雷の鳴る所には雨が降る   作:秋月 了

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第三十七話 柱合裁判

しのぶと義勇と共に裁判が行われる産屋敷邸に向かう。

ついてみれば既にほぼ全員が到着している。

いないのは実弥だけだ。

獪岳は緊急の任務が入り今回は不参加という事だ

炭治郎を地面に降ろして柱達に挨拶を交わす。

 

「久しぶりだな。杏寿郎」

 

「うむ。久しぶりだ。飛鳥。長期任務に出ていたと聞いた。無事で何より」

 

「おかげさまでな」

 

「母上が久しぶりに顔を出せと言っていたぞ。

久しぶりに夕飯でも食べに来いともな」

 

「分かった。数日中に顔を出すと伝えておいてくれ」

 

「承知した」

 

「甘露寺さんも小芭内も久しぶり」

 

「うん飛鳥君も久しぶりだね」

 

甘露寺さんは笑顔で返してくれたが小芭内は「うん」くらいしか返してはくれない。

と言うより彼の目から甘露寺にあまり話しかけるなと言う意志が伝わってくる。

如何やら甘露寺に惚れているようだ。

三人との挨拶をした後無一郎に話しかけようとするが、

雲を見ていたので邪魔をしては悪いと考えて声はかけず悲鳴嶼さんと天元さんに話しかける。

 

「悲鳴嶼さんこの間はありがとうございました」

 

「気にする必要はない。飛鳥も息災で何よりだ。今回も任務ご苦労だった」

 

数珠をジャリジャリと擦りながら話す。

 

「天元さんの祝言の時はありがとうございました」

 

「派手にめでたい日だ。嫁たちも喜んでいたしな。二人とは順調か?」

 

「ええ、まあ、それなりに」

 

「なんだ、だらしないぞー。男なら尻に敷かれずしっかり導いてやれ」

 

「はい、がんばります。(すでに敷かれてる感があるな、俺)」

 

「それより屋敷に来る途中に義勇から事情は聞きました?悲鳴嶼さんと天元さんは

今現在はどう考えているんですか?」

 

「派手に処刑だな。小僧の方はそこまでする必要はないかもしれんが鬼はそうする。例外はない」

 

「ある程度は私も聞いている。嘘だと考えているが飛鳥はどう思う?分かるのだろう?」

 

「気配を感じる限り鬼のものと変わりないですね。

でも何といえばいいのかな。人を喰った鬼より気配が人間に近い感じですね」

 

「そうか。だが鬼である事には変わりない」

 

「ですね」

 

そんな時、炭治郎が目を覚ます。

 

「お、どうやら目を覚ましたみたいですね」

 

「飛鳥、これを飲ませてください。鎮痛薬入りの水です」

 

「大丈夫かい。今君の置かれてる状況を説明しよう。

まずここは鬼殺隊の本部だ。君は鬼を匿ったとしてこれから裁判にかけられる。

ここにいるのは俺も含めて全員が柱と言って鬼殺隊の隊士の中でも頂点に位置する存在だ。

ここまではいいかい?」

 

うなずく炭治郎。だが心配そうな顔で周りを見回す。

 

「鬼の妹が心配かい?まず安心してほしい。まだ殺していない。

こちらで預からせてもらっている。これからあの子の処遇も決める。

君は聞かれたことを素直に答えるんだ。いいね。間違ってもうそをついちゃ駄目だよ」

 

「はい。分かりました」

 

炭治郎君は弱々しく返事をする。

 

「なら少し待っていてね」

 

そう言うと俺は立ち上がる。

 

「飛鳥、見事な説明感謝だ。だが裁判の必要などないだろう。

鬼を庇うなど明らかに隊律違反!我らだけで対処可能!鬼もろとも斬首する」

 

「ならば俺が派手に頸を切ってやろう。だれよりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。もう派手派手だ」

 

「あぁ・・・なんというみすぼらしい子供だ可哀想に、

生まれて来たこと自体可哀想だ。殺してやろう。」

 

「うむ。」

 

「そうだな。派手にな。」

 

そんな感じで話が進んでいく。炭治郎の顔色もあおい。

 

「そんなことより冨岡はどうするのかね。拘束もしていない様に俺は頭痛がしてくるんだが。」

 

小芭内が義勇さんを指さしながら俺としのぶを責める。

 

「まぁ、いいんじゃないですか。ちゃんとついてきてくれましたし。

それより私は坊やの話が聞きたいですよ。」

 

「だな。俺もしのぶに同意する。で、実際にどうなんだ?炭治郎。

君の妹は人を食ったのか?」

 

「俺の妹は鬼になりました。でも人は喰っていません。これまでもこれからも人を傷つけません。」

 

「ならそれを証明できるかい?炭治郎。」

 

「!!」

 

「できないよね。仮にこれまでは出来たとしてもこれからもできるという証明は出来ない。

君の思いが分からないわけではないけど事は鬼だ。

判断を間違えたら起きなくてもいい被害が起きてしまう。」

 

「聞いてください。俺は禰豆子を治すために剣士になったんです。

妹は俺と一緒に戦えます。 人を守るために今まで戦ってきたんです。」

 

「だからそれの照明を「鬼を連れてた馬鹿隊員ってのはそいつか?

一体全体どういうつもりだ。」!!。」

 

振り向けば実弥がしのぶと俺によって預からせていた禰豆子が中にいる箱を

片手に持ってやって来る。

 

「不死川さん。勝手な事をしないでください。それは私と飛鳥の預かりとなっている筈ですよ」

 

苛立つしのぶのその言葉を無視し、不死川は腰の刀に手を掛けた。

 

「鬼が人を守るために戦うだぁ? そんな事はなぁありえねぇんだよ!!」

 

勢い良く刀を抜き、箱へ突き刺すとボタボタと箱の底から血が垂れていく。

それを見て、炭治郎は怒りに任せて立ち上がる。

 

「俺の妹を傷つける奴は! 柱だろうが何だろうが許さない!! 」

 

「ハッ! そうかい良かったなぁ!」

 

炭治郎は後ろに縛られているのにも関わらず突っ込んでいく。

がそのまま行けば切られるので俺はまず炭治郎君の羽織の襟をつかみ、

更に実弥の持つ箱を奪い取り元の位置に戻る。

 

「どういうつもりだ。飛鳥!!」

 

実弥は怒りをあらわにして怒鳴ってくる。

 

「どういう事情にせよ、お館様の命令は拘束であって、殺害ではない。

全てを決めるのはお館様だ。それともお前はお館様に殺してしまいましたと報告したいのか?」

 

「ちっ。」

 

舌打ちをしながらそっぽを向く実弥の様子を見ながら炭治郎を座らせて箱を渡す。

 

「ほら返すよ。君も少し落ち着いて」

 

「すみません。ありがとうございます」

 

その時襖が開いて、お館様が娘に手を引っ張って貰いながら柱達の前に姿を現す。

 

「お早う皆。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?」

 

お館様が来た事に気づいた柱達は一列に並び、片膝を付いて頭を下げる。

俺は一番端で片膝を付きながら炭治郎に正座するように促す。

 

「炭治郎。お館様が来たから正座して平伏するんだ」

 

「はい。すみません」

 

炭治郎は俺の言葉を聞いて素直に隣で正座をして平伏する。

実弥が挨拶をして直ぐに炭治郎の事を尋ねるとお館様は謝りながら言った。

 

「驚かせて済まない。炭治郎と禰豆子の事は容認していた。皆にも認めて欲しい」

 

「嗚呼・・・たとえお館様の願いであっても私は承知しかねる」

 

「俺も派手に反対する。鬼を連れた鬼殺隊士など認められない」

 

悲鳴嶼さんを筆頭に反対の声が多い。

このままでは話が進まないと考えて疑問をぶつけてみた。

 

「お館様、質問をよろしいでしょうか?」

 

「なんだい、飛鳥」

 

「禰豆子を容認していた理由は何だったのでしょうか?

鴉からある程度情報が来ていたとしてもお館様自身は禰豆子に会うのは初めてのはず。

如何なる理由をもって禰豆子を容認していたのでしょうか?」

 

俺の言葉を聞いて全員がお館様の方を向く。

 

「そうだね。その説明をしようか。まず手紙を」

 

「はい。」

 

するとお付きの子供が手紙を取り出し、読み上げる。

 

「こちらの手紙は、元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます。」

 

その内容は、二年間の歳月が経過しても禰豆子は人を喰ってないと言う内容だ。

そして、次の内容に柱たちに驚愕が走る。

 

「もし禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎、鱗滝左近次、水柱・冨岡義勇、

水柱補佐・鱗滝 錆兎、同門鱗滝 真菰が腹を切ってお詫びいたします。」

 

それでも実弥は反対の声を上げる。

 

「切腹するから何だと言うのか。死にたいなら勝手に死に腐れよ。何の保証にもなりはしません」

 

「不死川の言う通りです。人を喰い殺せば取り返しがつかない!殺された人は戻らない!」

 

杏寿郎が同意する。

それに対して、お館様が口を開く。

 

「確かにそうだね。でも、人を襲わないと言う保証ができない、証明ができない」

 

お館様は手紙を持ち、言葉を続ける。

 

「それに、禰豆子が二年以上もの間人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子の為に五人の命が懸けられている。これを否定する為には、否定する側もそれ以上のものを差し出さねばならない」

 

実弥と杏寿郎は押し黙ってしまう。

流石に同じものをかけるわけにはいかないからだ。

更に、炭治郎が無惨と遭遇した事実も告げ、炭治郎が無惨へ繋がる手掛かりに

なるかも知れないという考えを見せた。

 

「これが禰豆子を容認していた理由だよ。理解してくれたかな、飛鳥。」

 

「はっ、十分でございます。お手数をおかけしました。」

 

「構わないよ。」

 

「……わかりません、お館様。人間ならば生かしておいてもいいが、鬼は駄目です!承知できない!」

 

実弥は日輪刀を抜き放ち、自身の左腕の皮膚を切る。

 

「お館様……!証明しますよ、オレが。鬼という者の醜さを!」

 

実弥は炭治郎の隣に置いてあった箱を奪取し、

 

「お館様、失礼仕る。」

 

というと屋敷内の日陰に行き、箱を落とし何回か箱ごと禰豆子を突き刺す。

強引に扉を開けると、中からは額に汗を吹かせ涎を流しながら禰豆子が現れ、

実弥の腕から流れる血を見ている。

炭治郎は動こうとするが、

 

「炭治郎、柱達に認めてもらうには禰豆子が安全であると証明するしかない。

納得できないだろうけどこの場は禰豆子を信じて抑えるんだ。」

 

「分かりました。」

 

炭治郎は、俺の言葉を聞きその場で踏み止まる。小さな声で「禰豆子!耐えてくれ!」

と言いながら。その炭治郎の想いが届いたように、禰豆子は実弥の血を拒否。

こうして禰豆子は、人を襲わないことの証明が成されたのだ。

だが、他の柱たちや隊士の中には鬼の存在を良しとしない者も居るだろう。

なので、お館様は炭治郎君に「十二鬼月を倒しておいで、

そうすれば炭治郎の言葉の意味も変わる」と言って、

それを聞いた炭治郎君は「禰豆子と共に鬼舞辻無惨を倒し、悲しみの連鎖を断ち切る!」と豪語したが、お館様に「今は無理だから、まずは十二鬼月を倒してからだね」

と言われて恥ずかしさで顔を赤く染めてしまっていた。

 

「これで炭治郎の話はおしまい。下がっていいよ。」

 

「でしたら竃門君は私たちの屋敷で預かりましょう。いいですよね飛鳥。」

 

「勿論。聞きたいことも有るし。」

 

「では連れて行ってください。」

 

手を叩くと隠が来て炭治郎君と禰豆子を連れていく。

だが直ぐに戻ってきて不死川さんに頭突きをしたいとお館様に言うが時透さんから

手痛い一発を受けて再び連れていかれ炭治郎君の姿が見えなくなった所で柱合会議が開始した。

 

 

 

 

 

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