ビョーゲン三人娘の戯れ   作:早乙女

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最近の放送されたあるアニメが元ネタとなっております。
このお話は若干、卑猥な表現があるので、R-15の話になります。
15歳未満の方は読まないようにお願い致します。


その2「発散」

 

それはビョーゲンキングダムのちょっとした一悶着から始まる。

 

「お前たちは、少しは主のために貢献する気はないのか・・・?」

 

「何よ!? アンタだって貢献できてるわけじゃないじゃない!! 大体出撃してからこっちに戻ってくるのが早すぎるんですけどぉ~!!」

 

「グアイワルに言われたくないし・・・」

 

「ふん!今日はたまたま調子が悪かっただけだ!! 次出撃したときは必ず・・・!!」

 

「どうせすぐにプリキュアにやられて帰ってくるんでしょ? わかってるんだから・・・」

 

「貴様だって、この前すぐに帰ってきただろうが!!」

 

「はぁ!? アンタと一緒にしないでくれる!?」

 

「いやいや、お三方は素晴らしい活躍をしていると思うっすよ! ダルイゼン兄貴も、シンドイーネ姐さんも、グアイワル先輩もその類まれない才能が、まだまだ報われてないだけっす~!!」

 

「アンタは貶してんのか、褒めてんのかどっちなのよ!?」

 

「貶してるんだろ? しかも才能って・・・」

 

「ムキーッ!!! 何よその哀れむよう目は!? アタマデワルの癖に!!!」

 

「グアイワルだ!! 名前を間違える貴様のアタマがワルイだろうが!!」

 

「なんですってぇ!?」

 

「別に俺は才能とか、成果とかどうでもいいけど・・・」

 

「アンタはもうちょっと気にしなさいよ!! 余裕ぶってムカつくー!!!」

 

いつもは静かだが、今日はなんだか騒がしいマグマに満たされた世界、ビョーゲンキングダム。ダルイゼン、シンドイーネ、グアイワルの3人が成果についての言い争いをしていた。

 

バテテモーダが落ち着かせようとおべっかをしているようだが、逆に3人の言い争いの種になって、余計に喧嘩の拍車をかけているだけだった。

 

「全く、あいつらも懲りないねぇ・・・」

 

「あんな言い争いなど、労力の無駄だというのに・・・」

 

「うるさくて、ゲームに集中できないの・・・」

 

「あぁん、シンド姉さんにあんな風に罵られてみたいなぁ~」

 

その様子をビョーゲン三人娘は離れたところで呆れたように見つめている。ヘバリーヌは目をキラキラと輝かせながら、訳のわからないことをつぶやいていたが。

 

「ふん!! 見ていろ、この俺がお前たちよりもできるということを証明してやる!!」

 

グアイワルは不機嫌そうに鼻を鳴らすと、地球を蝕むために出撃すべく向かっていく。

 

「やってみなさいよ!! どうせ失敗して帰ってくるくせに!!」

 

「ふわぁ・・・」

 

シンドイーネはグアイワルの背中に最後まで嫌味を返し、ダルイゼンは面倒くさそうにあくびをしている。

 

やり取りを最後まで見ていたクルシーナはやれやれと言ったような感じで首を振るのであった。

 

「くそっ!! どいつもこいつも俺をバカにしやがって!!」

 

地球へと向かったグアイワルは、ダルイゼンやシンドイーネ、そして三人娘に対する不満を漏らしながら、この前プリキュアたちにメガビョーゲンを浄化された場所へと来ていた。

 

ダルイゼンが成長させた種からバテテモーダが生まれたことを聞いて、自分のメガビョーゲンにも何か落ちていないかを探しているのだ。ちなみに、ナノビョーゲンを打ち込んだのは手鏡だ。

 

辺りを見渡してみるが、かけらどころか、赤い靄一つ付いていない。期待したわけではないが、やはりここに来るのは早計だったか・・・。

 

「ん? なんだこれは?」

 

諦めて他の場所に行こうと思った時、ふと何かが怪しく光るのを見た。それは自身が蝕んだ手鏡のかけらの一つだった。

 

グアイワルがそれを掴んで拾い上げてみると、そのかけらは一つの透明なクリスタルのようなものへと姿を変えた。

 

「どうやら病気の気配はしないようだが・・・」

 

いつも自分を馬鹿にしてくるクルシーナ、いちいちうるさいシンドイーネに一泡吹かせてやろうと思ったが、これでは無理か・・・。

 

「!?・・・なんだ!?」

 

するとクリスタルは唐突に赤黒く光ったとクルシーナの姿へと変える。しかも、サイズは彼女と同じぐらいの等身大サイズで、まるで人形のようだった。

 

「ほう・・・これはいいものを手に入れたぞ」

 

グアイワルは口元をニヤッとさせるのであった。

 

とりあえず、クリスタルに戻しておいて、今日も病気に蝕むためのものを探しに行くことにするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も今日とてプリキュアたちにしてやられ、ビョーゲンキングダムに帰還したグアイワル。正直、今回も悔しい感情が芽生えたが、それよりも気になっているのは先ほど手に入れたクリスタル。それを今ここで試してみるとする。

 

彼はクルシーナの姿を思い浮かべる。すると、クリスタルはクルシーナの姿へと変わっていく。

 

「どうやらこのかけらは、頭の中で思い浮かべたものを形にする能力があるようだな」

 

グアイワルはクリスタルの特徴を察して、笑みを浮かべる。

 

ここで彼は悪い考えを思いつく。普段からクルシーナには脳筋と言われたい放題だ。本人に向かってそれをするのはキングビョーゲンの機嫌を損ねることになるのでできないが、本人に似せた人形であればやってもいいだろうと思う。

 

日頃の行いをここで発散してやるとするか・・・・・・。

 

グアイワルはそう思うとクルシーナの人形の胸を触る。イタイノンやシンドイーネよりは大きくないが、ふくよかな感じがする。

 

「おぉ・・・! こういう感触をしているのか、なかなかにいいぞ・・・!!」

 

正直人間は触ったことはないが、こういう感触なのだろう。なんだか肌触りもいいような感じがする。

 

味を占めたグアイワルは、さらにとんでもないことをやり始める。今度は人形のスカートの中に手を弄って触り始め・・・!

 

「いい!! いいぞ、これは!!」

 

さらに片方の手で胸を揉みしだく。女性の体というのはこんなにも感触がいいのか・・・。力も加えても何も言わないから、好き放題にできるぞ・・・!!

 

グアイワルはこうして日頃のストレスを発散して行ったのであった。

 

「だから、アンタはーーー」

 

「いや、違うでしょ・・・」

 

別の日に、シンドイーネとダルイゼンの言い争いの中に入っている中・・・・・・。

 

「まあ、せいぜい二人とも頑張るがいい」

 

グアイワルは余裕のある笑みを浮かべながら、でその場から去っていく。

 

「え? 何よ、あいつ?」

 

「なんかスッキリしてなかった・・・?」

 

何も知らない二人は、いつもはムキになって去っていくグアイワルの言い草に疑問符を抱く。

 

「おお!! おお!! いいぞ、これは!!」

 

そんなグアイワルは今日もクルシーナの人形の体をベタベタと触って、気分を良くする。あんなことやこんなこともしてみる。

 

またある日は、ダルイゼンとすれ違った際に・・・・・・。

 

「よお、ダルイゼン!」

 

「?」

 

「今日も元気に蝕みに行くのだな・・・期待しているぞ!!」

 

「・・・何なの?」

 

何か憑き物が取れたような顔をする彼に、ダルイゼンは本当に訳がわからないというような顔をする。

 

「フハハハハ!! この俺のために貢献するがいい!! 嬉しいだろ!?」

 

そんなダルイゼンの心を毛ほども知らないグアイワルは、クルシーナを跪かせるような体制にさせてお尻部分を踏みつけながら騒いでいた。

 

またまたある時は、シンドイーネがキングビョーゲンのためにおめかしをしていると・・・・・・。

 

「おめかしなんかしてるよりも、地球を蝕んだ方がいいと思うがな?」

 

「はぁ? アンタに言われなくてもわかってんのよ!!」

 

「・・・それだけ元気があればうまくいくだろうな」

 

「え?」

 

シンドイーネがイライラしても、グアイワルは晴れやかな顔で激励の言葉を話す。シンドイーネは気持ち悪さを感じて、身震いした。

 

「さあ、俺に抱かれろ・・・可愛がってやるからな・・・」

 

彼女がそんな感情を抱いているのも知らないグアイワルは、クルシーナの人形を抱きながら優しく彼女の頭を撫でていた。

 

その後もグアイワルにとってはこんな日々が続いている中、ダルイゼンとシンドイーネは二人、顔を合わせていた。

 

「ねえ、ダルイゼン」

 

「・・・何?」

 

「最近のあいつ、なんかおかしくない?」

 

「・・・シンドイーネもそう思う?」

 

あいつというのは、最近やたら喧嘩をしてても真っ向から言い返してこないグアイワルのことだ。いつもだったら不機嫌な様子で去っていくのがお決まりだというのに、しかもダルイゼンとシンドイーネにあんなに機嫌よく言葉を返すなんて、気持ち悪いしモヤモヤする。

 

こう言うのは正直癪だが、自分たちと同じように地球を蝕むこともできていないので、大して成果をあげられているわけでもない。なのに何であんなにご機嫌なのか?

 

怪しい・・・あいつは絶対に何かを隠しているに決まっている・・・。

 

「ちょっと、あいつのこと探ってみましょうよ」

 

「・・・まあ、俺もあんな調子のグアイワルはやだし」

 

二人はこっそりと探ってやろうと思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前たちのさらなる活発な活動を期待しているぞ・・・」

 

「はい!」

「わかりました」

「りょーかい・・・」

「了解でーす!」

「はーい」

「もちろんです」

「・・・なの」

「は~い♪」

 

「はぁ、疲れた・・・今日のお父様の話は長かったわね・・・今日はもう寝てようかな・・・」

 

「私も実験をしたいと思っているので」

 

「帰ってゲームでもしてるの・・・」

 

「お姉ちゃん、ヘバリーヌちゃんにお仕置きしてぇ~♪」

 

「疲れてるっつってんのよ・・・」

 

キングビョーゲンの召集が終わった後、三人娘とヘバリーヌがアジトにしている廃病院へと帰っていく中、グアイワルは彼女らとは別方向へと歩いていく。

 

それを見たシンドイーネとダルイゼンは頷くと、彼の後をこっそりとつけていく。

 

彼らが着いてきていることを知らないグアイワルは、今日もこっそりと隠しているクリスタルの元へ。頭に思い浮かべてクルシーナの姿にした後、彼女を椅子に座らせる。

 

「さてと・・・今日も俺も楽しませてくれよ・・・」

 

そう言ってクルシーナの体に触ろうとした、その時だった・・・・・・。

 

「何やってんのよ、アンタ?」

 

「!!??」

 

ドキッとしたグアイワルは思わず、声の方へと振り向く。そこにはダルイゼンとシンドイーネが立っていた。

 

「ダ、ダルイゼン!? シンドイーネ!? なぜここに!?」

 

「・・・お前が最近変だったから、おかしいと思ってつけてきたわけ」

 

動揺するグアイワルに、ダルイゼンが淡々と答える。

 

「最近、妙に機嫌がいいと思ったら、そんなことしてたんだぁ。しかも、人形遊びとか、子供っぽすぎてマジ笑えるんですけどぉ~!」

 

「お、俺がそんなことするわけないだろうが!!」

 

「そんな格好で言われても説得ないですぅ~!! アッハハハハ!!!」

 

シンドイーネは馬鹿にして笑い、グアイワルはムキになって否定する。

 

「・・・っていうか、それよく見たらクルシーナじゃん。ホントにどうしたの?」

 

「っ・・・・・・!」

 

ダルイゼンが、人形の姿がどう見てもクルシーナにしか見えないことを指摘すると、グアイワルは言葉を詰まらせる。

 

ここまで言われてはクルシーナに気が合うとか、謂れのないことを言われて馬鹿にされそうなので、本当のことを話してやることにする。

 

「これは、俺がメガビョーゲンから見つけたのだ・・・」

 

「メガビョーゲンから?」

 

「俺が生み出したメガビョーゲンに何かないと思ってな。探してみたら、かけらが落ちていた。しかも、手にしたその時に姿がクルシーナへと変わったのだ。俺は試しにやってみて、確信したのだ。これは頭に思い浮かべたものを具現化できるものだってな」

 

グアイワルがそう説明すると、ダルイゼンはふーんと何だか興味がなさげな感じだ。

 

「頭に思い浮かべたものを具現化できる~? はっ・・・もしかして! キングビョーゲン様の顔を思い浮かべれば、それも具現化できたりして・・・!?」

 

「それはダメだ。いくらなんでもそれだけはやらせん」

 

「何よ~!!! いいじゃない!! ケチ!!・・・いいもん、あたしの頭の中にはキングビョーゲン様の顔が見えるんだから・・・!!」

 

シンドイーネはキングビョーゲンを具現化できると思い込んで目をキラキラとさせたが、グアイワルに拒否されて一転して不機嫌な顔になる。

 

「・・・で、クルシーナの姿にして、何やってたの?」

 

「ちょっと、日頃の鬱憤を、な」

 

「・・・そういえば、グアイワル、クルシーナに散々言われてたよね?」

 

ダルイゼンはクルシーナが散々コケにするようなことを言っていたことを思い出す。やれ頭が固いだとか、脳みそが筋肉でできているとか、三人の中では一番貢献していないだとか・・・いろいろなことを言われていたような気がする。

 

キングビョーゲンの娘である以上、手を出すこともできないため、代わりにそっくりの人形にしてストレスを発散させている、とか・・・?

 

「本人に直接当たらないで、人形に当り散らしてるわけ~? かっこ悪くない?」

 

「まあ、そう言うお前らも日頃、あの三人娘、特にクルシーナにしてやりたいことの一つはあるんじゃないのか?」

 

馬鹿にするシンドイーネに対し、グアイワルは冷静な言葉で返す。

 

シンドイーネは、確かに最近あいつは横暴になっている気がする。特にバテテモーダやヘバリーヌという幹部が増えてからは一層うるさくなって、腹が立つことも散々言われた気がする。

 

「ほら、お前たちもやってみろ」

 

グアイワルに人形を放られる二人。シンドイーネは人形へと恐る恐る近づくと、足を上げてその人形を踏みつけてみる。

 

踏みつけたというのに人形ではなく、まるで人のような感触・・・・・・。

 

それを感じ取ったシンドイーネは、目をキラキラと輝かせ・・・。

 

「この!! 雌豚が!! 散々!! 勝手なこと!! 言ってくれちゃって!! むかつくのよ!! あんたは!!」

 

快感にハマってしまったシンドイーネは足をゲシゲシと踏みつけながら、罵りの声を上げる。その表情は、愛しのキングビョーゲンにお会いできたことと同じくらい晴れやかだ。

 

「あぁ・・・いいじゃない、これ・・・心が落ち着く・・・」

 

散々踏みつけて気が済んだ後、シンドイーネは恍惚な表情を浮かべていた。

 

「ほら、ダルイゼンも!」

 

「俺は別に・・・」

 

ご機嫌なシンドイーネに差し出されて、ダルイゼンは拒否をしようとしたが、人形を見つめているうちに何か感情が溢れてくる。

 

ダルイゼンはゆっくりと人形を受け取ると、そのまま恐る恐る人形を抱きしめる。

 

「・・・・・・・・・」

 

何だかわからないが、いい感じがする。顔には出していないが、いい気分だ・・・。

 

「ち~っす! 先輩方!! 何してるんっすか~?」

 

そこへヘラヘラした様子のバテテモーダがやってきた。

 

「って、それ!! クルシーナ嬢じゃないっすか!? 兄貴、何してるんっすか~!?」

 

「・・・別にいいだろ」

 

バテテモーダはダルイゼンに抱かれているクルシーナそっくりの人形を見て驚く。キングビョーゲンの娘そっくりとはいえ、一体何をしているのか?

 

ダルイゼンは不機嫌な表情を見せると、人形を地面へと落とす。

 

「おぉ! ちょうどよかった!! お前も日頃から不満なことはあるだろ? この人形を特別に使わせてやる!!」

 

「えぇぇぇ!?いやいやいや、何言ってるんっすか!? クルシーナ嬢を汚すなんて、しかもこんなことがばれたりなんかしたら!!」

 

グアイワルに人形を使うように言われ、珍しく慌て出すバテテモーダ。

 

「いいから、持ってみろ!!」

 

そんなバテテモーダの忠告も耳に入れず、グアイワルは地面に落ちた人形を拾い上げて、彼に押し付ける。

 

「うぇぇぇぇぇ!?・・・あぁ・・・」

 

悲鳴をあげていたバテテモーダだったが、人形を触った瞬間に彼は呆気なく陥落した。

 

その後も、4人は珍しく集まって、クルシーナの姿をした人形でストレスを発散した。

 

後日、自分たちがあんな目に遭うなんて、思ってもいないほどに・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4人が一緒になってクルシーナを模した人形でストレス発散を続けていた、ある日のこと。

 

いつものようにキングビョーゲンの接見をしているとき・・・・・・。

 

「その要件というのはーーーー」

 

グアイワルはまるで憑き物が取れたような表情で見ていた。

 

「もぉ、そうなんですよぉ~♥」

 

シンドイーネは嬉々したような表情で話す。キングビョーゲンがいるからだろうけど、いつものように明るくなっている。

 

「・・・ふん」

 

ダルイゼンは表情は変わらないまでも、どこか不機嫌さを感じない様子だ。

 

「・・・・・・・・・」

 

その様子をクルシーナは何かおかしい、とでも言いたげな顰めたようは表情で見つめていた。

 

キングビョーゲンの収集が終わった後、クルシーナはダルイゼンらに近づく。

 

「ねえ、アンタたち」

 

「「??」」

 

一瞬、彼女に話しかけられてドキッとしたのはシンドイーネとグアイワルだが、表情が見えないように懸命に取り繕うとする。

 

「な、なんだ・・・?」

 

「最近、やけに晴れやかな顔してるじゃない? お父様の報告も喜んだように行ってるし、3人揃ったのに喧嘩もしてないし、一体どうしたの?」

 

シンドイーネとグアイワルは内心慌てていた。人形のクルシーナを使って、ストレスを発散した、だなんて言えるわけがない。もしバレでもしたら、確実に彼女はブチ切れるだろう。

 

二人は知られるわけにはいかないとごまかそうとする。

 

「ああ、お前のーーーーむぐぅ」

 

「な、なんでもないわよ・・・! アンタには関係のないことよ!!」

 

「そ、そうだ!! お前が気にする必要のないことだ・・・!!」

 

うっかり喋りそうになったダルイゼンの口を押さえ込んで、シンドイーネとグアイワルがごまかす。

 

「・・・・・・何か隠してる?」

 

クルシーナは不信感を抱いているような、不機嫌そうな表情になる。

 

「何も隠してないわよ!! 私は愛しのキングビョーゲン様に会えて嬉しいだけ!!」

 

「俺も少しはやる気を出そうと思っただけだ!!」

 

二人はそう誤魔化して、まるで逃げるようにその場から去っていく。

 

クルシーナはダルイゼンら3人の後ろ姿を見て、不機嫌そうに顔を顰めていた。

 

怪しい・・・・・・いつもならやる気のなさそうな態度のヤツらなのに。シンドイーネはいつものような明るい声ではあるが、なんだか話しかけたときの様子がおかしいし、それにしたってあいつらは怪しい。

 

別に成果をあげたわけでもなければ、何かいいことがあったということも聞いていない。何かをしていなければ、あんな風にやる気のある態度になるわけがないのだ。

 

あいつら、絶対に何かを隠してる・・・・・・! しかも、それをキングビョーゲンの娘であるアタシに教えないなんて・・・!!

 

モヤモヤが消えないクルシーナは右指をパチンと鳴らして、手下としている小さなコウモリの妖精たちを呼び出す。

 

「あの3人を偵察して何かを見つけてこい。バレないようにな」

 

クルシーナはそれだけ伝えると、小さなコウモリの妖精たちはパタパタと飛びながら3人を追いかけていく。

 

「クルシーナ、どうしたんですか?」

 

「・・・ドクルンか。あいつら、アタシらに隠れて何かやってるみたいなんだよね」

 

クルシーナはドクルンにそう話すと、イタイノンも気になって近づいてきた。

 

「・・・私らは協調性がないから隠し事の一つぐらいはあるの」

 

「自分でそれ言うの? それはいいんだけどさ、普段はやる気がないくせに、あいつら急にやる気を出してモヤモヤするんだよね・・・。何か隠してるとしか思えない」

 

クルシーナは頭をイライラしたように掻きながら言う。

 

ふと彼女の視界にどこかへ行こうとしているバテテモーダが映った。

 

「おい、バテテモーダ!」

 

「ギクッ・・・!!」

 

クルシーナが声をかけると、バテテモーダはドキッとしたような明らかに動揺したような反応をする。

 

ギクッてなんだ? ギクッて・・・ますます怪しい・・・!

 

あからさまな態度をとった彼に彼女は問い詰めようと近づく。

 

「あいつら、何してたの?」

 

「い、いや!! 自分は知らないっすよ!!」

 

「あっそう、じゃあ、あいつらに何て言われたの?」

 

「自分はお嬢に話すなって言われただけで・・・あぁ!!」

 

いつものような口調で話しかけるクルシーナに、バテテモーダはしどろもどろになって慌てている。クルシーナはバテテモーダの言った言葉に顔をわかりやすいくらい顰める。

 

「話すなと言われた・・・?」

 

「あ、いや、それはその・・・!!」

 

バテテモーダが余計に慌てると、そんなタイミングを見計らったかのように偵察をしていた手下の小さなコウモリの妖精たちが彼女の元に戻ってくる。

 

「何か見つけたのか?」

 

クルシーナがそう言うと、そのうちの一匹が両目を車のライトのように光らせて、空に映像を映し出す。

 

「!!??」

 

その映像を見たクルシーナは絶句した。

 

グアイワルが、シンドイーネが、そしてダルイゼンまでもが、アタシにそっくりな人形を作り出して、あんなことやこんなことをしている・・・!?

 

しかも、あんなことやこんなこと、もしやそんなことまでやっていた・・・。

 

しばらく映像を見続けていたクルシーナは段々と落ち着いていき、そして逆に胸の中に火が付き始め、黒い感情に支配される。

 

「おい、バテテモーダ・・・」

 

「は、はいぃぃっ!!?」

 

「・・・あいつらはどこに?」

 

「えっと・・・」

 

「あいつらはどこに?」

 

「いや、だから・・・」

 

「あいつらはどこに?」

 

「あ、あっちっす・・・」

 

他の発言を許さないといったクルシーナの繰り返される質問に、バテテモーダは本能的に逆らうことができず、素直に指をさして場所を教えてしまう。

 

「・・・お前も来い」

 

「ぐぇっ!? あ、いや、自分は別件があって・・・!!」

 

「お前に別件なんかない!!・・・文句あるか?」

 

「い、いや、別に・・・はい・・・」

 

バテテモーダの着るベストを引きずりながら行こうとする鬼気迫るようなクルシーナの状態に、獣人は全く逆らえない。

 

ダンッ!!!!

 

「ひぃっ・・・!?」

 

クルシーナが踏み鳴らすように歩くと、イタイノンが思わずビクッとする。

 

彼女はおぞましいものを感じていた。今のクルシーナは、もうあれだと・・・。

 

「ああ・・・もうあれは何を言っても止まりませんね・・・」

 

ドクルンはクルシーナの姿を見て、事の端末をわかっているような顔で見つめているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを知らないグアイワルらはクルシーナを模したような人形でストレスを発散していた。

 

グアイワルは女のアレなところを、あんなことやこんなことをしていた。

 

「ちょっと、グアイワル!! 私にも早く貸しなさいよ!!」

 

「まだだ! あともうちょっとだ!!」

 

「・・・俺も抱きたいんだけど」

 

グアイワルがどうやら独り占めにしている様子で、シンドイーネとダルイゼンが不満を漏らしている。

 

そんな警戒心がまったくない3人が、人形で楽しんでいる・・・その時だった・・・・・・。

 

ダンッ!! ダンッ!! ダンッ!!!!!

 

地面を踏み鳴らすような音が響いてくる。

 

「・・・? 何の音?」

 

「「?・・・!!??」」

 

音を耳に入れたダルイゼンが疑問符をつける。同じく疑問に思ったシンドイーネとグアイワルが音のする方を振り向いたその瞬間、その表情は青ざめた。

 

そこには、鬼気迫るような表情・・・というか、明らかな黒いオーラを放出させているクルシーナ本人の姿だった。

 

「ク、クルシーナ!? な、なんでここが!?」

 

「おい、お前らァ・・・」

 

動揺するグアイワルとは対照的に、彼女は低くドスの利かせたような怒りの声を上げている。

 

「そいつで、なにをしてたのかアタシに詳しく聞かせろォ・・・!!」

 

クルシーナはそう言うと、右手に引きずっていたものを前へと放り投げる。

 

「ぐぇっ!?」

 

それはクルシーナを誤魔化すように頼んでいたバテテモーダだった。

 

「バテテモーダ!! アンタ、話したの!?」

 

「い、いやぁ・・・自分もごまかそうとしたんっすけど~・・・キングビョーゲン様の娘には逆らえなかったっす・・・」

 

シンドイーネの咎めるような声に、バテテモーダは本当に申し訳なさそうに言った。

 

「何やってんのよ!? もぉ~、つくづく使えない奴ね!!」

 

「じ、自分はやめようって言ったじゃないっすか!! どうせこんなこと隠してたってバレるって!!」

 

「何よ!! アンタだって乗り気だったじゃないの!!!」

 

「そ、それは・・・!!」

 

「なんだとォ・・・?」

 

「うげっ!?」

 

シンドイーネとバテテモーダの言い争いの声に、クルシーナは聞き捨てならない言葉が耳に入り、さらに黒いオーラを濃くする。

 

「お前も、あいつらと同じ口かァ・・・?」

 

「い、いや、ち、違くて!! 自分はやめようって言ってたのに、先輩方が無理やり触らせてきてぇ~!!」

 

「もういいッ!!!! その辺も含めて、お前らまとめて、アタシにぜ~んぶ話せェ・・・!!!」

 

クルシーナは言い訳がましい発言を打ち切って、人形で卑しい遊びをしていた奴らへとコウモリのような黒い翼を背中から大きく広げながら、足を踏み鳴らしてノロノロと近づいていく。その目は睨みつけるように、怒りで赤く光っていた。

 

ドガッ!! ガシャンッ!! バキッ!!! ドンガラガッシャン!!!! ドゴォッ!!! ドガァン!!! ドゴォ!! ドガァァァン!!

 

ビョーゲンキングダムでは聞こえないはずの大きな音が響き、世界が揺れる・・・。

 

「あーあ、女っていうのは怒ると怖いですからねぇ・・・」

 

「ダルイゼンたち・・・お気の毒だけど、因果応報、なの・・・」

 

「ダル兄たちいいなぁ~。ヘバリーヌちゃんもあんな風にお仕置きされた~い♪」

 

「ややこしくなるから、お前は黙ってろ、なの・・・」

 

そんな様子を見守っていたのは、ドクルンとイタイノン、ヘバリーヌの3人だった。

 

2人は冷や汗を浮かばせながら、ドクルンは呆れたような、哀れむような表情で、イタイノンはプルプルと体を震わせながら顔を青ざめさせている。

 

そして、ヘバリーヌはその光景を羨ましそうに見ていた。イタイノンはそんな彼女を咎める。

 

ダンッ!! ダンッ!! ダンッ!! ダンッ!!

 

クルシーナは口から白い息を漏らしつつ、足を乱暴に踏みならしながら、地面に倒れているグアイワルへと迫る。

 

「ま、待て!! は、話せば・・・話せば、わかーーーー」

 

「オラァッ!!!!」

 

弁明しようとするグアイワルだが、クルシーナは容赦なく怒りを乗せた強烈なパンチを彼の顔面に食らわせた。

 

一撃で沈められたグアイワルには、クリスタルを使えると思い持ち帰り、それを人形を可愛がっていて、味を占めてやり続けた過去が走馬灯のようなものが蘇った・・・ような気がした。

 

「ふんッ!!!!」

 

「い、いたたたたたたたたたたッ、うあ゛ぁぁぁぁ!!!!」

 

おばさんことシンドイーネには、頭を両足の太腿で掴んで空中に浮かび、潰すようにして締め上げていく。ミシミシって言う音が頭から聞こえ、彼女の絶叫が響く。

 

やっぱり、こいつらに関わるとろくなことがないと今更ながら後悔するのであった・・・。

 

「ダルイゼェン・・・お前まで一緒になってェ・・・」

 

「いや・・・俺、はーーーー」

 

「オラァッ!!!!」

 

傷ついて座り込んでいるダルイゼンの言い訳の余地も与えずに、彼の頭へと躊躇なく踵を落とした。

 

巻き込まれる前に、仕事に行ってればよかったと、ダルイゼンは心の中でぼやくのであった。

 

「オラオラオラオラオラァッ!!!!」

 

「うががががががががが!?」

 

ひっそりと加担していたバテテモーダにも、容赦なく空中に飛び上がってでのストンピングの連打攻撃を浴びせる。

 

これからはあいつらよりも、キングビョーゲンの娘の命令を忠実に実行しようと心に留めることにした。

 

クルシーナによって沈められたボロボロの幹部4人、周囲から見れば相当な地獄絵図が出来上がっていた。

 

「ふんっ!!」

 

クルシーナは倒れ伏しているグアイワルの背中を踏みつける。

 

「こんなくだらねぇことばっかりしてるから、お父様も呆れて出てこねぇんだよ・・・!!! ぐうたらしてる暇があるんだったら、地球を一カ所でもいいから蝕みに行ってこいってんだよ!! このボンクラ共がよぉ!!」

 

クルシーナはそう言って鼻を鳴らすと、グアイワルの背中から足をどける。そして、彼らがストレス発散の用途で使っていたクルシーナそっくりの人形は・・・・・・。

 

ドガッ!!!!

 

崖から蹴り飛ばして、マグマの中へと沈めた。

 

「・・・ふんっ!」

 

そして、彼女は4人を見下げて鼻を鳴らした後、ドクルンとイタイノンたちがいる方向へと歩いていく。

 

「行くよ、3人とも! どこかで憂さ晴らしをしないと怒りが治まらないわ!!」

 

怒ったような態度を取りながら進んでいくクルシーナに、イタイノンは文句を言おうとしたが、ドクルンは彼女の口を抑える。

 

「ここは逆らわずにおとなしく従ったほうが賢明ですよ。あいつらみたいになりたくないでしょ?」

 

「っ・・・仕方ないの・・・」

 

ドクルンの判断にイタイノンは渋々と行った形で、クルシーナの後をついていく。

 

「お姉ちゃ~ん♪ ヘバリーヌちゃんにもああいうお仕置きしてぇ~♪」

 

ヘバリーヌは猫なで声を上げながら、三人娘の後ろを歩いていく。

 

クルシーナに付き合わされるドクルンとイタイノンは、学んだことが一つだけある・・・。

 

いくら思惑の異なる幹部同士であっても、物事にはやっていいことと悪いことがあるので、区別はつけた方がいいと・・・・・・。

 

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