飛鳥は悲鳴嶼、実弥、杏寿郎、しのぶ、玄弥と共に走る。
既に鴉からの報告で炭治郎たちが無惨と交戦を始めた事は聞いていた。
その時城が揺れる。凄まじい轟音が響いたと思ったら、上の方に僅かに夜空が見える。
何らかの手段でこの鬼の根城を地上に引きずり出したのだろう。
「無惨は?」
「探せ、逃げられたらことだ」
飛鳥は気配を探る。すると離れたところで戦っているのが分かった。
「見つけました。こっちです」
「急ぐぞ」
六人は走る。
鴉から夜明けまで後一時間半だと聞いている。
今も既に何人かの柱は戦っている。
「しのぶは残れ。傷を受けたやつを治療する奴が必要だ」
飛鳥はあえてしのぶを遠ざけることにした。
戦闘力より珠世と共に治療に専念してほしいと考えた。
それで継戦能力が上がるだろうと考えたからだ。
「わかったわ」
「頼んだ」
「玄弥お前も手伝ってやれ。下敷きになってるやつを助けろ」
「わかった。兄ちゃん」
しのぶと玄弥は四人から分かれて倒れている隊士を治療に向かう。
「お前はよかったのかぁ」
「あれでいいんだ」
「愛する妻や弟には生きてほしい。男として当然の思いだ」
「それに飛鳥の言は理にかなっている」
「急ぎましょう」
よにん
四人は走った。
そして劣勢になって攻撃をかわすので精一杯の義勇たちを助ける。
「柱がそろった」
「反撃しろ」
「(日の呼吸 壱ノ型 円舞)」
「(炎の呼吸 一の型 不知火)」
飛鳥と杏寿郎の技が無惨の背中の管を切り飛ばした。
「(日の呼吸 弐ノ型 碧羅の天)」
今度は腕の鞭を切り飛ばした。
「赫刀だ。赫刀で切れば無惨とて効果がある」
柱は全員赫刀を発動させ切りかかる。
飛鳥と杏寿郎が無惨の正面と後ろに立ち切りかかる
飛鳥が腕を切り杏寿郎が背中の管を切る。
無惨の管は広範囲直ぐるがゆえに密着されればそこまで怖くなかった。
最も集中的に狙われやすくなる分脅威度はそこまで変わらないが。
さらに中距離から悲鳴嶼が鉄球や斧で殻を破壊しに来る。
さらに柱達が切りかかる。
一人脱落すれば形勢が逆転しかねない綱渡りのような戦いだった。
「(透き通る世界で弱点は分かった。後はそこに攻撃するだけ
十三の型は一の型から十二の型をつなげる。行けるか?
いや違う。行けるかどうかじゃないやるんだ。
日の呼吸 壱ノ型 円舞 碧羅の天 烈日紅鏡)」
三つ続けるだけで手足を切り落とした。
だがやはり飛鳥では縁壱のような速さは出せない。
元々飛鳥の適正は雨と水と雷だ。
日の呼吸の適正はあるにはあるがそこまで高くない。
本当は炭治郎を使いこなせるように教育して自分が援護して
炭治郎を守り彼に攻めさせるつもりでいた。
だがこの場に炭治郎はいない。
なら自分がやるしかない。
飛鳥は覚悟を決めて無惨に立ち向かっていた。
それは他の柱も変わらない。
どれだけ傷つこうが無惨に向かっていく。
毒に犯され始めればしのぶや珠世の元に行き解毒してもらいまた戦線に戻る。
あらゆるものを使い無惨を足止めする。
だが飛鳥と杏寿郎はどれだけ傷つこうと一切無惨の近くを離れない。
そのせいで無惨は近くにいる二人に意識を向けざるを得ない。
だが大量の鬼化の毒は二人を特に飛鳥を蝕んだ。
最も攻撃を受けていたのは飛鳥だ。
既に体中から血を流しまくっている。
そこから無惨の血の毒が入り込んでいる。
「(なぜだ。あれ程毒を撃ち込まれながらなぜしなない。
既に竈門炭治郎の三十倍の量は撃ち込んだぞ。まさか)」
無惨の嫌な予感が脳裏に走った。
無惨が攻撃に混ぜ込んでいるのは無惨自身の血だ。
それは鬼にすらならずに細胞を破壊する。
だがそれでも稀に受け付けてしまう者はいる。
無惨はそんなものはこの場にいるはずはないと高を括っていた。
だがその受け付けるものが目の前にいたのだ。
「Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」
「飛鳥!鬼に負けるな!」
杏寿郎は叫ぶ。ここで飛鳥まで鬼になれば確実に鬼殺隊は負ける。
無惨は笑った。怪我の功名だと思った。
猗窩座や童磨を圧倒し黒死牟とすら対等に戦ったものが下部になった思ったのだ。
だがその喜びは絶望に変わる。
飛鳥は再び切り込んできたのだ。
「なぜだ。なぜこの私に攻撃できる?」
「安心しろ。杏寿郎!俺はこの程度で自分を失うほどやわじゃない。
残念だったな。無惨貴様は最悪の敵を自分で作ってしまった」
飛鳥は自我失うことなく無惨に切りかかった。
無惨は呪いを発動するが効果が表れない。
頸を落とすが落とした先から生えてくる。
無惨にとって絶望の始まりだった。