「うおおおおお!!腹の中だ!!」
車内に入るなり伊之助は興奮が最高潮に達したのか、声を上げて騒ぎ出した。
「主の腹の中だ!!うぉおお!!戦いの始まりだ!!」
「うるせーよ!」
そんな伊之助に善逸が声を荒げながら制止する。
車内には数人の客が降り、眠っている者、会話をしている者、色々いる。
飛鳥達は空いている席に座る。
「うまい!うまい!うまい!」
煉獄がものすごい速度で大量の弁当を平らげて一口食べるごとに
「うまい」と大声で叫んでいた。
それを炭治郎と善逸は呆れてみていた。
「あの煉獄さん?」
「無駄だよ。杏寿郎は食べる時絶対うまいって叫びながら食べるから
会話にならないんだ。食べ終わるのを待った方がいい。」
「そうした方がいいよ炭治郎。これじゃ話にならない。」
「そうする。」
話しかけようとした炭治郎を飛鳥と善逸が止める。
炭治郎を止めると飛鳥は目を閉じて辺りの気配を探る。
「(なんだ。この列車中から鬼の気配が?前の方か?調べてみるか。)」
飛鳥は立ち上がり炭治郎に声を掛ける。
「炭治郎、悪いが少しここを離れる。後頼んだ。」
「はい。」
飛鳥はそのまま一両目まで歩いて行く。
「(やはりそうだ。前に行くほど気配が増していく。
この感じだと前の機関車の部分か?)」
一両目まで来て炭水車の方まで向かおうとすると
「すみませんお客様。そこから先は関係者以外立ち入り禁止です。」
と男が声をかけてきた。
「そうですか。それはすみませんでした。」
飛鳥は踵を返して歩き出す。丁度列車も走り出したようだ。
「(まだ場所に関しては確信できた訳じゃないが間違いなくいる。、
怪しいのは機関車部分か。)」
飛鳥はこれまでの調べで分かったことを確認しながら席に戻った。
席に戻ると煉獄と炭治郎が話していた。
その隣で伊之助が窓から乗り出して「うおおおお!すげえすげえ速えええ」と叫んで
善逸はそれを必死になって止めていた。
飛鳥は呆れながら煉獄の隣に座る
「戻ったか。でどうだった?」
「いる。確実に。」
「やはりそうか。では気を付けるとしよう。」
「ああ。で何話してたんだ?」
「ああ竈門少年達がこの一月清水に鍛えてもらったと聞いたのでな。
それについて聞いていたのだ。」
「そうだったな。三人とも筋はいいと思う。」
「そうかそれは何よりだ。」
「でも俺達誰も飛鳥さんに追いつけなかったし。」
「そんな事はないよ。君たち三人は十分強くなってるさ。」
飛鳥は少し微笑みながら炭治郎を褒めた。
「気にすることはないさ。竈門少年。清水の速さは鬼殺隊でも最強だ。
俺も勝てない。」
「そうなんですか!」
「ああ。ふがいないことだがな。でも安心してはいけない。
絶対追いつくことを心に決めて更に修練を積むんだ。」
「はい。」
炭治郎がさらに頑張る事を心に決めている時、
ふらりと車掌の男が現れ、杏寿郎、飛鳥は己の切符を差し出した。
「切符……拝見……致します」
炭治郎は見慣れない光景に首を傾げた。
「何ですか?」
「車掌さんが、切符を確認して切り込みを入れてくれるんだよ」
丁寧な飛鳥の説明に、炭治郎は飛鳥たちに習うように切符を差し出した所で、
匂いで何かを察する。 切符からは、何だか嫌な匂いがしたのだ。
だが、切符は切り込みが入れられる。
善逸と伊之助も同じように入れられた所で、この車両での切符の確認作業は終了した。
「……拝見しました」
車掌のその言葉を聞く者は居ない。
車両に居た全ての人間が眠りに就いてしまったのだから。
車掌はそれを確認してから、次の車両へ移動して行った。