く休んで行きます」
「そうか頑張れよ。では」
「有難うございます。悲鳴嶼さんもお気を付けて」
悲鳴嶼はそのまま帰っていった。
「真菰大丈夫か?」
「うん。怪我とかはないよ。でも今回は疲れたな」
「無理もないさ。初めて人を殺したんだから」
「うん。ありがとう、飛鳥」
「戻ろう。俺もこの人の墓を作りたいし」
「うん」
数日後二人は町を出て次の任務へと向かっていった。
その際二人は長政の墓を街道沿いの木の下に作った。
その墓石には
長船 長政 此の者、真の剣士成り。
と書かれていた。
ところ変わり桑島の家
長政が飛鳥によって討たれたことが桑島の耳にも届いた。
「そうか。とうとうやったか。ようやってくれた、飛鳥。兄者ゆっくり休んでくれ。」
その言葉と小さく泣く声が聞こえたとか
どうも今回も読んでいただきありがとうございます。
では今回のキャラ紹介です。
名前 長船 長政
誕生 十一月二日
呼吸 雷の呼吸
家族 なし
長船家当主で鬼殺隊として多くの鬼を狩ってきた。
だが周りの人間が剣士としての誇りではなく
鬼憎しで動いている事に失望し鬼殺隊を辞めて行方をくらました。
それから鬼側に立ちより強い、自分すら超えられる隊士があらわれるのを
待ち続けた。飛鳥との出会いが彼を満足させるに至りその後渾身の
霹靂一閃を飛鳥の霹靂一閃で破られ致命傷を受け死亡。
余談だが彼の強さは全盛期から殆ど衰えを見せていなかった。