第四十三話 無限列車 壱
三人称視点
清水飛鳥、煉獄杏寿郎、竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助の五人は馬車に乗り
ある場所に向かっていた。ある場所とは駅である。
無限列車と呼ばれる列車の中に鬼が現れるという情報が入った。
被害の数から十二鬼月の可能性ありと判断され
柱を二人と飛鳥の元で修行している三人を派遣した。
今は飛鳥が馬車を操り隣の煉獄と話していて
炭治郎達はそれを静かに聞いているだけと言う状況だった。
「杏寿郎はどう思ってる?十二鬼月だと思うか?」
「被害を考えたらその可能性は高いだろう。
十二鬼月ではなくともそれに近い鬼である事は間違いない。
何にせよ俺たちは任務をこなすのみだ。」
「だな。被害が出ている列車も一つだけだし単体の可能性が高いだろう。」
「うむ。だが油断せずに行くぞ。」
「はい。」
暫くして一行は駅に到着した。
杏寿郎は少し離れると言ってどこかへ行き、
今は飛鳥、炭治郎、善逸、伊之助の刀を隠して四人で煉獄を待っている状態だった。
何やら伊之助が震えているようだ。
「オイオイオイなんだ。この生き物は?」
「「は?」」
「こいつはアレだぜこの土地の主。この土地を統べるもの。
この長さ威圧感間違いねぇ今は眠っているようだが油断するな!!」
警戒心を剥き出しにする伊之助に、善逸は呆れた様子でため息をつき、
「いや、汽車だよ。知らねぇのかよ?」と答えた。
「シッ落ち着け!!」
そんな善逸を伊之助は乱暴に制止させると、刀に手をかけ攻め込もうと構えた。
が、それを炭治郎が静かに制止させる。
流石は炭治郎と言いたげに善逸が顔を向けると、炭治郎は真剣な面持ちで口を開いた。
「この土地の守り神かもしれないだろう。それから、急に攻撃するのはよくない」
真面目におかしなことを言う炭治郎に、善逸はこの上ない程の呆れ切った視線を向けた。
「いや、汽車だって言ってるじゃんか。列車。わかる?乗り物なの、人を乗せる・・・この田舎者が」
とツッコミをいれ、この一連の会話を聞いていた飛鳥は笑うのを必死に堪えている。
当然と言えば当然でこれまで山で育ち都会へ行ったこともない伊之助や炭治郎が
都会の建物や汽車を知るはずがないのだ。
「列車?じゃあ飛鳥さんが言ってたのはこれか?」
「そう
。今杏寿郎が切符を買いに行ってくれてるから少し待っててくれ。」
「はい、てか伊之助は何やってるんだ?」
飛鳥と炭治郎が話していると伊之助が徐に列車から距離をとった。
不思議に思いながら見ていると伊之助は突如声高らかに「猪突猛進!」と叫び、
あろうことか頭から列車に突進した。
「やめろ、恥ずかしい。」
「この大馬鹿、ただでさえ伊之助は目立つんだから変なことするな。」
善逸と飛鳥が慌てて伊之助を羽交い絞めにして引きはがすと、
騒ぎを聞きつけたのか駅員が警笛を鳴らしながら走ってきた。
「何をしているんだ、君たち?」
「すみません。田舎から出てきたばかりの従兄弟が汽車が珍しいらしくて
興奮してしまい頭をぶつけてしまいました。」
「全く子供のしつけ位しっかりやってくれよ。」
「すみません。以後気負付けます。」
「ほんと頼むからね。」
そう言って駅員は戻っていった。
駅員がいなくなるのを確認すると善逸は伊之助のせいで散々な目に遭ったことを責めた。
それに対して伊之助は、何故警官から逃げ出さなければならないと詰め寄る。
「政府公認の組織じゃないからね、俺たち鬼殺隊は。
堂々と刀持って歩けないんだよ、ホントは。鬼がどうのこうの言っても、
なかなか信じてもらえないし、混乱するしね。中々難しいんだ。」
「一生懸命頑張っているのに」
落ち込む炭治郎に飛鳥は
「そう言うもんさ。お偉いさんは。国を動かすことしか考えていないんだ。
ま、さすがに全くの無視という訳ではないよ。少しだけど支援してくれている。
流石に公認組織じゃないから表立って支援はしてくれないけど。
かなり融通を聞かせてくれてる。例えば警察とかね。
実際警察逮捕された隊士はいないよ。されてもすぐ釈放される。
それに金に関しても支援してくれてる。
でないといくら産屋敷家が平安の世から続く名家と言えど
これだけの隊士を養う事は出来なかっただろうね。」
と言って鬼殺隊の裏を説明する。
そうこうしているうちに杏寿郎が戻って来た。何故か大量の弁当を持って。
「待たせてしまって済まない。では乗り込もうか。」
そのまま杏寿郎は汽車に乗り込んで行く。
弁当の多さに呆れていた飛鳥達は慌てて後を追うのだった。