雷の鳴る所には雨が降る   作:秋月 了

64 / 69
第六十四話 復活

頸を落とされて崩れていく。赫刀ゆえに再生できずない。

だがいったんは再生した。しかしその姿はとても元の姿とは言えない。

化け物のような姿だった。

それを飛鳥の刀に反射した自分を見た黒死牟は驚く

 

「(なんだこの醜い姿はこれが望んだ侍の姿か?)」

 

放心状態で動かない飛鳥が再び頸を切り落とした。

体がまた崩れ始めた。今度は止められない。

 

「(これが私が望んだ姿なのか?これが私の望んだ侍の姿なのか?)」

 

崩れていく中そんな思い出したのは幼き日の縁壱との日々だった。

 

 

巌勝視点

 

 

自分より多くの才を持ち父親から不遇な扱いを受けながらも自分より上をいく弟。

私にとってそれは嫉妬に燃える日々だった。

頼むから死んでくれ。そう願っていたほどに。

母親が亡くなり縁壱が寺に向かってそのまま行方が分からなくなった。

くしくも私の願いはかなってしまった。

それから十年余りは平穏な日々を送った。

妻を娶り子にも恵まれた。何の不満もなくだが少々退屈な日々だった。

そんな中私は縁壱と再会し縁壱の現在を聞いて今自分が持っているものを全て捨てて

同じ道を歩むことに決めた。

どうしても縁壱の強さと剣技を我が力としたかったのだ。

だがそこで私は絶望を再び味わった。

縁壱の剣技は誰も真似事すら出来なかった。

さらに追い打ちをかけるように現れたのが蒼月という優男だった。

いつも笑っている男だった。

風柱はヘラヘラ笑った軟弱者と言っていたがその笑顔には誰もが救われていたと思う。

今でいうムードメーカーという奴だろうか?

だが私にはあの笑顔がイラつきの元だった。

なぜそんなに笑っていられる?そう考えただけでイラついた。

そしてその理由をすぐに知ることになる。

それは初めて共に任務に赴いた時。

蒼月は一瞬にして今の下弦程の強さを持った複数の鬼を瞬時に滅してしまったのだ。

その時私は何もできなかった。ただ見ていただけだ。

蒼月は私よりも年下だった。

まただ。また私はその才能に後れを取った。

再び嫉妬で体が燃えそうになるのを感じた。

そうして悩んでいた時にあの方と出会い鬼となった。

それでも年老いた縁壱に負けた。

それからは休むことなく修行を続け鬼ではあの方をのぞいて

最強と言われるようになった。

だがそれも六年前目の前にいる男に負けるまでだった。

また才能に負けた。しかも蒼月の末裔にだ。

そして今日四人がかりとはいえ負けた。

気づいていた。私は技の保存がしたかったわけでも生き延びたかったわけでもない。

私は縁壱や蒼月になりたかったのだ。

だがそれの何が悪い。憧れからた人物のようになろうとして何が悪い?

煌めく太陽に手を伸ばすことは・・・悪いことなのか?

そんな時四人の最後の技を見て思った。

美しいと。極められた柱達の渾身の技。

どこまでも硬い岩、より荒々しい風、力強い炎、そしてそれらを包み込むような太陽。

何という美しい技。四人から繰り出される技に見とれた。

蒼月の末裔は言わずもがな。

他の三人も少し劣るが決して悪くない。

才能でいえば蒼月の末裔には遠く及ばないだろう事は見ればわかる。

だが三人は決して劣ることのない技を出していた。

私が望んだ才無き者の技だった。

だからこそ満足だった。

私一人であがく必要はないのだと。

私の願いをこの者たちが体現してくれた。

縁壱の思いはしっかりとこの者たちが継いでいる。

後はただ託せばいい。そう思わされた。

 

 

三人称視点

 

 

 

頸の近くに飛鳥は立った。

 

「私を倒した以上後はあの方だけだ」

 

「黒死牟」

 

「継国 巌勝。それが私の人間だった頃の名前だ。できるならそちらで覚えておいてくれ」

 

「安心しろ。お前の名も剣技も呼吸も強さも俺の中にある」

 

「そうか。私も縁壱同様何かを残せたのだな。安心したせいか久方ぶりに眠いと感じる」

 

「今度は道を踏み外すなよ。」

 

「・・・私のような愚か者には、次はないだろう。だが・・・心に刻んでおく。」

 

「また戦おう。今度は敵として殺し合うのではなく友として競い合うために」

 

「ああ、もしその時が来るのなら・・・その時を楽しみにしている」

 

黒死牟、いや継国巌勝は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

真菰はいくつかできた組に加わり無惨を目指す。

そこに炭治郎、義勇、錆兎、獪岳、無一郎が合流する。

善逸は途中で急に床に穴が開き穴が開きそこに落ちてしまい

現在は同行していない

そして第一陣が遂に無惨の元にたどり着いた。

だが遅かった。他の鬼に時間をかけてしまい無惨が復活してしまったのだ。

 

「皆一旦退キナサイ・・・・カァァ」

 

輝利哉は道案内をしていた鴉を通じて隊士たちを退かせようとするが

時すでに遅くその場にいた隊士はすべて殺されてしまった。

 

「すべて死んだぞ」

 

そう言って鴉も殺す。

輝利哉は第二陣以降をさがらせようとするが間に合わず次々殺されていく。

しかも運が悪いことに義勇たち柱は無惨が今向かっている方向からは反対側にいる。

輝利哉は焦って指示を出せない。

それを見ていた輝哉が静かにだが力強く声をかけた。

 

「焦ってはいけないよ、輝利哉。常に冷静にしっかりことを見据えるんだ。

今ので多くの剣士たち(子供達)が死んでしまった。でもまだやれる事はあるはずだよ」

 

「父上」

 

父親の言葉を聞いて一つ深呼吸をして頭をすっきりさせて次の指示を出していく。

そんな時炭治郎たちが到着し無惨を囲んだ。

戦いはまだまだ続く。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告