刀を貰った日の午後
「カァァ、清水 飛鳥指令ヲ伝エル。胡蝶カナエト共ニ南西ノ山、名霧山ニ向カエ。
ソコデハ登山客ガ消エテイル。ソノ山ハ年中、霧ガカカリ太陽ガ照ルコトハナイ。
十分ニ注意セヨ。鬼狩リトシテノ最初ノ仕事デアル。」
「いよいよじゃな。気負付けろよ。」
「はい、師範。今までありがとうございました。頑張ります。」
飛鳥は隊服に着替え、紺の羽織を羽織り刀を差し玄関を出て見送りに出てくれた師範に礼を言う。
「気にすることはない。だがこれだけは覚えておけ。かっこ悪くてもいい。逃げてもいい。
だが諦めるな。信じるんだ。そうすれば道はある。」
「はい。行ってきます。」
「飛鳥・・・風邪・・ひくなよ。」
「しは~ん。長い間、!!!お世話になりました!!!この御恩は一生...!!!忘れません。!!!。」
そう言って名霧山に向かった。
途中でカナエと合流して数日後。
「ここが名霧山。」
「そうね。名前の通り霧に包まれているわ。」
二人は目の前の山を見る。
飛鳥は合流してから聞きたかった事を此処で聞いた。
「で、ひとつ聞きたいことがあるんだが。」
「何?」
「なんでしのぶがここにいるの?」
「前に飛鳥ガ考えてくれた藤の花の毒の試作品が出来たから試すために付いてきたの
大丈夫。育手を通して本部の許可も下りてるわ。」
「そうか。はぐれるなよ。」
「は、はぐれるわけないじゃない。そこまで子供じゃないわ。」
「ハハハ、悪かった。」
飛鳥はわらいながらしのぶの頭をなでる。
撫でられるしのぶは顔を赤くしながらうつむく。
しのぶをからかい終えた飛鳥は気を取り直すようにして進むのを促す。
「よし。行くか。」
「ええ。今回はしのぶの毒を試す都合もあるから
生け捕りでお願いね。」
「出来たらな。」
飛鳥とカナエがしのぶをはさんで昇っていく。
先頭がカナエで後ろが飛鳥。最終選別の時の逆の並びにしのぶが入った感じだ。
三人は無言のまま道なき道を山頂をめざす。
ふとしのぶは後ろを行く飛鳥が気になって振り返る。
そこには目をつむりながら進む飛鳥の姿があった。
霧で見えにくいが見ただけで集中しているのがわかるしすごく小さい声で何か言っている。
だが何をしているのかは分からない。
「姉さん、飛鳥は何をしているの?」
考えたが答えが出ないしのぶは前を歩くカナエに聞くことにした。
「飛鳥は今この山にいる生命の気配を探しているの。」
「生命の気配?」
「そうよ。私も飛鳥に聞いただけだけど動物、植物には気配があるらしいの。
飛鳥はそれを読み取って鬼を探しているの。」
「どれくらい見れているの?」
「分からないわ。でもかなり広範囲のはずよ。」
しのぶはただ驚くだけだった。
生まれつき気配感知に長けているのは知っていたがここまでとは思わなかった。
「止まれ。」
「見つけた?」
「ああ。こっちに近づいてきてるけどまだ遠い。俺も前に出る。
血鬼術に警戒してくれ。」
「分かったわ。」
飛鳥とカナエを前にしのぶを守るように進む。
一方鬼側では既に飛鳥達を見つけた鬼が飛鳥の方へ木から木へと飛んで近づいていた。
勿論鬼には飛鳥が気配感知で自分が近づいている事に気づいているとは思っていないので
気にすることなく近づいていく。
ある程度近づいたところで木の上に止まり両手を前にし血鬼術を発動する。
「(血鬼術 活血飛槍。)」
顔の周りに血の様に赤く短い槍を二本出現させる。
「行け!」
槍は物凄い速さで飛んで行った。
時間が少し戻って飛鳥は鬼が止まり血鬼術を発動したのに気づく。
「鬼が止まった。血鬼術が来るぞ。」
その瞬間血鬼術で出来た槍が飛んでくる。
飛鳥とカナエで槍を一本ずつ刀で撃ち落とす。
カナエはこのまましのぶを守っていてくれ。俺が行って捕まえてくる。」
「任せて。必ず守って見せる。」
「「任せた(雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃 八連。)」
飛鳥は八回の一閃で方向を変え、鬼の攻撃をかわし
八回目で鬼の四肢を切り落とした。
切り落とされた鬼は地面に落ちた。
飛鳥は直ぐにカナエたちを呼び回復した部分を再び切り落とす。
少ししてカナエとしのぶがやってきてしのぶが持って来た薬を撃ち込む。
すると鬼は直ぐに苦しみだそのまま死んだ。
「成功ね。」
「ええ。これで姉さんや飛鳥と肩を並べて戦える。」
胡蝶姉妹が喜んでいた時飛鳥はある事に気づいて近寄る。
「飛鳥どうしたの?」
いち早く気付いたカナエが飛鳥に声をかける。
「おい、こいつ元だが下弦の鬼だぞ。」
「ほんと?」
「ああ。この目そうだろ。」
「ほんとだわ。」
飛鳥に言われて鬼の目を見たカナエが驚く。
「だがこれで少なくとも下弦の鬼までは通用することが分かったわけだ。」
「そうね。凄いわ、しのぶ。」
「とり合えず下山しよう。さすがに疲れた。」
「そうね。しのぶもいい?」
「分かった。」
飛鳥達は山を下山した。
この後それぞれ一休みした後、
飛鳥は別の任務へ向かいカナエはしのぶを送るために一度育手の下へ帰るのだった。
第五話いかがだったでしょうか?
ここでこの話における胡蝶しのぶの紹介。
名前 胡蝶しのぶ
性別 女性
年齢 十歳
家族 カナエ(姉)
飛鳥
親を鬼に殺され、寸でのところで飛鳥の機転と悲鳴嶼のおかげで助かる。
その後親戚の家に引き取られるが姉カナエと共に悲鳴嶼の家に
押しかけ弟子となり家事手伝いをする。
その後悲鳴嶼の計らいで花の呼吸の育手の下で修行を開始。
しかし小柄故に筋力が足りず育手からは隊士になるのを諦めて
隠として生きる事を進められる。
そんな時に飛鳥の思い付きを聞いて直ぐに実践。
姉の協力で少し改良を重ねて見事元下弦の鬼を倒した。
カナエ同様とても美人。
でも普段からしかめっ面をしていることが多い。