雷の鳴る所には雨が降る   作:秋月 了

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第六十八話 最後の柱合会議

誰もが傷ついたあの夜から三か月が過ぎた。

 

「早いもんだ」

 

「そうね」

 

俺は今蝶屋敷の縁側で座ってカナエとしのぶと満開の桜を見ている。

生後三か月になる子供を抱いて。

あの最終決戦の朝。カナエが遂に出産を終えた。

俺はそれを一週間後に知った。

いきなり女の子の双子だった。

長女にはカナエと俺の母親から名前を取って香奈美となずけ

次女には俺の姉の名前から真矢となずけた。

何でも前からカナエとしのぶで考えていたらしい。

聞いた時は恥ずかしくなった。俺は全く考えていなかったからだ。

そして今日しのぶと二人で産屋敷邸に向かう。

最後の柱合会議を行うためだ。

産屋敷邸に赴くと、あまね様がいつも通り迎えてくださる。

通された先にはすっかり回復した御館様と輝利哉様が並んで座っている。

 

「やあ、飛鳥、しのぶ、一番乗りだね。皆が来るまでもう少し待ってておくれ。」

 

「「はい、御館様」」

 

しばらくすると柱達がやってくる。腕や脚を失ったものが多いが、体調は回復したらしい。

 

「では、最後の柱合会議を始めよう。」

 

全員が揃ったタイミングで御館様が口を開く。

 

「私たちは今に至るまで、多くの犠牲を払ってきた。しかし、とうとう私たちは鬼舞辻を倒し、

鬼を滅ぼすことが出来た。」

 

優しい笑みを浮かびながら御館様が言葉を紡ぐ。

 

「杏寿郎、義勇、錆兎、実弥、獪岳、行冥、天元、小芭内、蜜璃、無一郎、しのぶ、飛鳥。

これは君達柱の尽力があっての事だ。ありがとう。」

 

そしてとうとう、御館様がその宣言を口にする。

 

「鬼殺隊は、今日で解散する。」

 

「御意。」

 

「長きにわたり、身命を賭して世の為人の為、戦って戴き、尽くして戴いたこと。

産屋敷一族を代表して、心より感謝申し上げます。」

 

御館様と輝利哉が揃って頭を下げる、すぐさま俺たちは口を開く。

 

「頭を上げてくださいませ!!」

 

「礼など必要ございません!」

 

「鬼殺隊であれたのは、産屋敷家の尽力が第一。感謝を申し上げるべきは私達の方です。」

 

「その通りです。お館様が道を示さなければ我らは決戦に挑むことすらなかったでしょう」 

 

「御館様、ありがとうございました。」

 

俺が頭を下げると、それに続いて他の面々も頭を下げる。

 

「・・・・・・ありがとう、みんな。」

 

御館様を涙を流しながら口を開く。

 

「以上で柱合会議を終わりとする。と、その前に。最後に皆に提案があるんだ。」

 

『皆で宴会でもどうかな?私としては、この先も皆で時たま顔を合わせたい。

けれど、毎度毎度皆で集まれるとは限らない。だから確実に一度、

皆で楽しい時間を過ごしたいんだ。勿論、他の子供達も呼んでね。』

 

という御館様の提案を柱合会議で受けて、産屋敷家主催で宴会をすることになった。

隊士及びその関係者なら全員参加可能ということで、かなりの大規模になりそうだ。

ちなみにその宴会は今日だ。産屋敷家が食事、酒などは用意してくださるようだが、

持ち寄りは自由とのことなので、お気に入りの店の唐揚げを持って

蝶屋敷の面々と産屋敷邸に向かう。

ちなみに香奈美と真矢もつれてきた。

遠慮しようかとも思ったがお館様が

 

「どうせなら連れてくるといいよ。一緒にお披露目しよう」

 

と言ってくださったのだ。

 

「飛鳥!」

 

「飛鳥さんお久しぶりです」

 

「杏寿郎、千寿郎、槙寿郎さん瑠火さん」

 

「飛鳥君、久しぶりだな」

 

「お久しぶりです。瑠火さんも子育て指導いつもすみません」

 

子供を育てたこともなく全く分からない俺達を瑠火さんが一緒になって教えてくれた。

そのおかげで何とかやれている。

 

「いいのです。立派な女の子に育ててあげなさい」

 

「「「はい」」」

 

「杏寿郎は何を持ってきたんだ?」

 

「大学芋と芋けんぴだ」

 

「お前、本当にさつまいもが好きだな」

 

「ああ、大好きだ」

 

中身を見せてもらえば短い棒状に切られた大学芋と芋けんぴがぎっしり入っていた。

 

「うまそうだな。杏寿郎が好物になるのもわかる」

 

「そうだろ」

 

杏寿郎は大声で笑うが赤ん坊が起きると瑠火に叱られていた。

そうこうしているうちに産屋敷邸に着く。

俺達はアマネ様に持ってきたものを渡して中庭に集まる。

既にみんなが集まっていた。

鬼殺隊の隊士は決戦の前と比べて四分の一にまで減っていた。

知らなかったのだが俺達が参戦する前に多くの一般隊士が時間を稼ぐために特攻したらしい。

そのおかげで俺達が間に合った。それも勝利の要因と言えただろう。

今はその話は無はいいか。とにかくこの宴会を楽しもう。

お館様が乾杯の音頭を取り宴会が始まった。

皆それぞれで話し始める。

やはりというか女性陣は香奈美や真矢のところに集まる。

 

「飛鳥!お前も母上の大学芋を食ってみろ。うまいぞ」

 

「ありがとう。いただくよ」

 

本当にうまい。

話題は今後の身の振り方の話になる。

 

「飛鳥はこれからどうするのだ?」

 

「俺は警察官になろうと思ってる。せっかく平和になったんだ。

この平和の維持に少しでも貢献したい」

 

「そうか。ではこれからも同僚だな」

 

「お前もか?」

 

「ああ。実弥と錆兎も警察官を志望するらしい」

 

「そうか。ならこれからもよろしく頼む」

 

「うむ、よろしくだ」

 

宴会は続く。

途中小芭内と蜜璃(本人がそう呼んでほしいとごり押し)が結婚すると宣言し拍手がおこった。

そうして最後にみんなで集合写真を撮った。

一部の人間が魂を取られるなど言って大笑いになったが結局全員で撮った。

ていうかその迷信。まだ信じてるやつがいたんだな。

そうして時は過ぎる。

 

 

 

 

 

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