雷の鳴る所には雨が降る   作:秋月 了

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第三十九話 再開

柱合裁判のすぐ後。

炭次郎視点

 

 柱合裁判をとりあえず切り抜けた俺は隠の人におぶられている。

此れから那田蜘蛛山にも来ていた女の人の家に向かうらしい。

今、隠の人たちに走りながら怒られてる。

禰豆子を傷つけた傷だらけの人に頭突きをさせてほしいと言って、

お館様のお話をさえぎったことで隠の二人まで一緒に怒られてしまった。

更にお館様が珠世さんの名前を出したことで止まってもらおうとして怒らるているわけだ

後ろで禰豆子を背負ってくれている隠の女の人からは

顔を殴られて頬を引っ張られている。顔がすごい。

俺を運んでくれている隠も泣きながら叫んでいる。

よほど怖いのだろう。

 

「柱、凄く怖いんだよ。」「空気読めよ。察しろ。」

 

「絶対許さないからね。」「絶対許さねー。」

 

「謝れ。」「謝れよ、謝れー。」

 

「す、すいません。」

 

そうこうしているうち大きな屋敷に着く。

隠の人たちは玄関の前で屋敷の人を呼ぶ。

 

「ごめんくださいませー、ごめんくださいませー、ごめ・・・・ふう。」

 

「全然誰も出てこなねえわー。」

 

「庭の方回ってみましょ。」

 

そう言うと二人は一旦玄関を出て庭の方へ向かう。

 

「はあ~、お前自分で歩けよな。」

 

「すみません。ほんともう体中痛くて。」

 

ほんとうに痛い、体中痛い、辛い。

痛みを我慢しながら屋敷の方を見る。

 

「本部も広かったけど、ここも立派なお屋敷だなあ~。」

 

「当たり前だろ。ここには柱と元柱の三人も住んでるんだから。」

 

「そうなんですか?」

 

「そうよ。因みに胡蝶しのぶ様、私たちに貴方をここに連れていくよう

指示してた方ね。その方とその姉の清水カナエ様、そしてその旦那の清水飛鳥様が住んでるの。」

 

「清水飛鳥って誰ですか?」

 

「はあ、お前の隣で度々助けてくれてた人だよ。何で知らねえんだよ。」

 

「そうなんですか。あの人が。

(確かあの強かった。でも初めて会った時からあの人からは優しいにおいがした。

でもその中に恨みのにおいも混じってた気がしたな~。)」

 

庭に着くとそこには女の子がいた。

どこかで会った子だな~。

 

「あっ、いる。人いる。」

 

「あれは~えっとそうだ継子の方だ。お名前は~。」

 

「継子?」

 

「栗花落カナヲ様だ。」

 

「あっ、思い出した。最終選別での時の子だ。」

 

「継子ってのは柱が育てる隊士だよ。そうとう才能があって優秀じゃないと選ばれない。

女の子なのにすげーよな。」

 

女性の隠の人が話しかける。

 

「胡蝶様の申しつけで参りました。お屋敷に上がってもよろしいでしょうか?」

 

でもカナヲはニコニコしたまま喋らない。

 

「よろし・・・い?」

 

カナヲはニコニコ笑ってる。

その時後ろから、

 

「カナヲ。人に質問されたらちゃんと返さなきゃだめじゃな~い。」

 

俺と隠の二人は驚いて振り向くと隊服に白衣を着て蝶の髪飾りを付けた女性がいた。

 

「カナエ様、あの、えっと胡蝶様に。」

 

「あら、隠の方ね。どうぞこちらへ。」

 

「はい。」俺達はカナエさんという人についていく。

 

しばらくついていくと扉があり何を言ってるかわからないが

女性の怒鳴り声と善逸の悲鳴に近い叫び声が聞こてくる。

 

「ここよ。」

 

部屋に入ってすぐ善逸の姿を見て

「善逸!!」と声をかけると

「ギャーー」と叫ぶ。どこか声が汚い。

 

「大丈夫か!?怪我したのか!?山に入って来てくれたんだな……!?」

 

「た、炭治郎……」

 

そう言って善逸は、ベットの横に歩み寄った俺を背負っている隠の人に抱きつく。

 

「炭治郎、聞いてくれよ――っ。臭い蜘蛛に刺されるし、毒で凄い痛かったんだよ――っ。

さっきから、女の子にガミガミ怒られるし最悪だよ――っ」

 

自分がうるさいのが悪いのではという言葉を飲み込み、

「静かにしような。」とだけいう。

 

「伊之助は?村田さんや真菰さんは見なかったか?」

 

「村田に真菰?そんな名前は知らないけど伊之助なら隣にいるよ。」

 

「あっホントだ!普通にいた!気付かなかった」

 

善逸の隣のベットで寝ている伊之助を見て呟き、隠の人の背から乱雑に下り、

猪之助が寝ているベットの横で両膝を落としベットの上に手を置く。

 

「伊之助無事で良かった・・・!ごめんな。助けに行けなくて。」

 

「・・・・・イイヨ、気ニシナイデ。」

 

「えっ?」

 

伊之助の声がおかしい。かなり落ち込んでもいるようだ。

善逸に訳を聞くと鬼に喉をつぶされた挙句、青の羽織を着た隊士に大声で叫び、

それがとどめになり喉がえらいことになったらしい。

落ち込んでるのは鬼に対して何もできなかった事と例の青の羽織を着た隊士に

一瞬で後ろに回り込まれて気絶させられたからだそうだ。

それはともかくと善逸は俺を見て、

 

「それより炭治郎は見たっ!?」

 

善逸には、蝶屋敷に運ばれて喜ばしいことがある。

 

「蝶屋敷の美人姉妹っ!」

 

「姉妹?あっ、しのぶさんとさっきのえっと、そうだカナエさん。」

 

「そう!オレが一番推してるのは、胡蝶カナエさんっ!診察してもらったんだけど、

あの柔らかい笑顔に、絹のような肌っ!綺麗な指っ!マジであの人女神だわ!

オレ、ここに入院できて幸せっ!結婚したいねっ!うん!」

 

善逸は体をくねくねさせながら熱く語る。

 

「いやね!しのぶさんも、もちろん可愛いよ!毒で死にかけて助けたくれた時、

ホント天使かと錯覚したもん!でもさぁ、最後は自分の好みってやつが勝っちゃってさ!

ホントに天使と女神って居るんだな!」

 

 善逸に振り向いていた俺も「そうなのかもなぁ」と頷いた。

思い出してみれば善逸の言う通りだと思う。

カナエさんもしのぶさんも笑顔はとても綺麗だった。

善逸がそう言うのもうなずける。でも俺は知っている。善逸の願いは叶わない事を。

 

「でも善逸、胡蝶カナエさんを推すのはいいけど、あの方は既婚者だと思うぞ。

そもそも、女性を邪の気持ちで見たらダメだ。」

 

「は?」

 

善逸はあんぐりと口を開けている。

思い返せば彼は対女性において運がなさすぎる。

初対面では結婚してくれと迫った女性は婚約者ありだし

その時聞いた話では一緒に任務をこなした時、入れ込んだ女性に貢いで挙句全財産を失い、

借金までしたと言っていた。つい最近も禰豆子に何度もお近づきになろうとして逃げられている。

そして今回だ。憐れにさえ思えてくる。

 

「え!?炭治郎、どこでその情報を聞いたんだッ!?」

 

「さっき、其処の隠の人から聞いたんだ。」

 

言いながらすぐそこで「紙、紙どこ~?」と叫びながら走り回っている

隠を見る。

どうやら善逸に抱き着かれた時に鼻水がついてしまったようだ、

 

「事実ですよ。カナエ様もしのぶ様もご結婚されてます。」

 

さっき善逸の事を叱っていた女の子、神崎アオイさんというらしいが

紙を持って来て隠の人に渡しながら言う。

 

「誰だよ!その相手。羨ましすぎるよ。誰だよ教えろよ。炭治郎!」

 

善逸がまた叫び短くなった手で俺にしがみついてくる。

 

「善逸、静かにしろ。アオイさんがにらんでる。

わかったから教えるから。ちょっと、落ち着け。」

 

引きはがしながら善逸を落ち着かせる。

というか後ろで睨んでるアオイさんが怖い。

ひと悶着ありようやく善逸が落ち着く。ただでさえ全身痛いのにこれはきついな。

 

「で、誰なんだよ。胡蝶姉妹の旦那って?」

 

「それは「炭治郎、怪我大丈夫か?」あの人。」

 

まさに最悪と言っていい時に現れた飛鳥さんに驚きながら全てを任せることにするしかなかった。

 

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